RPAは、企業の業務効率化を図るための強力なツールですが、導入を成功させるためには適切な準備と戦略が必要です。
本記事では、RPA導入を成功させるために注意するべきポイント、正しい導入手順について解説しています。
RPAを効果的に導入して、業務の自動化を成功に導きましょう。
RPA導入時に注意するべきポイント7つ
RPAを導入する際は以下の7つのポイントに注意しておきましょう。
ポイント①目標・目的を明確にしておく
RPA導入の失敗例には「実際導入してどれほど成果が出たのか分からない」といったケースがよくあります。
この原因として、ツールを導入する段階で目標や目的を明確にしておかなかったことが考えられます。
例えばRPA導入の目的には「業務効率化」「生産性の向上」「人件費などのコスト削減」「ヒューマンエラーによる損失を防止」「働き方改革の推進」などが挙げられます。
導入後に成果を測定するためにも、何を目的・目標にRPAを導入するのか明確にしておくのがポイントで、導入前の数値と比較できるように指標化、さらに目標値まで定める必要があります。
ポイント②自動化したい業務の洗い出し・可視化
RPA導入にあたって、自動化したい業務の洗い出し・選定が必要となってきます。
導入にあたって事前に洗い出しをしておかないと、あれもこれもと現場のニーズに合わせて自動化を優先させてしまい、本当に自動化するべき業務が見落とされる可能性があります。
現場にヒアリングするのはもちろん大切ですが、その内容は参考程度にとどめ、企業全体への利益を考えた、自動化の成果が確実に出る業務にRPA導入を充てるべきです。
また、業務の洗い出しを行う際は、業務フローを文章化しマニュアルとして作成しておくこともポイントの一つ。
文章化しておくことで、マニュアルに基づいてRPAのロボットに具体的な操作手順や業務のルールを記憶させることができ、時間短縮にもなり非常に便利です。
ポイント③スモールスタートでテスト導入
RPA導入がはじめての場合や、社内にRPAツールに精通している人がいない場合はいきなり大規模に自動化を進めないように注意しましょう。
まずはスモールスタートでテスト導入から始めることを推奨します。
最初は試験導入としてひとつの業務に絞って、RPAの実際の動作を確認したり、社内で継続して運用可能かを確認したうえで自動化の業務範囲を少しずつ広げていきます。
そして試験運用が終了したら、RPA導入の成果を測定し適用業務やフローの確認を再度行い、見直しすることが本格導入を成功させるための重要ポイントです。
ポイント④担当者の教育
より効果的にRPA導入を実現させるためには、社内にRPAツールの知識を備えた人材を確保しておくことがポイントです。
RPA導入を学ぶ手段としては、RPAツールのベンダーが提供している体験会や研修、ウェビナーなどがあるのでぜひ活用しましょう。
以上のような方法で担当者を教育しておくことで、より効果の高い業務が実現でき、さらにRPAに精通している人材が社内に確保できているとトラブル時の対処も任せられて、より継続的な効率化が可能になります。
ポイント⑤サポート力の高いベンダーを選ぶ
RPAツールを選択する際にはサポート力の高いベンダーを選ぶことに注意しましょう。
何か問題が発生したときに迅速にエラー対応してくれるか、継続的に評価してくれたりセキュリティ面を見守ってくれるかどうかなど、サポート力の見極めは導入時注意するべきポイントです。
また、RPAツールの操作方法からルール作り、ロボット開発など基本操作から全般的にサポートしてくれる導入支援サービスを提供しているベンダーもあるので、はじめての企業でも安心して導入を進められるのでおすすめです。
ポイント⑥費用対効果を算出
RPAを導入する際は初期費用と運用費用が発生し、それぞれツールによって差があるので企業に合ったツール選択をするためにも費用対効果を算出しておく必要があります。
あらかじめ費用と効果を想定しておかないと、RPA導入後に思ったような成果を実感できない、あるいは効果が低く感じてしまうかもしれません。
