銀行業界でRPAが導入されている理由とは?事例や具体的な自動化対象の業務

「なぜ銀行業界でRPAが浸透したのか」その背景を解説

銀行業界でRPAが導入されている理由とは?事例や具体的な自動化対象の業務

業務効率化を実現するためのツールとして浸透しているRPAですが、最初にその有効性に気づき導入を推し進めたのは「銀行業界」です。

RPAを活用した結果「年間の業務削減時間が40万時間」など、大幅な工数削減を実現した銀行もあります。

それでは、なぜ銀行業界ではRPAが浸透し高い効果を実現できたのでしょうか。

本記事では、銀行業界のRPAが導入された背景や成功事例に焦点を当てて解説をしていきます。

そして、これからRPA導入を検討されている方に向けて「RPAを導入する時に確認すること」についても解説していますので、最後までご覧いただけますと幸いです。

目次

RPAが銀行業界で導入されている理由を解説

RPAが銀行業界で導入されている理由を解説

企業の定型作業や単純作業を自動化し効率化を図るRPAですが、日本でRPAが注目されだしたのは2016年ごろからで、当初は銀行や保険会社をはじめとする金融機関で導入が進みました。

では、なぜ金融機関がRPA導入の先駆けとなったのでしょうか。

定型業務が多い銀行業界と相性が良かった

RPAが得意としている業務の特性として「ルールが定義されている」「人の判断が不要」「繰り返しのルーティン作業」などがあります。

そんな中、銀行業界はあらゆる職種の中でも「事務関連の定型業務がもっとも多い分野」であり、例えば振替処理や口座開設処理、顧客データの収集作業といった「決まったルールで行う」業務が複数存在しています。

そのため、RPAを導入し自動化を適用することで効果の高い業務効率化を実現できるという「相性の良さ」がありました。

その結果、人が実施していた定型作業の大半をロボットで置き換え、企業の利益に繋がらないノンコアな業務から、利益に繋がる創造性の高いコア業務に注力できるようになりました。

そういった経緯からRPAが浸透し、自社でも業務効率化しないと市場競争力が維持できなくなるため、次々と銀行業界でのRPA導入が促進され拡がっていきました。

ヒューマンエラーを防止できる

ヒューマンエラーを防止できる

RPAは何度実行しても「安定した品質」で処理ができるため、ヒューマンエラーに大きな効果を発揮します。

ヒューマンエラーが発生してしまう要因として「認識間違い」「不注意」「意識の低下」などがありますが、繁忙期や大量のデータを扱う業務といった状況下では、どうしても疲れや慣れがトリガーとなり、ヒューマンエラーが発生してしまう可能性があります。

しかし、RPAは疲れ知らずなため、大量の処理が必要な作業であったとしても品質を落とすことなく実行することが可能です。

また「作業に慣れる」ことがないため、不注意や意識が低下したことによるヒューマンエラーを発生させることはありません。

そういったことから、ミスによるインパクトの大きい銀行業界でRPAは最適なツールと言えます。

大手銀行での導入事例と自動化対象業務

大手銀行での導入事例と自動化対象業務

銀行で導入された事例と、どんな業務に対して自動化が適用されたのかについて具体的に解説します。

三菱東京UFJ銀行

三菱東京UFJ銀行は、RPAという言葉がメジャーでなかった時期から、手作業の多い業務の自動化を検討し試行錯誤を続けていました。

そこへ、RPAが登場し「銀行業務には多くの手作業が残っており、RPAとの親和性が高く効果が期待できる」という思いから導入を決定。

大量にある既存業務の中から以下の3つに焦点を当てて自動化対象業務を選定しました。

  • 処理件数が数百、数千という大量業務であり、扱うデータも多いもの
  • 連続したプロセスが多い業務
  • 一つひとつは負荷の高い作業ではないが、一日のうち何度も実行する必要があるもの

その結果、約20業務で累計2万時間の工数削減に成功し、現在も引き続き効率化が進んでいます。

第四銀行

新潟県を地盤とする地方銀行の第四銀行は、営業店のサービス強化に向けた事務処理の集約を計画し、その受け皿となる事務集中部門の体制強化を目的としたRPAツールの導入を実施しました。

