近年、労働人口の不足や働き方改革といった流れから、業務の効率化の強力なツールとしてRPAが注目されています。
RPAはさまざまな業務を自動化することが得意で、月に何万時間もの業務工数を削減に成功したような事例もあります。
そんなRPAですが、導入する上で「プログラミング言語の知識は必要なのか?」と疑問を持つ方も少なくないと思います。
また、大幅な工数削減ができる強力なツールであれば、専門的な知識を使って開発しているのではないかと、イメージする人も多いのではないでしょうか。
本記事では、そんな疑問を解消すべく、RPAの導入には「プログラミング知識の習得は必要なのか」や「習得におすすめな言語」などについて解説します。
最後に「専門知識を必要としない」おすすめのRPAツールについても紹介していますので、最後までご覧頂けますと幸いです。
RPA導入に開発言語は必須ではない
結論からお伝えすると、RPAを導入する際にプログラミング知識の習得は「必須」ではありません。
近年リリースされているRPAツールは、プログラミング知識を習得せずとも使用できる「Non-IT向け」製品が多くあります。
そのため、業務の現場担当者といった「普段ITに携わっていないメンバー」でも開発が可能となっています。
例えば、あるRPAツールでは「エミュレーター」というプログラム機能を使用し「普段通りに手動で作業を実施する」ことによって、作業手順がツール側に記憶され自動化シナリオが作成されるようなツールもあります。
このようにRPAツールは「専門的なプログラミング知識」を必要せずとも、使用できるように進化してきています。
しかし、一方ではプログラミング言語の知識があると「よりRPAを活用でき」「自動化できる業務の幅も広がる」という側面もあります。
RPA導入する際に開発言語がわかると良い理由
RPAを導入する際には、自動化を適用したい業務が選定されており、その業務は定型作業や単純作業といった「シンプルなルーチンタスク」を対象にしていると思います。
しかし、会社で扱っている業務は多種多様なため、シンプルに自動化できる業務だけではなく、自動化へ落とし込むためには「細かいカスタマイズが必要になる」業務も存在します。
そういった業務に対して自動化を適用する場合は、プログラミング言語の知識があると「ツールを柔軟に活用」でき、自動化の対応がスムーズに出来るようになります。
例えばですが、基幹システムなどからデータをダウンロードし、そのデータを使って大量のExcelファイルに対して、データを転記するような業務があった場合、すべてのフローに対しRPAを使用して自動化することも可能です。
しかし、業務の効率化という観点では「大量のExcelファイルへデータを転記する」といった部分については「マクロ(VBA)」を利用する方が良いかもしれません。
このように、開発言語を理解していると「自動化の選択肢を増やす」ことができるため、RPA導入の目的としている「業務効率化」をより推進させることが可能になります。
おすすめの開発言語TOP5
RPAを使って開発するときにおすすめな開発言語を5つ挙げて解説します。
最後の2つについては開発言語ではないですが、ほかの開発言語と同じくRPAに関連した知識のため、知っておくと柔軟な対応が可能になりますので解説していきます。
HTML/CSS
HTML/CSSは、いずれもWebサイトに関する開発言語です。
HTMLとは「HyperText Markup Language」の略で、見出しや段落、表といったWebページにおける「文章の構造」を指定し形作るための言語です。
一方、CSSは「Cascading Style Sheets」の略で、Webページにおける「色やサイズなどの装飾」を指定し形作るための言語です。
そんな開発言語を活用するケースとして、Webサイトのある部分をクリックする処理があった場合、基本的にはクリックする場所を手動で指定すれば「クリックする場所の情報」をRPAが自動的に記録し自動化シナリオが完成します。
しかし、そのクリックする箇所を「より詳しく指定」したい場合、RPAツールで自動的に記録された情報をカスタマイズする必要がでてきます。
そういった場合に、HTML/CSSに関する知識があるとクリック箇所のカスタマイズが可能になり、効果の高い業務効率化へと繋げることができます。
VBA
VBAとは「Visual Basic for Applications」の略で、Microsoftが提供しているExcelなどのソフトウェアで利用できる開発言語になります。
特長としては、RPAが得意としている各種システムと連携するような業務の自動化には向いていませんが「Office系アプリケーション内の操作を自動化」することは得意です。
そのため、Excelファイルを使ったデータ集計や分析といった処理を自動化する場合は、VBAで自動化を実装するほうが適切なケースもあるため、開発知識があるとスムーズに自動化を推進できます。
VBScript/Powershell
VBScriptはMicrosoftが開発したスクリプト言語で「Excelファイルの操作やフォルダ操作」を自動化することが可能です。
また、Powershellについても同様で、Microsoftが開発したWindows環境で利用できる開発言語で、Windows上にある「データベースの操作、ファイルの操作、セキュリティシステムの動作」などを実現することができます。
例えば、ファイルサーバー上にあるファイルの圧縮をしたい場合、RPAであれば人が手で作業するのと同様の工数が必要になりますが、VBScriptやPowershellであれば、Windows上の操作が得意なため「より少ない工数」で自動化することが可能です。
このように、どんな違いがあるのかを知識として知っておくことで、適した場面で活用すれば「より大きな効果」を得ることができます。
正規表現(表現記法)
RPAでルーチンタスクを自動化する際に「ファイル名が該当の日付で始まるもの全てを対象とする」といった条件を指定して、自動化する場面がよくあります。
こういった場合に使われる表現記法が「正規表現」です。
開発言語ではありませんが、正規表現を利用して記述できるプログラミング言語(C++、C#、Java、Python、JavaScriptほか)は多数あります。
