労働人口不足や長時間労働問題の改善策として近年注目を集めているRPA。
日本国内に留まらず世界中の企業でも導入されており、今は色々な種類や強みを持ったRPAツールがあります。
どのRPAツールが1番適しているのか分からない方のため、本記事ではRPAツールの国内シェア率が高い製品や選び方について詳しく解説します。
RPAツールの機能や市場規模、日本の企業が導入するメリットも解説しているので、RPAに関する理解を深めたい方の力になれましたら幸いです。
RPAツールとは
RPAとは「Robotic Process Automaton」の略で、主に普段人間が手作業で行っている定型業務、ルーチン作業を代りに自動で行ってくれるツールのことを指します。
定型業務やルーチン作業には、データ入力、レポート作成、メール管理、請求書処理、カスタマーサポート、予約管理などの、繰り返し行われる作業が含まれます。
これらの業務は、シナリオを使ってRPAツールに作業内容を正しく覚えさせることで、全て自動化させることができます。
RPAツールはあくまでもロボットです。
そのため、AIができる人間的な判断が必要な作業や、毎回やり方が変わる作業を自動化させることはできないことを念頭に置いて、自動化したい業務内容を洗い出すようにしましょう。
日本の市場規模・国内シェア
世界規模で導入率が上がっているRPAツールですが、日本国内での国内シェア率はどうなのでしょうか?
以下、日本の国内シェア率とその未来について解説します。
日本国内シェア率は38%
日本におけるRPA(ロボティックプロセスオートメーション)市場は、効率化とコスト削減のニーズの高まりに伴い、着実に成長しています。
その証拠として、MM総研の「RPA国内利用動向調査2020」では、2019年11月時点での日本企業におけるRPA導入率は、全体で38%と4割弱を占めていると発表しています。
その中でも大手企業(年商1,000億円以上)は51%、中堅・中小企業(年商50億円以上から1,000億円未満)は25%です。
この結果は、RPAツールの高い導入費用が大きな要因となったのではないかと考えられます。
しかし、最近は市場をリードしているUiPathやAutomation Anywhereなど以外にも、中小企業向けに開発されたRPAもあるため、中小企業の国内シェア率アップが期待できます。
他にも業種別に比較すると、金融がの国内シェア率が59%と最も高くなっています。
また前回の調査(2019年1月)に比べて、学校・医療福祉と流通特の導入率が、特に飛躍しているのが分かります。
国内シェアは増え続ける?
日本におけるRPA市場の成長は、今後も継続する見込みです。
国内シェアが増え続けると考えられる理由の1つとして、新型コロナウイルスの影響によってリモートワークを取り入れる企業が増えたことが挙げられます。
リモートワークの増加により、ほとんどの書類作業もペーパーレス化されており、RPA導入のしやすい環境が既に整っているのです。
また、企業は効率的な業務運営とリソースの最適化を求めているので、これらの要件を満たすRPAは重要なツールとなっています。
さらに、AIや機械学習といった先進技術との組み合わせにより、RPAの機能が拡張されれえば、より複雑な業務への対応が可能になっています。
このような技術革新が、国内市場におけるRPAのシェアをさらに拡大させる要因となっていると考えられます。
また、政府のデジタル化推進政策も、RPA市場の成長を後押ししているのではないでしょうか。
日本企業が導入するメリット
これからも国内シェア率が右肩上がりになると予想されるRPAですが、何がそれほど魅力的なのでしょうか。
以下では、日本企業がRPAツールを導入するメリットを3つのポイントに分けて解説します。
時短&コストカット!RPAで業務効率化の夢を実現
RPAツールを導入するメリットの1つは業務の時間短縮とコスト削減です。
RPAツールは、繰り返し行われる単純なタスクを自動化することで、手作業にかかる時間を大幅に削減してくれます。
例えば、データ入力、レポート生成、請求処理などの作業が自動化されることで、従業員はより戦略的で創造的な業務に注力できるのです。
また、RPAは24時間365日稼働可能であり、人間の休憩時間や休日にも業務を続けることができます。
繁忙期には、RPAの契約ライセンス数を増やすだけで良くなるため、今まで臨時で雇っていたアルバイトやパートを雇う必要がなくなります。
これにより、全体の業務効率が向上するだけでなく、人件費の節約にも繋がるでしょう。
エラー減、品質アップ!RPAで業務の精度を高める
RPA導入によるもう一つの重要な利点は、業務の品質向上です。
人間による手作業では避けられないヒューマンエラーや不正確さがあります。
しかし、RPAツールはロボットなので、長時間労働をしても一貫した精度と速度でタスクを実行することが可能です。
これによりデータ関連の作業でのエラーが減少し、エラーの修正を行う手間が省け、全体的な業務の品質が向上します。
