介護施設では、利用者への身体介助や生活支援といった直接的なケアに加え、介護記録の作成・介護保険（報酬）請求・シフト管理など、多くの事務作業が日常的に発生しています。
RPAは、定型的で繰り返し発生する業務を自動化するため、作業時間の短縮や入力ミスの防止に繋がり、現場スタッフの負担を軽減することが可能です。
本記事では、介護現場の業務を効率化するRPAの導入メリット・できることについて、おすすめRPAツールのご紹介と共に詳しく解説していきます。
介護現場の業務を効率化するRPAとは
RPAとは、介護施設や在宅介護サービスで発生する事務作業・データ処理・情報入力など、定型業務を自動化できる「Robotic Process Automation（ロボティック・プロセス・オートメーション）」の略称です。
RPAは、パソコン上で行う「クリック操作」や「入力作業」を人の代わりに行えるため、介護スタッフがケア業務に集中できる時間を増やしたり、働きやすい職場作りに貢献します。
特に、RPAは、請求処理・勤怠管理・利用者情報のデータ入力・データ移行など、ルールが明確で繰り返し行われる業務に効果を発揮し、業務効率化や人的ミスの削減に大きく貢献します。
介護業界におけるRPAの重要性
RPAは、慢性的な人手不足や業務量の増加が課題となっている介護現場において、スタッフの負担を軽減しながら、業務品質と効率化を向上させるために欠かせません。
なぜなら、介護スタッフは、利用者へのケアだけでなく、介護記録の作成・利用者情報の入力・請求処理・シフト管理（勤怠チェック）など、多岐にわたる事務作業をこなす必要があるからです。
介護現場では、RPAを導入することによって、事務作業を自動化できるため、スタッフの心的・身体的負担を軽減しながら、より本質的なケア業務に時間を充てることができます。
また、介護業務におけるRPAの導入は、現場のデジタル化を推進し、介護サービスの向上にも繋がります。
介護現場でRPAを導入する際には、自動化できる業務を洗い出し、徐々に自動化する範囲を広げることで、無理なくスムーズに運用可能です。
介護業界にRPAを導入する際の課題
介護業界にRPAを導入する際の課題は、業界特有の業務実態とIT環境の状況によって、スムーズな運用が困難となり、導入効果を見込みにくい点です。
介護現場では、紙書類での運用が多く、デジタル化が十分に進んでいないケースもあるため、RPAが扱えるデータ形式に整っていないことが大きな障壁となります。
例えば、紙の介護記録からデータ化する作業や、既存の介護ソフト・システムとの連携が複雑で、RPA導入前に業務フローを再構築する必要もあります。
また、介護現場では、利用者ごとに個別対応が必要な作業も多く、現状のままだとルール化が難しいため、自動化する業務の候補を選定したり、業務フローの標準化が必要不可欠です。
さらに、ITに苦手意識を持つスタッフが多い職場では、RPAの運用が難しく、導入後に活用が進まないケースも発生するので、導入時に研修やサポート体制の整備が求められます。
加えて、介護業界では、利用者の個人情報や医療情報を扱うことから、セキュリティ対策や法令遵守（個人情報保護法や介護保険制度の規定）する必要があり、アクセス管理・監査ログ・暗号化などの運用設計が必要です。
介護業界にRPAを導入するメリット
慢性的な人材不足が課題となる介護業界では、事務作業の一部をRPAに任せることで、限られた人員でも効率よく業務を回すことができます。
特に、RPAは、24時間稼働できることから、締め切りがある資料作成や集計作業を深夜に行えるので、残業の削減と働き方改革に貢献します。
ここからは、介護業界にRPAを導入するメリットについて、わかりやすく解説していきます。
人的ミスの削減
介護現場では、利用者情報の入力・介護記録の更新・各種帳票作成・請求処理など、毎日多くの事務作業が発生します。
しかし、事務作業は、細かな確認を必要とするため、人が手作業で行うと、忙しさや疲労によって、転記ミスや数字の打ち間違いが起こりやすいです。
そこで、介護現場では、RPAを導入することによって、設定通りに自動で入力・確認作業を行えるので、誤入力の発生を抑制し、人的ミスを最小限に抑えられます。
人手不足の解消
介護業界は、全国的に人手不足が深刻化しており、限られた人材で膨大な業務をこなす必要があります。
