税理士業務を自動化するならRPAツールが最適!導入例やメリットを解説

拡がり始めている税理士業界へのRPA導入について着目

税理士業務を自動化するならRPAツールが最適!導入例やメリットを解説

2018年12月に経済産業省が発表した「産業界におけるデジタルトランスフォーメーションの推進」という施策から「DX」というコトバが一般に普及するようになりました。

テクノロジーによる業務効率化の流れは銀行などの金融業界からはじまり、今では税理士などの「士業業界」にも拡がりをみせています。

以前では「人の手でなければ」と考えられていた税理士業務ですが、実は定型作業が多く存在しており、RPAを導入・活用することで大幅な業務効率化の可能性を秘めています。

今回の記事では、そんな税理士業務に対し「どんな業務へRPAを適用できるのか」や「RPAを導入するメリット」について解説していきます。

あわせてRPAツールの選び方も紹介していますので、最後までご覧いただければ幸いです。

目次

RPAでの自動化に適した税理士業務の例

RPAは「定型作業」「繰り返し作業」といった単純作業の自動化が得意です。

そのため、税理士事務所で実施している会計ソフトへの転記作業や請求書の作成やメール送信といった「単純作業」は、RPAで置き換え作業を自動化することが可能です。

それでは、具体的にどんな税理士業務に適用できるのか、例を挙げてご紹介します。

・会計ソフトへの入力や転記作業

RPAツールを活用することで、税理士業務である会計ソフトへ入力が必要な各種データ(売上金、領収書などの経費情報)を自動で入力することが可能になります。

事例としては「売上金などが記載されているエクセルから会計ソフトへ転記する作業」や「会計システムから税務システムへ会計データの転記」など「一定のルール」で処理されている業務への自動化が可能です。

また、取引先企業のやり取りが紙であったとしても、OCR(※1)技術を組み合わせることで、紙をデジタル化し自動化することもできます。

※1 OCR OCRは「Optical Character Recognition/Reader」の略で、画像データのテキスト部分を認識し、文字をデジタル化する光学文字認識機能のこと。データに変換することで、Excelや会計ソフトへ入力に利用できるようになる。

・税務書類の作成

RPAツールなら、工数のかかる税務書類作成についても効率化することが可能です。

事例としては「会計データから税務申告書への転記」や「勘定科目内内訳明細書の作成、会計データから勘定科目内訳明細書や税務申告書への転記」などといった税理士業務の自動化を行うことができます。

また、後続の作業として実施するe-Tax、eLTAXへの申請も含めて自動化することも可能になるため、一連の作業に対し生産性の向上を図ることができます。

・給与計算業務

お金にかかわる部分になるため、ミスが許されず、チェックにも時間がかかってしまう給与計算業務に対し、RPAを導入することで効果的な自動化を行うことができます。

たとえば、人が給与計算業務を行う場合、「役職手当」「残業時間」「扶養手当」といった情報を加味して計算を行う必要があり、処理の対象人数が多くなれば考慮するポイントも増えるため、大変プレッシャーのかかる業務ですし、そういった環境ではヒューマンエラーが発生するリスクを秘めています。

しかし、RPAに置き換えて自動化することで、対象人数が増えたとしても同じ品質で処理することが可能ですし、疲れや慣れといった感情が発生しないため、正確に短時間で処理することが可能です。

また、RPAは「各システムを横断して」対応が可能なため、給与計算をしているシステムからExcelへの転記なども可能です。

税理士事務所でRPAを導入するメリット

メリット①:定型作業を短時間で完了することができる

RPAツールはどんな定型作業であっても「一定のペース」で淀みなく「24時間365日」作業を進めることが可能です。

事例としては、人が作業するには時間的に難しい「深夜や早朝」といった非営業時間帯や「年末年始」といった長期休暇期間でもRPAツールであれば問題なく稼働することができるため、人が実施するよりもスピーディに対応することができます。

また、RPAツールはシステムにより作業を処理していくため「集中力の欠如」や「疲れ・慣れ」などの理由により、単純作業の効率が低下していく心配もありません。

メリット②:ヒューマンエラーを防ぐことができる

RPAツールは疲れ知らずなシステムなため、ヒューマンエラーを防止できるのもメリットの一つです。

どれだけ集中して作業をしていても人であれば「さっきの作業に間違いはなかったかな」と心配になる人も少なくないでしょう。

しかし、RPAツールで作業を自動化した場合は、事前に設定された処理内容をミスなく実行するため、見間違いや入力間違いなどのヒューマンエラーを防ぐ効果が期待できます。

RPAツールを導入する事で、たとえば「会計処理の計算ミスや転記ミス、申請漏れ」といった税理士事務所にとって重大なトラブルを回避することが可能になります。

メリット③:人件費の削減につなげられる

RPAツールを導入することで、時間のかかっている定型業務を大幅に効率化できるため、それまでかかっていた人件費を削減することが可能です。

ポイントとしては、単に人件費の削減ができるだけではなく定型作業にかかっていた時間を「より事務所としてコアな業務」に注力できるようになるため、売上高人件費率の底上げも実現が可能になります。

工数のかかっていた単純作業をRPAに置き換えることで、税理士事務所としての成長も期待できます。

メリット④:労働環境の改善ができる

「メリット①:定型作業を短時間で完了することができる」でも解説しましたが、RPAは24時間365日稼働することが可能です。

そのため「データ取得を目的として早朝に出社しないといけない」や「繁忙期のため残業で会計業務を進めなければいけない」といった事例を抑制することで、労働環境の改善が期待できます。

