RPAコンサルタントとは?仕事内容や必要なスキルについて解説

RPAコンサルタントの仕事内容や転職に必要なスキルとは?

RPAコンサルタントはどういう仕事をしているのか、あるいは、どうすればRPAコンサルになれるのか、ご存じでしょうか。

実は、エンジニア出身者にとっては、今RPAコンサルタントにチャレンジする大きなチャンスと言われています。

RPAコンサルタントは、需要が拡大しているRPAの導入・業務の自動化のキープレーヤーですが、人手が足りているわけではありません。

一方、大きな業務改善プロジェクトに参画するやりがいがあり、また、今後も将来性のある魅力的な仕事です。

そこでRPAコンサルタントの仕事内容と、魅力・年収・RPA転職事情など、主にエンジニアの方がキャリアプランを見直す一助にしていただくための記事をまとめました。

参考にしていただければ幸いです。

株式会社MICHIRU 取締役 CTO

この記事の監修担当者:
斎藤 暁

医療施設法人やホンダ子会社のIT領域責任者などを経て独立。AI技術やシミュレータなど、複雑なアルゴリズムを駆使したシステムを提供している。自然言語処理によるシステムの技術は日米で特許を取得、その発明者でもある。2018年11月株式会社MICHIRUを創業。

目次

重要性を増すRPAコンサルタント

重要性を増すRPAコンサルタン

RPAの先進事例が多いのは金融業界です。

特に銀行・保険などは、顧客の提出する書類・業務記録書類などが非常に多く、データの電子化から多くの業務をRPAを使って推し進めています。

少し前の話になりますが、先進事例の一つ、三井住友銀行の事例と、そこでのRPAコンサルタントの役割についてご紹介します。

先進事例の取組

2017年11月13日、株式会社三井住友フィナンシャルグループおよび株式会社三井住友銀行はRPA活用状況についてプレスリリースで公表しています。

Webや雑誌記事でも、このリリースは大きく報道されています。注目されるのは、その時に発表された成果と、業務時間の削減予定です。

なんと、約200業務を自動化、40万の業務量削減をすでに実現していること、そして、同年度末には、100万時間・3年以内に300万時間=1500人分の業務量を削減する予定としました。

本件取組においては、コンサルティング会社・ベンダーとも協働し、シナリオ開発手法の標準化や、ガバナンスコントロールやセキュリティ対策の強化について6社をパートナーとしています。

パートナーの大部分がコンサルティング会社です。

  • アクセンチュア
  • EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング
  • デロイトトーマツコンサルティング
  • 日本アイ・ビー・エム
  • PwCコンサルティング
  • UiPath

上記各コンサルティングファーム(外資系では「会社」の代わりにファームと呼ぶことが多いのです)・ベンダーもプレスリリースを出しており、特に導入や、運用の際に専門的な知識が必要になる場面などで、コンサルティングファームはキーとなる役割をしています。

他の導入企業でも、コンサルの活用事例は多くあり、中小のブティック型ファームから、大手ファームまで、現在RPAコンサルタントの活躍の幅が広がっています。

具体的な仕事内容を解説

具体的な仕事内容を解説

いずれの業務にしてもRPAコンサルタントのゴールは明確であり、業務改善の効果を上げるために、業務時間を削減、コストカット効果を出し、数字での効果を出すこと、この結果を持って経営課題を解決することです。

そのため、エンジニア的な技術に対する理解と、経営に対する理解の双方が求められると言っていいでしょう。

RPAコンサルタントの仕事内容は、クライアントとコンサルタントの契約により定義します。

そのため以下でご紹介する仕事の全てを行う、ということではなく、依頼できる仕事の一覧とお考えください。

業務改善提案

業務改善提案は、業務のアセスメント・業務の可視化・業務の整理あるいは統廃合など、業務全体に及ぶこととなります。

全体把握の後は、RPAへの移行に適した業務を絞り込み、成果が上がることを確実にしていきます。

そのため、経営陣・各部署への提案のほか、ゴールまでの工程表を作成・業務の全体像を各所に把握させる仕事も提案の中に含まれるのです。

過去の業務活用事例などの情報収集・情報提供

情報収集ないし情報提供もRPAコンサルタントの大事な仕事です。

RPAコンサルタントは、過去に手掛けた事例から、クライアントの事例に近いものをもとに成功または失敗要因を分析、クライアントが導入・運用に失敗しないようアドバイスをします。

また、ベンダーからの最新情報や、各社の動向または市場動向なども見て、クライアントに必要な情報を伝えます。

導入や運用のコストの試算などのお金に関する情報についても、クライアントに提示します。

導入前はもちろん、導入時・運用時もアップデートを依頼すると、クライアントのプロジェクトに関連する情報を提供してくれます。

導入・運用や、開発の実行業務の支援

RPAコンサルタントと言っても、エンジニアの性質が強いコンサルタントと、ビジネスコンサルタントの性質が強いコンサルタントとがいて、双方を組み合わせてコンサルティング業務にあたるのがコンサルティング会社の手法として一般的です。