さらに、RPAは定型的な作業の実行において、疲労や気分に左右されることがないため、一定の品質を維持することができる優れものです。
創造性を解放!RPAで単調な業務からの解放
RPAの導入は、従業員の創造性と職務満足度を高める効果もあります。
単純で繰り返し行われるタスクをRPAが担うことで、従業員はより高度な分析や戦略立案、創造的な作業に集中することができるからです。
これにより、従業員は自らのスキルと能力を最大限に活用し、より価値のある業務に貢献することが可能になります。
また、繰り返しのルーチン作業から解放されることで職場のストレスが減少し、職務満足度が向上することも、企業側にとってもメリットが大きいのではないでしょうか。
【2023年最新】国内シェアが多いRPAツール7選
大手・中小企業関わらずRPAツールを導入するメリットがあることは、ご理解いただけたでしょうか。
以下では、どんなRPAツールが良いのか分からない方のために、国内シェアが高いRPAツールを7製品ご紹介します。
第1位:Winactor
国内シェア第1位の「WinActor」はNTTデータが提供する国産RPAツールです。
WinActorのRPAツールは、Windows端末での操作をロボットが学習し、自動化する機能を持っています。
ERPやOCRといった多種多様なアプリケーションとの連携が可能であり、ユーザーインターフェースの使いやすさが特徴です。
また、コーディング技術は不要で、ITスキルがあればエンジニア不在でもシナリオ作成が可能です。
しかし、他のツールと比較して料金が高めなので、費用対効果を計算した上で導入を検討する必要があります。
第2位:BizRobo!
国内シェア2位の「BizRobo!」は低コストで無制限にスケール可能なソフトウェアロボットで、ローコード開発が可能です。
これにより非IT人材でもロボットの開発に参加でき、外部アプリケーションとの連携が容易になります。
また権限管理や実行抑制が可能で、管理機能も充実しています。
一方で、月額使用料が高い点は考慮すべきで、コストに見合ったロボットの稼働時間が想定される業務があるかどうかの検討が必要です。
第3位:UiPath
国内シェア3位の「UiPath」は世界的に有名なRPAツールで、その柔軟性とスケールの広がりが特徴です。
ドラッグ&ドロップ操作でシナリオを作成できるため、プログラミングスキルは不要でRPA初心者にも優しい製品になっています。
また、Excelとの優れた連携能力と充実したサポート体制が強みです。
UiPathは大企業から個人まで幅広く利用されており、日本語サポートもあるので安心して導入できます。
ただし、PCのOSや機種によってはUIが適切に検出されない場合もあるため、無料プランなどでの事前テストがをおすすめします。
第4位:Blue Prism
国内シェア4位の「Blue Prism」はサーバ型RPAツールで、フローチャート形式でのロボット作成が特徴です。
特に高いセキュリティを提供しているため、医療機関や金融機関などのセキュリティが重要視される分野で多く導入されています。
AIとの連携も可能で、複雑な作業の自動化にも対応してくれます。
これにより、より高度な自動化ニーズに応えることができるため、信頼性の高いツールとして評価されています。
第5位:Automation Anywhere
国内シェア5位の「Automation Anywhere」は500種類以上のロボット・テンプレートを提供し、導入後すぐに作業を自動化することが可能です。
AIや分析ツールとの連動も可能で、非定形作業の一部を自動化できます。
米国産のRPAツールでありながら、完全日本語サポートが提供される点もメリットです。
ただ一部の説明書は英語の部分も残っているため、導入後もスムーズに対応できるかどうかの確認が必要になります。
第6位:ロボパットDX
国内シェア6位の「ロボパットDX」は、中小企業向けに開発された日本のRPAツールです。
その利用しやすいUIと、現場主導での業務自動化をサポートする機能が特徴的なRPAツールになっています。
直感的な操作でロボットを作成でき、ITスキルが高くない現場でも運用を開始できます。
1ライセンスを複数のPCで使用できるフローティングライセンスがあり、効率的な運用がしやすくなっています。
サポート体制も充実しているからか、利用継続率が高いRPAです。
その一方で、導入台数が多くなると価格が上がってしまうため、費用対効果を計算した上で予算の設定をすることをおすすめします。
第7位:SnychRoid
国内シェア7位の「SnychRoid」は皆さんもご存知の企業、ソフトバンクが提供するRPAツールです。
SynchRoidは、サーバー構築が不要でノンプログラミングでの業務フロー作成ができるようになっています。
スモールスタートから大規模導入まで対応できる柔軟な契約体系を提供し、全てのプロセスをサポートします。
