当初は特定の業界にのみ導入がなされていたRPAですが、現在は技術の成熟化が進み、多様な業界・業種でRPAの導入が進んでいます。
その中でも、宿泊業を生業とするホテル・旅館等ではRPAの普及が加速しています。
なぜ、ホテル業界においてRPAの導入が進んでいるのでしょうか。
本記事ではその理由と、RPAを活用した業務効率化の方法をホテル業界での成功事例と合わせて解説していきます。
宿泊業とRPAの相性が良いのはなぜ?
そもそもRPAとは一体どんなものでしょうか。
RPA(Robotic Process Automation)とは、ロボットによる業務自動化を指すものであり、作業手順をコンピューターに指示することで、ソフトウェアロボットが代わりに業務を代行する技術のことです。
ホテル等をはじめとする宿泊業において、RPAを導入する企業が多いのはひとえにホテルでの業務とRPAの業務相性がとても良いからだと言えるでしょう。
それではどのよう点において導入メリットがあるのか、以下の3つの視点から説明します。
ルーティンワークが多いため
ホテル等の宿泊業はいわゆる接客業です。
一見、事務作業よりフロント業務の方がウエイトの高いように感じられますが、事務作業も多く発生しています。
予約や在庫管理、資材の調達やデータ入力に従業員の給与計算など多岐に渡ります。
コミュニケーションを取りながら進める必要のある業務も多いですが、細分化するとルーティンワークと呼ばれる定型業務も多く発生しているのです。
RPAの強みは多くのルーティンワークをこなせる点にあるため、自動化しやすいホテルでの業務とは相性が非常に良いと言えます。
RPAでカバーできる業務範囲が広いため
先ほども述べた通り、ホテル業では日々多くの業務が発生しておりその幅も広いと言えます。
RPAは活用する製品によって違いは生じますが、「こんなこともできるの?」と思うような業務もロボット化を可能とします。
例えば、ホテル等では宿泊したお客さまを対象にアンケート調査を実施することがありますが、紙・電子等の媒体を問わずこれらのデータを取り込み自動で満足度調査のレポート等を発行することが可能です。
コンプライアンスの強化につながる
どの業界でも言えることではありますが、個人情報等の流出は御法度にあたります。
特にホテル業界では他の業界よりも個人の名簿やクレジットカード等の支払い情報も取り扱うため、特に注意が必要です。
RPAを導入することで、業務プロセスの一貫性や厳密な監視を可能とします。
すなわち、個人情報や支払い情報などのデータを作為的に入手しようとする者への情報漏洩を防ぐことに役立ちます。
したがって、RPAの導入によってコンプライアンス遵守が強化され、結果的に客観的な信用獲得にもつながります。
ホテル業界でRPAが導入された成功事例3選
実際にホテル業界で導入されているRPAの成功事例をみていきましょう。
導入事例① 芝パークホテル
1948年に創業し現在は199室もの客室数を持つ芝パークホテルは、予約管理業務の効率化を目的として2021年にRPAの導入・運用を始めました。
予約管理業務の効率化
芝パークホテルでは、ホテルのWebサイト以外に複数の予約サイトを通じて宿泊の受付をしています。
サイトコントローラーを活用し、ホテルの施設管理システムへ同期する方法をとっていましたが、システム連携の対象外である予約サイトの場合だと、スタッフが手入力で反映をしなければならない課題が発生していました。
連携がされていない予約サイトから関連する最新の予約データを取り出し、芝パークホテルの施設管理システムへ自動登録ができるRPAを導入することで、大幅な業務効率化に成功しました。
削減できた時間を接客等のホテルサービスの向上に充てることで、満足度の向上に繋げることができました。
導入事例② 株式会社王宮
株式会社王宮は大阪をはじめ沖縄でもホテル事業を行っているグループ会社ですが、フロント業務のさらなる効率化を目的にRPAの導入を始めました。
多角的なデータ分析
株式会社王宮では、宿泊予約システムの連携に課題を抱えており、RPAの導入を行いました。
芝パークホテルの例と同様に、サイトコントローラーから自社システムへの登録作業を自動化することで業務効率化を図りました。
それに加えて同社では「多角的なデータ分析」という付加価値をつけることにも成功しています。
