【事例6選】RPA導入企業の事例を確認し、自社の業務自動化に役立てよう

導入に不安がある方に向けて、参考になるRPA導入企業の事例を紹介

【事例6選】RPA導入企業の事例を確認し、自社の業務自動化に役立てよう

プロジェクトの進捗や成果を最適化する方法を模索している中で、生産性を向上させるRPAが注目されています。

現在、さまざまな企業や業界でRPAツールが活用されていますが「失敗するリスクはないのか」「他の企業の導入状況を知りたい」などの思いから、まだ自動化の導入に踏み切れていない企業も多くあるのではないでしょうか。

今回の記事では、RPAが注目されるようになった背景から、実際にRPAツールを導入した事例についてもご紹介します。

世間ではどのようにRPAツールを活用しているのかを知っていただき、自社の業務自動化に役立てて頂ければ幸いです。

目次

RPAとは

RPAとは

RPAとは(Robotic Process Automation)の略語で、ソフトウェアを使用して業務自動化を実現するテクノロジーのことです。

人が実施している長時間かかっている定型業務や、膨大なデータに対し処理が必要な業務などを自動化することで、生産性の向上や、ミスの低減、従業員のエンゲージメント向上を図ることができます。

さらに、RPAの国内導入率に目を向けると、株式会社MM総研が調査した「RPA国内利用動向調査2022(2022年9月調査)」では、RPAツールの活用が企業規模や業種問わず進んでおり、年商50億円以上の企業では導入率が45%ととなり、約半数の企業が活用するに至っています。

参考:RPA国内利用動向調査 2022(2022年9月時点)

RPAが注目されるようになった背景

RPAが注目されるようになった背景

RPAが注目されるようになった背景は、日本で進行している少子高齢化が要因となっています。

総務省が発表している「高齢化の推移と将来推計」のグラフをみると、生産年齢人口にあたる15〜64歳の人口は今後減り続けていくことが予想されています。

そんな課題に対応するため、女性の社会進出や外国人労働者の受け入れなどの施策も進められていますが、まだ解決には至っていないのが現状です。

そういった人手不足の状況をを解消するための手段として「RPA」が注目されるようになりました。

また、プログラミング知識がなくても利用できるというRPAツールの特性が、IT人材不足とも作用し、さまざまな企業に浸透し業務効率化を実現しています。

金融業界がRPAの活用をいち早くはじめた理由

金融業界がRPAの活用をいち早くはじめた理由

RPA自体は2017年ごろから市場に出始めましたが、いち早くRPAツールの特性に気づき取り入れたのは金融業界です。

なぜなら、さまざまな職種の中でも、金融業界は定型的な事務作業が多く存在しており、それが原因で従業員の長時間労働に繋がったり、処理スピードが顧客満足度に繋がるという特徴から担当者の心的負担になっているなどの課題がありました。

そこで、RPAツールであれば「ルールが定義されている作業」や「何度実行しても正確に稼働する」「疲れや慣れが無く24時間365日稼働できる」といった特徴があるため、効果的に課題を解決できることから、金融業界では他の業界よりも早く自動化の活用が進んだという背景があります。

また、RPAツールではヒューマンエラーを低減できるため、お金を扱う金融業界とはそういった観点でも相性が良かったと言えます。

RPA導入企業の事例6選

続いて、RPAツールを導入した企業事例を6つ挙げて解説をしていきます。

金融業界:三菱商事フィナンシャルサービス株式会社

金融業界:三菱商事フィナンシャルサービス株式会社

三菱商事フィナンシャルサービス株式会社は、三菱商事グループにおける財務・経理・審査・総務等のバックオフィス関連業務を受託している会社です。

同社では品質の向上に取り組んでいますが、業務の性質上、売上などの結果で評価できるような業務ではないため、業務効率と品質の向上が重要となります。

また、部門によってはミスが許されない業務も多数あるため、従業員の心的負担になっています。

また、同社ではさまざまな業務に対しシステム化が進んでいますが、一部手作業の業務が存在しており、記帳後のデータを抽出して分析する、異常値を発見する、管理データを作成する等の業務は手作業で実施しているため、工数がかかっている状況です。