特に自社で複雑なシステムを構築している場合は相性が重要となるため、外部ツールとの連携に問題がないか事前に確認が必要です。
このツールは特に中規模から大規模な企業向けで、幅広い業務プロセスに対応することができます。
ツール選びの落とし穴
国内シェアの高い製品を7つご紹介しましたが、人気な商品があなたの企業に最適なRPAつールとは限りません。
そこで、以下ではツール選びの際に見落とされやすい確認ポイントを3つ、解説します。
スケーラビリティと拡張性
導入するRPAツールを選ぶ際にまず確認すべきなのが、そのスケーラビリティと拡張性です。
これは、ビジネスが成長し業務が多様化するにつれて、システムが柔軟に対応できるかどうかを意味します。
企業は初期段階で限定的な業務プロセスにRPAを導入する企業が多いです。
しかし時間とともに更に多くのプロセスを自動化したくなった際、最初に導入したRPAに拡張性がなければ、別のRPAを導入し直したりと更に手間がかかってしまいます。
そのため、既存のRPAソリューションが新しい要件に容易に適応できるかが重要になります。
たとえば、より複雑な業務も自動化可能なのかや、異なる部門・外部システムとの統合能力などです。
スケーラビリティーや拡張性のあるRPAツールを選ぶことで、長期的な投資としての価値を高め、将来的な追加コストを避けることにもつながります。
ユーザーインターフェースと使いやすさ
RPAツールのユーザーインターフェースと使いやすさも、選択の際に重視すべきポイントの1つです。
使いやすさは、ツールの導入速度と従業員の受け入れやすさに直結します。
直感的で理解しやすいインターフェースは、プログラミングの知識が乏しい人でも容易に操作でき、トレーニングの時間とコストを削減します。
せっかくRPAを導入しても、活用できる社員少なければ属人化してしまうリスクも。
視覚的なドラッグアンドドロップ式のRPAツールは、プロセスの設定と管理が簡単になるため、RPAツールの機能を最大限に活用しやすくなります。
ツールの使いやすさは、結果的に全体的な生産性向上に貢献します。
セキュリティとコンプライアンス
RPAツールのセキュリティとコンプライアンスは、特にデータの取り扱いが関わる場合に極めて重要です。
導入するRPAツールは、企業のセキュリティポリシーとコンプライアンス基準に適合していなければなりません。
セキュリティーを保つ方法として、データ暗号化、アクセス管理、ログ記録、監査証跡といった機能が含まれます。
強固なセキュリティ機能を備えたRPAツールは、データ漏洩や不正アクセスのリスクを最小限に抑え、企業の信頼性と法的責任を保護します。
また、特に金融や医療など、厳しい規制がある業界では、業界特有のコンプライアンス要件を満たすことが不可欠です。
業務自動化はサポート充実のMICHIRU RPAもおすすめ
MICHIRU RPAは、大企業向けのWinactorとは正反対に、中小企業におすすめのデスクトップ型RPAツールです。
画像認識機能が導入されているため、専門的なプログラミング知識を持っていなくても簡単にシナリオ作成を行うことができるので、RPA初心者も安心です。
また、会計ソフトやWebシステム、業務システムなどの異なるソフトウェア間での作業もでき、拡張性に優れていると言えます。
これほどの機能があると高いと思われがちですが、MICHIRU RRAは月額5万円で導入することが可能です。
更にサポート体制も充実しており、自動化の可否やシナリオ作成のアドバイス、オンライン操作勉強会なども開催されてます。
MICHIRU RPAの価格設定
MICHIRUU RPAは、ライセンス料のみの「シンプルプラン」と月4回までのリモートサポートがついた「アシストプラン」の2プラン存在します。
内訳/プラン | シンプルプラン | アシストプラン |
---|---|---|
月額費用 | 5万円/月 | 10万円/月 |
初期費用 | 10万円 | 10万円 |
リモートサポート(1回45分) | – | 4回まで/月 |
オンライン操作勉強会 | ○ | ○ |
FAQ | ○ | ○ |
メール・チャット | ○ | ○ |
この他にもタスクの丸ごと作成を依頼するオプションもあるので、少しでも気になる方はお気軽にお問い合わせください。
国内シェアに関する記事まとめ
世界中で導入が進んでいるRPAの日本国内シェア率は増え続けています。
大手企業の導入率は51%、中小企業が25%と差はあるものの中小企業の導入も進んでいるため、RPAは大企業向けという考えは捨てましょう。
最近はMICHIRU RPAにように中小企業向けのRPAツールも低価格で提供されています。
日本国内シェアではUiPath、BizRobo!、Winactorがトップ3に入っています。
上記のような国内シェア率の高い製品もそれなりの理由があり優れた商品ばかりですが、全てがあなたの企業に適してるとは断言できません。
導入を検討中の方は、それぞれの拡張性や使いやすさ、セキュリティーの観点から比較した上で、導入することをおすすめします。