RPAとは？部門別の業務活用例と失敗例を解説！

RPAとは、企業の業務効率化や、コスト削減を目的に導入される自動化ツールです。

特に、近年では、働き方改革や人手不足などから、RPAの導入が加速しており、大企業だけでなく、中小企業においても注目が集まっています。

そこで、本記事では、業務を自動化する「RPAとは何か」を解説するとともに、どのような業務で導入されているのか、活用事例・具体例を交えてご紹介していきます。

RPAとは

RPAとは、Robotic Process Automation（ロボティック・プロセス・オートメーション）の略で、定型業務をロボットに置き換えることで、業務効率化やコスト削減が可能です。

特に、RPAは、繰り返し行う事務作業に適しているため、データ入力・集計・メール送信・レポート作成の活用に向いています。

また、金融業界・製造業界・物流業界・医療業界・行政などにおいては、RPAを導入することで、人手不足の解消や、働き方改革の推進にも繋がっています。

RPAが対応できる業務とは

RPAが対応できる業務は、明確なルールに基づいて、繰り返し行われるパソコン業務全般です。

RPAは、ソフトウェアロボットが定型業務を代行する技術で、業務効率化のみならず、人的ミスの削減も可能にします。

現在は、企業のさまざまな部門で導入が進んでおり、対応可能な業務範囲も広がっています。

【部門別】RPAの業務活用例とは

RPAは、あらかじめ設定されたルールに基づいて、定型業務を自動化できる仕組みなので、企業のさまざまな部門で幅広く活用されています。

ここからは、部門別にRPAの業務活用例をご紹介していきます。

例1：経理部門

経理部門は、毎月発生する請求書の処理・経費精算・仕訳入力・月次決算作業など、繰り返しの多い事務作業が数多く存在します。

そのため、これらの業務は、人手で対応すると時間がかかり、人的ミスが発生しやすいという課題があります。

しかし、RPAを導入した場合は、請求書データのシステム入力・会計ソフトへのデータ転記などが自動化できるので、経理業務の質とスピードを向上させることが可能です。

実例1：請求書処理の自動化

ある製造業では、毎月100件以上の請求書を手作業で会計システムに転記しており、入力ミスや確認作業に多くの時間がかかっていました。

そこで、RPAを導入し、受領した請求書（PDF形式）をOCRで読み取って、取引先名・金額・日付などの抽出を自動化したところ、会計システムに自動転記できるようになり、月間約40時間の業務削減と、入力ミスの防止に成功しました。

事例2：仕訳作業の効率化

ある小売業では、経費精算に関する仕訳入力を毎日手作業で行っており、担当者の負担が大きい状態でした。

そこで、RPAを導入し、経費申請システムから申請内容を抽出したところ、自動で仕訳帳に入力する仕組みが完成しました。

仕訳作業は、人手による確認作業のみで済むようになり、作業時間が従来の半分以下に削減されました。

事例3：入金消込業務の自動化

ある企業では、顧客からの入金情報について、銀行の明細書と売掛金データを突き合わせながら確認・消込しており、毎月多くの時間を費やしていました。

特に、件数が多い月は、担当者の残業が常態化しており、手作業での確認・消込に限界を感じていました。

そこで、RPAを導入し、銀行からダウンロードした入金データと、販売管理システムの売掛情報を自動で照合したところ、一致データは自動で消込処理を行えるようになりました。