そうすることで、朝出社をしたタイミングで必要なデータが揃っている状況になるため、日中の業務処理スピードがアップし、慢性的な残業が減ることによって「好循環な労働環境」の構築が可能になります。

メリット⑤:モチベーションアップに繋がる

単純作業や定型作業を日々繰り返すことは、心理的な負担になる側面があります。

RPAツールがそういった定型作業を代行することで、税理士としての本懐である作業に注力できたり、大きな価値を生み出すクリエイティブな業務に従事することができるようになります。

そうすることで、仕事に対するモチベーションが向上し、やりがいを感じながら働くことができるため、仕事に対する取り組む姿勢が好転し離職することなく、事務所へ貢献してくれることが期待できます。

ツールの選び方

そんな、さまざまなメリットのあるRPAツールですが、どうやって選定すれば良いのでしょうか。

今では、税理士業務に向けた専用のRPAツールなども登場していますが、基本的にはどんなRPAツールでも業務効率化を実現できます。

そのため「税理士業務」の自動化はもちろんですが「それ以外の定型作業で自動化したいものはないか」という観点でもツールを選定してみることを、おすすめします。

それでは、具体的なツールの選び方や方法についてご紹介します。

1.自動化したい業務を選定する

まずは、事務所でどんな業務を自動化したいと思っているのかリストに書き出しましょう。

ツールを選定するにあたり、どんな業務を自動化したいのかが可視化されていない状況だと「必要な機能」や「どんなサポートが必要か」といったツールを選定するための基準が存在せず、見当違いなツールを選定してしまう可能性があります。

そのため、必ず自動化したいと考えている業務を選出し、ある程度どんな機能が必要そうか目星をつけておきましょう。

参考:RPA開発における要件定義の手順を紹介!まずは業務を可視化することが重要

2.使いやすいツールを選ぶ

RPAツールを導入する場合、負担なく使えるツールの選定から始めるのをおすすめします。

RPAツールによっては「普段の作業を記録する」だけで業務の自動化を実現できるツールもあり、開発のしやすい使い勝手の良いツールは導入や運用のハードルを下げ、スムーズに活用を進められるメリットがあります。

逆に機能性は抜群だが、上手に使えるようになるまでに時間のかかるハードルの高いRPAツールを選定してしまうと、うまく業務の自動化が進められずに「RPA費用に見合う効果が得られなかった」となってしまい、最悪の場合RPAの導入が頓挫してしまいます。

そうならないためにも、まずは使いやすく「継続して利用できる」ツールかどうかを見極めましょう。

RPAツールによっては、最初に無料利用期間を設けているケースもあるため、必ず活用し使い勝手を確認することをおすすめします。

3.必要な機能があるか確認する

「自動化したい業務を選定する」にて事務所で自動化したい業務については、ある程度選定できている状態だと思います。

その業務を自動化するために必要な機能があるか確認していきます。

RPAツールは基本的に「パソコンで行う定型業務のほとんどを自動化」できます。

そのため、どのRPAツールを選定しても事務所の業務を自動化できる可能性はありますが、搭載している機能の数によって初期費用やランニングコストが変わってきますので、バランスを見ながら選定していきましょう。

「大は小をかねる」の理論で必要以上の機能を搭載したRPAツールを選定しても良いですが「コストに見合った効果が出るのか」については注意が必要です。

また、機能ではありませんがRPAツールによって稼働する「プラットフォーム」に違いがあるため、そういった観点からもツールを選定しましょう。

デスクトップ型 普段使用しているようなパソコンにRPAツールをインストールして利用するタイプ。 インストールした端末ですぐに開発が行えるため導入は容易で、小規模な自動化に向いています。
サーバー型 サーバーを別途用意し、そこへRPAツールをインストールして利用するタイプ。 サーバー上で稼働することができ、デスクトップ型よりも対応業務の範囲が広く、価格が高い点が特徴です。
クラウド型 クラウド型はRPAツールの提供元が管理しているツールを利用するため、PCやサーバーにRPAソフトをインストールする必要がないタイプ。インターネットを介してログインすることで、どの端末からでも処理することが可能。

4.サポート体制が充実しているツールを選ぶ

事務所内のIT活用状況にもよりますが、RPAツールの活用に不安がある場合は、導入から開発・保守までしっかりとサポートしてくれるベンダーを選定しましょう。

RPAは導入すれば終わりではなく、継続的に開発や設定、メンテナンスなどを行う必要があります。

そういった場合に、業務の効率化を目指し導入したRPAツールが「効率化を阻害する」ことになっては本末転倒ですので、事務所の状況を鑑みながら適切なサポート体制を選定します。

また、ベンダーで提供しているサポート体制としては「導入〜開発・保守までを一貫してサポートを提供」している所から「チケット制で適宜開発やサポートを提供する」といった体制までさまざまあるため、導入前には「誰が開発するのか」や「保守を担当するのは誰か」といったこと話し合い「どんなサポート体制が必要か」について検討しておくことをおすすめします。

記事まとめ

今回の記事では、税理士業務を自動化するRPAツールの導入メリットやツールの選び方、導入する業務事例について解説をしました。

日本では「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という言葉が先行し、具体的にどうやって進めれば良いのか分からないという企業がたくさんあります。

RPAに関しては、自社のDXの一環として取り組みやすく、また大幅な業務効率化を実現できる活動です。

どこから手を付けたら良いか分からないという方は、一度RPAツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

もちろん導入すれば終わりではなく、継続的に活動していく必要がありますが、それに見合った「労働環境の改善」や「従業員のモチベーションアップ」など、素晴らしい効果も期待できます。

今回の記事が、第一歩を踏み出す一助になれば幸いです。

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