パソコン上で行う日々の業務を自動化するRPAツールには、さまざまな製品が展開されており、近年日本で導入する企業が増加しています。
企業がRPAツールを選ぶ基準として、コストや運用・管理のしやすさ、システムの利用のしやすさなどが挙げられますが、特に「導入するメリット」については気になるポイントなのではないでしょうか。
この記事では、RPAツールの中でも比較的簡単に導入できるクラウド型のRPAツールのメリットについて解説します。
クラウド型RPAツールとは?
まず、RPAツールのうち、クラウド型とはどんな性能なのでしょうか。
他の種類のRPAツールとの違いにも着目しながら特徴を見ていきましょう。
Webブラウザ上の作業を自動化する
クラウド型PRAツールは、クラウドサーバー上でRPAが稼働し、Webブラウザ上の事務作業を自動化するツールです。
インターネット上の作業に限られてしまいますが、各種クラウドサービスやSaaSとの連携のしやすさも評価されており、近年導入する企業が国内外問わず増加しております。
自動化できる業務にはメールの自動送信や情報収集などがあり、クラウド型RPAツールを導入することで、ビジネスプロセスの効率化や制度の向上、コスト削減が見込めるでしょう。
オンプレミス型との違い
クラウド型RPA | オンプレミス型RPA | |
---|---|---|
稼働場所 | Web上(クラウド上)に限定される | 独自に構築したサーバー内や各パソコン上 |
PCでの 複数業務 |
可能 | PCを占有するため、同時作業は困難 |
コスト | 月額数千円で利用できるものもある | 初期費用:数千万 維持費:月額数十万〜となることも |
セキュリティ | ベンダーが管理 | 社内で監視 |
柔軟性 | Web上の作業に限定されるため、柔軟性は低い | 専門的な知識があれば、自社仕様にカスタマイズ可能 |
クラウド型RPAツールと対照的なのが、オンプレミス型のRPAツールです。
オンプレミス型RPAツールは、自社で構築したシステム内や各パソコン上でロボットが稼働し、設定した業務を自動化します。
クラウド型との大きな違いとして、専門的な知識を持つ人が自社独自のシステムを構築し、日々のメンテナンスやトラブル対応も自社で行わなければならないという点があります。
RPAを管理する部署や専門の人がいない場合、もしくはRPA運用までに手が回らない場合には、オンプレミス型のRPAの導入はハードルが高いと言えるでしょう。
また、導入コストにも大きな違いがあります。
例えば、オンプレミス型のうち、自社のサーバー内で作業を自動化するサーバー型RPAは、サーバー設置のための初期費用が数千万円かかってしまうものもあり、加えて維持費として月額数十万円必要となる場合があります。
このように、導入費用を抑えたい企業やRPAツールの運用・システム管理を自社内で行うことに不安を感じる企業は、クラウド型RPAツールの導入を検討すると良いでしょう。
クラウド型RPAツールのメリット
他のRPAツールと比較して、クラウド型RPAツールには導入費用が抑えられることや、運用コストがかからないという違いがあると解説しましたが、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
以下では、クラウド型RPAツールを導入する上でのメリットを詳しく紹介します。
メリット①導入費用が比較的安価
クラウド型RPAツールは、なんといっても導入費用が安いことがメリットと言えるでしょう。
オンプレミス型や開発型は、サーバーの設置や構築などの大きな初期投資が必要となってしまいますが、クラウド型RPAツールはインターネット上で動作させるため、導入コストを抑えることができるのです。
また、無料トライアル期間を提供している製品もあるので、機能やシステムをうまく活用できるのか確認できるのも良いですね。
メリット②いつでもどこでもアクセス可能
クラウド型RPAツールは、インターネット環境があればどこからでもアクセスが可能であり、端末を選ばずに利用することができます。
リモートワークなどの働き方が多様な現代において、作業の柔軟性とアクセシビリティが高いことは、企業の生産性を向上させる一助となるでしょう。
メリット③専門知識が不要
クラウド型RPAツールには、プログラミング等の専門知識がない現場担当者でも簡単に利用できることもメリットです。
ノーコードで直感的なインターフェースや簡単な操作性で、IT知識のない方でも簡単に操作できるため、RPAツールのサイトを開くだけで設計・実装することができます。
企業のIT部門等に頼ることなく自動化を実現することができるのが、クラウド型RPAツールです。
複雑なシステム構築が不要な一方で、自動化できる業務がWebブラウザで行える業務に限定されてしまうことには注意しましょう。
つまり、既存のシステムや自社独自のシステムとクラウド型のRPAとは相性が悪いのです。
メリット④複数の作業を同時に実施することが可能
クラウド型RPAツールは、クラウド上で業務作業が自動化されるため、RPAのロボットを動かしつつ、同時に他の作業を行うことが可能です。
オンプレミス型は同時に作業を行うことができない一方、クラウド型RPAツールではパソコンが占有されることはないため、作業効率が大幅にアップすると言えるでしょう。
自社サーバーやパソコンにも影響を与えないので、生産性の向上と人的リソースを有効的に活用できるメリットがあります。
メリット⑤シナリオ作成が簡単
先ほどもお伝えしましたが、クラウド型RPAツールはノーコードで専門的な知識を有さなくとも容易に操作することが可能なので、初心者でも簡単にシナリオを作成することが可能です。
RPAのシナリオとは、ロボットにどのような作業を行わせるかといったいわゆる「業務の手引き」を示すものです。
クラウド型RPAツールでは、Web上の操作の記録か手順の事前設定により、簡単にシナリオ作成ができるのがメリットと言えるでしょう。
メリット⑥システムメンテナンス等の手間がかからない
クラウド型RPAツールの運用・保守はツールを提供しているベンダーによって行われているため、セキュリティ対策やメンテナンス、アップデート等の手間がかからないというメリットもあります。
システム障害等が起こったときも、ベンターに問い合わせることによってトラブル対応することが可能です。
ただし、セキュリティ性もベンダー頼りとなるため、十分な対策が取られているかどうかを確認する必要があります。
記事まとめ
今回は、クラウド型RPAツールのメリットについて解説しました。
クラウド型RPAツールは、他のツールと比べて導入費用を安く抑えることが可能であり、IT知識のない初心者でも簡単に利用できるというメリットがあります。
多くのメリットがある一方で、セキュリティの脆弱性への対策をしなければならないことも頭に入れておきましょう。
次の記事では、RPAツール導入についてのメリットだけでなく、デメリットについてもさらに深掘りしています。「RPAをより詳しく知った上で検討したい!」という方はぜひ参考にしてください。