近年、データ転記や情報収集といった業務を効率化するツールとして、RPAツールを導入する企業が増えてきています。
しかし、RPA導入の検討はしてみるものの「なぜ、RPAツールを導入するの?」や「具体的にどんなメリットは?」といった疑問がネックとなり、RPAの導入を迷われている企業も多くあるのではないでしょうか。
そこで、今回の記事では、なぜRPAの導入が必要なのかといったことを深堀りし、RPAを導入する目的や理由について解説していきます。
また、導入することによって得られるメリットについても詳しく解説していますので、RPA導入を検討されている方の一助になれば幸いです。
RPAツールを導入する目的や理由とは?
RPAとは「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の略語です。
人工知能(AI)や、IoT(インターネット・オブ・シングズ)などに並ぶ新たなテクノロジーの1つで「ホワイトカラー業務の生産性向上」といったビジネストレンドを支える手段として関心を集めています。
日本でRPAが注目され始めたのは2016年後半ごろからですが、欧米の金融機関では2015年ごろからツールへの関心が高まり、さまざまな企業に普及していきました。
そんなRPAですが、実は企業が抱えている課題を解決する手段として導入されています。では、企業は何を目的にRPAの導入を進めているのでしょうか。
ここでは、主な理由について5点あげて解説します。
少子高齢化による労働人口減少への対策
RPAが急激に注目され、普及してきた理由の一つに社会的な環境があります。
日本は、1975年から現在まで少子化現象の一途を辿っており、それによって労働人口が減少し続け、今後の人口分布として「働き手不足」になることは明白です。
そのため、24時間365日稼働できるRPAが、人に代わる労働力として期待されているといった背景から、企業へのRPA導入が進められています。
働き方改革への対処 (長時間労働の是正など)
働き方改革は、2019年4月より施行された法案で「労働力不足の解消」を目的としているため、営業時間に関係なく業務を進めることが可能なRPAは、労働生産性の向上を実現するのに効果的です。
また、RPAを導入すると、時間と手間のかかる業務をロボットに置き換えることができるため、働き方改革の肝でもある「長時間労働の是正」への対策にもなります。
そういったことから、RPAは仕事と生活が調和するワーク・ライフ・バランスを実現するために重要な役割を担っています。
ビジネスモデルの変革に対応
2018年に経済産業省が「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」を取りまとめたことを契機に、「DX」というワードが広がり始めました。
そこから、企業は積極的にテクノロジーを活用した「新しいビジネスモデル」を市場にリリースするようになり、企業間の競争が激化しています。
そういった市場競争に取り残されないために、RPAを導入し単純で非効率な業務はロボットに任せ、人間は付加価値の高いクリエイティブな業務に専念することで競争力の向上を図る必要があります。
プログラミングの知識が不要
新たなテクノロジーを導入したいと考えていても、専門的な知識が必要だと導入までに関して二の足を踏んでしまうものです。
そういった反面、RPAツールは製品にもよりますが、プログラミングの知識がない人でも機能的で操作しやすく、簡単に開発ができるように作られているため、IT担当でなくても自動化が可能です。
また、IT知識を必要としませんので、業務をよく知っている現場メンバーが開発担当となりRPAを推進することも可能です。
コア業務に集中できる
コア業務とは、会社経営の軸となるような「売り上げ」や「利益」に直接した業務のことを指します。
企業では、日々のレポート作成や、メール対応といった定型業務に時間を要するため、コア業務に注力できないといった課題を抱えているケースが多くあります。
そういった場合にRPAを導入すると、誰でもできる定型業務などは置き換えることが可能なため、人はコア業務へと集中できるようになります。
RPAツール導入のメリット
RPAを使って自動化することで、具体的にはどのような効果があるのでしょうか。
ここでは、RPAツールを導入するメリットを5つ紹介します。
人件費コストの削減
RPAは人に代わり作業をしてくれるため、その業務にかかっていた人件費を削減することができます。
特に、RPAツールが得意としている「定型業務」や「繰り返しの多い業務」などは、人が実施すると時間も手間もかかるようなものが多く、これを自動化できるメリットは大きいと言えます。
サービス品質の向上
RPAは業務手順(シナリオ)を記憶させることで、何度実行しても正確に処理を行うことが可能です。
また、定型業務などは、人が手で作業するよりも、RPAのほうが圧倒的に早く処理することができます。
そうやって業務をRPAに置き換えることで、業務全体の作業完了時間が短縮されるため「ミスのない対応」や「顧客までの提供スピード」といったサービス品質を向上させることが可能です。
労働環境改善による効率化
RPAを導入することで「誰かが早朝出勤してデータ取得する必要がある」や「月に何度か土曜日出勤が必要」など、従業員の労働環境に関わる課題を解決することができます。
RPAツールには営業時間といった概念はなく、24時間365日稼働することが可能なため、早朝のデータ取得や、土日対応が必須な作業も置き換えることができます。
その結果、従業員の労働環境を改善されますので、その空いた時間を他の業務に充てることで業務効率化へと繋げることができます。
従業員のモチベーション向上
定型業務や誰でもできる単純作業を繰り返すことは、従業員にとって心理的な負担となります。
RPAを導入することで、従業員は自分のスキルを生かせる業務や、企業としての価値を生み出すことができるクリエイティブな業務に従事することができるようになります。
これにより、仕事に対するモチベーションの向上による生産性の向上だけではなく、やりがいを感じることによる離職率の低下など、関連した課題に対しても改善を図ることができます。
現場レベルでのDX意識の芽生え
RPAは現場で実施している業務の自動化を行うため、その利用場所の多くは現場であることが多く、現場の従業員が目にしたり、活用したりすることが多くなります。
そうすると、DX推進をあまり理解していなかったメンバーも、RPAというテクノロジーに触れることで「こういった活動がDXの一環なんだ」と意識できるようになります。
その結果、現場の改善点を挙げたり、より効率化できる方法について模索したりといった、積極的なDX推進意識を芽生えさせることが可能になります。
次の記事では成功事例や費用を紹介
今回の記事では、RPAツールを導入する目的や理由について解説しました。
日本が抱えている少子高齢化や働き方改革などに対応すべく注目されてたのが、RPAというテクノロジーで、RPAは人件費削減や労働環境の改善といったメリットも備えています。
ここで紹介した、導入の目的や導入に関するメリットなども参考にしながら、自社に合ったRPAツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
また、次の記事ではRPAツール導入に関する具体的な費用や、さまざまな企業の成功事例についても紹介しています。
RPA導入する際には、必要になる知識ですので、運用リスクを下げるためにも是非ご覧ください。