規模拡大が続くRPA市場。今後の動向やエンジニアの将来性を予想

RPAが注目されている背景や国内外のRPA市場の状況などに注目し、今後の動向を解説

規模拡大が続くRPA市場。今後の動向やエンジニアの将来性を予想

近年、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)市場は急速に成長規模を拡大し、多くの企業が業務プロセスの自動化に取り組んでいます。

当初は大企業を中心にRPAの導入が進んでいましたが、現在では中小企業へも波及しRPAの導入が拡がってきています。

そんな中、RPAの導入や運用、ロボット開発などに関する専門性を備えた「RPAエンジニア」という職種も誕生し、益々の盛り上がりをみせています。

そんなRPAですが、「今後は衰退するだけじゃないのか」「RPAは費用だけ掛かる使えないツール」「ピークはもう過ぎている」など将来性について、たびたび取り上げられています。

本記事ではそんな噂を調査するべく、RPAが注目されるようになった背景や国内外のRPA市場の状況などに注目し「今後のRPA動向」について解説します。

さらに、RPAエンジニアの将来性や、これから必要となるであろうスキルについても解説していきますので、最後までご覧いただければ幸いです。

目次

国内RPA市場、現在の規模と今後の動向

国内RPA市場、現在の規模と今後の動向

では、はじめにRPA市場の現在の規模と、今後の動向から解説をしていきます。

矢野経済研究所の調査によると、​2020年度のRPA市場規模は前年度比37.6%増の729億円、そのうちRPAツール製品は299億円(同33.5%増)、RPA関連サービスが430億円(同40.7%増)になり、右肩上がりで成長しているという調査結果でした。

そして、RPAはブームを終えて本格的な利用拡大フェーズに進んでいます。

ただし、RPAに関する市場規模のポテンシャルは高いものの、各企業がRPAツールを使いこなせていない事例が散見されていることも実情です。

このような事例では、「導入効果を十分に得られていない」ことが課題となっています。

今後の動向としては、課題となっている部分を突破し、多くのユーザ企業がRPA導入の成功体験を実感することが利用の拡大に繋がるキーポイントとなっています。

また今後の見通しとしては、2023年度のRPA市場規模は事業者売上高ベースで1,520億円、そのうちRPAツール製品は520億円、RPA関連サービスが1,000億円まで拡大すると予測されています。

矢野経済研究所 エレクトロニクス、環境、エネルギー等幅広い分野におけるクライアント企業に向けて市場調査サービスを提供しているマーケティング会社で、市場調査、調査分析からソリューション提供まで行っています

RPAが注目されるようになった背景

RPAが注目されるようになった背景

そもそも、なぜRPAは注目されるようになったのでしょうか。

RPAは、2015年ごろから欧米を中心に金融業界で関心が高まってきたテクノロジーです。

日本では、2016年に問題となっていた長時間労働の抑制などを目的とした「働き方改革」への対応ツールとして登場しました。

また、国内の労働人口が減少していることも起因となり、RPAに向いているホワイトカラーの業務に対し自動化がどんどん適用されていきました。

大規模に自動化を適用したことで大きな生産性向上に繋がったという企業事例や、日本の労働人口が減り続けているという事情もあいまって注目され、市場規模が大きく拡大することの要因となっています。

今後も市場規模は拡大を続けるのか

今後も市場規模は拡大を続けるのか

上記の「今後の動向」でも少しお伝えしましたが、RPAの導入市場は今後も拡大することが見込まれています。

RPA市場が拡大を続ける理由や、背景について3点挙げて解説します。

働き方改革などによるワークスタイルの変化

2019年より順次施行されている「働き方改革」や「新型コロナウイルス感染症の拡大」により、各企業のワークスタイルが急速に変化しました。

従来は、必ず会社に出社し多くの業務をオフィスで実施していましたが、テレワークの導入が進み遠隔で業務をすることが当たり前となってきました。

その結果、RPAはテレワーク環境下でも利用できる製品が多いという傾向から、変化するワークスタイルに違和感なく導入することができました。

そんな状況もあり、各企業の働き方改革のソリューションのひとつとしても注目を集めています。

よりコアな業務へ注力する必要性

コア業務とは企業の中心的な業務であり、売上や利益を生み出す業務のことです。

労働人口の減少を背景に、コア業務へ取り組むことができる人材も減少してしまうことが予想されます。

そのため「単純な定型業務」についてはRPAに任せてしまい、空いたリソースでコア業務に注力できるという可能性が出てきたことから、RPAの導入が注目されました。

金融・保険業界での活躍

RPAの特性として、ロボット開発さえしてしまえば何度実行しても「同じ品質」で成果物を正確に作成できることや、24時間365日休まず作業をできることが挙げられます。

その特性にいち早く目を付けたのが「金融・保険業界」です。

金融・保険業界は事務作業が大変多く作業に時間がかかることや、ヒューマンエラーが発生しやすいという課題がありました。

RPAはそれらの課題を解決する手段として有効であり、導入を進めた企業では、大きな成果が出ていました。

そういった取り組みが世間に知れ渡るようになり、RPA導入に関する注目度が高まりました。

海外での盛り上がりは?

