RPA(Robotic Process Automation、ロボティックプロセスオートメーション)とは、従来人間がPC上で行っていた作業を自動で処理するソフトウェアロボットです。
現在、多くの業界・企業で導入が進められているこのRPAですが、「導入がゴール」ではなく、効果的に運用を続けていくためには適切な「保守」が欠かせません。
この記事では、RPAの運用に保守が必要な理由をはじめ、導入前に確認しておくべき保守に関する注意事項を解説していきます。
これからRPAを導入することをお考えの企業の方はもちろん、現在RPAの保守やメンテナンスにお悩みの方もぜひ参考にしてみてください。
RPAの運用には「保守」が欠かせない!
先述した通り、RPAは導入したらそれで終わりというわけではなく、その後も保守を続けていくことによって安定した運用が実現されます。
RPAでいう「保守」とは、ツールの改修や調整のことを指し、メンテナンスのことです。 RPAツールを安定して稼働させること、またそのために監視や管理を行うことを「運用」とするのに対し、「保守」はツールの停止や不具合などのイレギュラーなトラブルに対応することと言えるでしょう。 保守を怠れば、RPAの導入が失敗に終わってしまうことは容易に想定できます。 当初見込んでいた費用対効果が出ず、実際に運用が頓挫してしまうケースも少なくありません。 またRPAのデメリットの一つとして挙げられる代表的なものとして「業務が停止する可能性」があります。 RPAはITツールです。 そのため、システム障害や停電などによりソフトウェアロボットが停止してしまうリスクを0にすることは非常に難しいでしょう。 また見落としがちな点として、RPAが操作する画面やアプリケーションの仕様に変更があった場合でも、RPAはあらかじめ設定したシナリオ通りにしか動くことができません。 このような場合は、ハードウェアが正常に動作していてもエラーとなり、RPAは停止してしまいます。 RPAが停止する、と言うことはつまり、RPAに自動化させている業務自体が停止すること意味します。 こうした事態を防ぐためには、日頃からのハードウェアのメンテナンスはもちろん、シナリオやRPAが操作するアプリケーションのアップデートがないかどうか、また画面に変更がないかなどを確認し、適宜修正していく必要があるのです。 RPAを適正に運用し、より高い費用対効果を得るためには、導入後の保守に対してあらかじめ策を講じておくことが重要です。 ここでは、RPAの導入に際して確認しておくべき保守に関する事項をいくつか紹介していきます。 RPAの導入にあたって、業務プロセスの可視化は最も重要なポイントとなります。 RPAの導入が失敗してしまう多くの原因は、プロセスの可視化が十分にできておらず、RPAの作業内容がブラックボックス化してしまうことにあります。 RPAの作業内容がブラックボックス化してしまうと、ロボットの修正やアップデートなどの保守をするにもしようがない状況となってしまうのです。 このような状況を防ぐためには、自動化する業務の内容やそのプロセスを資料にまとめておき、誰もがいつでも確認できるようにしておく必要があります。 業務そのものやRPAの担当者が不在の時にRPAが停止しても、保守作業が滞らないよう、プロセスやシナリオを文書化しておくようにしましょう。 RPAの導入が日本国内で広く進んでいる理由の一つとして、IT人材の不足が挙げられます。 少子高齢化の影響もあり、日本企業にはIT人材が不足しているのが実情です。 それを解決する一つの手段として、業務を自動で実行できるRPAの導入が進んでいるのです。 このような背景からRPAを導入したものの、その運用・保守を行える人材が社内にいなければ、RPAを効果的に活用することは困難といえます。 この解決策として、以下のような方法が挙げられます。 最も理想的なのは、現場の従業員を教育すること、さらに運用・保守のための専門部署を社内に設置することです。 ただし、これら教育や組織の設置には多大な時間や労力がかかります。 上記が難しいのであれば、社外リソースをうまく活用して保守を行なっていくことも視野に入れましょう。 先述した「社外に保守を行える人材を確保すること」とも繋がってきますが、そもそも「サポート体制が整備されていること」を重点において、RPAを選定することも有効な方法です。 RPAは、日本におけるIT人材の不足も相まって導入が進んでいるツールであり、もちろんRPAの提供者であるベンダーもそれを理解した上でRPAを開発しています。 RPA自体のアップデートが頻繁に行われたり、プログラミングが不要などある程度簡単に開発されていることはもちろんです。 それでもユーザーが実際にRPAを利用する際には、運用や保守に際するさまざまな面でトラブルや疑問が発生するはずです。 そこで、多くのベンダーはRPAの運用・保守に関するサポートサービスを提供しています。 