RPAとVBAを徹底比較!8つの性能の違いや適した業務ついて

RPAとVBAの違いとは?定義や性能、適した業務を詳しく比較

RPAとVBAを徹底比較!8つの性能の違いや適した業務ついて

業務効率化の手段として、「RPA」と「VBA」という2つの技術があります。

いずれも定型業務を自動化するための技術ですが、両者を比較すると違う特性があり、活用方法も異なります。

この記事では、RPAとVBAを比較し、性能や適した業務を細かく解説していきます。

面倒な業務を自動化したい方や、どちらの方法で自動化すべきか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

目次

RPAとVBAの違いとは

RPAとVBAの違いとは

RPAとVBAを比較すると、その内容ははっきりとした違いがあります。

  • RPA:ロボットによるコンピューター業務の自動化技術
  • VBA:Microsoft Officeツールの機能を拡張するプログラミング言語

RPAはパソコン上の業務を自動化する仕組みやそのツールを指しますが、VBAはMicrosoft Officeツール上で使用するプログラミング言語の一種です。

目的はどちらも「業務効率の向上」ですが、具体的な活用方法は違います。それぞれどのような仕組みなのか、詳しく見ていきましょう。

RPAとは

RPAは「Robotic Process Automation(ロボット・プロセス・オートメーション)」の略称で、ロボットによる業務の自動化技術やツールを指します。

パソコン上の定型業務について、人が作業するのと同じようにロボットが処理を行います。

ツールは実装方法によって分類され、それぞれ導入にかかる手間や費用が異なります。

仕組み費用導入難易度処理能力
サーバー型自社サーバーで複数のロボットを統括管理
(初期費用:数十万円、年間費用:数百万円)
クラウド型ベンダー側のクラウドサーバーからロボットを稼働
(月額数千円~)
デスクトップ型端末ごとにロボットを稼働
(初期費用10万円程度~、月額料金5万円程度~)
仕組み
費用
導入難易度
処理能力
サーバー型自社サーバーで複数のロボットを統括管理
(初期費用:数十万円、年間費用:数百万円)


クラウド型ベンダー側のクラウドサーバーからロボットを稼働
(月額数千円~)
デスクトップ型端末ごとにロボットを稼働
(初期費用10万円程度~、月額料金5万円程度~)

ドラッグ・アンド・ドロップや操作画面の録画で自動化できるツールもあるため、プログラミング知識がない人でも業務の自動化を実現可能です。

VBAとは

VBAは「Visual Basic for Applications(ビジュアル・ベーシック・フォー・アプリケーション)」の略称で、Microsoft Officeツールの機能を拡張するためのプログラミング言語です。

ExcelなどのOfficeツール上で、マクロ(作業を自動化する機能)を作成するために使用します。

マクロはOfficeツールの機能で自動作成も可能ですが、より複雑な作業の自動化を行うためには、VBAの知識が必要となります。

RPAとVBAの性能8つの比較

RPAとVBAの性能8つの比較

RPAとVBAの違いは、以下8つの項目を比較すると理解しやすくなります。

  1. 自動化の範囲
  2. プログラミング知識の必要性
  3. 環境構築の難易度
  4. データの処理能力
  5. コストパフォーマンス
  6. システム間の連携
  7. サポートの有無
  8. セキュリティ性能

どのような違いがあるのか、1つずつ比較・解説していきます。

①自動化の範囲

自動化の範囲を比較すると、RPAはパソコンで行う業務全般に対応できますが、VBAはExcelやPowerPointなどのOfficeツール上でしか使えません。

RPAを使えば、Officeツールだけでなく他のアプリケーションでも作業の自動化が行えるため、広範囲の業務やツール同士の連携作業を効率化したいときにおすすめです。

一方、VBAの自動化範囲はOfficeツール限定ですが、その中での細かい調整はしやすくなります。Officeツールでの条件分岐や処理内容のカスタマイズについては、VBAのほうが比較的柔軟に対応可能です。

このように、RPAとVBAではカバーできる範囲や得意分野が異なるため、業務の実態に合わせて使い分けることが大切です。

②プログラミング知識の必要性

プログラミング知識の必要性を比較すると、RPAはプログラミング知識がなくても利用できますが、VBAの場合は必須となります。

RPAはテンプレートや簡単操作で自動化プロセスを作成できるツールが多いため、プログラミング知識の少ない人でも比較的容易に導入できます。

一方、VBAはそれ自体がプログラミング言語なので、扱うには当然プログラミング知識が必要です。プログラミング言語の中では簡単な部類に入りますが、習得には一定の時間がかかります。

ただし、RPAにプログラミング知識が一切不要かというと、そうとも言い切れません。プログラミング知識があったほうがロボット開発はよりスムーズになりますし、複雑で大規模な運用も可能になります。

③環境構築の難易度

導入にあたっての環境構築を比較すると、RPAはツール次第、VBAは容易となります。

RPAの場合、クラウド型やデスクトップ型であればベンダーとの契約後すぐに利用できます。一方、自社サーバー型はサーバー構築から必要になるため導入難易度は比較的高めです。