特に、介護の現場では、利用者へのケア業務に加えて、記録作成・データ入力・勤怠管理・請求処理など、多種多様な事務作業が日々発生しています。
これらの作業は、時間と労力を必要とし、スタッフに大きな負担を与えていることから、残業の増加に繋がって離職理由の一つとなっています。
そこで、介護業界では、定型的な事務作業をRPAで自動化することにより、スタッフの業務負担を軽減したり、ケア業務に集中できる余裕を生み出し、人材不足となるストレスの要因を解消することが可能です。
特に、RPAは、24時間稼働できるので、締め切りのある作業や夜間処理にも対応できるため、業務の遅延を防ぎながら効率的に作業を進行できます。
業務量過多によるスタッフの負担を軽減
介護の仕事は、利用者のケア業務だけでなく、事務作業も同時並行で進める必要があり、スタッフが慢性的に疲労やストレスを抱えやすい環境になっています。
特に、記録の作成やデータ入力は、毎日必ず発生する業務であり、正確さとスピードが求められるため、スタッフの負担が増えがちです。
そこで、介護現場では、RPAを導入することで、繰り返し発生する事務作業を自動化できることで、現場の負担が大幅に軽減され、より働きやすい環境が実現します。
スタッフは、ケアに集中できる時間も確保できるため、精神的な余裕を持ちながら業務に取り組めるようになり、より丁寧な対応ができるようになります。
業務量過多によるスタッフの負担軽減は、働きやすい職場環境を実現し、サービスの質を維持・向上させるために不可欠であり、施設全体の評価にも影響を与えます。
リソースとコストの削減
介護施設では、日々多くの定型業務が発生しており、これらの作業に時間を割かれてしまうと、人手不足の現場にとって大きな負担で、結果的にコストの増加や業務効率の低下を招きます。
しかし、RPAは、設定したルールに基づいて24時間自動処理を行えるため、作業量が増えても追加の人員を雇用する必要がありません。
そのため、RPAの導入は、限られたリソースを効果的に活用できる環境を整え、限られた予算内でコスト削減と業務の効率化を同時に実現します。
特に、RPAは、既存のシステムと連携しながら運用できるので、大規模なシステム開発や入れ替えを必要とせず、比較的低コストで導入できます。
RPAは、限られたリソースを有効活用しながら、質の高い介護サービスを維持するために、今後ますます重要な役割を担うと注目されています。
作業の効率化
請求データの転記や記録の整理など手間のかかる作業は、あらかじめ設定したルールに従って、RPAが自動で高速処理するため、人が処理するよりも短時間で完了できます。
基本的に、人が行う作業は、経験やスキルによって、ばらつきが出やすいですが、RPAは決まった手順で処理を行うため、常に一定の品質を維持できます。
介護現場では、作業手順が統一されることで、スタッフの負担が軽減されるだけでなく、業務の引き継ぎもスムーズになり、組織全体の運営も安定します。
その結果、介護スタッフは、ケア業務に割ける時間が増えるようになり、利用者へのサービス品質の向上に繋がります。
介護業界でRPAができること
RPAは、利用者情報の入力 / 記録・報告書 / 請求書の作成・勤怠管理・介護記録・行政提出書類の準備など、多くの事務作業を自動化できます。
ここからは、一部ではありますが、介護業界でRPAができることをご紹介していきます。
介護記録（電子カルテ）や各種データの自動入力・整理
介護現場では、利用者のバイタルデータ・食事・排泄状況・ケア内容・リハビリの実施記録など、多岐にわたる情報を随時入力しなければなりません。
しかし、これらの作業は、手入力だと時間がかかるうえに、疲労によって入力ミスも発生しやすいです。
そこで、RPAを導入した場合は、データを自動で入力・整理することができるようになり、正確かつ迅速に行えるため、スタッフの負担が大幅に軽減されます。
また、RPAは、ただデータを入力するだけではなく、データの分類 / 抽出・フォルダ整理・レポート生成までも自動で行えるため、管理者が施設全体の状況を迅速に把握することが可能です。
これにより、現場スタッフは、人員配置の判断（見直し）やケアプランの改善など、意思決定がスムーズに行えます。
介護保険の請求業務
介護の現場では、毎月の介護保険（報酬）請求をはじめ、利用者ごとにサービス提供実績記録票 / 加算項目のチェック・単位数の計算・請求データの作成など、多岐にわたる作業が必要です。
