RPAツールとは、業務の自動化をはかるRobotic Process Automationツールのことです。
2010年代にRPAツールが初登場、日本に上陸してからも、数々の事務をオートメーション化=自動化してきました。
自動化の歴史はさかのぼると、機械による製造業の自動化・その後のコンピューターによる伝票発行事務の自動化など、人の仕事は機械とコンピューターによって自動化されてきた歴史があります。
コンピューターの登場を第3次産業革命という言い方をすることがありますが、RPAツールの登場は、「第4次産業革命」と呼ぶべきインパクトがある、とされています。
労働市場・働き方にも大きな変革がありそうです。
この記事では、産業の自動化とRPAツールの歴史、今後の展望を解説。
さらに中小企業にも第4次産業革命のベネフィットをもたらす、おすすめのRPAツールについてもご紹介します。
ロボットの先輩、FAの歴史
RPAは歴史も浅く、新しいものですが、ロボットには「先輩」にあたる実用化された技術があります。
それがファクトリーオートメーション、すなわちFAです。
FA技術は、本質的部分であるロボティック技術においてRPAと共通のものであり、FAの進化の歴史もRPAの登場にもちろん一役買っています。
FAは、チップの中にコンピューターを埋め込むマイクロコンピューターの指令により自動で動き、RPAの登場のはるか前、1950年代末に実用化されて以来、製造業の歴史をけん引してきました。
製造業のロボットは歴史が長い
製造業のロボット技術は、ロボットアームに象徴されるように、人間の動きを再現する・あるいは、同じ動きを正確に行い、大量に生産活動を行うことに向けられています。
実は、製造業のロボットの原型の歴史は、1938年までさかのぼり、パンチングコンピューターによる指令とその繰り返す再現のための技術でした。
製造業はIoTとAIの活用を進める
1970年代から大企業の大量生産に多用されるようになったFAは、その後マイクロコンピューターと半導体技術の進化の歴史の中で、より繊細・複雑な動きにも対応することができるようになりました。
なかでも、日本においては、コンピューター制御のNC旋盤技術により、寸分たがわず同じ金型を生み出す熟練職人の技を再現することができるため、製造業の自動化を大幅に進めるきっかけになったものです。
これはマイクロコンピューターによる長い回路を使った自動計算と、再現の仕組みであるメモリの進化の歴史に裏付けされてできたものです。
より早く正確にモノを大量に作るためのロボットが、歴史的に成熟したものとなりました。
それがさらにコンピューターの進化により、現在では、ロボットが人間の頭脳をよりダイレクトに活用できる時代に歴史が移り変わってきています。
ロボットがIoT機器により取得したデータや、膨大なデータをもとに機械学習を行い、判断するAIを活用できるようになってきたためです。
コンピューターの歴史+自動化=RPA?
ところで、オフィスに目を移すと、ロボットが登場したのは2010年台のこと、Blue Prismが事務の自動化を実用化したことに始まります。
RPAは、FAと比べると浅い歴史ですが、それまでのコンピュータにおける自動化は、計算の自動化にとどまっており、人の動きの自動化は実現されていなかったのです。
計算の自動化と同時に、パッケージという考え方も、ワークフローも、自動化を意味するものでした。
しかしそのころのコンピューターの発想では、前提として人の動きを介して自動化がおこなわれるという限界があったわけです。
オフィスの自動化の黎明期
オフィスの自動化が始まったのは、保険料を計算するIBMのパンチング式コンピューターあたりが黎明期、と考えられています。
自動化は、先ほども申し上げた通り、計算の自動化から始まったのです。
大型計算機・メインフレーム時代の「自動化」
オフィスの自動化の発想は、より多くの計算を自動でおこなうことに向けられていましたので、大型計算機の時代(1960~1990年代初頭)には、自動化が人間の「動き」「操作」を自動で再生するものとは考えられていません。
ただし、大型計算機の組み合わせにより、一連の事務処理を早く、大量に行えるためのワークフローによる業務の効率化の歴史はこのころに始まっています。
オープンシステム全盛時代の「自動化」
大型計算機によるメインフレームの時代以降、コンピューターの歴史が大きく変わったのはPCの誕生・普及と、オープンシステムが全盛時代に入ったことです。
PCが小型の端末としてまさに小回りが利くものですから、PCの組み合わせ・LAN接続による一連の動きにより事務処理の速度や、柔軟性が向上しました。
コンピューターの歴史の一つの大きな転換点です。
オープンシステムの登場と、インターネットの市場での登場と普及は同時期です。
さらにこのころ、「パッケージ」ソリューションという発想により、システムもいくつかの機能を組み合わせ一連のワークフローで業務を効率化し、業務改善を行う動きが盛んになりました。
RPAはまだ影も形もありませんが、ここではRPAのシナリオ・ワークフローの発想の萌芽を見ることができます。
RPAが誕生するまでの歴史上の伏線としてポイントとなるのは、オープンシステムの発想、と考えてよいかもしれません。
ロボティックス技術の進歩・ロボット=機械?
ロボティクス技術は、先にご紹介したFAの進化とともに進歩しました。
マイクロコンピューターは、その回路の中で、人間の動きを再現するキャパシティを広げることができるようになりました。
このことから、ロボットの機械の動きより、コンピューターにおける人間の脳の動き=記憶と再生の技術に焦点が当たるようになりました。
ロボットをPCの中に?
