ビジネスのデジタル化が進む中、タスクの自動化と効率向上を可能にするテクノロジーとしてRPAツールを導入する企業が増えてきています。
しかし、自社でもRPAの採用を検討しているものの、コストが気になり導入に踏み切れない企業や、どんな会計処理になるのだろうと疑問に思われている企業も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、RPAツールを導入したときにかかる基本的な費用から、どんな勘定項目で計上すれば良いのかといった会計処理についてまで解説をしていきます。
また、費用負担を抑えるための補助金制度についても紹介していますので、最後までご覧いただければ幸いです。
RPA導入にかかる費用の種類と相場
RPAの導入費用を考えるにあたってのポイントとして、RPAを「消耗品費ではなく人件費」として考えることが大事です。
理由としては、数万円出せば購入できるパソコンや携帯電話と同じような感覚でRPAツールの導入を検討すると「高額」だと感じる可能性が高いからです。
RPAの費用相場は備えている機能などによっても変わりますが、主要な製品での費用相場は年間100万円程です。
ほとんどの経営者の方は消耗品に対して、毎年100万円も払えないと感じる方が多いのではないのでしょうか。
しかし、RPAは多くの人件費がかかっているタスクを代替し、正確でスピーディーに仕事をこなし、風邪などの体調不良を心配する必要のない人材です。
このように費用を検討する際の「切り口」を間違ってしまうと、正しい観点で検討ができない可能性がありますので、注意しましょう。
それでは、前提を踏まえRPAを導入することによってかかる主な費用について4点挙げて解説します。
ライセンス費用(ツール利用料)
ライセンス費用は、RPA製品を利用するために支払う必要がある基本的な費用です。
現在、市場でリリースされているRPA製品の主要なツールは買い切り型のプランではなく、月額制または年額制のサブスクリプションでライセンスを提供しています。
また、月額・年額のライセンス費用とは別に、事務手続きや簡単な操作説明といったサポート対価として「初期費用」を設定しているRPAツールもあります。
ライセンス費用はランニングコストになりますので、望んでいる効果が期待できるのかといった内容について、複数のツールを比較し検討する必要があります。
保守・運用費
RPA製品を利用するにあたって、エラー対応やロボットの改修といった保守を販売元(ベンダー)へ依頼する場合は、ライセンス費用とは別に保守・運用費がかかります。
具体的な依頼内容にもよりますが、エンジニアを1人常駐させるためには、月あたり60〜150万円程度が必要となるようです。
RPA開発・教育にかかる人件費
RPAツール導入時に専門のエンジニアへ開発トレーニングを依頼する場合や、自社でRPA担当者を育成するために実施する研修などにかかる費用です。
ツール操作や開発に関する研修を受講する場合、1人あたりの費用はおよそ3万円〜30万円程度が相場となっています。
サポート・支援費用
RPA導入時に「どんな業務を自動化すればよいかの選定」などを、専門エンジニアにコンサルティングを依頼するサポートサービスや、ロボット開発に関わる支援サービスを依頼した場合にかかるサポート費用のことです。
例えば、RPA製品が正常に動作するためのメンテナンス費用としての相場は月に10万円程度となっています。
以下の記事では、RPAツールの導入にかかる費用相場を紹介しています。RPA導入費用について詳しく知りたい方は、参考にしてみてください。
活用できるおすすめの補助金制度とポイント
RPAを導入することによって発生する費用について紹介をしてきましたが、次はそんな費用を抑えるために活用できる「補助金制度」とポイントについて解説します。
2024年も継続している制度ですので、検討いただければと思います。
中小企業対象の「IT導入補助金」
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者が自社のさまざまな経営課題を解決するために、導入するITツールの費用を一部補助する制度です。
「通常枠」「インボイス枠(インボイス対応類型)」「インボイス枠(電子取引類型)」「セキュリティ対策推進枠」「複数社連携IT導入枠」といった目的に合わせて補助対象のカテゴリーが設定されています。
参考:https://www.it-hojo.jp/
中小企業・小規模事業者対象の「ものづくり補助金」
ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が取り組むサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援する補助金です。
こちらも「省力化(オーダーメイド)枠」「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」といった補助枠があり、その要領に従って補助金や補助率が設定されています。
参考:https://portal.monodukuri-hojo.jp/
RPA導入費用の会計処理するための完全ガイド!
実は、RPAを含めすべての勘定科目に関して「この代金はこのように分類しなさい」という法的な指示はありません。
また、RPAに関しても「RPAだからといって何か特別な処理が必要」ということではなく、基本的には通常のシステム導入のケースと同様に考えることになります。
しかし、適当に会計処理してしまうと「正しい財政状態」を把握できなかったり税務署や金融機関に「情報開示」が難しくなってしまうケースがでてきます。
そのため、自社でしっかりと検討する必要がありますが、今回はよくある会計システムを導入するケースを例に挙げて、どういった勘定項目で処理を進めるのかについて解説します。
一般的な勘定項目について
会計ソフトにかかる費用の勘定科目は、一般的に「消耗品費」か「通信費」のどちらかに分けられることが多いです。
消耗品費 | 消耗性があるものや使用可能年数1年未満かつ、10万円未満の備品の費用 |
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通信費 | 通信費会社経営で必要な電話代や郵便代金などの通信にかかる費用 |
パソコンにインストールするタイプの「インストール型ソフト」は消耗品費、クラウド環境を利用したタイプの「クラウド型ソフト」の場合は、通信費として仕訳を行うケースが多いようです。
インストール型ソフトの勘定科目
インストール型ソフトの勘定科目は「消耗品費」とするのが一般的です。
費用は、インストール時に必要な「カスタマイズ料」や環境設定にかかる「人件費」も含みますので注意が必要です。
もし合計額が10万円以上となった場合は「無形固定資産」として計上し、減価償却処理も必要になります。
クラウド型ソフトの勘定科目
一方、インストール型と違いクラウド型会計ソフトは「モノを購入した代金」というより「インターネット環境の使用料」という形式に近くなるため「無形固定資産(ソフトウェア)を購入した」という扱いにはなりません。
ソフトを提供している主な販売提供元(ベンダー)では、各種サービスやサポート費用を月額プラン(年額プラン)としてまとめているため、月割の通信費として毎月計上するケースが多くなります。
導入費用の会計処理に関するまとめ
今回の記事では、RPAツールを導入する際にかかるコストの項目から、どんな勘定項目で計上すればよいのかについて解説をしました。
RPAツールは労働人口不足への対応や生産性の向上に繋げることができる強力な自動化ツールですが、導入して終わりではないため、導入後の継続した管理や運用、ライニングコストといった費用がかかってきます。
そんな費用について正しく理解し、会計処理することで継続した利用が可能になりますので、本記事を参考にして運用いただければ幸いです。