また、代表的なWebブラウザであるChromeも拡張することで正規表現を使った検索ができたりなど、使える場面が多い知識になりますので習得をおすすめします。
SQL文(データベース言語)
RPAで「データベースを使った自動化」を検討している方は、SQL文について知っておくと効果的な自動処理ができます。
SQLとは「Structured Query Language」の略で、開発言語ではなくデータベースの操作に特化した「データベース言語」です。
例えば、膨大なデータを処理するような業務を自動化する場合に、Excelファイルを使用すると「Excelファイルの操作」が処理フローに追加される分、どうしても処理が重くなってしまいがちです。
しかし、データベースを活用すると「処理フローに不要な操作が発生しない」ため、スピーディに業務を完了することができます。
ケースバイケースですが、データベースを利用することで、より効率的に自動化を進めることができます。
データベース | データベースとは、コンピューター内に決まったデータ構造(構造化)で整理されたデータの集まりのことです。例としては、顧客情報を「氏名」や「仮名」「電話番号」といった項目ごとに整理したり、複数の商品情報を「商品コード」別に分類したりしたものです。 |
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プログラミングなしで使えるRPAツール
RPAを導入するときに開発言語を習得していると有利というお話をしてきました。
しかし、都合よくRPA担当が開発言語を習得していないケースも多くあると思います。
そんな状況で、担当者が開発言語を習得するまで、自動化を開始しないのは時間がもったいないですので、まずは開発言語を知らなくても使用できるRPAツールから自動化を始めてみてはいかがでしょうか。
ここでは専門的な知識がなくても使用できる「はじめてのRPA導入に向いている」ツールについて、4つ挙げて解説します。
MICHIRU RPA
「MICHIRU RPA」は、株式会社MICHIRUが提供しているRPAツールで、開発画面がシンプルでITが得意ではないメンバーでも操作できるため、プログラミング知識を必要としません。
そんなMICHIRU RPAの仕組みとしては、RPAツールに「いつもの画面操作を録画」させたり「画面のキャプチャを記録」させることで、自動化の開発が行えるため、開発の知識がなくてもシンプルにロボットを開発・管理することが可能です。
また、自動化できる業務の範囲に制限はありませんので、デスクトップ上で稼働する「Excel」や「Word」といったOffice製品から「kintone」といった業務アプリ、「Slack」などのチャットアプリも連携させながら自動化シナリオを開発できます。
他にも、初心者に優しいサポート体制が充実しており「自動化の可否やシナリオ作成のアドバイス」「オンライン操作勉強会の開催」「専門スタッフによるメールやチャットでのサポート」などが準備されているため、はじめての導入も安心です。
費用もわずか月額5万円と業界最安の金額で、900社以上の導入実績があるため、お悩みの方はご相談ください。
MICHIRU RPAの詳細をチェック
EzAvater
「EzAvater」は、株式会社テリロジーサービスウェアが提供しているRPAツールで、人が目で見た動きをそのままRPAツールに覚えさせることができるため「誰でも」「簡単に」自動化シナリオが作成ができることが特長です。
今まで、EzAvaterを導入した部門の7割以上が非IT部門で、そのほとんどが自社で自動化のシナリオ作成することができています。
他にも、ご契約前に無料ハンズオントレーニングで、操作を習得できるので安心して利用ができたり、よく使われる操作のサンプルシナリオが用意されていたり、個別相談会も準備されているため、RPAを始めやすいツールとなっています。
RoboTANGO
「RoboTANGO」は、スターティアレイズ株式会社が提供しているRPAツールで、専門技術を必要とせず、わかりやすいUIであることをはじめ、パソコン業務を録画して覚えさせるユーザーフレンドリーな仕組みのため、だれでも簡単にRPAを作成・運用することが可能です。
製造・卸売・小売・サービス・運輸・物流・医療・介護など、さまざまな中小企業600社以上への導入実績があるため、幅広い業種・職種への適用ができるRPAツールです。
また、3週間の無料トライアルが付いていたり、自動化のシナリオ作成を「専門スタッフへまるごと任せられる」ようなサポート体制も準備されています。
アシロボ
「アシロボ」は、ディヴォートソリューション株式会社が提供しているRPAツールで、IT部門以外でも「業界最短クラスの習得時間」を特長としています。
事前準備などは必要なくRPAツールを導入すれば、人が実施する動作が記録されたパネルが準備されているため、そのパネルを手順通りに並べるだけで自動化処理を実現できます。
他にも「導入サポート」や「操作説明会」、導入後の「アフターサービス」、「シナリオQ&Aサイト」といった充実のサポート体制が準備されています。
官公庁や自治体から、一般企業まで幅広い業界への導入実績があるため、自社にあった導入を叶えることができます。
記事まとめ
今回の記事では、RPA導入時に開発言語の習得は必要なのか、どんな開発言語があるとRPA導入に有利なのかといった内容について解説しました。
近年のRPAは、手順を記憶した操作シナリオが準備されていたり、自動化したい画面を録画するだけで自動化できたりなど、非エンジニアでも開発言語の習得を必要とせずとも、十分に業務効率化が出来るよう工夫されたツールが多くあります。
一方で、RPAの導入が熟成し単純なルーチン業務の自動化が推進されてくると、複雑な業務の自動化に取り掛かる必要が出てくるタイミングがあります。
そういった場合に、プログラミング知識があると複雑な業務の自動化や柔軟な業務改善を行うことが可能です。
大切なのは、自社にあった形でRPAを導入することですので、今回の記事を参考にしていただき、RPA活用の一助になれば幸いです。