コンピューターの歴史の中では、マイクロコンピューターができる業務は、PCの中でもできるようになっていきます。
そこからさらに、PC上での人間の動きを再現する発想に転じ、いよいよRPAの登場です。
RPAが理論上誕生したのは、2000年代終盤のことです。
ただし、コンセプトとしてRPAのようなものを考え始めたのは、コンピューターの歴史の上ではそれよりももう少し前の1990年代からと言われています。
【RPA】発祥とその歴史
人類初のRPAツールは何か、というテーマは論争のネタになるもので、その歴史を1つのものとしてみることは容易ではないようです。
例えばUWSCというRPA機能をもったソフトウェアが1990年代に誕生し、これが発祥であると言われることがあります。
また、BizRobo!の商標登録年を発祥年であるとされることもあるようです。
業務改善・BPRが提唱された1990年代にコンセプトができて、RPAという言葉が世の中で使われるようになったのは2015年であることははっきりしています。
RPAツールの誕生とは?
先ほど申し上げた通り、最初のRPA製品はどれか、という論争には定説があるわけではありません。
しかし、自動でPC操作・業務を行うという発想自体は、ソフトウェアの歴史上UWSCが最初とされ、実際にRPAの開発はこれに着想を得ているとされています。
UWSCはオブジェクトコードを使い、プログラミングでシナリオの作成と編集を行う点が、ノンプログラミングで動くRPAそのものとの違いです。
幕開けはBPRから・業務改善、作業効率化をロボットで
しかし、業務の効率化を自動化で図る考え方の歴史は、1990年代のBPR(Business Process Re-engineering)の提唱にさかのぼります。
BPRの考え方は、元マサチューセッツ工科大学教授のマイケル・ハマーと経営コンサルタントのジェイムス・チャンピーが1993年に出版した著作「Reengineering the Corporation: A Manifesto for Business Revolution」により世界的に広まったものです。
ここで提唱された、業務の「プロセスモデル」に、自動化を行うロボットを当てはめると、業務の効率化が進む、と考えられたのです。
ワークフローにロボットを載せて自動で動かす考え方は、歴史上BPRではっきりした、ということができます。
RPAツール導入の効果とは?仕事はどう変わった?
RPA登場後、多くの金融機関をはじめとする大企業で、業務時間削減効果をあげていることは皆さんご存知の通りかと思います。
RPAツールで時間の削減効果が劇的に生じたことに社会は驚かされた一方、RPAが人間の仕事を奪うのではないか、との議論が新聞記事などでもよく見られるようになりました。
確かに産業革命は、それまでしてきた仕事を奪う効果があることは歴史上本当と見えます。
もしもRPAが第4次産業革命となるなら、単純作業と呼ばれる仕事の一部は本当に人間がやらない仕事となるでしょう。
RPAツールには歴史を変えるインパクトがあるのかもしれません。
ところが、少子高齢化の進行は、予想されたよりもよほど深刻なものであって、仕事がすぐには奪われることはなさそうであること、そして、より人間がするべきこと、人間でしかできない仕事に焦点が当たるような兆候が見られています。
RPAの功績は、業務改善の発想にある
むしろRPAツールは、仕事の中身を進化させると考えられます。
RPAの運用によって、本質的な業務、例えば商品開発・サービス開発に時間を使い、単純作業を減らすことに成功すれば、もっと良い商品・もっとよいサービスの生産が可能になるでしょう。
特に日本国内では、生産性が海外諸国より低いことから、RPAツールの導入は、残業時間を減らす必要性から課題になるケースも多かったといえます。
しかし、今では中小企業も光る商品・光るサービスを提供するための本質的業務に時間を振り向けるために必要、とより前向きに考えることが主流と言えるでしょう。
今後の展望、AIとのコラボで進める自動化
AIとは、人工知能のことです。
AI機能のNLP(自然言語処理)によって、画像や音声、動画などの非構造化データを解析することができます。
先述した通り、RPAは、Excelファイルなどのデータ取得や入力作業などの定型業務の自動化を得意とし、画像や音声、動画などのデータの処理は苦手です。
AIとRPAの大きな違いは、「非構造化データの解析ができるかできないか」という点にあるでしょう。
非構造化データを処理できないRPAに、非構造化データを処理できるAIを連携させることによって、RPAのみでは処理できなかった複雑なデータを扱えるようになり、自動化できる業務の範囲が大きく広がるようになります。
例えば、MICHIRU RPAと、MICHIRU OCRの組み合わせで、業務文書の電子からから自動入力がシームレスに進められる、といったことがAIとの連携事例として挙げられますが、今後もこうした動きが加速するものと見られます。
人気ツール「MICHIRU RPA」なら中小企業の自動化はこう進む
MICHIRUは、わかりやすく、相対的に低価格で、中小企業にとって導入しやすいRPAツールです。
導入しにくいRPAでは今後の業務改善・生産性の向上は進みません。
さらに、AI OCRとのパッケージソリューションを提供することにより、文書のデータ化を進めて、中小企業の自動化の勘所をしっかりと押さえています。
文書をデータ化し、PCの上で編集が自由にできるようでないと、自動化は進んでいきません。
IT部門を自前で持ちにくい中小企業に、手厚いサポートを提供しているという意味でも、日本の中小企業にあったRPAを選ぶなら、MICHIRUは真っ先に挙げるべき選択肢、といえるでしょう。
記事まとめ
この記事では、産業の自動化とRPAツールの歴史、今後の展望について解説しました。
RPAの導入の進行は、中小企業の生き残りがかかっている、という言い方がされることもあります。
しかし、本質的な業務に集中できるというRPAの効果により、中小企業での働き方は、より「働きがい」「生きがい」を求めるスタイルになることが期待されます。
まだRPAの導入が済んでいない会社様は、「MICHIRU RPA」のトライアルプランで実際に体験してみてください。
働き方の転換点を作る新しい技術と考えられますので、早めにぜひ触れておきましょう。