特に、介護保険（報酬）請求は、複雑なルールに基づいて行われるため、入力ミスや計算間違いがあると、返戻や再処理が必要になることから、管理者や事務担当者に大きな負担がかかります。
そこで、介護業務では、RPAを導入することにより、従来よりも短時間で請求準備が完了し、煩雑な請求業務を正確に処理・実行できるので、ミスによる手戻りが減って、業務効率とコスト削減を実現します。
基本的に、RPAは、請求データの入力や確認・システム間の情報移行を完全に自動化するため、時間のかかるルーティン作業をなくし、月末月初に集中しがちな業務負担の軽減が可能です。
勤怠管理やシフト作成
介護現場では、24時間体制でスタッフが働くため、勤怠管理が非常に複雑であり、スタッフの勤務条件・資格・希望休・夜勤の回数制限などを踏まえてシフトを組むと、多くの時間と労力が必要です。
従来、シフト作成は、担当者がExcelや専用システムに手入力し、勤務条件と人員配置のバランスを見ながら、時間をかけて調整していました。
しかし、RPAは、スタッフの資格情報・勤務可能時間・夜勤回数の上限・希望休などの条件を自動で読み取り、最適なシフト案を短時間で作成することが可能です。
加えて、RPAは、スタッフの出退勤情報をシステムから自動取得し、規定に沿って欠勤・遅刻・早退の判定や、休日数と残業時間を正確に処理できるため、手作業による確認作業を大幅に削減します。
これにより、担当者は、単純なチェック作業から解放され、他の業務に時間を充てられるようになります。
メール送信
介護現場では、毎日の業務連絡・利用者の状態報告・緊急時の情報共有・研修 / 会議の案内・シフト共有・請求関連の案内など、メール送信の頻度が非常に高いです。
しかし、メール送信は、手作業で行うと送信漏れ・添付ファイルの間違い・宛先ミスなど、ヒューマンエラーを起こしやすく、情報共有の遅れに繋がる可能性があります。
そこで、介護現場は、RPAを導入することで、メール業務を正確かつ迅速に行えるようになり、スタッフの業務効率と情報伝達の質が向上します。
例えば、毎月決まった日に送る請求の案内メールや、利用者家族への定期的な状況報告など、内容がほぼ固定されているメールだと、RPAがテンプレートに従って自動作成・自動送信できます。
メール送信の自動化は、スタッフが文面作成や送信作業の負担から解放され、より重要な業務に集中することが可能です。
特に、個人情報を扱う介護業界においては、誤送信は重大な問題であることから、RPA導入によるリスクの軽減は大きなポイントです。
帳票整理
介護施設や事業所では、利用者ごとの介護記録・ケアプラン・請求関連の資料・職員の勤怠データ・行政提出書類・各種報告書類など、多種多様な帳票が毎日のように作成されています。
しかし、帳票整理は、確認作業やデータ入力に時間がかかるうえ、書類の紛失や分類ミスが発生しやすいという課題があります。
例えば、RPAは、ファイル名・記載内容・日付・利用者名などの情報を基準に、決められたフォルダへ書類を仕分けることが可能です。
RPAは、担当者による仕訳作業を完全に自動化できるため、探し物の時間削減や書類紛失リスクの低減に繋がり、スムーズで正確な帳票管理を実現します。
また、共有フォルダ内のルールを統一化することは、誰が見ても探しやすい構造が維持され、どのスタッフでも必要な帳票をすぐに確認できる環境が整います。
介護業界でのRPA導入事例
RPAは、パソコン上での定型業務を自動化できるため、介護スタッフや事務担当者の負担を軽減し、心的ストレスの抑制にも繋がっています。
ここからは、慢性的な人手不足や、事務作業の多さに悩む介護業界での「RPA導入事例」について、詳しく解説していきます。
事例１：関東圏の特別養護老人ホーム
関東圏の特別養護老人ホームでは、介護保険（請求）業務の自動化を実施し、職員が手作業で行っていた「請求データの入力」や「チェック作業」をRPAが代行しています。
RPAによる自動化は、月30時間以上の業務削減に成功し、入力ミスが減少したことで、請求業務の正確性と効率化に繋がっています。
事例２：中規模の有料老人ホーム
中規模の有料老人ホームでは、RPAを導入したことでパソコン業務がマニュアル化し、運用効率が定着したことで、介護記録データの集計と報告書の作成を自動化しています。
RPAは、現場職員が入力した記録を集約し、管理者向けの帳票を自動生成するため、管理業務にかかる時間を大幅に削減しています。