自行の特徴として、メガバンクと比較すると相対的に「少量・多種」の事務作業が多いため、ロボットの効果的な活用方法を模索しながら推進していきました。

その結果、テスト段階から1年半の累計で、ロボットが創出した余力は約1万6,000時間にもなっています。

RPA導入には推進を担う業務革新室を設置し、そのメンバーが各現場に出向きヒアリングを実施しており、その際は「最終的にロボットの採用に至るか」は重要視していません。

作業を肩代わりしてくれる「ロボットの使い道探し」というポジティブな形をとることで、一歩踏み込んだ業務改善への糸口発見が可能になりました。

自動化対象業務

  • 契約申込者の情報を照会する作業
  • 投資性金融商品の販売状況をモニタリングする部署での基礎データを取得作業 など

みずほ銀行

みずほ銀行では、中期経営計画施策である「オペレーショナル・エクセレンス」(業務改善の推進)施策の一環で、職員の働き方改革を促進するべくRPAの導入を決定。

RPA導入を成功させるための工夫として管理者層を巻き込んで活動を推進しました。

例えば社内で実施しているRPA研修についても、管理者層向けの研修と実務担当者向けの研修を分けて実施し「自分事としてRPAを考えてもらう」ように考慮することで、他人事ではない推進ができました。

また、自動化対象の業務を選定するにあたって「アプローチ1」と「アプローチ2」という取り組み方針があり、アプローチ1は「行内のバックオフィス業務」にフォーカスし要件定義や分析をします。

アプローチ2は「職員の身の回り業務」にフォーカスした取り組み方針です。

職員が使える「便利なツール」として認識し、身の回り業務をどんどんと自由に自動化してくれることを期待した取り組みになります。

今後の展望としては、行内にRPA専門チームを設立し、出てきた課題に対し迅速に対応することで、職員の「働き方改革」を促進したいとのことです。

りそな銀行

りそな銀行は、2017年6月にRPAを試行導入し同年12月に「りそなホールディングス」のデジタル化推進部に「AI・RPA推進チーム」を設置し、グループ全体でRPAの導入と活用を推進しています。

RPA推進の特徴としては「業務部門が自らRPA担当者となり内製化している」ことです。

また、外部ベンダーのSEが常駐し疑問などを含めてマンツーマンに対応できる体制を整備。

その結果、業務部門のRPA開発経験者は約400人、稼働中のRPAロボットは3000台、業務削減工数は41万時間と大きな効果が出ています。

自動化対象業務

  • CSVデータを毎日自動で取得・蓄積し、法人および個人名で検索すると取引停止処分者の該当の有無を確認できるツールの作成
  • 店舗ごとの窓口の待ち人数をグラフ化して表示するツール など

PayPay銀行

日本初のインターネット専業銀行として開業した「PayPay銀行」ですが、当時実施していた口座開設前の審査、口座開設後モニタリングなどの単純な定型作業は自動化できると考え、RPAを導入しました。

自動化対象業務の選定としては、年に一度ヒアリングしてリストアップをし、ベンダーへ開発を依頼しています。

その際に「ロボットが人の仕事をとってしまうのではないか」と懸念し導入に抵抗のある人もいるため「人間の仕事はなくならない。単純作業はロボットに任せて、人は企画立案や分析といった高度な仕事に注力できるようになる」ということを伝え続け浸透を促しています。

自動化対象業務

  • 取引停止等の通知書を送付する業務の一部自動化
  • 不正なVisaデビット取引を停止するというオペレーションの自動化
  • Visaデビットカード業務:郵便物の不着システムへの登録自動化
  • Visaデビットカード業務:オートコール用の架電リストの作成自動化
  • Visaデビットカード業務:立替金回収のリスト作成業務の自動化 など