RPAツールでは製品によってデータ分析を得意とするものもあります。
同社では、顧客のデータを日別や月別などの期間や、どの国から予約されているかを国別に、どのサイトを経由して予約がされたのか代理店別などの分析が簡単にできるようになりました。
このような裏付けのある資料がスピード感を持って経営陣に提供されることにより、より確証を持ってPDCAを回すことを可能としました。
導入事例③ 株式会社ロイヤルホテル
株式会社ロイヤルホテルは、リーガロイヤルホテルを中心として国内に12軒のホテルを展開する企業です。
同社では、「生産性の向上・効率化の推進」を経営計画の一つとして掲げており、その一端としてRPAの導入がなされました。
会計処理時間を200時間削減
同社では代理店経由の支払いや宴会、レストランなど複数の部門を跨いで会計処理を行っており、月末に売り掛けを締めるために毎日のようにルーティンワークをこなしていました。
導入コストや基幹システムとの相性を考慮し、RPAテクノロジーズ社のBizRoboを導入し会計処理の自動化を行いました。
その結果、担当者の業務は抽出データのチェックを月末に行う程度となり、今まで費やしていた会計処理時間を月200時間削減することに成功したのです。
ホテル業界ではどんな業務が自動化できる?
ここまではホテル業界においてRPAが活用されている理由とその事例について解説しました。
RPAの導入はコストもかかるため、限られた予算の中で業務の自動化を図らなければならない企業が多数だと思われます。
したがって、既存の業務を洗い出した上で自動化できる業務の優先順位をつけることが必要です。
本章ではホテル業界で発生するかつ、自動化できる可能性が高い業務をフロントオフィスとバックオフィスの2つに分けて紹介します。
フロントオフィスの業務自動化
プロントオフィスで自動化できる業務としては、主に以下の4つが挙げられます。
- チェックイン・チェックアウト
- 顧客データの管理
- 予約受付の管理
- 顧客対応
それぞれの業務は、どのようにRPAを導入できるのか見ていきましょう。
チェックイン・チェックアウト
ホテル業界ではほぼ必ずといっていいほど発生する業務はチェックイン・アウトです。
チェックイン時には身分証明書を顧客から預かり、それらのスキャンやデータ入力をその場ですることが多いですが、OCRの技術とRPAと掛け合わせることで上記の業務をロボット化することが可能となります。
OCRとは紙媒体の文字や数字を認識し、テキストデータへと変換する技術のことです。
このチェックインでの作業を自動化することで、スピード感のある接客を可能とし、さらにチェックアウト時にも請求書が自動生成されるため、顧客の満足度向上にもつながります。
また、データ入力も正確に行われるため、RPAの導入はヒューマンエラーを防ぐことにもなるでしょう。
現在ではセルフチェックインと呼ばれる顧客自身がチェックインの手続きを行えるシステムをとるホテルも増えており、スタッフは別の業務へと集中できるようになっているケースもあります。
顧客データの管理
顧客の情報更新や登録、削除などの業務も、RPAを活用して自動化できます。
RPAでは顧客が提出した情報をシステムに反映させたり、必要な情報を自動で抽出したりすることが可能です。
個別の顧客対応が発生した時にデータを容易に検索しやすくさせるだけでなく、何かマーケティング施策を打ち出す際にもRPAは大いに力を発揮するでしょう。
例えば、特定の年代や国籍、性別等のセグメントごとにキャンペーン等の施策を打ち出すときに詳細なデータの抽出を素早く行えるため、生産性の向上につながります。
予約受付の管理
成功事例でも触れましたが、予約受付管理もホテルでのフロント業務で自動化できる一つの好例です。
一般的なホテルの宿泊予約を行う方法は、自社のホームページ、宿泊予約サイト、電話予約などが挙げられます。
この予約情報を自社システムへと手入力することは時間的コストや営業機会の損失等のデメリットが発生します。
RPAを活用することでこれらの予約情報を自動的かつリアルタイムで管理することができるため、運用効率を上げることにつながります。
顧客対応
ホテル予約時等において発生する、よくある質問への回答や問い合わせの対応などの業務も、RPAを導入することで効率化できます。
