RPAは、パソコン上で実施しているルール化された定型作業の自動化など、業務効率化に効果的なシステムです。
そのため、定型業務の多い経理業務は、RPAとの相性がいいと言われています。
しかし、経費精算などの経理業務で「どんな作業が自動化できるのか」「具体的に事例はあるのか」など、RPAツールの活用シーンがイメージしづらく導入を敬遠している方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、経費精算業務はRPAによってどのくらい自動化できるのかについて解説します。
また、具体的なRPAの導入事例についても紹介していますので、最後までご覧いただけますと幸いです。
RPAで経費精算業務はどのくらい自動化できる?
RPAで自動化できる経費精算業務の特徴として「手順が決まっている定型業務」「大量のデータを扱う処理」「さまざまなシステムを横断する処理」などがあります。
経費精算業務を自動化すると、従業員がコア業務に専念できたり、業務品質の向上が期待できたりなど多くのメリットがありますので、RPAの活用がおすすめです。
ここでは、RPAを活用できる経費精算業務の事例について4つ挙げて解説します。
伝票データ入力
あらかじめ決まったフォーマットが準備されており、そこへ伝票データを入力する業務はRPAの活用に適しています。
経費伝票などの転記作業は、多い企業で年間4,000件以上作成されており、入力自体の手間もそうですが、ミスしないようにダブルチェックを実施するため、膨大な時間がかかる業務です。
その点、RPAを活用すれば伝票データの取得やシステムへの入力を自動化できるため、膨大な時間を削減することが可能です。
また、RPAは正確に処理を実行するため、業務品質の向上も期待できます。
入金チェック
入金が正しく予定通りに行われているかを確認する入金チェックの作業は、企業の資金繰りにも関わる重要な業務です。
そんな入金チェック作業は、入金情報のシステム照合や消込作業に膨大な時間がかかるほか、お金に関わる業務のため、高い精度が求められます
そのため、人が実施する場合は担当者の業務時間が圧迫されますし、精神的な負担が大きい業務でもありました。
そこへRPAを導入することで、大幅な業務工数の削減に繋がり、従業員満足度の向上や離職リスクの低下など、大きな効果が期待できます。
交通費精算
経費精算業務で最も手間のかかる作業の1つである交通費精算業務ですが、処理を手順化しやすく処理量も多いため、RPAの適用に向いています。
RPAを導入することで、従業員が申請してきた内容が最適な経路であるか、不備メール送信、経費精算の承認など、一連の経費精算業務を自動化することができます。
また、作業に漏れがないかのダブルチェックも減らすことができるため、大きな削減効果が期待できます。
各種帳票作成
会計報告にはシステムからデータをダウンロードし、データの取得や加工といった各種帳票の作成作業が発生しますが、月末月初といった特定の時期に処理が集中します。
そんな繁忙期だけ処理量が増えるような業務も、RPAの活用に適しています。
RPAであれば、一時的に作業量が多いような業務でも、正確かつスピーディーに処理を進めることができるため、長時間残業など従業員の負担を軽減することが可能です。
また、運用として繁忙期のみ人を採用するといったこともなくなるため、経費(コスト)の削減にもなります。
RPAが経費精算を自動化した事例5選
経費精算関連の業務を自動化するために、RPAを活用した事例について5つ挙げて解説します。
請求書入力業務の自動化
卸売業界に従事している企業で、紙で届いた請求書を専用のシステムに入力する業務があり、すべて手作業で作業をしていました。
そのため、データ入力に時間がかかるだけではなく、ヒューマンエラーによる入力間違いが起きるリスクも抱えていました。
そこで、RPAを導入したところ、専用システムへのデータ入力作業が自動化され、月末に発生する請求書処理の繁忙についても問題なく乗り切れるようになりました。
まだ、紙の請求書をデータ化する部分は残っていますが、年間120時間程度の工数削減とヒューマンエラーの発生リスク低減に繋がっています。
決算作業の自動化
ある会社の決算時のフローでは、経理担当者は複数のシステムから15パターンのデータを出力し、Excelへの転記と連結決算システムへ入力するといった業務を実施していました。
しかし、システムが複数混在していることで作業が煩雑になり、作業時期は残業があるものとして業務を行う必要がありました。
そこでRPAを導入し、複数システムからのデータダウンロードや、システムへのデータ入力を自動化し、人は最終確認すればよいだけの業務に改修できたため、毎月12時間かけていた業務を効率化することに成功しています。
給与計算業務の自動化
ある税理士事務所では、顧客となる企業から在籍社員の給与計算を代行を請け負っていますが、企業ごとに給与計算ルールが異なるため、作業に膨大な時間がかかっていました。
そこでRPAを導入し、企業ごとに異なる給与計算ルールに合わせて、RPA側のシナリオ(設定)をパターン化することで、給与計算にかかる時間の大幅な短縮に繋がっています。
また、お金に関わるミスの許されない業務のため、RPAを活用することで人的ミスのリスクも低減しています。
売上の突合業務の自動化
商業施設を運営している会社で、各店舗から送られてくる紙のPOSデータと、システムに入力されている売上データが一致しているか目視で突合する業務がありました。
人が手作業で確認しているため、膨大な工数やミス発生のリスクが課題となっていたため、RPAの導入に踏み切りました。
その結果、紙のPOSデータはOCR技術でCSV化し、そのCSVとシステムに入力されている内容の突合をRPAで実施することで、正確性の向上だけではなく、200名程度で実施していた突合せ作業を、最終的には数名で行えるようになりました。
入金消込業務の自動化
経費精算業務の中で、手間と時間がかかる作業の一つに入金の消込作業があります。
ある通信事業会社では、銀行の営業時間終了後に、銀行のオンラインシステムから約9,000件の入金データを抽出し、10名体制で入金消込業務を実施していました。
さらに月末の繁忙期や、銀行の営業時間終了からの作業ということもあり、担当者の体力的にも精神的にも負荷の高い業務となっていました。
そこで該当業務にRPAを導入したところ、作業時間の約9割を任せることができ、入金消込業務を担当するのは1名で済むようになりました。
また、RPAの管理機能を活用すれば深夜や早朝といった時間帯も活用することができるため、生産性の向上に繋げることができています。
次の記事では、導入の流れと費用について解説
今回の記事では、さまざまな経費精算業務に対し、どのようにRPAを活用するのかについて解説をしました。
経費精算業務は、手順がルール化されている定型作業が多いため、RPAを導入することで大幅な工数削減と、業務品質の向上が期待できます。
現在、経費精算業務に手を取られて他の業務ができないなど悩まれている方は、ぜひRPAの導入を検討してみてください。
また、導入を検討している方で「RPA導入の進め方」や「どれぐらいの費用がかかるのか」など疑問をお持ちの方は、以下の記事でポイントや注意点をまとめていますので、参考にしてみてください。