RPAとは、直訳すると「ロボットによるプロセスの自動化」です。
近年、少子高齢化が急速に進む日本では労働力不足が大きな懸念になっており、システム導入などによる業務の自動化や運用方法の改善に取り組む企業が増えています。
中でもRPAの注目が高まり続けている理由としては、複数のシステムにまたがって業務の自動化が出来ること、更にノンプログラミングで自動化が出来る利便性などが挙げられます。
なお、RPAの導入のメリットは大きく以下の3つに集約されます。
- 生産性の向上
- 企業とそこで働く人の競争力改善
- 全社的なITリテラシーの向上
今回は、これらのRPA導入のメリットを解説していきます。
株式会社MICHIRU 取締役 CTO
この記事の監修担当者:
斎藤 暁
医療施設法人やホンダ子会社のIT領域責任者などを経て独立。AI技術やシミュレータなど、複雑なアルゴリズムを駆使したシステムを提供している。自然言語処理によるシステムの技術は日米で特許を取得、その発明者でもある。2018年11月株式会社MICHIRUを創業。
企業のRPA導入による3大メリット
大企業においても中小企業においても、業務にRPAを導入する動きは急増しており、しばらくはブームが去りそうにありません。
RPA導入が増加する理由とは何なのでしょうか?RPA導入によるメリットは主に以下の3点があげられます。
自動化による業務効率化とミス削減
RPAを導入することで業務の自動化や運用方法の改善がされると、作業自体のヌケモレが無くなります。
また、作業の成果物に失敗が無くなります。それに付随して、成果物へのチェックと失敗があった場合のリカバリーや支援が不要になります。
つまり、業務自体と業務に失敗がないかをチェックする業務と失敗が発生した場合のリカバリー業務、それぞれに費やしていた労働力が不要になります。その結果、長時間労働や残業の改善が出来ます。
RPA化することで業務時間と頻度の制約もなくなります。そのため、業務に必要な時間が多いがために頻度を減らしていたデータ収集などが概ね必要な頻度で実施することも可能になります。
生産性の向上とコスト削減
RPA導入は企業の生産性を上げ、その効果により企業の競争力が改善されます。
具体的には、業務スピードがあがり、より短時間で作業が完結できます。
その結果、たとえば委託業務であれば、依頼から納期までの管理・コントロールもしやすく、業務の質にも好影響が生じやすくなります。
また、人の作業による労働が不要になるため、残業代や人件費などのコスト削減につながります。
同じく人件費を増やすことなく、人員の異動により売上や利益を増加させる業務や部門の人員配置を厚くすることが出来ます。
具体的には、単純作業に費やしていた人の時間は、セールスなどの売上や利益を増加させるための仕事に転換することが出来ます。
管理部門などの本来会社経営に対して改善が出来るポジションにいるスタッフは、競争力の核であるコア・コンピタンスを高めるために時間を使うことが出来ます。
これらの事から、RPA導入によってサービス・商品のリリース速度の向上やコア・コンピタンスを高めて企業の競争力を改善することが出来ます。
また、RPA導入企業で働く人が単純作業からより企業価値を高める業務時間を増やすということは、コア・コンピタンスを高める能力やノウハウを蓄積することになります。
単純労働作業しかしない人であれば、いずれは代替できる能力でしかありません。一方、企業価値の向上を実現できる人材は代替が難しいと評価できるため、価値が高まったと言えます。
このように業務を整理、RPAの自動化できるところはすることにより、その人の競争力や価値を改善させる支援をしたということが出来ます。
企業の人材戦略にも好影響
RPA導入企業で働く人が単純作業からより企業価値を高める業務時間を増やすということは、コア・コンピタンスを高める能力を個人的にも高め、その結果、企業にノウハウを蓄積することになります。
単純労働作業しかしない人であれば、いずれは代替できる能力でしかありません。
一方、企業価値の向上を実現できる人材は代替が難しいと評価できるため、価値が高まったと言えます。
このように業務を整理、RPAの自動化できるところはすることにより、人材の競争力や価値を改善させる支援をしたということが出来ます。
長期的な企業の人材戦略は、人手不足を予定されたことと考えると、人材の質の向上も非常に重要なことです。
RPAツールは人材の質を高め、人材戦略の実現に貢献できるツールです。
運用によって効果が出やすい業務は?
RPAに向いている業務は、作業のやり方が文章化できる繰り返しの業務です。
こういうと、単純業務のみと誤解されがちですが、定型化できる業務であれば複雑な業務であってもRPA化することが出来ます。
例えば、定型化できる業務には、アプリケーションからアプリケーションの情報入力やメールでの定型の問い合わせ対応やデータ収集・加工などがあります。
これらがRPA化に向いている業務であるといえます。
導入の流れと注意点
RPAに関わらず、企業に何か新しいものを導入する場合には、導入の可否の判断が伴いますよね。
そのため、全面的な運用にのせる本格導入を行う前に、予測が正しいのかという効果検証や本格導入を行う上での課題を見つけるためのテスト導入が本格導入の前の手順として必要になります。
この検証を前提にして導入判断をすることで『ダメだったらやめたらよい』という、検討時間を短縮することが出来ます。
また、新しいものを導入する時に、社内には様子見や不安視する人が必ずいます。
その人たちにも、効果検証の結果や自社の事例やそこから得られた課題の解消を共有することで、スムーズな本格導入を行うことができます。
これらのことから、RPA導入においてもこのテスト導入が必要です。
PoCとは?