加えて、差異がある場合は、担当者に通知が送れるフローを構築したため、月次の入金消込作業時間が約70％削減され、ミスもほぼなくなりました。

例2：営業部門

営業部門は、売上に直結する重要な役割を担っている一方で、顧客情報の入力・報告書の作成・定期的なデータ集計・見積書の作成など、多くの事務作業にも追われています。

そのため、これらの業務は、時間がかかるだけでなく、入力ミスや対応漏れといったリスクも伴います。

しかし、RPAを導入した場合は、繰り返し発生するルーティンワークを自動化し、営業担当者の業務負担を大幅に軽減することが可能です。

事例1：営業日報の自動化

ある企業では、営業担当者が日報を毎日入力していましたが、記入漏れや記録忘れが多く、報告の精度にばらつきがありました。

そこで、RPAを導入し、営業担当者のスケジュールや活動内容を自動で抽出し、日報フォーマットに入力する仕組みを整えました。

営業担当者は、日報の作成作業が不要になったことで生産性が向上し、マネージャーもリアルタイムで状況を把握できるようになりました。

事例2：CRMの自動登録

ある広告代理店では、展示会や資料請求などで得た見込み顧客の情報を、営業担当者が手動でCRMに入力していました。

そこで、RPAを導入し、フォームから得られた顧客情報を自動で分類し、CRMに自動登録できる仕組みを構築しました。

営業担当者は、手入力の手間がなくなり、顧客対応のスピードが向上し、機会損失を防げるようになりました。

事例3:週次営業レポートの自動作成

ある不動産会社では、営業実績の集計やレポート作成を毎週手作業で行っており、表やグラフの作成に多くの時間がかかっていました。

そこで、RPAを導入し、SFAから営業データを自動で取得・集計し、レポートテンプレートに反映して、PDF化するプロセスを自動化しました。

すると、営業レポート作成は、ほぼ全自動になり、担当者の作業時間は90％削減し、迅速なデータ共有が可能になりました。

例3：マーケティング部門

デジタルマーケティングが主流の現在では、マーケティング担当者がWebサイトのアクセス解析・SNS分析・広告配信の成果測定・メルマガの配信管理など、日々膨大な情報と向き合っています。

こうした業務は、多くがルーティン作業でありながら、迅速さと正確性が求められるため、負荷が大きく、人的ミスのリスクも高まります。

そこで、注目されているのが、Google Analyticsや、各種SNS分析ツールの数値データを定期的に収集し、比較一覧レポートの作成を自動化することです。

また、RPAは、競合他社のWebサイトや、SNSを定期的に巡回して、最新情報を収集することができるので、マーケットリサーチにも活用できます。

事例1：レポート作成業務の自動化

あるIT企業では、Webサイトや広告のアクセス状況について、毎週Excelで集計・報告しており、複数の分析ツールから数値を手作業で取得していました。

そこで、RPAを導入し、Google Analyticsや、広告プラットフォームから数値を自動取得・集計し、Excelフォーマットに保存するフローを構築しました。

すると、レポート作成は、確認のみで済むようになり、作業時間が週5時間から30分未満に短縮され、分析業務に注力できるようになりました。

事例2：競合サイトの情報収集を自動化

あるアパレル企業では、競合ブランドのWebサイトを毎日巡回し、新商品の掲載やキャンペーン情報を収集していましたが、情報の更新を見落とすこともありました。

そこで、RPAを導入し、競合サイトを毎朝自動巡回し、特定の更新情報（新着商品・価格変更・キャンペーン）を抽出して、担当者にメールする仕組みを整備しました。

これにより、競合サイトの情報収集は、正確かつリアルタイムになり、迅速な競合対策とマーケティング戦略が可能になりました。

事例3：SNS投稿のスケジュール管理

ある食品メーカーでは、複数のSNSアカウントに対して、キャンペーン告知などを手動で投稿しており、曜日や時間の調整に手間がかかっていました。

そこで、RPAを導入し、事前に用意した投稿原稿と画像を元に、指定日時にSNS管理ツールを通じて、自動投稿する仕組みを構築しました。

担当者は、投稿内容を一度チェックするだけで済むようになり、ミスや投稿忘れがなくなり、作業負担も大きく軽減されました。

例4：総務部門

総務部門は、社内全体を支える縁の下の力持ちとして、備品管理・社内文書の作成・各種申請の受付処理など、日常的に幅広い業務をこなしています。

特に、近年では、テレワークの普及や多様な働き方の浸透によって、業務が複雑化・多様化しており、人的な対応だけでは限界を感じています。

そこで、企業側は、RPAを導入することにより、データ登録の自動処理のみならず、備品の発注や在庫チェックといった管理業務も、RPAが自動で処理・報告を行うので、担当者の手間とミスの削減に繋がります。

事例1：定期契約の更新管理

ある不動産管理会社では、オフィス設備や保守契約の更新時期について、Excelで管理していましたが、見落としによる更新漏れがたびたび発生していました。

そこで、RPAを導入し、契約満了日や更新が必要な契約を月次で自動抽出し、関係者に通知メールを送信する仕組みを構築しました。

すると、契約更新業務は、漏れやトラブルがほぼゼロになり、確実に行えるようになったため、契約管理の信頼性が向上しました。

事例2：備品管理と発注の自動化

ある製造業では、オフィス備品の在庫確認と、発注作業を月1回手動で行っており、担当者の負担が大きく、在庫切れによる業務停滞も発生していました。

そこで、RPAを導入し、在庫の基準値を下回った備品を自動で抽出し、発注フォームに入力・送信するフローを構築しました。

備品管理と発注の自動化は、備品切れの防止のみならず、発注作業の時間を約90％削減できました。

事例3：社内報のスケジュール管理

ある金融機関では、定期的にPDFの社内報を全社員に配信していましたが、配信日や部署ごとのルールが煩雑で、作業が属人化していました。

そこで、RPAを導入し、社内報の格納フォルダを監視することで、配信スケジュールに則って、自動送信を行う仕組みを構築しました。

すると、社内報は、手作業での配信が不要となり、配信忘れや遅延もなくなり、担当者の負担がほぼなくなりました。

例5：人事・労務部門

人事・労務部門は、採用から入社手続き・勤怠・給与管理・社会保険対応・人事評価・福利厚生の申請処理など、膨大な事務作業を伴います。

特に、近年は、テレワークの普及や、多様な雇用形態の広がりにより、より一層業務が複雑になってきました。

そこで、企業側は、RPAを導入することにより、入社・退職手続きの登録・給与計算に関わる勤怠データの抽出・社会保険や年末調整に関するデータ集計といった作業に関して、迅速かつ正確に処理できるようになります。