RPAの導入・運用あるいは開発の実行について、アウトソーサー的に業務を引き受けることができるキャパシティ・リソースのあるコンサルティング会社では、これらの業務を提供しています。

導入ないし運用支援では、例えば運用ルールの策定・導入時の社内の各種コミュニケーションを任される場合もあります。

これらはエンジニアのスキルよりももっと幅広なビジネススキルを要求されていることを意味しています。

コンサルタントチームの中では、ビジネスコンサルタントがそのスキルを発揮して活躍しやすいところです。

プロジェクト管理

会社でなかなか配置するのが難しく、十分なスキルがある人材が少ないのがプロジェクト管理です。

工程表を作成するコンサルタントに任せるのが合理的でもあることから、プロジェクト管理をコンサルティング会社に任せる例は多くあります。

プロジェクト・案件管理のノウハウは、コンサルティング会社に蓄積されているところですので、プロジェクト管理をRPAコンサルタントに任せるのが、コンサルティング会社に委託するメリットの一つです。

大きなプロジェクトになると、プロジェクト全体の司令塔・プロジェクト指揮官としての役割=Project Leaderをするコンサルタントの下に、さらにプロジェクトマネージャーが何人かアサインされて、各マイルストーン・各工程の管理をすることも珍しくありません。

こうしてプロジェクト限りでですが、臨時の指揮命令系統が構築されます。

実際の活躍を紹介!

実際の活躍を紹介!

RPAコンサルタントは、ビジネスと技術的な課題を解決することがミッションです。ではどんな会社の業務をRPAを利用して解決するのでしょうか。課題と事例を見てみましょう。

会社の課題は本当は何?月末の繁忙期、人手不足を解消したいA社の事例

A社は不動産業を営んでいますが、定期で行う月末の繁忙期の業務負担を軽減したいことが直接の原因でRPA導入に踏み切ることとしました。

ところが、導入ノウハウ、手順など、社内にRPAを取り扱える人員が不足しており、コンサルティング会社に導入支援~運用の確立までを総合的に支援することを要請しました。

コンサルティングは次のような手順で進められました。

  1. 会社の課題抽出
  2. 業務全般にわたる棚卸
  3. 各部署の課題抽出
  4. RPAのターゲット業務の抽出
  5. 営業にかかわる数字のデータ化
  6. RPAの導入~データ入力の自動化
  7. 運用の定着

RPA導入前に十分な課題検討を行ったことにより、会社の課題はより具体的になり、1つには営業事務全体の負荷を減らすこと、もう1つには、不動産保全業務についての効率化の2つが会社の大きな課題であることを自覚できるようになりました。

業務の棚卸と、ターゲット業務の選定が済んだ後のRPA導入過程においては、各文書のフォーマットの統一化、事務作業の効率化を見据えた具体的な業務の手順の改善など、多くの提案がRPAの導入と平行して行われました。

提案に基づき、コンサルタントと、社内のリソースと共同でRPAのシナリオを作成しましたが、コンサルタントのOJTにより、社内のリソースをRPA人材に育成したことも成果の1つでした。

コンサルティングの結果、月末の事務作業の偏りを解消できた他、業務の属人化・情報共有の不足など、部署単位での多くの課題を解消、全社的課題の解消につなげることができました。

やりたいことは決まっている、でもやり方がわからない…悩みを抱えた小売業B社の例

コンサルタントは、会社の課題と総合的に向き合う場合もあれば、より技術支援に特化した形で行われることもあります。

小売業B社の例では、受発注業務の作業が何度も同じ作業の繰り返しであることから、自動化すること、このことにより従業員のモチベーションを上げ、他の分野に受発注業務から配置転換し、より効率的に人材を活用することが課題となっていました。

しかし、B社の場合

  • 基幹システムが古くてもRPAが導入できるのか
  • フローが複雑で、RPAのシナリオが想像できない
  • これらの導入をやってくれそうなレベルのIT人材がいない

という問題を抱えており、これらを外部コンサルタントなら一気に解決できそうであるとの結論に至りました。

そこで、外部のコンサルタントに依頼、主に技術的な課題を整理してもらうことにしました。

その結果、基幹システムが古くても、出力したデータをAI-OCRによる処理を通せば、これらのデータの入力にはRPAが導入可能であること、業務フローが複雑な点は、工程をより詳細に分析・整理することにより解決が可能であることがわかりました。

その結果、B社ではコンサルタントに課題の整理を行ってもらい、さらに工程を見直したことにより、RPA導入・活用に向けた技術的な課題が大幅に少なくなりました。

コンサルタントが紹介した外注のITベンダーにより、スムーズに短期間での導入を達成、会社の課題が解決できたとのことです。

RPAコンサルタントとはどういう人?求人で要求される資格・スキルとは?

RPAコンサルタントとはどういう人?求人で要求される資格・スキルとは?

