【初心者必見】RPAとは?代表的な機能や人気ツール、導入事例まで徹底解説

大手企業・中規模企業では導入率37%、約4割の企業が導入しているRPAとは

近年、少子高齢化による労働人口の減少や働き方改革を背景として、業務を自動化するツール「RPA」が注目を集めています。

株式会社MM総研が調査した「RPA国内利用動向調査2021(2021年1月調査)」によると、年商50億円以上の大手企業・中規模企業ではRPA導入率が37%と非常に高く、約4割の企業がRPAを導入していることがわかります。

上記の通り、企業の生産性を向上させるRPAの活用が企業規模や業種問わず進んでいるのです。

そこでこの記事では、RPAをこれから導入したいとお考えの企業の方やRPAツールの乗り換えをお考えの方に向けて、RPAの概要をはじめRPA導入による効果やメリット、人気ツールや業務自動化に成功した事例まで幅広く解説していきます。

出典:RPA国内利用動向調査2021(2021年1月調査)

目次

RPA(ロボティック プロセス オートメーション)とは

RPA(ロボティック プロセス オートメーション)とは

Robotic Process Automation(ロボティック プロセス オートメーション)の略称であるRPAとは、パソコンなどのコンピューター上で人間が行っている作業を、代わりに自動で実施してくれるソフトウェアロボットのことです。

RPAツールは、人間がマウスを操作したりキーボードで入力したりする操作の手順を記録し、それらの業務を高速かつ正確に実行することができます。

逆に言えば、人間によって設定されたプロセスを、設定された通りの順番で設定された通りに実行することしかできません。

ただし、近年は機械学習機能(AI)が搭載され、非定型的な業務に対応できるものも存在します。これについて後述していきます。

AIとの違い、AIとの関係

AIとの違い、AIとの関係

上述したように、RPAとはあらかじめ設定されたルールや基準に従って業務を自動化するシステムのことを指します。

一方、AIとは人間の知能をコンピュータによって再現する技術のことです。

AIはそれ単体で何かを作業をするわけではなく、システムやデバイスなどに組み込まれることで機能します。データに基づいた判断や作業の振り分けなどが代表的です。

RPAには三段階の自動化レベルがあるとされています。

人間があらかじめ設定したルール他基準に従って業務を実行する基本的なRPAは「クラス1」とされ定型業務に対応しています。

その都度考えて判断が必要な作業をクラス1のRPAツールにさせるのは難しいと言えるでしょう。

「クラス2」は、AIと連携して非定型業務でも一部の自動化が可能です。

「クラス3」はより高度なAIと連携します。これにより業務プロセスの分析や改善だけでなく意思決定までを自動化することができます。

RPAのクラス

RPAのクラス

クラス 主な業務範囲 具体的な作業範囲や利用技術
クラス1
RPA(Robotic Process Automation)
定型業務の自動化 情報取得や入力作業、検証作業などの定型的な作業
クラス2
EPA(Enhanced Process Automation)
一部非定型業務の自動化 RPAとAIの技術を用いることにより非定型作業の自動化
自然言語解析、画像解析、音声解析、マシーンラーニングの技術の搭載
非構造化データの読み取りや、知識ベースの活用も可能
クラス3
CA(Cognitive Automation)
高度な自律化 プロセスの分析や改善、意思決定までを自ら自動化するとともに、意思決定
ディープラーニングや自然言語処理

出典:総務省|情報通信統計データベース|RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)

既に、クラス3においてAIによる認識技術や自然言語解析技術、学習機能などにより曖昧な情報や不足している情報を補いながら作業をするRPAも開発されています。

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社が発表した自然言語解析AIエンジン「COTOHA®」を活用した次世代RPAサービスでは、日本語の対話ができるAIエンジン「COTOHA®」を活用し、対話をするだけで必要なデータの入力が完成。