事例1：入社手続きの自動化

ある情報通信企業では、新入社員の入社に伴い、社員情報を人事システム・給与システム・社内メール・勤怠システムなど、複数のツールに転記する作業を手動で行っており、作業負担と入力ミスが課題でした。

そこで、RPAを導入し、入社・退社に関する申請フォームの内容をもとに、勤怠システム・メールアカウント・社内ポータルなどへの情報登録を自動化しました。

すると、手作業での登録業務は、ほぼゼロの状態となり、作業時間が80％以上削減し、人的ミスも大幅に減少しました。

事例2：勤怠の集計と残業確認の自動化

ある製造業では、月末に全社員の勤怠データを手動で集計し、労働時間が基準を超えていないか、確認する作業に膨大な時間を要していました。

そこで、RPAを導入し、 勤怠システムからデータを自動で取得・集計し、基準を超える社員を抽出・一覧化する仕組みを構築しました。

勤怠の自動集計は、労務リスクの早期発見及び、確認作業の負担軽減に成功し、残業調整も向上しました。

事例3：年末調整に関する書類の自動化

ある小売企業では、年末調整の時期になると、社員数百名分の書類を手動で入力しており、繁忙期の深夜残業が常態化していました。

そこで、RPAを導入したところ、提出されたデータの自動チェック・不備通知・給与システムへの自動入力を実現しました。

担当者は、不備のある書類のみを確認するようになり、作業時間を約70％削減しました。

RPAの導入失敗例とは

RPAの導入は、業務効率化・人件費の削減・生産性の向上を実現するために、非常に有効な手段です。

しかし、すべての企業が、RPAの導入によって成果を上げているわけではなく、導入の失敗例も少なくないのが現状です。

ここからは、RPAの導入失敗例をご紹介していきます。

例1：自動化する業務の選定ミス

RPAを活用する際は、業務効率化や人手不足の解消など、導入メリットに期待を寄せてしまいますが、自動化する業務によって成果が大きく異なります。

RPAは、万能なツールではなく、すべての業務に適用できないため、導入時に適切な判断を行わなければ、混乱を招いてしまいます。

特に失敗しやすいのは、例外処理が多く、人による判断が求められる業務を無理に自動化するケースです。

また、RPAは、業務フローが標準化されていなかったり、属人化していたりする場合も、自動化の設計が複雑になり、安定した運用が難しくなります。

例2：業務のブラックボックス化

業務のブラックボックス化は、RPAの導入・運用をベンダーに任せきりにした結果、ロボットの動作内容や、業務の全体像が社内で把握できていない状況を指します。

RPAの導入当初は、業務が自動化されたことで、効率的になったように感じても、トラブル発生時に社内で対応できず、業務が停止する事態に繋がる恐れがあります。

特に多く見られるのは、RPAの設計・構築・メンテナンスをすべて外部に依存してしまうケースです。

RPAを導入する際のポイントとは

RPAを導入する際のポイントは、業務効率化や生産性の向上を目指す企業にとって、導入効果を左右する重要な点です。

ここからは、RPAの導入をスムーズに進めるために、押さえておくべきポイントを解説していきます。

ポイント1：自動化する業務の整理

RPAは、やみくもに導入しても、うまく機能するとは限らないため、自動化したい業務を整理して、適しているかを見極める必要があります。

ポイント2：スモールスタート

RPAは、業務効率化を実現するツールですが、導入直後からいきなり全社展開を目指すと、業務の複雑さや、運用負荷が想定以上に膨らんで、結果的に頓挫する可能性があります。

そのため、まずは、スモールスタートで導入を開始し、着実に成果を積み上げていくことが、導入の成功に繋がります。

まとめ

本記事では、業務を自動化する「RPAとは何か」を解説するとともに、どのような業務で導入されているのか、活用事例・具体例を交えてご紹介してきました。

RPAツールには、対応できる業務と対応できない業務があるため、業務活用例などを参考にしながら、対象業務を選別する必要があります。

RPAツールを活用する際は、失敗例や導入ポイントなどを参考にしながら、慎重に検討してみてはいかがでしょうか？

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