企業の定型業務を自動化することができる「RPA(Robotic Process Automation)」と「VBA(Visual Basic for Applications)」は、どちらも有効なツールとして比較検討されてきました。
漠然と両ツールの違いについては理解しているものの、導入の検討が本格的になると「処理速度はどちらが早い?」や「自社にはどちらのツールが向いているの?」といった詳細が分からず、導入に難航している企業も多いのではないでしょうか。
そこで、今回の記事では、RPAとVBAの両ツールを比較しながら、導入検討の一助になるような情報について解説します。
また、おすすめのRPAツールについても紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
処理速度に関してRPAとよく比較されるVBAとは
VBAとは「Visual Basic for Applications」の略で、Microsoft Officeシリーズに搭載されているプログラム言語です。
VBAは、処理速度が速い「Java」や「C++(シープラスプラス)」といった一般的なプログラミング言語に比べると、比較的容易に扱うことができるため、プログラミング初心者でも理解しやすくなっています。
VBAの特徴
VBAの大きな特徴は、Microsoft Officeアプリケーション内の操作を自動化することを得意としています。
※Officeアプリケーション以外は自動化不可
一方で、RPAは、プログラミング言語の知識がなくても、操作可能なツールが多いのに対して、VBAは、プログラム言語を理解していないと、自動化を構築できません。
RPAとVBAの処理速度を比較
次に、RPAとVBAの処理速度を比較しながら解説します。
RPA | VBA | |
---|---|---|
処理速度 | サーバー型やクラウド型のRPA 端末スペックに依存しない 複雑な作業も処理速度を落とさない |
作業データがの増加 端末スペックによって処理速度の低下 |
扱えるデータ量 | データを扱うことを前提に設計 多くのデータを扱うことが可能 |
Officeの拡張機能がない 多くのデータを扱うと処理速度が低下 |
処理速度以外にRPAとVBAで比較すべきポイント
処理速度以外にも、RPAとVBAを比較する上で注意すべきポイントについて解説します。
RPA | VBA | |
---|---|---|
比較① プログラミングスキル |
スキルがなくても利用可能 | プログラミング言語である VBAの知識が必要 |
比較② 自動化の範囲 |
制限なく自動化が可能 | Microsoft Officeの操作のみ可能 |
比較③ 外部システムとの連携 |
制限なく連携が可能 | 外部システムとの連携が不可 |
比較④ 処理能力 |
サーバー型やクラウド型のRPA 処理速度が端末スペックに影響しない 高速処理が可能 |
処理速度が端末のスペックに左右 大量のデータを扱うと処理速度が低下 パソコンがフリーズする可能性あり |
比較⑤ コストパフォーマンス |
初期投資として一定の費用が必要 自動化できる作業に制限がない 自動化するほどコスパが良い |
Office利用者は追加費用なし 外注すると単純作業でも5万~10万円 コストパフォーマンスが悪い |
比較⑥ サポート体制 |
製品販売元が独自サポートを提供 初心者でも開発が可能 |
専用のサポートがない 知恵袋などで問題解決する必要がある |
作業を自動化するならRPAとVBAどちらがおすすめ?
ここまで、RPAとVBAの特徴を比較しながら解説してきましたが、結論はどちらのツールがおすすめなのでしょうか。
処理速度などの特徴を踏まえ「それぞれのおすすめな人」について紹介します。
RPAがおすすめな人
RPAの導入がおすすめな人について紹介します。
アプリケーションを横断した作業を自動化したい
RPAは、自動化できるアプリケーションに制限がないため、「基幹システム」や「業務アプリケーション」といったさまざまなシステムとの連携が可能です。
そのため、例えば、1週間の実績を業務システムからCSVダウンロード、Excelに転記し分析、上司にメール報告するといった業務があった場合も、すべてのフローを自動化することが可能なため、RPAの導入がおすすめです。
自動化したい業務のデータ量が多い
RPAは、データを扱うことを前提に設計されているため、データ量が多くとも、処理速度を落とすことなく作業することができます。
また、RPAツールにもよりますが、サーバー型やクラウド型のRPAの場合、パソコンのスペックに左右されることなく処理できるため、スピーディーに作業することが可能です。
プログラミングスキルが不要
RPAツールの多くは、プログラミングスキルを必要としないので、導入後すぐに自動化を開始できます。
また、専門のIT担当を選抜する必要もないので、現場のメンバーで相談しながら、自動化を進めることが可能です。
VBAがおすすめな人
VBAの導入がおすすめな人ついて紹介します。
Microsoft Officeアプリケーションを使った自動化を検討している
VBAは、自動化の範囲が狭いですが、Officeアプリケーションとの親和性が高いため、ExcelやWordなどを含む作業を自動化したい時におすすめです。
導入コストが安い
VBAは、すでにOfficeのアプリケーションを使っている場合、追加費用がかからないため、自動化のIT投資を少なく押さえたい企業には向いています。
他にも、それぞれの特徴に合わせて適した業務について、以下の記事で紹介しています。

記事まとめ
今回の記事では、自動化を導入する時によく比較される「RPA」と「VBA」について、処理速度やコストパフォーマンスといった特徴別に解説しました。
RPAとVBAは、どちらも「自動化する」点において一緒ですが、比較すると自動化できる範囲や、プログラミングスキルの有無、サポートの充実度などに大きな違いがあります。
そのため、自動化したいと考えている業務が、Office製品に限らない場合は、RPAを導入して効果的な業務効率化を目指すのをおすすめします。
また、以下の記事では、おすすめのRPAツールを21個挙げて、比較しながら紹介していますので、ぜひご覧ください。