全プロセスを完結することも実現可能とされています。

出典:自然言語解析AIエンジン「COTOHA®」を活用した次世代RPAサービスの提供を開始|デロイト トーマツ グループのプレスリリース

RPAで自動化できることとは?代表的な業務と導入による効果

RPAで自動化できることとは?代表的な業務と導入による効果

多くのRPAをはクラス1であり、手順とルールが決まっているパソコン業務を得意としています。

都度人の判断が入らない業務や、作業方法が変わることのない定形業務の自動化に適していると言えるでしょう。

上記を踏まえたうえで、ここではRPAによって自動化できる業務の具体例やRPAの機能、RPAの導入効果やメリットを確認していきます。

RPAで自動化できる9つの業務例

  1. 勤怠管理
  2. 在庫管理
  3. 入金消込
  4. 買掛・支払業務
  5. 競合価格調査
  6. 顧客情報の登録・管理
  7. 経費精算
  8. 見積書・請求書作成
  9. メール送信

上記、RPAを導入することによって自動化可能な9つの業務例と、RPAを導入した場合の効果についてそれぞれ詳しく解説していきます。

1. 勤怠管理

RPAの導入によって勤怠管理をタイムカードと連携して自動化することができます。

勤怠の集計作業を人間が手動で行う必要がなくなり、あらゆる勤怠情報がRPAによって取得されます。

また勤怠情報をRPAにインポートさせるこのも可能なため、必要な作業に応じて自在にデータを抽出することも可能です。

また、勤怠関連情報を扱う給与計算システムや人事評価システムなどシステムとデータベースで連携することにより、従業員のワークライフバランスの追求を行える環境の見直しが可能になり、より効率的な働き方を実現できるでしょう。

2. 在庫管理

在庫管理は毎日決まったタイミングで行うルーティンワークのため、RPAでの自動化に適しています。

また業界によっては季節要因により業務量が変化する場合もあるでしょう。

そこで在庫管理をRPAに任せることにより、時期によって大きく変化する担当者の作業量や、在庫管理業務に束縛される時間を一定に保つことができます。

これにより、在庫の状況を自動的に確認することができるほか、人間が目で確認する場合に起こってしまうヒューマンエラーの排除が可能となります。

3. 入金消込

売掛金の回収を確認する入金消込業務は、手入力に頼る部分が多く、また工程を数人で分担して行うケースがほとんどです。

この入金消込業務をRPAをによって自動化することで、数人で仕事を分担する必要がなくなります。

入金消込業務に必要な人員はもちろん、社員の残業を減らすことができるため、コストの削減を実現できるでしょう。

さらに手作業のために起こっていた人的なミスが怒ることもなく、正確性を保つことができます。

ただし、振込手数料や振込名義人が異なるなど業務が複雑化している場合、ほとんどのRPAには個別の判断ができないことに注意が必要です。

4. 買掛・支払業務

請求書類などを基にした支払い予定表の作成や支払いの消込、それらの情報を会計システムへ入力する作業など、属人的な買掛・支払業務もRPA導入によって自動化することができます。

この場合も、従来人手による処理の際に発生していたヒューマンエラーを無くすことが可能です。

5. 競合価格調査

競合の価格調査は、自社が競争力のある価格を提示するため、また取引先との価格交渉のために必須の作業です。

競合価格調査のためにRPAを導入することで、自社で扱っている商品リストを元に競合サイトで同じ商品を検索、価格データを取得することができます。

またRPAなら取得した価格データをExcelなどにまとめることも可能です。

RPAツールを導入すれば、これまで従業員にかかっていた価格調査業務の負担を軽減することができるでしょう。

また価格調査のためだけにアルバイトや派遣スタッフを雇っている企業も多いのですが、RPAで価格調査業務が自動化されればその必要もなくなるため、人件費を大幅にカットすることができます。

6. 顧客情報の登録・管理

多くの企業では、新規顧客が増えた際にその顧客情報を会計ソフトや日報管理、Excel、名刺管理ツールなど、複数のシステムに手作業で登録することになります。

この顧客情報の登録業務は作業内容が定形である一方、顧客が増えるたびに何度も繰り返す必要があり多大な手間がかかってしまいます。

RPAにこの顧客情報の登録業務を担わせることで、社員の単調な作業が自動化され、無駄な時間や作業ミスの低減を図ることができます。

またデータ入力ミスを削減することができるため、顧客へ誤った情報を伝えてしまうなど信頼の喪失が発生しにくくなり、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。