このサポートサービスを活用することを前提としてRPAを選べば、保守が必要になったタイミングでの現場のパニックを防ぐことができるでしょう。 インターネットで検索すればすぐにRPAツールのレビューを調べることができます。 実際のユーザーレビューや導入事例を確認して、保守に関するサポートサービスの有無や品質を調べることもおすすめです。 ここまで、RPAの保守とは何か、その概要や保守が必要な理由、また導入前に確認すべき保守に関する事項について紹介しました。 ここではさらに踏み込んで、実際に保守が発生した場合に、それを効率よくこなすための方法を紹介していきます。 そもそもRPAは、あらかじめ設定したシナリオ通りにしか動くことができないことをよく理解しておきましょう。 その上で、当たり前ではありますが、シナリオが正確に設定されていればRPAがエラーを起こすこともありません。 エラーが発生しなければ、適宜修正をかける必要もないのです。 そのため、まずはRPAで自動化したい業務の手順を正確に洗い出しましょう。 ワークフローはRPAの運用・保守担当者ではなく、業務を実際に手掛けている部門担当者の方が詳細に把握しているはずです。 RPA運用や保守の専任がいるとしても、シナリオ作成は現場の従業員など部門の担当者を交えて進めていくことをおすすめします。 RPAが止まってからメンテナンスをするのは当然ですが、定期的に保守を行うようにしましょう。 定期メンテナンスを設けることで、仕様変更の有無を確認できますし、業務フローや処理内容が正しいかをチェックすることができます。 またこの定期点検の際に、新たに自動化したい業務がある場合のシナリオ設定はどのように進めるのかであったり、不具合が生じた場合の対処方法や人員についても確認しておくことをおすすめします。 シナリオの内容が間違っていても、エラーにならなければRPAは作業を続けてしまいます。 つまり、膨大な時間をかけて間違った成果物が出来上がってしまうリスクもありますので、本格導入の前にテスト稼働をさせることはもちろん、定期的に保守を行うことが重要です。 発生するエラーをあらかじめ想定しておくことで、それへの対応策を講じておくことができます。 RPAがぶつかる可能性があり、エラー発生の原因となる例外は、「ハードウェア原因」と「アプリケーション原因」の2つに分けられます。 「ハードウェア原因」の場合、たとえばRPAをインストールしたPCが故障したり、PCの性能が足りておらず、RPAが止まってしまったりという状況が考えられるでしょう。 こちらの場合は、PCの修理やアップグレードで対処できます。 「ハードウェア原因でエラーが起きた場合はシステム部門に依頼する」「PC自体のベンダーにRPA導入を伝えておき、PCの保守ができるかを確認する」など、あらかじめ手を打っておくことをおすすめします。 続いて、アプリケーションが原因で例外が発生するケース。 RPAが停止してしまう原因の具体例としては、「RPAが操作するアプリケーションのUI(ユーザーインタフェース、画面)において、ボタンなど仕様が変更されている」「ダウンロードするファイルの拡張子が変更されている」などです。 アプリケーションやアップデートのタイミングによってその内容は異なり、RPAがエラーとなってしまうケースのほとんどが、アプリケーション原因による例外といえます。 これらの変更の多くは事前通知がなく、防ぐことが難しいため保守作業は必ず発生します。 しかし、アプリケーションが原因でRPAが停止することは事前にわかっていることです。 そのため、最初のRPAシナリオ作成時に「例外が起きた場合にどのように処理をするのか」をきちんと決定しておきましょう。 通常とは異なる例外が起きたときの動きを指定できるケースもありますので、そのような場合は例外処理をシナリオに組み込んでおくことも重要です。 この記事では、RPAの運用に保守が必要な理由をはじめ、導入前に確認しておくべき保守に関する注意事項を解説しました。 ソフトウェアを利用しPC上でのルーチンワークを自動実行するRPAツールですが、業務効率化や生産性向上を叶えるためには定期的な保守や作業内容の確認が必須となります。 RPAを導入してから保守に手詰まってしまうようなことが起きては、解決が困難になってしまうでしょう。 そのため、今回紹介したような項目をあらかじめ確認し、保守の方法やエラーが発生した場合の対応策を事前に講じた上で導入を進めることをおすすめします。保守の失敗=RPA導入の失敗
RPAの保守を確たるものにするために。導入に際して確認しておくべきこと
自動化する業務の内容やプロセスを資料にまとめておく
社内外にRPAの管理やメンテナンスができる人材を確保する
サポート体制が整備されているツールを導入する
メンテナンス効率を上げる方法
業務手順を正確に洗い出し、設定する
エラーが発生してからではなく、定期的にメンテナンスする
発生するエラーを想定しておく
ハードウェアが原因となる例外
アプリケーションが原因となる例外
記事まとめ