伊予銀行

地銀にとって少子高齢化に伴う人口の減少は、利用者や来店率の低下など経営に与える影響は大きく、深刻な問題となっています。

その状況を改善するために、デジタルトランスフォーメーションにより活路を見いだそうとしており、その一環としてRPAを導入。

RPA導入当初は、プログラミングやシステムの開発経験は全くない2名が担当者となり、研修やeラーニングなどを受講しつつ開発への理解を深めていきました。

そこから、その2名を中心に各部門へRPAを育成するトレーニングがはじまりました。

その結果、本格導入を開始して約1年半でRPAでの削減時間は年間22,000時間になり、プラスαの効果として、RPA化する過程で発生するBPR(業務見直し)によって、業務そのものを廃止あるいは簡素化したものも存在し、その削減時間は年間6,000時間に及びます。

また、既存業務の自動化だけではなく「RPAだからこそできる」作業も新たに開発し、業務効率化に繋げることができています。

今後の展望としては、まだまだ紙の業務が多い状況のため、ペーパーレス化およびAi-OCRを活かした効率化を目指し、地方銀行のあり方、ビジネスモデルを変えようと試みているそうです。

RPAを導入する際に確認するポイント

RPAを導入する際に確認するポイント

ここまでは、導入事例などをふまえ「RPAを導入することによる効果」について解説しました。

次は「実際に導入するときに確認すること」について解説をしたいと思います。

業務フローの見直しとマニュアル化

RPAをスムーズに導入し失敗させないためには「導入前に」どれぐらい自動化できる既存業務があるのか確認しておく必要があります。

その判断をするためには、既存の業務フローを可視化することが重要で、可視化するためには業務マニュアルを準備し全体像を把握することが欠かせません。

また、これまで長期間にわたって人の手で実施してきた作業のため「暗黙の了解」となっているルールが存在したり、人によってフローが異なったりします。

そういった部分を洗い出し、加味した上で業務フローの見直しを実施しましょう。

例えば、業務の可視化や見直しを実施しなかった場合に考えられるリスクとしては以下があります。

  • ロボットリリース後に想定外の事象が多数発生し、自動処理が機能しなくなる
  • ロボット開発開始後に「人の判断」が必要なことが判明し開発が頓挫する
  • ロボット開発開始後に「複雑な分岐」が含まれた業務フローであることが判明し開発不可となる

業務の可視化や見直しは大変な作業ですが、RPAをスムーズに導入するためには「必要不可欠」な作業です。

せっかくのRPA導入が頓挫しないよう、業務の見直しやマニュアル化を実施しましょう。

導入に抵抗のある従業員への対応

導入に抵抗のある従業員への対応

RPAは業務効率化を推進する有効なツールですが、これまで人が実施していた作業を「ロボットに置き換える」ことになるため、仕事を奪われる・リストラされるなどのネガティブなイメージを持ち、導入に抵抗する従業員がいる場合もあります。

RPAを検討し内容を把握しているメンバーは問題ありませんですが、現場担当者などの「当所RPAに関わっていなかったメンバー」に対して、不安を抱かせたり、モチベーションの低下を招かないためにも、企業側は慎重な対応が必要です。

伝える内容のポイントとしては、以下になります。

  • RPAの導入は人員削減を目的としているのではなく、業務効率化や生産性の向上を促進するためのものであること
  • そうすることによって、利益に繋がるコア業務に注力し企業全体の生産性向上の目指すものであること

RPAは高い業務効率化効果を発揮するツールですが、反面ネガティブな要素も含んでいます。

導入前から、どういう形で導入を進めていくのかについて検討しておき、従業員のモチベーション低下に繋がらないよう注意しましょう。

記事まとめ

記事まとめ

今回の記事では、銀行業界におけるRPAの導入背景や事例、導入時に確認するべきことについて解説をしました。

RPAは定型作業などの事務作業に対し、業務効率化を実現できる優秀なツールです。

とりわけ銀行業界においては事務作業が多く存在していることから、大幅な効率化に繋がっています。

そんな業務効率化に有効なツールですが、適切ではない導入をすると推進が頓挫してしまったり、リストラをイメージしてしまい従業員のモチベーション低下に繋がってしまう可能性もあります。

そうならないために、今回の記事を参考にしていただき、スムーズな導入に繋がれば幸いです。

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