7. 経費精算

経費精算は、通常以下のステップで進められます。

  1. 申請者である社員が経費精算書を作成
  2. 上司が確認し承認
  3. 経費精算書を経理担当者が確認し、仕訳入力、精算

毎月定型で発生している上記の経費精算フローもRPAによって自動化することができます。

例えば、経費精算の中でも交通費生産について。

経理担当者はインターネット上で経路検索を使用し、申請者が記入した交通費に間違いがないかのチェック作業を申請者の人数分繰り返すことになります。

このような清算処理のルーティンワークにより、経理担当者は締め日の数日前から業務に追われることになるのですが、RPAを導入した場合は上記のフローをすべて自動化することが可能です。

8. 見積書・請求書作成

見積書作成と請求書作成はRPAによって自動化できる代表的な業務であり、実際に自動化に成功した事例も多くあります。

社内システムから顧客ごとの請求情報を抽出し、Excelに書き出したり、取引先のWebサイトや会計システムから製品番号や製品名、単価などのデータを取得し、Excelに書き出すといった業務を自動化することができます。

また自動処理をスケジューリングして夜間に実行すれば、担当者は翌日の日中に内容を確認できます。請求書作成による時間のロスを大幅に削減することが可能です。

担当者の負担を軽減にも繋がり、働き方改革の推進やより付加価値の高い業務へのシフトを実現することができるでしょう。

9. メール送信

毎月末の給与明細書を添付したメール送信や勤怠管理に関連するメール送信など、業務内容自体は簡単ではあるものの、そのメール送信業務が多く担当者の負担になっている事例は少なくありません。

これらのような単純な通知メールや毎月末など定期的に送信するメール関連業務も、RPAを導入することによって自動処理することができます。

人気ツールTOP3を紹介!

人気ツールTOP3を紹介!

ここまで、RPAの概要やAIとの関係、RPAによって自動化できる業務について解説してきました。

実際にはどのようなツールが日本や世界で導入されているのでしょうか。

ここでは知名度が高く、多くの導入実績を持つ人気のRPAのツールを3つご紹介致します。

NTTアドバンステクノロジ「WinActor」

WinActor

WinActor(ウィンアクター)は、NTTグループのNTTアドバンステクノロジが開発したソフトウェア型ロボットです。

国内6,500社以上の企業で導入されており、日本で最も有名なRPAツールといっても過言ではありません。

Windows端末上の操作を記録して高速・自動実行することが可能で、大量のデータ入力をはじめとした定型業務を自動化。作業時間の削減を実現します。

WinActorにはフル機能版と実行版の2種類の機能と、ノードロック方式(NL)とフローティング方式(FL)の2種類のライセンスがあります。

フローティング方式の価格は公表されておらず、利用条件によって異なる可能性が高いと言えます。ノードロック方式は年額の場合、1台908,000円となります。

かなり高額ですが、WinActorには30日間無料トライアルがあり、期間中はすべての機能が利用できるため、まずは本導入の前に無料トライアルへのお申し込みがおすすめです。

UiPath「UiPath」

UiPath Community Edition

アメリカのニューヨークに本社を構えるUiPath社が提供するUiPath(ユーアイパス)は、世界3大RPAソフトとして絶大な人気を誇るRPAツールです。

ITRの「ITR Market View:RPA/OCR/BPM市場2021」によると、2020年度(2020年4月~2021年3月)の日本国内RPA市場で第1位となっています。

AIを搭載したUiPath Business Automation Platformは、最先端のRPA技術と、エンドツーエンドのプロセスを理解し自動化、運用する機能群を組み合わせ、迅速な価値創造を可能にするRPAソリューションです。

個人向けのFreeプランをはじめ、$420/月のProプラン、ニーズに合った包括的なプラットフォームを求める企業向けのEnterpriseプランの3つのプランが用意されているため、企業の場合はまずFreeプランを試してみることをおすすめします。

Microsoft「Microsoft Power Automate Desktop」

Microsoft Power Automate Desktop

Microsoft Power Automate Desktop(マイクロソフト・パワー・オートメイト・デスクトップ)とは、Windowsで有名なMicrosoft社が提供するMicrosoft 365アプリケーションのひとつであるデスクトップ版のRPA製品です。

