どのPC作業を自動化するRPAツールの導入を考える際に、機種選びには迷います。
特に最初のRPA1本を導入するときには、選択肢も広い一方、価格と予算や運用のためにさくことができる人員のことや、できることはなにか、サポート体制、などなど多くの要素を考えて、なかなか選びにくい、と感じることでしょう。
そこで、最初の1本の選び方とおすすめ製品をご紹介します。選び方がわかると、おすすめのRPAのうち、自社にあったものはどれかを絞り込みやすくなるものです。
御社の自動化を実現する「はじめの1本」の選び方・導入のためにぜひお役立てください。
株式会社MICHIRU 取締役 CTO
この記事の監修担当者:
斎藤暁
医療施設法人やホンダ子会社のIT領域責任者などを経て独立。AI技術やシミュレータなど、複雑なアルゴリズムを駆使したシステムを提供している。自然言語処理によるシステムの技術は日米で特許を取得、その発明者でもある。2018年11月株式会社MICHIRUを創業。
Contents
RPAツール選びはなぜ難しい?
RPAツールを選ぶときは、つい高い、という先入観があります。高いソフトウェアを購入・導入する場合には、「失敗できない」と思ってしまう傾向もあります。
しかし、RPAツールの選び方にもおすすめの選び方があります。この選び方によると、初めてのRPA導入にも、萎縮したりしなくなると思います。
「はじめての1本」選びはこう考えてみよう
まず、値段・コストだけでは選ばないことが重要です。
低価格化も進んでいますし、用途によっては使いやすいクラウドRPAツールを選ぶことができるので、運用・保守の人員や負担を考えなくてもよいのです。
次に、RPAは「むずかしいもの」「手がかかるもの」とは思わないことがおすすめです。
- サポートは日本語で対応
- 導入サポートがあるものもあり、ハードルが下がっている
- クラウドではUIも大変使いやすくなっている
最新製品情勢を考えると、かつてのおすすめRPAツールと、現在のおすすめRPAツールは違います。より、RPAツールはユーザーフレンドリーになっているのです。
RPAツールの市場の動きも非常に早く、変わっているので、先入観は捨ててみましょう。それよりも重要なのは、導入したRPAツールの用途・導入する作業をかんがえることです。
選ぶ前にはトライアルも大抵の製品にあるのですから、そこで使ってみて決めることもできます。
最初の1本をどう選ぶ?選び方のポイント
最初の1本を選ぶのには、手順を守って選んでみましょう。
まずどの業務に導入するのかを検討しよう
RPAツールを導入するのに、対象業務の絞り込みは、手順としては一番最初にするべきことです。
対象業務は照合か・データの収集業務なのか、あるいは文書の作成業務なのか、さらに業務の手順を見えるようにして検討してみましょう。
そのうえで、RPAツールでできる、定型的で反復される数工程の仕事に対象業務として絞り込みます。ここでいう工程は、PCの操作として数工程、と考えます。
具体的におこなう業務・作業を考えると、選ぶべきRPAツールの種類はおおむね決まってくるでしょう。
「クラウドで行ったほうが楽」あるいは「この業務はクラウドじゃ無理」と見分けがついていきます。
というのも、一般的に、PC上のアプリで動かすことができるのはデスクトップ型、Webで動くのはクラウド型、というのが決まっているからです。
今では、クラウド型ツールでPC上のアプリケーションソフトウェア上のデータに対応するクラウドRPAもありますが、PC上のデータを扱うのが主であれば、デスクトップ型を選んでおくことが無難です。
また、基幹システムと連携させたい、などの「連携機能」を重視するなら、クラウドでは追いつかないケースも多いのです。
これに対して、Web上のデータを扱う業務がしたい、Googleドライブ上のデータを扱いたいなどといった場合には、メンテナンスフリーの簡単さ、管理の手間、UIの扱いやすさなどから、圧倒的にクラウドが有利になる可能性があるのです。
使う人の身になってくれているUIが多いのもクラウドRPAの特徴です。
RPAの導入後、だれがサポートしてくれるかも考えよう
次に、導入・運用の人員・体制を考えてみましょう。導入・運用業務に、自社のITの人員がいる・いないということで「できるだけクラウドにしたい」「デスクトップでもインストールが簡単で、非エンジニアでも使いやすいのが良い」と、対象がさらに絞られてきます。
さらに考えておくとよいのが、「多くのロボットに同じ自動化の作業をさせることを予定しているか」という問題です。
もっとも業務の自動化は進むやり方ですが、サーバを使いますので、管理の手間もかかります。
最初は、デスクトップで初めて、大きくなったらサーバで一気に処理したい、ということを考えるのなら、サーバ型の同じ製品がある、普及した製品を選ぶのが無難と言えるでしょう。
導入しやすさ、作業しやすさにこだわって選ぶのも正解の一つ
すでに説明した手順で考えておくことは重要ですが、複数のRPAを用途に合わせて使うなら、突き詰めて選ぶことがなくてもどちらかで作業・業務がこなせれば問題はないでしょう。
さらに今は、導入サポート付きの製品もあり、早く業務効率化の結果を出したいという場合は、こうした製品で簡単なワークフローを業務に適用してみるなどしてみましょう。
