働き方改革や、DXに効果的なツールとしてRPAが注目されています。
しかし、導入する企業が増える一方で、思ったような成果が得られず導入に失敗してしまう企業も散見されています。
RPAは「人材不足の解消」や「生産性の向上」など、多くのメリットがある反面、しっかりと注意点を理解し推進しないと、導入が頓挫してしまう側面もあります。
そこで、今回の記事ではRPAツールを導入する際の、気を付けるべき注意点を6つ挙げて解説します。
また、RPA導入前には押さえておきたい失敗事例とその対策についても解説していますので、最後までご覧いただければ幸いです。
注意点を確認する前に!RPA導入の失敗事例を紹介
RPAツール導入時の注意点を解説する前に、これまでに起きたことのある失敗事例について紹介します。
注意点と合わせ、失敗事例という反面教師となる事例を知っておくことで、RPA導入時に「どんな状況だと失敗してしまうのか」をイメージしやすくなると思います。
導入失敗事例① RPAツールを十分に活用できていない
RPAの失敗事例として多く聞かれるのが、「RPAツールを十分に活用できず、導入効果を感じられない」というケースです。
たとえば、ある部署の残業を削減したいという目的でRPAを導入したとします。
しかし、その部署では「人の判断を要する」作業が多く、あまりRPAを活用した自動化できなかったため、想定していたよりも導入効果を感じられなかった結果、導入は失敗に終わってしまいます。
また、残業が多い部署では、RPAを使って開発するという「新たなタスク」には着手しづらいという傾向もあるため、導入が頓挫してしまうリスクもあります。
RPAは、基本的にどんな業務でも自動化することは可能ですが、向き不向きは存在します。
そのため、RPAツールを十分に活用するには「人の判断が不要な単純作業」や「繰り返し作業が必要で手間のかかる業務」などに適用することで、大きな費用対効果を感じることができます。
導入失敗事例② RPAの導入に温度差があり浸透しない
現場サイドと経営サイドでRPA導入に関しての温度差があり、うまく浸透しないことが原因で導入が失敗に終わってしまうケースがあります。
経営サイドは市場の状況なども加味し、業務効率化を目的としたRPAツールの導入と活用を推進しますが、実際にRPAツールを使い自動化するのは現場サイドです。
そのため「なぜ、RPAの活用が必要なのか」といった必要性が現場サイドに伝わっていないと、今のやり方を変えたくない現場は浸透せず、導入が失敗に終わってしまいます。
経営サイドから「RPAを導入することで、時間の余剰を創出し人しかできない業務に注力し、企業としての価値や生産性の向上に繋げたい」という説明を行い、現場サイドの協力体制が構築されたのちに、導入を進めるようにしましょう。
導入失敗事例③ そもそも社内リソースが不足している
RPAの導入は「業務を自動化して終わり」ではありません。
ロボットの定期的なメンテナンスや、エラー発生時の対応、RPAの促進活動など、継続して実施すべき業務が存在するため、RPA担当者を配置し運用する必要があります。
しかし、社内のリソースがそもそも不足していてRPA担当者が設置できない場合、RPAに関する保守が行なえないため、業務効率化どころか、業務の妨げになってしまい、RPA導入が失敗に終わってしまいます。
RPA導入前は、保守や運用管理業務に対し「どれくらいの工数」が必要なのか算出しておき、そのリソースが確保できるのか確認しておきましょう。
導入失敗事例④ 導入の効果測定を実施していない
RPAの導入に関する、費用対効果を算出していない場合、導入が失敗に終わってしまう原因になります。
RPAを導入したことで「便利になった」という感覚だけで運用していると、実は思ったよりも効果が出ていなかったり、費用に対して赤字になってしまうケースも発生します。
また、導入効果の測定は「ツールの評価」にも繋がっているため、RPAツールを導入して良かったのか悪かったのか、継続した運用は必要なのかなどの判断ができません。
そのため、RPAツール導入前から評価項目について検討しておかないと「思ったよりも効果が出ていない」「コストばかりかかっている」となってしまうため、注意が必要です。
RPAツールを導入する際の注意点
RPAツールを導入する際の注意点について、6つ挙げて解説します。
導入を検討されている方は、是非ご参照ください。
ポイント① 導入の目的や効果を明確化しておく