事例３：訪問介護事業所
訪問介護事業所では、RPAの導入により「従業員の勤怠管理」と「給与計算前のデータ整理」を自動化しています。
自動化の内容としては、RPAがシステム間のデータ転記を行うことで、事務担当者の作業負担を軽減し、月末処理の残業時間削減に成功しています。
介護業界におすすめのRPAツール
介護業界におすすめのRPAツールは、専門的なIT知識がなくても扱いやすく、現場の定型業務を効率化できるものです。
介護業界では、請求業務・記録の作成、勤怠管理など、多くの事務作業が発生するため、操作性と安定性を兼ね備えたRPAツールを求めています。
ここからは、介護業界でのRAP導入事例を基に、介護業界におすすめのRPAツールをご紹介していきます。
おすすめツール１：MICHIRU RPA
画像出典：業務を自動化するRPAツール【MICHIRU RPA】
MICHIRU RPAの特徴としては、プログラミング知識が不要で、画面録画による直感的な操作によって、業務フローを自動化できるところです。
特に、MICHIRU RPAでは、訪問スケジュールや訪問実績を集計し、Excelで集計・整理する一連の作業を自動化できるので、管理者の業務時間を大幅に削減します。
また、MICHIRU RPAは、1ライセンスで複数のシナリオ（業務フロー）を作成できたり、自動化の実行回数に制限がないことから、コストの負担を最小限に抑えることが可能です。
さらに、MICHIRU RPAでは、Windowsに標準搭載されているタスクスケジューラを使って、指定した日時に自動で業務を実行することもできます。
導入前には、1ヶ月無料のトライアルが提供されており、必ず1業務を自動化してからサポート期間終了となるため、実際に導入効果を確認できる点が強みです。
| 無料トライアル | 1ヶ月間 ※進捗状況に応じて無料で期間延長 |
|---|---|
| 初期費用 | 10万円 |
| 月額利用料 | シンプルプラン 5万円 / アシストプラン 10万円 |
おすすめツール２：RoboTANGO
画像出典：RPAツールなら低価格で簡単に作れるRoboTANGO（ロボタンゴ）【公式】
RoboTANGOの特徴としては、1ライセンスで複数のPCにインストール可能な「フローティングライセンス」を標準搭載しているため、施設内の複数拠点や部署でロボットを共有することが可能です。
そのため、RoboTANGOは、導入時の初期費用を抑えつつ、段階的な自動化を進められる点が大きなメリットとなります。
また、RoboTANGOでは、ツールを活用して利用者の訪問実績データを集計し、所定のフォーマットでレポートを作成することも可能です。
| 無料トライアル | 3週間 |
|---|---|
| 初期費用 | 基本プラン 10万円 / リモレクライトプラン 15万円 |
| 月額利用料 | 基本プラン 6.5万円 / リモレクライトプラン 9.5万円 |
おすすめツール３：BizRobo!
BizRobo!は、介護業界におすすめのRPAツールとして、中規模から大規模の介護施設や社会福祉法人で導入されています。
活用事例として、複数の事業所を経営する社会福祉法人では、各施設から集まる実績データを自動で集約し、請求システムに登録（転記）する仕組みを構築しています。
BizRobo!の強みは、ロボットを同時に複数稼働させられる点と、作業量の多いバックオフィス業務に対応できる拡張性の高さです。
BizRobo!は、拡張性が高いことから、業務規模が拡大しても自動化を継続しやすく、法人全体のDX推進に繋がります。
| 無料トライアル | 1ヶ月間 |
|---|---|
| 初期費用 | 要問い合わせ |
| 月額利用料 | 要問い合わせ |
介護業務を効率化できるRPAについてまとめ
本記事では、介護現場の業務を効率化するRPAの導入メリット・できることと共に、おすすめRPAツールをご紹介してきました。
介護の現場にRPAを導入する際は、実際に業務を自動化できる「無料トライアル」などを活用しながら、適したツールを比較・検討してみてはいかがでしょうか？
MICHIRU RPAのトライアル
- リモートサポート付
- 1ヶ月間無料
- トライアルから本導入まで完全サポート
- 日本語と英語に対応
- 1ライセンスで同時編集5台 / 同時実行1台の権限を付与