PoCとは、Proof of Conceptの略で概念の実証をする事をいいます。
より日本語として馴染み易い言葉としては、「実証実験」や「効果検証」と言い直す事も出来ます。
ITシステムやツールなどの導入の時のスモールスタートやテストと同じと考えても差し支えないと言えます。
今までのビジネスの延長上にない“未知”のツールや技術やアイデアを導入しようとする時には、PoCを用いることが推奨されています。
RPA導入におけるPoC(効果検証)のやり方
RPA導入を行うために必要なPoCの手順は以下の4つのステップになります。
PoCの手順
- 対象業務の棚卸
- RPAツールの選定
- RPAのテスト運用
- 検証結果/導入判定
それぞれのステップで実施すべきことのポイントを解説します。
①対象業務の棚卸
まずRPA導入に向けては初めのステップとなるのが、業務の棚卸です。
現在の業務を洗い出したうえで、RPAを活用して自動化できる業務の棚卸を行いましょう。
RPA導入の失敗談としてよくあるケースが「RPAで置き換える業務が正しく整理されておらず十分活用できなかった」というパターンです。
逆に言えば、ここで対象業務の棚卸がきちんとできていれば、RPA導入は多くの場合で企業に大きなメリットをもたらすと言ってもいいでしょう。
②RPAツールの選定
次にRPAツールの選定を行っていきます。
RPAツールには様々な種類がありますが、ステップ①の対象業務の棚卸がしっかりとできていれば自ずとツールの選択肢の絞られてきます。
例えば、対象業務が「クラウドで完結するもの」なのか「PC上(ローカル)で行う業務なのか」などと見分けがつけば、RPAツールの種類も絞られます。
デスクトップ型のRPAツールではPC上の操作が全て行えますが、クラウド型ではWebでできる操作しかできない仕様となっているからです。
なお、RPAツールは複数ありますが、製品によっては1ヶ月無料トライアルが出来るツールもあります。
PoCの結果、導入を見合わせる場合もあるため、PoCでのツール導入は各業者と契約期間等の調整を行っておきます。
対象業務を選定し、RPA化していく過程ではどのくらい手間と時間がかかるのかを分析および測定することは必須です。
③RPAのテスト運用
選定した業務をRPA開発が出来たら、実際にRPAを現場環境で業務を行い、実働させます。これがテスト運用の進め方です。
RPAテスト運用においては、実際に本番環境下でRPAを稼働させて同じ業務を行い、開発時と比較して同じく正しい成果物が出てくるか、前後を含めた運用に適応できるか確認します。
テスト運用時点で、想定される業務の範囲でRPAが正確に動くということは前提になります。
実際の環境下で稼働するRPAテストで留意すべきは、実際の業務はビジネスフローに組み込まれているため、「RPAが起動するタイミングの適切さ」と「成果物が適切に次のフローに受け渡され活用できるか」という2点になります。
全ての業務はビジネスフローに組み込まれているため、前後の業務と連携が必要になります。RPAが単独で行う業務ではない限り、前の業務が完了したのちに稼働し、RPAの次の業務が支障なくできるのかということを確認します。
また、実際のRPA導入においてはRPAを稼働させることでビジネスプロセスやフロー自体を変えることもあります。
この現場の運用の変更にかかる負荷と適応力が自組織にあるのかもテストにおけるチェック項目になります。
④結果検証/導入判定
結果検証は、想定していた効果が出たかを実際に自動化した業務によって得られた時間やコストの削減など測定可能なものから検討していきます。
また、同じく効果を得るためのコストや負担は想定していた通りかどうかも確認します。
選定したRPAツールやRPA化した業務が適切だったのか、全体的なRPA導入をする場合の懸念点や課題が何であるのかということを取りまとめます。
その上で、RPA自体のコンセプトやプロジェクトを継続すべきかやめるのかの根本かつ大きな判定を行います。
RPA導入を進めるという判断・判定になった場合には、全社展開をするのか部分展開にするのかという範囲の決定や、RPAツールやRPAすべき業務の洗い出しなどの細部の条件を決めていきます。
さらに、RPA導入について今後進めていくために必要な、予算や担当チームやスケジュールなどを決定します。
初めてのRPA導入はMICHIRUにお任せください!
MICHIRU RPAは、中小企業にファンの多いデスクトップ型RPAツールです。
PCで行える操作を全て自動化できるデスクトップ型でありながら、月々の費用は業界最安級の5万円におさえられており、非常に高コスパ。
低価格ながらも、1アカウントの契約でPC5台まで同時稼働できるというパワフルな使用感で中小企業から絶大な支持を受けています。
さらに、RPAの導入前から運用までを徹底的にご支援するサポートサービスも充実しているので、エンジニアがいない現場でも安心して導入していただくことができます。
初めてのRPA導入でお悩みの方は、ぜひMICHIRUまでご相談ください。
記事まとめ
いかがだったでしょうか、今回はRPA導入のメリットと導入フローについてお話ししました。
RPA導入の成功の鍵をおさらいすると「対象業務の棚卸ができていること」「自社に適したツールを選ぶこと」と言えるでしょう。
ツールの選定に関しては、トライアル期間を設けているツールでPoCを行うこともひとつの方法です。
多くのRPAベンダーでトライアルやフリープランの提供を行っています。
RPA導入を検討されている企業様は是非活用してみてください。