RPA導入によってかかるコストと、導入後期待できる効果の予測をたててしっかりと検討してから始めるようにしましょう。
ポイント⑦野良ロボットの対策をしておく
野良ロボットとは、管理者が不在なのに放置されて使用されているRPAのロボットのことを言います。
野良ロボットはRPA管理者の異動や退社などの要因、あるいは導入後に成果が出ず放置されてしまっているケースなどで発生しやすくなります。
セキュリティの面でのリスクや無駄なコストの発生が懸念されるため、事前に注意して発生を防ぎましょう。
野良ロボットの発生を防ぐには、RPAツールをチームで管理したり継続的に管理できる管理者を確保しておくなどの対策をしておくのがポイントです。
【注意するべきポイントまとめ】
以下は、RPA導入を成功させるための7つの注意するべきポイントをまとめた表です。
ポイント | 詳細説明 |
---|---|
①目標・目的を 明確にしておく |
導入の目的を「業務効率化」「コスト削減」等、具体的に設定し、 導入前の数値と比較できる目標値を定めておきます。 |
②自動化したい業務の 洗い出し・選定 |
繰り返し発生する定型業務を中心に選定し、 全体の利益を考えた業務選択を行います。 |
③スモールスタートで テスト導入 |
初めての導入や、未経験者が多い場合は小規模から始め、 段階的に導入範囲を広げていきます。 |
④担当者の教育 | RPAツールの操作やトラブル対応ができるよう、 担当者には適切な教育を施します。 |
⑤サポート力の高い ベンダーを選ぶ |
迅速なエラー対応やセキュリティ面でのサポートを提供する ベンダーを選定します。 |
⑥費用対効果を算出 | ツール導入にかかるコストと期待される効果を評価し、 費用対効果を明確にしておきます。 |
⑦野良ロボットの 対策をしておく |
管理されていないRPAの利用を防ぐため、 チームでの管理や適切な管理者の配置を行います。 |
この表は、RPA導入を検討している企業が導入成功へ向けて注意すべきポイントを整理しています。
導入プロセスにおいてこれらのポイントを踏まえて進めることで、効果的なRPA導入を実現しやすくなるのでぜひ参考にしてみてください。
RPA導入で失敗しないための正しい手順
RPA導入のポイントが分かったところで、導入を失敗させないための正しい手順をご紹介します。
手順①業務を洗い出しRPAに任せる業務を決定
まずは先ほどご紹介したポイントを参考に業務プロセスと業務量の洗い出しを行います。
洗い出した内容から、RPAを導入すると効率化が見込める業務を決定します。
このとき業務プロセスを文章に可視化しておくとRPA導入後の運用がスムーズに行えます。
手順②導入するRPAツールを選定しトライアルで実施してみる
RPAに任せたい業務が決定したら、導入するRPAツールを決めましょう。
無料トライアルなどを提供しているベンダーを選ぶと、実際に導入をイメージしながら使用感を確かめられるのでおすすめです。
積極的に使用してみて、使用感だけでなくRPAに任せる業務が適切であるか、またベンダーのサポート体制が自社に合っているかなど、疑問の解決、見直し・改善を行うことが重要です。
手順③本格的に導入・継続的なメンテナンス
導入時のポイントでご紹介した通り、まずはスモールスタート、そこから徐々に本格運用へRPAの業務範囲を広げていきます。
本格導入から一定の期間が過ぎたら、導入前と導入後の業務効率化の程度や、導入に準ずる効果などを測定しましょう。
また、導入が完了したら次は保守を進めていきます。
RPAや各ツールについて常に学習したり、社外だけでなく社内にもRPAのトラブルに対処できる人材を確保しておくなど、効果を最大限出し続けるためにも継続的にメンテナンスできる体制が必要です。
記事まとめ
RPAは、正しく導入すれば、企業の業務効率を大幅に向上させることができます。
本記事でご紹介した導入時に注意するべきポイント7つと正しい手順を参考に、効果的にRPA導入の計画を進めてみてください。
適切な準備と戦略によって、RPA導入は企業へ多くの利益を与えてくれるでしょう。