RPA(ロボットによる業務の自動化)とは、企業の効率化や生産性向上に効果的なツールです。
しかし、初めてRPAを使用するとき、導入の進め方について迷ってしまう企業が少なくありません。
そこでこの記事では、RPAツール導入の進め方と注意点についてわかりやすく解説していきます。
RPAの活用を検討している経営者や担当者の方は、ぜひこの記事を参考にしてスムーズな導入を実現しましょう。
RPA導入の進め方
RPAを導入の進め方は、次のような手順になります。
- 業務プロセスをすべて洗い出す
- どの業務にRPAを導入するか選ぶ
- RPAツールの選定を行う
- 無償版でトライアルを行う
- 本格的に導入を進める
各手順を詳しく解説していくので、正しい進め方でスムーズに導入しましょう。
STEP①業務プロセスをすべて洗い出す
まずは自社の業務プロセスを洗い出します。この時点では「実際に自動化するかどうか」を考えず、全体の業務を把握することが大切です。
各業務における現状の作業時間や費用、人員などを可視化し、自動化する業務の選定につなげます。
洗い出しの進め方としては、以下のようなアプローチがおおすすめです。
- 担当者や各部門に業務内容のヒアリングを行う
- 実際の業務に同行して作業工程を確認する
- 業務マニュアルやフローチャートなどの資料を分析する
既存の業務記述書類を活用したり、経験者に聞き取りをするなどして、業務を見逃さないよう気をつけましょう。
STEP②どの業務にRPAを導入するか選ぶ
業務プロセスを洗い出したら、その中から自動化するメリットが大きいものを見極めます。
RPAに適しているのは、おおむね次の3つを満たす業務です。
- 作業内容が定型的
- 作業手順が明確に決まっている
- 同じ作業の繰り返しが多い
上記に当てはまる業務であれば、自動化も大きな効果が期待できます。
一方、次のような業務はRPAに向いていない可能性があります。
- 複雑なロジックや例外処理が多数ある
- 頻繁に要件が変わる
- 人の判断が必要となるタイミングが多い
RPAのメリットを最大限に生かすため、自動化する業務に優先順位をつけましょう。
STEP③RPAツールの選定を行う
自動化する業務が決まったら、どのRPAツールを使うか検討します。
ツール選定時は、次のポイントを比較しましょう。
- 自動化したい業務に対応しているか
- 導入・運用にかかる費用はいくらか
- 自社の環境に適しているか
- サポート体制は整っているか
もっとも重要なのは、自動化したい業務に対応しているかどうかです。この条件を満たせなければ導入する意味がありません。
次に、導入時や運用開始後にかかる費用を調べます。ツールの利用料以外に、ソフトウェアをダウンロードする機器(パソコンや自社サーバー)が必要なケースもあるので注意が必要です。
また、自社の環境に適していることも大切です。独自の技術やレガシーシステムを使っていると、ツールとうまく連携できない可能性があります。
RPAに詳しい人材が自社にいない・少ない場合は、サポート体制の充実度もチェックしましょう。導入時だけでなく、運用後もしっかりとした支援を受けられるツールが理想です。
STEP④無償版などでトライアルを行う
ツールを選定したら、無償版や最小規模の契約でトライアルを行います。
お試しで使ってみることで、自社環境での動作確認や導入後のリスクがわかります。
トライアル時のチェックポイントは、以下のよう項目を意識しましょう。
- 操作方法や開発難易度
- 既存システムとの連携の可否
- 本番環境での実行パフォーマンス
トライアル期間中に課題が見つかれば、ツールの選定や要件定義の見直しを行えます。
STEP⑤本格的に導入を進める
トライアルで効果が見込めると判断できたら、本格的な導入フェーズへと移行します。
具体的には、以下のような進め方でRPAを活用する体制を整えます。
- RPAの運用ルールや権限を設定する
- 開発・運用を担当する人員を確保する
- 操作マニュアルの作成や社内講習を実施する
- 障害対応フローや保守計画を立てる
導入の進め方は以上となりますが、その後の効果測定や運用・保守も大切です。削減できた業務時間や社員の満足度など、定量的・定性的な評価を継続して行いましょう。
RPA導入時の注意点4つ
RPAの導入は、進め方以外にもさまざまな注意点があります。
- 自動化する業務は定型的なものを選ぶ
- 導入目的や運用体制を社内に浸透させておく
- ベンダー側のサポート体制をチェックする
- まずはスモールスタートで導入する
各注意点を解説していくので、事前に把握して備えておきましょう。
①自動化する業務は定型的なものを選ぶ
RPAは何でも自動化できるわけではなく、柔軟な対応が求められる業務には不向きです。
そのため、自動化する業務は定型的なものを選ぶ必要があります。例えば、次のような業務におすすめです。
- データの入力・加工
- 勤怠管理
- メール配信
- 帳票やレポートなどの書類作成
- 会計処理
定型業務を自動化して時間を確保し、その分で高付加価値業務に注力できるよう、うまく使い分けるようにしましょう。
②導入目的や運用体制を社内に浸透させておく
RPA導入は業務プロセスの大幅な変更を伴うため、社内への浸透が不可欠です。
関連する部署・人員の理解が得られるよう、導入目的や効果、運用ルールなどを事前に説明しておきましょう。
疑問点や不安点があれば一つひとつ解消し、理解者を増やしていくことで、RPA導入を成功に導けます。
③ベンダー側のサポート体制をチェックする
RPAツールのサポート体制はベンダーによって違いがあるため、選定の段階で内容を詳しく確認しておく必要があります。
導入時のサポートはもちろん、運用後も気軽に質問できるサービスがあれば理想的です。
相談出来る内容や問い合わせ方法、対応時間などを比較し、十分なフォローが期待できるベンダーを選びましょう。
④まずはスモールスタートで導入する
RPAは自社の業務体制を大きく変えるため、いきなり大規模な導入をするとリスクも大きくなります。
コストや手間の面からも負担が大きいため、最初は部分的な業務から導入するのがおすすめです。
スモールスタートで失敗のリスクを抑えつつ、運用ノウハウを積み重ねながら対象業務を広げていきましょう。
記事まとめ
本記事で解説したRPA導入の進め方を振り返ると、以下のようになります。
- 業務プロセスをすべて洗い出す
- どの業務にRPAを導入するか選ぶ
- RPAツールの選定を行う
- 無償版でトライアルを行う
- 本格的に導入を進める
業務プロセスの見直しから始まり、本格的な導入まで段階的な進め方を取ることが大切です。
焦らず1つずつクリアしていき、スムーズにRPAを活用していきましょう。