こうした、既存のシステムを適用できない領域にも業務効率化を適用したいという思いから、RPAの導入を決定しました。

さらに、RPA導入時のポイントとして「社員全員が関心をもって参画すること、また全員が使えるようになること」を掲げ、属人化することで発生する「RPAツールに関する緊急課題への対応力が弱くなる」「担当者が移動するとメンテナンス出来なくなる」などのデメリットへ対応しています。

そういった自動化推進を行うことで、 従業員はリソースを創出することができ、業務を深堀りするための時間として有効活用したり、限られた時間内で実施する反復的業務による心理的な負担やプレッシャーから解放され、より付加価値の高い業務に集中できるようになりました。

小売業界:株式会社そごう・西武

小売業界:株式会社そごう・西武

国内に10店舗展開を行う「株式会社そごう・西武」では、食品売り場の商品を顧客のもとへ届ける「e.デパチカ」サービスを提供しています。

それは「出前館」を経由して「株式会社そごう・西武」のデパ地下で販売している商品を載せ、顧客が注文した商品を自宅へ配送するというサービスです。

そのサービスを提供するにあたり課題となっていたのは、注文を受けるフローの部分で、操作手順としては担当者がタブレットで注文状況を確認し、受注したら手作業でブランドごとの発注票(Excelフォーマット)に作り替えて、プリントアウトし後続作業のスタッフに渡すという流れでした。

しかし、人の手で作業を実施しているため、注文数が一日40〜50件を超えたあたりで、ヒューマンエラーが発生するようになったため、解決策としてRPAツールを導入しました。

従来、手作業で実施していた業務を自動化することで、5分程度かかっていた作業が1分に短縮され業務効率化に繋げることができました。

また、担当者はミスが許されないというプレッシャーからも解放され、より生産性を向上できる業務に注力できるようになっています。

インフラ業界:ナカシャクリエイテブ株式会社

ナカシャクリエイテブ株式会社は、電力、ガス、通信、鉄道、道路、航空などのインフラ事業や文化財事業に携わり、システム開発から現場支援まで、多岐にわたる領域で支援している会社です。

かねてより業務効率化の推進には取り組んでいましたが、さらに効果を高める目的でRPAツールの導入を決定しました。

ナカシャクリエイテブ株式会社が抱えていた課題として、業務効率化は進めていたが、部署によって業務量の多さに対応しきれず、人海戦術で乗り切っていたために残業の問題が深刻化していました。

その問題に対処するべく実施したこととして、時間やコストのロスを生み出している作業、つまり人がミスを起こしやすい作業の「見える化」から取り組みました。

また、あわせて問題となっている作業の工程・工数の見直し論理的な理想工数を算出。

そこで選定した業務に優先順位を設け自動化を適用していき、結果として削減効果は年間682時間以上の工数削減を実現しています。

この結果を受けて、社内に専門のRPA推進チームを立ち上げ、自動化の適用範囲を全社に拡げ、引き続き業務効率化を推し進めていくとのこと。

運送業界:松浦通運株式会社

運送業界:松浦通運株式会社

北部九州でトラック輸送をはじめ、唐津港での港湾荷役や倉庫・通関業などの総合物流サービスを展開している松浦通運株式会社は、自社で安全運行徹底(ながらスマホ防止や配達状況確認)を図るための施策として画像解析のAI(人工知能)を導入しました。

そして、その運転中の画像を自動転送する仕組みを構築する為に活用されたのがRPAツールです。

松浦通運株式会社では、手作業で録画データが保存されているシステムから、データをエクスポートし、目視で安全管理担当者がチェックを実施していました。

作業自体は月一回程度でしたが、実施するには膨大な工数と手間ががかかっていました。

そこへRPAツールを活用することで、録画データのエクスポート、対象の動画を画像分析し疑わしいと思われるデータの別保存まで、一連の作業を自動化することが可能となりました。

その結果、すべて手作業で実施していた作業でしたが、手作業で実施するのは疑わしいデータの最終チェックだけとなり、大幅な業務効率化に繋がっています。

また、自動化は別業務にも適用されており、例えば荷物の配達状況確認にも活用され、作業時間が導入前と比較すると2割未満に短縮されたことや、業務フローが改善され業務知識がなくとも対応できるようになっています。