ここでは、RPAコンサルタントの人物像、とくにキャリアパスについて解説します。

また、RPAコンサルタントになるための求人で要求される資格やスキルについても紹介しているので、RPAコンサルタントを志している方はぜひ参考にしてみてください。

エンジニア出身者が優勢・特に上流工程経験者

RPAコンサルタントは、確かにエンジニアの出身者が多くいます。

上流工程の経験者のほか、下流のシステム開発に従事していて、ビジネスセンスを買われて転身・転職した人もいます。

現在RPAコンサルタントはそれ自体数がまだ少ないですので、エンジニアとの間では、人材の流動性が高いと考えられます。

ただ、大きなプロジェクトの場合は、職位の高いコンサルタントが担当し、職位が上のRPAコンサルタントは、上流のエンジニア出身・システム設計の経験者が多く見られます。

上流といっても、RPA専門家とは限らず、システム開発の経験者が多く、開発工程全体がわかるため有利になるものと見られています。

また、RPAプロジェクトでのセキュリティ対策・セキュリティ管理の重要性も増していますので、セキュリティ関連業務に従事していて、RPAコンサルタントに転身するキャリアパスを取る方も今後は増えてくるものと考えられます。

財務・会計・税務向け特化のコンサルタントも登場?

現在はこのように、ITサービス企業出身・エンジニア出身で、RPAコンサルタントとして転職・転身した方が多いですが、今後は分野別のコンサルタントも登場するものと思われます。

そのため、特に財務・税務・会計の出身者もRPAコンサルタントとして活躍される方も出てくると考えられます。

これらの業務は専門性が高く、かつ、需要が高いことから、エンジニアが対応するのではその数もスキル・経験も足りないと考えられます。

求人で要求される資格・スキルとは?

RPAコンサルタントには、業務を行うために求められる資格はありません。したがって、求人においても必須とされる資格はまずない、と考えておいていでしょう。

ただ、RPA技術者検定のエキスパートレベルのような実務で使えるトラブルシューティングスキルを試される資格試験は、若手の転職の際には役に立つ資格と考えられます。

スキルを考えると、エンジニアとしては、上流工程の経験およびスキルがあったほうがより上位の職位・大きなプロジェクトで活躍できる余地が大きいこと、先ほどご説明した通りです。

しかし、それ以上に大事なのは、ビジネスマンとしてのスキルと言えるでしょう。

RPAツールの導入の目的は、業務改善です。

導入にあたっては、エンジニアのスキルだけではなく、導入する業務を選定し、導入の工程管理をするなどの職務に当たる以上、RPAコンサルタントにはビジネススキルが求められます。

また、導入のコスト計算・導入時の社内コミュニケ―ションなども任されるとあれば、幅広いビジネス経験がものをいいます。

RPAコンサルタントの将来性

RPAコンサルタントの将来性

今後2060年に向かって、2016年から人口に対する労働力率が60から減少し、2060年には、50%を切る事態が想定されています(国立社会保障・人口問題研究所2017年4月の推計)。

このように少子高齢化の傾向に歯止めがかからず、しかも人口は減少傾向にあります。

そんな中、生産性を維持・向上させるために、RPAの需要と、プロジェクトをけん引するRPAコンサルタントの需要が落ちることはあまり考えられません。

また、RPAが利用できる業務領域は拡大しており、今後とも高い将来性が期待できます。

エンジニアや、例えば、経理・財務・税務の業務担当者転職にRPAコンサルタントを一つの選択肢とすることには合理性があるでしょう。

年収・求人および転職事情

RPAコンサルタントは、新着求人は続々で、しかも好待遇の案件が多いのが現状です。転職市場も活況です。

年収は1000万円以上の高所得はめずらしくなく、冒頭でご紹介した三井住友のパートナー企業だと、年収ランキング上位のファームがずらりと並んでいますが、このクラスのディレクター~パートナークラスのコンサルタントが2000万以上の収入を超えていることはめずらしくありません。

これらは「外資」「Big4」のコンサルティングファームですが、国内系のコンサルティング会社でも、マネージャークラスであれば1000万円を超える高給となることが標準です。

年収1000万をこえるかどうかは、下流工程だけにとどまらず、PM・PL・PMO業務の経験があるか、システム開発で上流の工程の経験があるかあたりが基準となってきます。

これは転職市場に限らず、フリーランス求人の場合でもほぼ同じの水準です。

ただし、人にもよりますが、特に外資系・Big4などのコンサルティングファームでは職位・責任が上になりますと、激務・長時間労働になりがちな傾向にあります。

もしコンサルタント求人に興味を持った場合は、仕事に何を求めるのかよく考えて選択することが肝心と心得ておきましょう。

記事まとめ

記事まとめ

以上にご紹介した通り、RPAコンサルタントの役割は社会的にも重要なものと考えられ、今後より大きな社会構造の変化にもRPAコンサルタントは求められる存在です。

プログラミング・システム開発などの基礎スキルを固めた後、RPAコンサルタントとしてのキャリアパスを視野に入れることは十分に合理的です。

また長期的に活躍することを考えて、上流工程にチャンスがあれば積極的にかかわっておく、地道に資格試験を受けておく、といったことはRPAコンサルタントへの転身を考える際には有利になるでしょう。

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