顧客からの問い合わせを自動で分類し、適切な返答を自動生成したり、問題解決のプロセスを自動化したりすることが可能です。
インバウンド顧客の多いホテルではチャットボットの活用等により、慣れない言語での電話対応時間を削減できるため、業務効率化を図ることが可能となります。
バックオフィスの業務自動化
次にバックオフィスで自動化できる業務は、以下の3つ挙げられます。
- 請求書処理
- 在庫管理
- 給与計算
これらの業務をRPA化する方法について、詳しく解説します。
請求書処理
大規模なホテルでは客室の清掃や資材の調達など、外部の業者と委託しているケースが多く請求書等の伝票を発行する機会が多いです。
このような会計業務においてもRPAで効率化を図ることが可能です。
RPAを導入することで請求書のデータを自動発行や、システムへの反映、支払いスケジュールの管理を簡便化できます。
在庫管理
ホテルの各部門で使用される備品や消耗品の在庫管理は、定期的な補充や在庫調整が必要なため、RPAを用いて自動化することができます。
在庫レベルの監視や補充のタイミングをRPAを活用して自動的に計算することで、必要な備品の注文や仕入れを行うことができます。
さらに、資材の消耗ペースや需要の予測においても数値化することができるため在庫リスクをなくし、運営コストの削減に繋げることができるでしょう。
給与計算
これはホテル業界のみならず、どの仕事においても発生するものといえますが、ホテルの従業員の給与計算や勤怠管理などの人事業務は、定型的な作業が多く、RPAを導入することで効率化できます。
給与計算等の人事業務をRPAでロボット化することで、人的ミスの削減や業務効率化につながり、ホテル業で発生する別の事務作業に時間を割くことができるため、生産性の向上を見込むことができるでしょう。
導入前の注意点!効率的な運用で最適なDX化を
宿泊業は老舗と呼ばれるホテルや旅館が多数存在しており、他の業種と比較して創業が長い組織が多く存在しています。
業務においても、良くも悪くも伝統的なやり方を重んじていることもケースも多く、人材不足が喫緊の課題となっているホテル業界において知らず知らずのうちにそれが足枷となっていることもあるのではないでしょうか。
少ない人手の中で効率的な業務を行うためにDX化できるものはそのようにシフトすべきです。
本章ではホテルでの業務効率の改善を図るためにRPA等のDXツールを検討している方に向けて、導入前に注意すべき点について解説します。
運用ルールを決める
RPAを導入において非常に大事なことは運用ルールを明確に定めてるということです。
ルーティンワークと言っても過去の事例にはなかったイレギュラーな事態が発生することや思わぬミスが発生することがないとは言い切れません。
そのような事態となった場合、運用ルールが明確でないと業務の効率化どころか無駄な時間や管理コストが発生してしまうということになりかねません。
したがって、責任者の選定やマニュアルの作成など不測の事態に備えた運用ルールを決めておくことが肝要となります。
適切なツールの選択
RPAはツールによって費用や自動化できる業務の範囲も変わってきます。
すなわちどのような業務を自動化したいのか、目的をしっかりと定めることが重要です。
また、操作性やユーザビリティも選定をする上で考慮しておきたい判断基準となるでしょう。
RPAや業務の自動化に精通した従業員がいれば複雑な操作でも問題ないですが、多くの従業員が利用するようなケースであれば使いやすさやサポートの充実度などを重点的に選定しても良いかと思われます。
社内間での事前共有を忘れずに
RPAは業務効率化を推進する上で有効なツールです。
ただし、RPAの導入は属人的であった業務をロボットに置き換えるため、従業員によっては今後の立場に不安を覚える方もいるかもしれません。
RPAの導入はリストラ等による人件費削減ではなく、生まれた時間で業務の効率化や生産性の向上を図る目的だということを共有しておく必要があります。
また、部署間でも共通認識を持っておくことが重要となります。
他部署にも影響が出そうなルーティンワークの場合には、これまでのやり方を急に変えてしまうと混乱を招く恐れもあります。
業務の効率化に繋がらなければRPAを導入する意味がなくなるので社内間での事前共有は忘れずに行いましょう。
業務自動化は「MICHIRU RPA」がおすすめ!