VBAはOfficeツールがあればすぐに利用可能で、オプションから「開発」を有効にすれば開発できるようになります。

スモールスタートで比較すると差はありませんが、RPAで大規模な導入をするときは手間がかかると考えましょう。

④データの処理能力

データの処理速度や量を比較すると、RPAのほうに軍配が上がります。

サーバー型やクラウド型のRPAなら端末のスペックに左右されず、大量のデータでも高速な処理が可能です。

VBAは端末のスペックに依存するため、大量のデータを扱うと低速化やフリーズを引き起こします。

以上のことから、膨大なデータ量を処理する業務であれば、RPAの導入が適しています。

⑤コストパフォーマンス

コストパフォーマンスでの比較は、RPAは低め、VBAは高めです。ただし、実際の費用はどのように導入するかで変わります。

RPAは導入費用が数万円~数十万円、年間費用が数十万円~数百万円ですが、限定的な機能であれば無料で使える場合もあります。

VBAについては、すでにOfficeツールを使っているなら追加コストはかかりません。ただし、外部業者に開発を依頼する場合、数万円~100万円程度の予算が必要となります。

自動化したい業務の内容や規模に影響されるため、導入~運用にかかるコストは事前に見積もりを出して比較してみましょう。

⑥システム間の連携

システム間の連携を比較する場合、VBAよりRPAのほうが広範囲での連携ができるのでおすすめです。

RPAはパソコン上の業務全般を自動化できるため、Officeツールを含めたさまざまなアプリケーションやシステムで業務を実行できます。

一方、VBAはOfficeツールの自動化に特化しており、それ以外のアプリケーションやシステムには対応できません。

複数のアプリケーションやシステムが絡み合うような業務でも、RPAなら横断的な自動化を実現可能です。

⑦サポートの有無

サポート体制での比較は、VBAよりRPAのほうが優れています。

RPAはベンダーがサポートを提供しており、導入・運用に関することは都度相談できます。トラブルが発生したときも、ヘルプデスクに問い合わせることで適切な対応が可能です。

一方、VBAはあくまでOfficeツールの一機能であり、専用のサポートは提供されていません。開発やトラブル対応については、自分で調べて解決するか、外部業者に有料で依頼する必要があります。

手厚いサポートのもと業務の自動化を進めたいなら、RPAを選んだほうが良いでしょう。

⑧セキュリティ性能

セキュリティ性能についての比較は、一概にどちらが優れているとは言えず、導入形態や使用方法に影響されます。

RPAの場合、クラウド型は外部サーバーにデータをアップする必要があるため、セキュリティ性能はベンダー側の体制次第です。一方、サーバー型やデスクトップ型は自社内で処理を完結できるため、セキュリティ性能は高いと言えます。

VBAのほうは、Microsoft社が提供するセキュリティプログラミングを更新していれば基本的には安全です。ただし、マクロにマルウェアを潜まれる「マクロウイルス」も多く、外部でダウンロードしたファイルから感染する事例も少なくありません。

RPAもVBAも自衛が大切なので、セキュリティルールの策定や社内教育の実施など、情報セキュリティガバナンスを徹底するようにしましょう。

それぞれに適した業務の比較

それぞれに適した業務の比較

ここまで解説した通り、RPAとVBAを比較すると得意分野が異なり、どちらを導入するかも目的に応じて選ぶ必要があります。

それぞれの特性を考慮したうえでどのような業務に適しているのか、具体的な業務例を紹介していきます。

RPAに適した業務

RPAはシステム間の連携や複数業務の横断的な自動化に適しており、次のような業務で使用されています。

コールセンターのFAQ対応問い合わせ内容を確認し、よくある質問とマニュアル通りの回答をWebページから自動的に返答。
金融機関の入金処理業務入金通知データを判別し、入金処理システムへ自動入力。
営業データの集計と報告営業管理システムのデータを収集し、定型的な営業レポートを自動作成。上長への報告(メール送信)も可能。

上記以外にも、在庫管理や受発注業務、勤怠管理など、幅広い分野での活用が可能です。

全社横断的な業務や大量のデータ処理を伴う業務については、RPAの導入がおすすめです。

VBA適した業務

VBAはOfficeツール内での業務効率化に長けており、次のような業務に適しています。

売上データの集計と帳票自動作成複数のExcelファイルに分散した売上データを集計し、画像やグラフ、文章を組み込んだ売上報告書をマクロで自動生成。
PDFファイルのフォーム入力支援Excelに情報を入力するだけでPDFの所定欄に自動転記するマクロの作成。
WebスクレイピングWebサイトの情報を自動収集し、市場調査や競合監視を行うマクロの作成。

VBAでExcelなどのマクロを組めば、バックオフィス関連の業務は大幅に効率化できます。

VBAそのものにはコストがかからないため、Officeツールに限定した業務であればVBAの利用を検討する価値があります。

まとめ:自社の業務に合わせて選ぶことが大切

まとめ:自社の業務に合わせて選ぶことが大切

RPAとVBAの比較を一覧表にすると、次のようになります。

RPAVBA
自動化範囲広い
(バソコン業務全般)
狭い
(Officeツールのみ)
プログラミング知識原則不要必要
環境構築ツール次第簡単
処理能力高い比較的低い
コストツール次第無料
システム連携外部システムも含め可能Officeツールのみ
サポート手厚いなし
セキュリティツール次第高いがウイルスも多い

自動化したい業務がOfficeツールに限定される場合や、社内にプログラミング知識をもつ人がいる場合、無料で使えるVBAのほうがコストパフォーマンスは高いでしょう。

しかし、さまざまなシステムが絡む業務の自動化や、会社全体の生産性向上を目指すのであれば、RPAの導入がおすすめです。

また、少子化による人材不足やDX化普及による競争の激化も考えると、RPAを積極的に活用したほうが長期的なメリットは大きくなります。

RPAについてはツールごとの違いも大きいため、下記の関連記事も参考にして比較してみましょう。

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