海外での盛り上がりは?

ここまでは国内のRPA市場について解説をしてきましたが、次は海外でのRPA市場についてお話しします。

日本だけではなく世界的にもRPAの市場については拡大していくことが予想されています。

世界的なIT分野における調査を実施しているガートナーによると、2020年のRPAの売上高は前年比11.9%像の15.8億ドルに達する見通しとなっています。

さらに、2024年になるとRPAは企業にとって「身近なITツール」と変貌を遂げ「2桁の成長率」で拡大し導入されていくことが予測されており、これからも世界的な広がりが続いていくことが予想されています。

RPAエンジニアの将来性

RPAエンジニアの将来性

それでは、これから拡大していくと予想されているRPAツールですが、それを専門に扱う「RPAエンジニア」についての将来の展望はどうでしょうか。

基本的な業務内容から、RPAエンジニアが生き残るために必要なスキルについて解説をしていきます。

基本的な業務内容を紹介

まずは、RPAエンジニアの具体的な業務内容を3つに分けて解説していきます。

導入支援として業務分析と要件定義の実施

導入を検討してる企業に対し自動化する業務の「洗い出し」「可視化」「分析」などを実施し、いろんなヒアリングをした結果、ロボット開発指針を含めた要件定義書の作成を行います。

このフェーズはRPAを導入する上で一番大事な部分になるため、過去の自動化の事例や分析結果などを共有し、課題を解決する手段や方法について検討します。

この業務はRPAエンジニアではなく、RPAコンサルタントが担当するケースもあります。

RPA環境の構築とロボット開発

企業に導入するRPAツールや業務が決まったら、RPAを稼働させるための環境の構築とロボット開発を実施します。

開発手順はツールによっても異なりますが、基本的には作業手順を小分けにし、部分ごとに「開発→テスト」を繰り返し導入を進めていくのがおすすめです。

RPAの運用・保守

ロボット開発が完了し、本番としてリリースできたら後は運用や保守業務を実施します。

導入初期はエラーが出る可能性が高いため、必要に応じて運用マニュアルや教育などを実施し、スムーズな運用・保守が出来るようにしておきましょう。

エンジニアが生き残るために必要なスキル

エンジニアが生き残るために必要なスキル

最後にRPAエンジニアが、これから生き残るために必要なスキルについて解説します。

RPA市場自体はこれからも拡大していく傾向にあるため、RPAツールがなくなるということはありません。

そんな中で、RPAエンジニアに必要なスキルを3つ挙げて解説します。

RPAに対しての知識と理解

基本的な部分ですが、RPAで「出来ること」と「出来ないこと」を自らの中で明確にしておく必要があります。

RPAは、ルールが定義されている業務の自動化は得意ですが、複雑な判断が必要な業務の自動化は苦手です。

そういったRPAがもっている「特性」についてや、過去の自動化事例などの知識を深め、いつ問題が発生しても対応できるようにしておく必要があります。

RPAツールが拡張していく先のスキルを身に付ける

RPA製品は、テクノロジーの進化と共に成長していくツールです。

最近では、AIが搭載されたRPA製品も登場してきており「普段やっている業務」をパソコンで実施するだけで、自動化のベースとなるシナリオが作成される機能もでてきています。

そういったように、RPA製品はどんどんテクノロジーと共に進化していくため、その拡張先となるテクノロジー技術についても理解を深めておく必要があります。

コンサルティング能力

現在、RPA製品は市場にたくさん登場してきており、会計に特化したツールやWebサイトの読み取りに特化したツールなど、企業のニーズにあわせて選択肢が増えてきている状況です。

また、これまでは大規模な企業がRPAを導入していましたが、今後は中小企業など「導入母数」が増えてくることが予想されます。

製品の充実に伴い、「RPAに関するコンサルタント」の需要も拡大していくことが予想でき、そこで求められるスキルは「コンサルティングスキル」です。

RPAを導入することで「どんな課題が解決するのか」「生産性の向上を図りたいが、どのツールを使えば良いのか」「どんな業務を自動化すれば効果的なのか」など、コンサルタントは、多角的な視点で案件に合わせた対応をする必要が出てきます。

RPAエンジニアは、「RPAの導入によって業務を自動化したい」と考えている方の一番近くで解決できる人ですから、コンサルタントとしても対応できるようスキルを伸ばしておくことをおすすめします。

記事まとめ

記事まとめ

今回の記事では、現在のRPA市場規模と今後の動向についてや、RPAが注目されるようになった背景について解説をしました。

あわせて、RPAエンジニアの業務内容と生き残るために必要なスキルについてもお話ししました。

RPA市場は急速に成長しており、今後も導入拡大が見込まれています。

特に、AIとの統合による高度な自動化が進むことで、RPAの適用範囲は拡大し続けるとことが予想されます。

そのため、RPAエンジニアは技術的なスキルだけでなくコンサルタントとしても活躍できるよう、ビジネスプロセスの理解やAI技術についての知識を広げておきましょう。

まだまだ成長していく業界のため引き続き注目が必要ですが、皆さまのアイデアの一助になれば幸いです。

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