RPAを導入するだけで業務効率化ができる、というイメージを持って導入する企業は少なくありません。
そうすると、導入目的や効果測定方法などが明確でないため、RPAを適用すべき業務の選定があいまいになったり、RPAツールの選択を誤ってしまったりする可能性あります。
そのため「ある部署の残業を削減する」「コア業務に注力するための時間を創出する」「従業員の負担を軽減する」など、どういった目的でRPAを導入し、どういう結果を想定しているかを明確にしてから導入を進めるようにしましょう。
ポイント② RPAツールが得意なことを把握しておく
RPAツールは、自動化できる業務について「向き不向き」が存在します。
そのため、導入したRPAツールでできることを把握しておかないと、自社で自動化したいと検討している業務とツールがマッチせず、RPA導入が失敗に終わってしまう可能性があります。
RPAが得意なこと
- 作業手順が定まっている繰り返し作業(データの集計や転記など)
- RPAが不得意なこと
- 人による臨機応変な判断が必要(データに無い事柄を加味した分析や提案など)
他にも自社開発したような古いシステムだと、RPAツールで操作できなかったり、一部しか自動化出来ないといったケースもあります。
そのように、自動化するには条件がありますので、導入する際は何ができるツールなのか必ずチェックしましょう。
ポイント③ 業務を可視化しておく
RPAツールを使った自動化を実現するためには「自動化業務を正しく選定する」ことが重要です。
RPAはあらゆる業務を自動化できますが、人の判断が必要な作業や、パソコン上で処理が完結しない業務などは自動化できません。
また、紙帳票などのアナログなデータを使う業務の自動化にも適していません。
そのように、どの業務が呈していて、どの業務が適していないのかを判定するためには、業務を可視化し、どのようなフローで進む業務なのか明確にしておく必要があります。
可視化の優先順位としては、RPAが得意としている、定型作業や繰り返しで手間の掛かる業務、作業ボリュームの多い業務などを優先的に実施します。
また、このタイミングで各作業の工数についても算出しておくと、〇〇時間削減したなどの費用対効果を可視化しやすくなるため、同時に対応しておきましょう。
ポイント④ 適したRPAツールを選定する
業務を可視化した後には、導入目的や目標実現に適したRPAツールを選定しましょう。
RPAツールは、市場やニーズに合わせて「会計業務特化型」や「フロント業務特化型」など、多種多様な製品が登場しています。
その中で、自社の課題解決や目標実現につながる機能を有しているもの、非エンジニアでも操作しやすい、利用規模が自社の希望にあっているかなどを検討し、目的にマッチしているツールを選択しましょう。
ポイント⑤ RPAの運用担当者を決めておく
何度も解説していますが、RPAは導入し終わりというツールではないため、RPAの導入・運用体制が不十分だと、方針が定まらず導入が頓挫してしまう傾向にあります。
そのため、導入が決まった際には、社内に導入プロジェクトを立ち上げ、RPA担当者やプロジェクト管理メンバーなどを選出し、導入体制を整えましょう。
ポイント⑥ 販売提供元のサポートサービスを活用する
RPAツールを選定する時にも言えることですが、トラブル発生時の対応、従業員への教育などといった対応について、自社だけではなく販売提供元のサポート体制として準備されているか確認しておきましょう。
万が一、導入したもののリソースが準備が間に合わなかった場合、そのままだと頓挫してしまいますが、販売提供元のサポートを活用することで一時的に乗り切ることも可能です。
そういった万が一の備えとして、販売提供元にどんなサポート体制が準備されているか確認することをおすすめします。
次の記事では成功事例をチェック
今回の記事では、RPAツールを導入する際の注意点として「失敗事例」も紹介しながら解説しました。
RPAツールは、導入すれば自然と業務効率化に繋がるツールではなく、しっかりと要点をおおさえて継続的に管理・運用していくツールです。
そのため、今回解説したような失敗事例は注意点を参考にしていただき、適切なRPA導入を目指していただければ幸いです。
次の記事では、RPA導入時の「成功事例」について紹介をしています。
また、RPA導入時の費用についても解説していますので、興味のある方はぜひご覧ください。