働き方改革など社会的な課題を背景に、業務効率化のツールとして注目されているのが「RPA(Robotic Process Automation)」です。
RPAは多くの企業で導入が進められており、あるカード会社では「該当業務の処理時間を75%削減」といった事例や、大手銀行では「およそ300万時間の削減効果」などの成功事例が紹介されています。
しかし、実際にRPAを導入したいと思っていても「何から手をつけたら良いかわからない」など、RPA化の進め方が分からず躊躇している方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は業務効率化に有効なRPA化の進め方と、RPA導入を成功させるコツについて解説しますので、最後までご覧いただけますと幸いです。
RPA化の進め方を知る前に!RPA導入の壁
RPAの導入手順を解説する前に知っておくべき「RPA導入の壁」について解説します。
以下での項目は、RPA化を進める上でよく出てくる課題になりますので、あらかじめ検討しておきましょう。
導入の壁① どの業務へ適用すればいいかわからない
一般的に、RPAはさまざまな業務を自動化し「人件費の削減」「生産性の向上」といったメリットのあるツールです。
しかし、適用できる業務範囲が広いことから、実際に導入をしようとすると、どの業務に適用すれば効果的なのか分からずに、導入を断念してしまうケースがあります。
そうならないために、あらかじめ自社には「どんな業務があって」「どの業務をRPA化したいのか」を検討しておくことが大切です。
導入の壁② RPAの設定(使用)方法が分からない
RPA化はツールを導入すれば完了するわけではなく、RPAツールを操作し自動化処理をさせるための設定をしていく必要があります。
しかし、設定の問題でスムーズに稼働しないケースが発生したり、一見うまく動作しているように見えても、効果的な方法でなかったりなど、RPAを最大限に活用できていないという状況に陥ることがあります。
自分たちで最適な設定が分からない場合は、RPAツールの販売元が提供しているサポート体制を活用しアドバイスを受けましょう。
導入の壁③ 運用できる人材が準備できない
RPAはプログラム言語の知識がなくても導入できるのが一般的ですが、RPA化したい業務が複雑な工程である場合や、特殊な業務をRPA化する場合には、それなりにITの知識を持っている人材が社内にいるほうが安心です。
そのため、社内の情報システム部をPRA担当とするのか、各部署から選出した人材でRPAを運用するのかといった体制について、あらかじめ検討しておきましょう。
【RPA化の進め方】導入手順5ステップ
次は、RPA化の進め方を5つの手順に分けて解説します。
導入手順は、RPAの成功を左右するポイントでもありますので、しっかりと検討しましょう。
進め方① 業務の棚卸しをする
導入ステップの1つ目として、自社にはどんな業務が存在しているのかについて洗い出しましょう。
これから自動化を進めるにあたって、自社に存在している業務が、そもそもRPAに向いていない業務ばかりであれば、RPAを導入する意味が無くなってしまいます。
そのため、あらかじめ既存業務の洗い出しを行い、RPAを導入することでどれぐらい効果がありそうか、おおよその状況を確認しておきます。
また、RPA化の対象となる業務でなかったとしても、棚卸しをしたことで効率化に繋がるといったメリットもあるため、RPA導入時には必ず実施しましょう。
進め方② RPA化する業務を選定する
導入ステップの1つ目で業務の棚卸しをしましたので、その中からRPA化する業務を選定しましょう。
業務を選定するときの主なポイントとしては、以下になります。
- パソコンのみで完了する業務であること
- 一定のルールに則っている業務でること
- 単純作業で繰り返しが多い業務であること
進め方③ RPAツールを選定する
導入ステップの2つ目で、適用したい業務の選定ができたので、その業務をRPA化するにあたって、必要な機能が揃っているか、導入コストは想定内か、自社の業務システムと相性は良さそうかなどを基準にRPAツールを選定します。
注意点として、大は小を兼ねるの理論で不必要な機能を搭載したRPAツールを選定してしまうと、費用対効果の合わない導入になってしまいますので、注意が必要です。
進め方④ トライアルを実施し、課題を洗い出す
導入ステップの3つ目で選定したツールを使い、導入のトライアルを実施します。
具体的にRPAツールを使って業務の自動化を実施し、ツールの操作感や、自社の業務との相性などをチェックし課題を洗い出します。
あまりに課題が多いようであれば、導入後に継続して使うことが難しくなる可能性があるため、RPAツールの選定からやり直すことも一つの手段です。
進め方⑤ 本格展開を進める
導入ステップの4つ目でトライアルを実施し問題なければ、本格的なRPA導入となります。
エラー対応や、RPA環境の運用管理・改善を行って、RPA活用の定着化を図ります。
RPA導入を成功させるためのコツ
RPA導入を成功させるためのコツについて、3つ挙げて解説します。
コツ① 達成したい目標と効果測定する指標を明確にしておく
RPAを導入することによって「どんな課題を解決」し、「どれぐらいの効果」を期待しているのかについて明確にしておきましょう。
RPAの導入が失敗してしまうケースとして、導入時に目標や効果測定の指標を明確にされてていないことで、経営陣が過剰な期待をしてしまい「思ったより効果が出ていない」と判断されてしまうケースです。
そうならないために、導入時には解決したい課題や、どれくらいの効果を期待しているのか明確にしておきましょう。
コツ② いきなり全業務にRPAを本格導入しない
RPAを導入するときは「スモールスタート」を意識して、RPA化を進めましょう。
まずは、部署単位でプロジェクトを立ち上げ、データ入力などの定型作業をRPA化し、効果の確認や進め方のコツを掴んでから、導入範囲を広げていくと効果的な導入が行えます。
コツ③ 社内の運用ルールや体制を明確にしておく
RPAは導入して終わりではなく、継続して保守など運用を続けていく必要があります。
そのため、社内でどうやってRPAを運用していくかについて「ルール」や「体制」などを明確にしておきましょう。
また、RPA担当者が異動などで交代するときに備えて、引継ぎマニュアルなどを準備しておくことも重要です。
次の記事では、RPAの選び方とおすすめツールを紹介
今回の記事では、RPA化の進め方と導入手順、そして導入を成功させるためのコツについて解説をしました。
RPAは導入することで業務を大幅に改善し、効率化してくれる強力なツールです。
しかし、正しい進め方でRPA化しないと、導入が途中で頓挫してしまったり、思ったような導入効果を得られなかったりする可能性がありますので、今回解説したコツなどを参考に導入を進めていただければ幸いです。
また、関連情報として市場のニーズが高まった影響なのか、提供されているツールは多岐に渡りRPAツールの選定が難しくなってきています。
そんなRPAツールの選定について、以下の記事で詳しく紹介していますので、是非ご覧ください。