そのように、さまざまな業務に自動化を適用することで、およそフルタイム従業員1人分にあたる年間約1,900時間相当の業務効率化に成功しています。

不動産業界:株式会社マエダハウジング

不動産業界:株式会社マエダハウジング

広島県内で住宅リフォーム事業などを展開する株式会社マエダハウジングは、経営理念の実現に向け、価値あるサービスを提供するためには対応する社員の時間創出が必要で、人時あたりの作業量を増やす生産性向上が欠かせません。

そこで事務作業においても、極力人の手を介さない自動処理を進めるため、施工や勤怠などの管理にWebサービスを活用して効率化を図ってきていましたが、その各データを連携するための手段としてRPAを導入しました。

まずはじめに、元々設置されていた「DX推進委員会」を通じ、RPAを活用して自動化したい作業を募集。

想定される効果が高いものから選定し、工事完了のお客様に確認ハガキを郵送する業務や、勤務予定と勤怠システム上の打刻との照合や、不一致がある社員への確認・修正依頼メッセージの送信していた勤怠実績の確認作業などを自動化に着手しました。

その結果、担当者が1日がかりで処理している作業を、ほぼ完全に自動化できるといったケースも含め、年間900時間相当の削減に成功。

また、副次的な効果として「ストレスフルな業務を自動化でき楽になった」など、従業員のエンゲージメントを高める効果も出ています。

今後の活動として、業務負担の高そうな部署を訪れ、担当者へのヒアリングを通じ新たな効率化のターゲットを探り、業務効率化を推進していくとのことです。

医療業界:福岡県済生会福岡総合病院

医療業界:福岡県済生会福岡総合病院

福岡市にある社会福祉法人恩賜財団済生会 福岡県済生会福岡総合病院は、DX戦略を進めており、院内事務業務の可視化が進展したのを機に、RPAの導入を決定しました。

導入の背景として、新型コロナウイルス感染拡大のタイミングで、院内専用のシステムと紙書類を多用していたため、約120人いる事務職員の在宅勤務が進まないという課題が表面化します。

その課題に対応するために、まずは現状の業務量調査として作業内容や時間、頻度などを可視化し、業務の実態把握を実施しました。

実態を把握したことで、業務フローの効率化が進み、以前は1カ月を要した決裁が1週間以内に完了するようになりました。

そういった業務効率化の活動が推進されることで、数年前から検討していたRPAの活用が本格的に検討されるようになりました。

RPA導入後は、手間のかかっていた「退院時に症例データを『日本脳卒中データバンク』に転記するロボット」や「約150通のメールを個別送信するロボット」の2業務に自動化が適用されています。

効果として、転記するロボットは1回あたり2時間かかっていた作業を30分に短縮でき、個別メール送信は半日(4時間)を要していた作業が、わずか5分にまで削減することができました。

今後の展望としては、院内で自動化を内製化できるようRPAツールを使った開発者の育成を進め、各部署で自律できる運用を目指す計画とのことです。

【記事まとめ】導入の際は成功事例を参考にしよう

【記事まとめ】導入の際は成功事例を参考にしよう

今回の記事では、RPAの導入企業について事例を挙げ、どういう背景でRPAツールの導入に至ったのか、どうやって自動化を適用する業務を選定したのかなどについて解説をしました。

RPAは2017年ごろに登場したツールで、まだ世間への認知度としては浅いため「失敗するリスクはないのか」や「無駄な費用になってしまわないか」「価格に見合った効果はあるのか」などの懸念から、導入に踏み切れない企業は多くあるのではないでしょうか。

しかし、近年は働き方の改革などにより「コスト削減」「長時間労働の抑制」「ライフワークバランスの実現」「クリエイティブな業務時間の確保」が企業に求められており、業務の効率化や生産性の向上は必要不可欠な活動になっています。

そのため、今回の記事で紹介したような具体的な導入企業の事例や成功体験を知ることで、RPA導入に関する一助になれば幸いです。

また、RPA導入や活用方法に不安を感じる場合は、RPAツール提供元のサポートを受け相談するのもおすすめですので、ぜひ活用してみてください。

RPA導入にかかる費用相場はいくら?コストを抑えたい方におすすめのツールも

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