この記事では、RPAを活用して業務自動化に成功した事例を中心に、初めてのRPA導入でもわかるRPA活用の「成功のコツ」を解説します。
自社に最適なRPAの特徴や、社内で運用する場合の対象業務は十分に見分けられていますか?
特徴やポイントをしっかりと理解してできるか否かで、導入の結果は大きな差に。
これからRPAを導入する予定の方、初めてRPAを導入して活用方法を模索している方にとっては有益な情報となっていますので、是非最後まで読んでみてください。
そもそもRPAとは?特徴をおさらい
RPAとは「Robotic Process Automation」の略で、PC上で行う定型化された作業を自動化できるソフトウェアロボットのことです。
PRAはプロセスが定型化されたルーティン業務や、単純作業の手順をそのまま記憶することができ、それらを高速かつ正確に実行し自動化します。
そのため、人間はこれまでかかっていた膨大な時間と労力を節約することができ、よりクリエイティブを必要とするような業務に注力できるというわけです。
近年では、初期費用0円で導入できるRPAツールや価格競争によって運用費自体も抑えらたツールが増えたりなど、導入のハードルも下がりその需要は右肩上がりになっています。
業務自動化に成功した活用事例
ここでは、RPAを活用して業務自動化に成功した活用事例をご紹介していきます。
RPAは企業だけでなく、ホワイトカラー業務の多い自治体でも高い支持と導入率を集めていることはご存じでしょうか?
総務省が、1,788の都道府県・市区町村を対象に行った「自治体におけるAI・RPAの実証実験・導入状況等調査」によると、2022年度時点でのRPA導入率はなんと都道府県が94%・指定都市で100%という結果に。
さらにAIの活用率についても、都道府県・指定都市で100%という結果になっています。
自治体のRPAを活用した事例
実際にRPAを活用して業務の効率化に成功した活用事例をいくつかご紹介します。
活用事例① 自治体A(人口 30.1万人)
業務領域 | 年間削減時間 |
---|---|
財務会計関連業務 | 282時間(89.8%減) |
国民健康保険関連業務 | 1,227時間(73.6%減) |
後期高齢者医療関連業務 | 141時間(82.0%減) |
庶務事務関連業務 | 275時間(62.2%減) |
生活保護関連業務 | 2,120時間(67.5%減) |
合計 | 9,693時間 |
活用事例② 自治体B(人口 12.9万人)
業務領域 | 年間削減時間 |
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休職中職員の給与控除金の納付書作成 | 120時間(90%減) |
小学校の諸課題集計 | 192時間(70%減) |
小学校の事業アンケート集計 | 30時間(75%減) |
保育所入所登録 | 140時間(80%減) |
給付金の財務会計システム入力作業 | 12時間(80%減) |
合計 | 4,188時間 |
RPA活用成功のコツは「対象業務の見極め」
上記を見てわかる通り、これまで手作業に要していた膨大な業務時間を節約することができるRPAツール。
しかしそんなRPAでの自動化にも、業務によって向き不向きがあります。
RPAに向いている業務条件を理解しきれていないまま導入を進めてしまい、フルに活用することができずに「思ったとおりの効果を得られなかった…」というケースも決して少なくありません。
では実際に、どのような業務がRPAでの自動化に適しているのか、活用できる代表的な業務例を4つご紹介します。
RPAツールで自動化できる業務の具体例4選
1.集計作業
RPA活用に適した業務の一つめは集計作業です。
どんな会社や自治体でも定期的に発生する集計業務。
膨大な時間を要してしまうこの作業ですが、実はRPAの活用が非常に効果的な業務です。
RPAは高速で正確に処理するが得意なため、このような単純作業はむしろ人が行うよりもRPAに任せた方が高い生産性を期待できます。
2.請求書の発行
RPAの活用としては、請求書の発行もおすすめです。
定型化したプロセスを踏んで発行できるような請求書の場合、RPAを導入することでミスなく効率的な仕組みに変えることができます。
具体的には、営業担当者が請求書を発行する場合、定型の売上データをアップロードするだけでRPAが自動的に販売管理システムに売上データを転記し、発行された請求書をあらかじめ設定しておいた日にメールで送信するといったことも可能です。
これは請求書に限らず、手順が定型化している作業であれば同じように応用できるので、見積書の作成など様々な文書を自動化することができます。
3.データ確認・照合作業
また、データ確認や照合作業など時間がかかりがちな単純作業に活用するのもおすすめです。
データの確認作業などは、目視で行うとどうしてもケアレスミスや確認漏れが発生しやすいもの。しかし、RPAを活用して自動化すれば一切のミスなく高速で処理できます。
特に個人情報を扱うようなデータの確認業務などでは、間違いや漏れなどのミスが許されないような状況もあるでしょう。
RPAを活用することで労働時間が削減できるだけでなく、ミスやエラーを削減し品質向上にもつながります。
4.競合の価格調査
少し意外な業務を上げると「競合の価格調査」などもRPA活用に適した業務と言えます。
具体的にどうするかというと、例えば「毎週金曜日の終業後18時から」と言ったように検索頻度を設定しておき、競合サイトのデータを集計・分析することができます。
さらに、集計した価格データをExcelに出力して一覧表にまとめる、といったところまで自動化することも可能です。
価格調査は手間と時間が非常にかかる作業なので、データの集計はRPAで行い、洞察力の必要な分析は人間、と言ったようにうまく使い分けて活用するのがいいでしょう。
RPAツールで自動化できないこと
そんな有能なRPAですが、自動化できない業務・活用できないシーンもあるのをご存知でしょうか?
RPAの活用に適していない業務の特徴は主に以下の2つ。
- 判断が必要なケース
- 頻繁にルール変更があったり、ワークフローが複雑なケース
実はこのような作業をRPAは苦手としており、これらをRPAで自動化してしまった場合には、エラーを多発してしまう可能性があり、その場合は修正対応をしなくてはなりません。
このような事態になってしまうと、本来の目的である業務効率化から離れてしまいますので「RPAの活用に不向きな業務の特徴」についても確認しておきましょう。
判断が必要な業務
RPAはAI(人工知能)とは異なり、基本的には規則ベースの処理を行うロボットです。
そのため人間の洞察力や専門知識が必要な場面では、RPAでの自動化はおすすめできません。
頻繁にルール変更があったり、ワークフローが複雑なケース
RPAはあらかじめ決められたシナリオ通りに、単純な動作を何度も繰り返す作業を得意としています。
そのため、ルールの変更や複雑な作業が頻発したりすると、場合によってはシステムエラーになってしまう可能性があります。
結果的に作業が中断してしまうリスクがありますので注意が必要です。
記事まとめ
この記事では、RPA導入をご検討中の企業の方に向けて「業務自動化に成功した活用事例」と「RPA活用の成功のコツ」を解説しました。
近年、大手企業をはじめとした多くの会社や自治体などでRPAを活用した業務効率化やDX推進が行われています。
ただしRPAの活用を成功させるためには、その特徴と対象業務の見極め方法をきちんと理解し、適切なアプローチをすることが非常に重要です。
今回ご紹介した内容を踏まえて導入を進めていただき、そのメリットを最大限に活かしてRPAを活用してください。