昨今、少子高齢化による労働力不足といった社会的な背景から、注目されているテクノロジーに一つにRPAがあります。
言葉としては、いろんな場面で聞くことが多くなってきたと思いますが、具体的に「RPAとは?」や「RPAを使用することによるメリットとデメリット」について、詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、RPAとは何なのか、業務をRPA化することによるメリットとデメリットについて解説をします。
RPAが注目された背景や国内の導入状況についても解説していますので、この機会にRPAを見極め上手に活用しましょう。
RPA化とは?RPAってなに?
RPAとは「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の略で、手作業で実施している業務を自動化し、業務処理スピードの向上やコスト削減など効率化を実現するテクノロジーです。
業務を自動化するためには、各社が提供している「RPAツール」を導入する必要があり、そのツールを使って業務を自動化することを「RPA化」と言います。
業務を自動化することで、単純作業だが処理量が多く手間がかかる業務や、頻度の高い定型業務などの自動処理が可能になります。
そうすると、今まで業務をしていた時間が空くため、人にしか出来ないクリエイティブな業務に注力でき、企業として市場競争力の向上へと繋げることができます。
なぜ、RPA化が注目されているのか?
RPA化が注目されている背景には、日本の社会的な課題が影響しています。
日本は、少子高齢化による「労働力不足」が深刻化しており、厚生労働省が発表した高齢化の推移と将来推計によると、2023年10月時点で総人口は1億2,435万人になり、2060年には1億人を切って、9,615万人にまで落ち込むと予測されています。
そんな課題に対応するべく、RPAツールを導入し業務を自動化することで、限りある人材の有効活用を目指しています。
そういった背景から注目されているRPAですが、国内のRPA導入率はどうなのでしょうか。
国内企業のRPA導入状況
国内におけるRPAの市場規模は、企業規模や業種問わず年々拡大し続けています。
ICT市場調査コンサルティングの株式会社MM総研が発表した資料によると、年商50億円以上の企業では、社数ベース導入率は45%で半数近い企業が導入するまでになりました。
また、現在では中小企業での導入も増えてきており、今後も市場規模は拡大していくことが予想されています。
RPA化するメリット・デメリット
自社の業務をRPA化することにより、業務効率化などの効果がありますが、そんなRPAにもメリットとデメリットが存在します。
効果的にツールを導入するためにも、できることと、できないことがあることを知っておくことは重要ですので解説していきます。
RPA化のメリット①:人手不足の改善
上記でも解説しましたが、RPAを導入することで「少子高齢化による労働力不足」を改善することが可能です。
RPAは、人が実施すると工数がかかる業務の自動化が可能なため、RPA化することにより労働力不足の解消が行えます。
また、空いたリソースを適切に活用することによる、人的リソースの最適化も同時に実現することが可能です。
RPA化のメリット②:コスト削減
業務をRPA化することで、その業務にかかっていた人件費、採用費、教育費などのコストが大幅に削減されます。
また、繁忙期などで作業ボリュームが増え、臨時のスタッフを雇い人海戦術で乗り切っていたような業務の場合、通常コストにプラスして大幅なコストがかかります。
しかし、自動化してしまえば臨時のスタッフは採用せずに、現状の人員で運用することが可能なため、コスト削減に繋げることができます。
また、毎日の単純作業は従業員のモチベーションが低下し、離職の原因になりかねません。
そんな業務をRPA化すれば、従業員は自分のスキルを活かせる社内業務に従事することができ、従業員満足度の向上により離職が下がるため、新たに採用するときにかかるコストを削減することができます。
RPA化のメリット③:作業効率化と生産性の向上
RPAを導入することの最大のメリットとは、業務が自動化されることによって作業が効率化され「生産性が向上する」ことです。
自動化された業務は、設定されたルールに則り、正確性が高く、人が実施するよりもスピーディーに処理を進めることが可能なため、今までの工数を大幅に削減し業務効率化へと繋げることができます。
例えば、データ取得などの業務をRPA化し、始業までに当日必要となる情報が揃うように準備していた場合、始業後すぐに業務を開始できるため、日々の生産性が向上します。
また、そうやって空いた時間をコアな業務に充てることで、プロジェクト全体の業務効率化や、企業としての競争力の向上が見込めます。
RPA化のメリット④:ヒューマンエラーの削減
人が作業する場合、どれだけ慎重に作業したとしても集中力が途切れ、ヒューマンエラーを発生させてしまう可能性があります。
請求書の入力漏れや、メールの誤送信などのミスは、取引先からの信用を失うだけではなく、企業としての売上低下に直結する危険性があります。
そんなヒューマンエラーが発生しやすい業務をRPA化することで、ミスの発生が大幅に低減されます。
また、RPAを導入することでヒューマンエラーが発生した時にかかる、ミスの分析や対策検討、取引先への説明といった時間が発生しなくなるため、生産性を維持できます。
RPA化のメリット⑤:ワークライフバランスの改善
2019年4月より「労働力不足の解消」を目的に施行された働き方改革の一つに、「長時間労働の是正」があります。
業務の中には、長時間かかる作業、土日対応が必要な作業、早朝や深夜に対応必要な作業など、長時間労働になってしまう要因となる業務が存在します。
そんな業務をRPA化することで、労働時間を改善し、仕事と生活が調和するワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を実現することが可能になります。
RPA化のデメリット
RPA化のデメリットについて、主なものを3つ挙げて解説します。
RPA化のデメリット①:導入に関連コストがかかる
業務をRPA化するRPAツールは、無料のツールも存在しますが、基本的には「初期費用」や「ライセンス費用」といった導入コストがかかります。
そのため、RPAを導入する際は、どんな機能が必要なのかや、RPA化の適用範囲などを検討し「自社に適したRPAツール」を選定するようにしましょう。
RPA化のデメリット②:複雑な業務の自動化にはIT知識が必要になる
RPA化に向ている業務の特徴として「一定のルールがある」「単純作業」「大量処理」などがあり、そういった業務の自動化はIT知識が豊富でなくても問題ありません。
しかし、分岐条件が多業務の効率化や、古い基幹システムを使ったRPA化を実施したい場合、内容によってはIT知識が必要なるケースもあります。
その場合は、RPAツールを提供しているベンダーのサービスに、自動化のアドバイスや開発代行などがありますので、必要に応じて活用するようにしましょう。
RPA化のデメリット③:ブラックボックス化する可能性がある
業務を自動化する際のデメリットとして、RPA化した業務がブラックボックス化してしまう可能性があります。
正常に稼働している限り、RPA化した業務の中身を確認する機会はないため、RPA担当者の交代時に引継ぎをしないと、運用が属人化してしまい「何をしているRPAなのか」が、わからなくなってしまいます。
そのため、普段からマニュアルを作成し、引継ぎ方法を含めた運用ルールを定めておきましょう。
次の記事では、RPAを活用できる業務事例を紹介
今回は、いろんな場面で聞くことが多くなってきた「RPA化」について解説をしました。
RPAは普段実施している業務を大幅に改善してくれるツールですが、活用するにあたりメリットとデメリットが存在します。
自社でそのメリットとデメリットについて許容できるかを検討した上で、導入を決定しましょう。
また、RPAの導入を検討する上で「どんな業務がRPA化できるのか」についても重要です。
以下の記事に、RPA化できる業務を部門別にまとめていますので、ぜひ興味のある方はご覧ください。