ローカルアプリケーションの自動化やWebアプリケーションの自動化が可能とされており、Power Automateと連携することによって約500の外部サービスとの連携やタイマー実行、ログ管理なども実現することができます。

このMicrosoft Power Automate Desktopには無料版と有償版があるため、有償版の導入を考えている企業やRPAの導入自体を検討している場合は無償版から試してみることをおすすめします。

RPAツールの導入事例3選

RPAツールの導入事例3選

ここでは、前述したNTTアドバンステクノロジの「WinActor」、UiPath社の「UiPath」、Microsoft社の「Microsoft Power Automate Desktop」の導入事例を紹介していきます。

ここで紹介する3つの事例や導入業務を参考に、御社に最適なRPAの活用方法を模索するなどRPA導入のご検討にお役立てください。

愛知県

導入ツール WinActor
導入業務 ・支払業務における財務システムへのデータ入力作業
・ExcelのPDF変換、メール作成 など

愛知県ではリモートPCアレイやOnRPAなどを併用し、WinActorを約11,000人の自治体職員が働く全庁に展開しました。

「プログラミングの知識がなくてもシナリオを作成できる」「既存のWindows系アプリとの親和性が高い」という点からWinActorの導入を決定したそうです。

全庁職員がオンラインでWinActorを利用できるように環境を整備し、シナリオの作成から運用まで、基本的にすべてのフローを職員自らが手掛けることになっています。

愛知県庁では徐々に各所属での利用が進み、2022年3月末時点で発行されたアカウントが所属単位で約60、2021年12月末時点で作成・利用されているシナリオは約50本に上っています。

また庁内での利用をより促進するため、WinActorによる効率化の成功事例を資料にまとめ、オンライン掲示板にアップしています。

出典:愛知県|リモートPCアレイ、OnRPAなどを併用し、WinActorを全庁展開 業務の効率化で、職員の働き方改革と県民サービス向上を目指す | WinActor NTTデータ

日本通運株式会社

導入ツール UiPath
導入業務 ・18,000人がたずさわる事務系の定型業務

物流サービスを展開する日本通運株式会社では、非IT職員も含めた約18,000人の事務系業務をRPAによって自動化することに成功しました。

少子高齢化による労働人口の減少に危機を感じ、社員のために働きやすい環境づくりを目的としてUiPathを導入しています。

日本通運株式会社では、RPAの導入によって125の業務で自動化を実現。これにより年間341,567時間の削減効果を実現した事例です。

出典:2021年度末までに自動化による100万時間削減を計画

T-Mobile

導入ツール Microsoft Power Automate Desktop
導入業務 ・人員調整やプロジェクトの数、リソースの割り当て

続いて紹介するのはアメリカの事例です。

アメリカ最大級の無線通信事業社、T-mobile社は、COVID-19の影響による人員調整と現在の状況やプロジェクトの数、リソースの割り当て状況を単純にするためMicrosoft Power Automate Desktopを導入しました。

COVID-19の流行により、従業員ひとりひとりの業務負担が増えてしまうことへの対応としてRPAの活用を決定。

T-mobile社はIT企業のためプログラミングやRPAの知見を持っている従業員も多く、導入したRPAの運用はもちろん自社に適したMicrosoft Power Automate Desktopのボットの開発に成功しました。

結果として従業員が単純作業に苦しめられることがなくなり、チームでは従来の10倍の業務を処理できるようになった事例です。

出典:Real world stories: T-Mobile adds RPA to their Six Sigma toolbox with Power Automate Desktop, Process Advisor and AI Builder

記事まとめ

記事まとめ

この記事では、RPAをこれから導入したいとお考えの企業の方やRPAツールの乗り換えをお考えの方に向けて、RPAの概要をはじめRPA導入による効果やメリットなどの基礎知識、さらに3つの人気ツールや業務自動化に成功した事例まで幅広く紹介しました。

RPAを導入することで、従業員の多くが今まで縛られていた定型作業から抜け出すことができます。

定型業務を自動化し、従業員がよりクリエイティブで生産性の高い業務に携われるようにRPAを導入してみてはいかがでしょうか。

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