MICHIRU RPAとは、株式会社MICHIRUが開発・提供しているRPAツールです。
低コストかつ、画面の収録・操作選択・操作位置指定という簡単なステップで自動化を実現します。
特徴①:低コストでツールを利用できる
MICHIRU RPAを他のRPAツールと比較したときの大きな特徴は、コストを大幅に抑えられる点です。
「初期費用 10万円、利用料金 5万円/月」という圧倒的にリーズナブルな価格でRPAを導入できます。
RPAツールはコストがかかるものが多いため、中小企業の中には導入に踏み切れない企業も多いでしょう。
MICHIRU RPAなら月額5万円でシナリオの作成数と実行数に制限なく利用できるので、中小企業も小さい定型業務から取り入れやすいのです。
特徴②:使い方やシナリオ作成作業がシンプル
MICHIRU RPAのシナリオ作成作業は、他のRPAツールと比較してもいたってシンプルです。
デスクトップ画面のスクリーンショットを取得し、画像内で基準となるポイントを設定、そのポイントからの距離でクリックする場所をRPAに記憶させます。
画面上での操作を順番に設定していくだけなので、プログラミングのスキルは必要なく、RPAが初めての方でも操作しやすいのが特徴です。
MICHIRU RPAを導入するメリット3つ
ランニングコストの安さ
MICHIRU RPAを導入する大きなメリットは、ランニングコストの安さです。
他社のRPAツールと比較した結果、約半分のコストで継続利用が可能。
Web認証ライセンスを利用すると、1つのライセンスを複数台のパソコンで利用できます。(自動操作の同時実行は不可)
経費を抑えながら業務効率化や生産性の向上が実現できます。
ソフト間の連携に関係なく利用できる
画面の画像解析によって自動化されるので、ソフト間の連携を気にする必要がない点もメリットです。
企業の業務システムがどのような構造でも関係なく、スムーズに自動化を行えます。
自社で自動化を進めることができる
MICHIRU RPAではプログラミング不要でロボットを作成することができます。
また、画面上での操作をベースにロボットを作成していくことができるので、操作の流れがわかりやすく、業務担当者がロボットを作成できます。
業務が変わった場合でもメンテナンスが自社でできるため、素早く対応できます。
記事のまとめ
本記事では、ホテル業界におけるRPA導入のメリットや活用事例、おすすめのRPAツールについて解説しました。
ホテル業には多くの業務がありますが、何が自動化できるかを考える上で業務の棚卸しをして、それらに優先順位をつけることが重要となります。
また、ホテル業界での業務効率化はMICHIRU RPAがおすすめです。
ランニングコストを抑えられる上に画面の画像解析を用いた自動化技術を採用しているため、ソフト間の連携に振り回されません。
予約システムや仕入れ・発注作業の多いホテル等とMICHIRU RPAの相性は非常に良いと言えるでしょう。
1ヶ月無料トライアルも実施しているので、気になった方は一度試してみるのも良いのではないでしょうか。