こうして早く成功体験を作っておくのも、そのあとの業務改善につなげられやすいという大きなメリットがあります。
トライアルで納得がいくまで触ってみて、操作して最終的に選んでみましょう。
RPAツールの導入の実際
購入~導入については、次のような実務的な理解も役に立ちます。
デスクトップ型ではじめて、サーバで運用を大きくするのが標準的
まずは、小さくテスト的に業務の自動化のためにRPAツールを運用する。その後、実運用・PoCを繰り返しながら運用を大きくしていくというのがよくあるパターンです。
大量の業務を自動化し、大規模運用をするのだと、どこかでサーバ型に切り替えるということになりますが、デスクトップ~サーバ型まで同じシリーズを使い続けるやり方が、日本の大手企業ではよくある使いかたでした。
サーバー型・クラウド型併用も増えているのが実情
ところが、大規模運用には、小回りの利かないデメリットが目立ち、アイディアを活かした業務の効率化・改善がうまく行かなくなってしまうこともあります。
そんな時に、手軽に使えるクラウド型のRPAを使うことや、あるいは違う形のデスクトップ型RPAを1~2本導入し、用途で使い分ける、といったことは合理的な導入の方法です。
最初の導入時の1本を選ぶ場合、併用はかなり先の話になるのが普通でしょう。が、業務の自動化導入だけでなく、大規模運用・小規模運用、管理をどうするかもアウトライン程度に考えておくこともおすすめです。
おすすめ11選
上記にご紹介した、RPAの選び方を前提として、デスクトップ型・クラウド型を中心にはじめての1本としておすすめの機種をご紹介します。
なお、以下のツールは、月々のコストが3~10万円ほど・初期費用が~30万円くらいのものばかりです。
デスクトップ型・おすすめRPAツール
デスクトップ型で、大規模運用も可能性がある、という場合におすすめなのが以下のツールです。
- UiPath
- WinActor
- Automation Anywhere
- BizRobo
- BluePrism
これらのツールは、シェアからして、世界3大ツール+国内2大ツールからなり、時々5大ツールと言われることがあります。
品質には定評があるので、どれを選んでも問題はありません。業務の中でも何をしたいかを決めて、使いやすいものを選びましょう。
特色のあるデスクトップ型RPAで、オススメはさらに3つあります。いずれも国産のソフトウェアです。
Asteria Warp
こちらも、サーバ型の大型運用が可能でありながら、月3万円から利用が可能、基本的な機能が搭載されています。
この製品の特長は、ドラッグアンドドロップで簡単にロボットのシナリオが作成可能、また、管理のサポート機能も便利です。
SynchRoid
ソフトバンク株式会社が開発したRPAでAI・Pepperと連携が可能なRPAツールです。
情報の発信・接客などの必要がある場合には、SyncRoyd+Pepperのソリューションを提供することが可能です。
業種は選びますが、用途さえ合えば好評なデスクトップ型RPAツールの一つです。
こちらもサーバ型に切り替えて運用することが可能ですので、コールセンターの運営などにも使いやすいRPAツールです。
PINOKIO
デスクトップ型で、サポートが無償、OCR・レコーディング機能もついているお得感が高いPNOKIOは、中小企業ユーザーの多いRPAツールです。
クラウド型・おすすめRPAツール
クラウド型RPAツールのメリットは、一般的に次の3点に集約されます。
- メンテナンスフリー
- 価格もお安め
- UIがユーザーフレンドリー
例えば、ドラッグドロップでシナリオができる製品もあります。
以前は「Webでしか使えない」「ブラウザ上でないと作業できない」が普通だったものが、今はアプリでもWebでも対応しているクラウドが出てきています。
そんなクラウド型RPAツールのおすすめ製品は次の通りです。それぞれに特徴があります。
BizteX cobit
ドラッグアンドドロップで、シナリオ作成ができて、非エンジニア・現場担当者でも使いこなせるのがウリのクラウドRPAツールです。
利用アカウントの発行数、作成できるロボットの台数はともに無制限、クラウド型RPAとして作業量で価格が変わるユニークな価格設定を行っています。
Robotic Crowd
ロボティッククラウドも、非エンジニアが業務を自由に自動化できることに重点を置いています。
しかし、YAMLでコードを書くことによるワークフローの設定でより細かくロボットを動かすことができるようになり、エンジニアにも使い勝手のよい管ウドRPAです。
keywalker
データクロールに特化したクラウド型RPAです。
なんと、数千万・数億ページからデータをクローリングで取ることが可能です。ブラウザを自動操作する言語で、動くサイトからもデータを抽出できます。
BIツールTableauとも連携し、分析・見える化も簡単な操作で行えます。
用途がデータクロール・マーケティング目的に限られてしまいますが、使いこなすと、どんなデータでも取ってきて分析したくなる、と評判です。
UiPath
実は、UiPath にも、クラウド型バージョンがあります。
API連携で、広くアプリケーションソフトウェアにも対応できるクラウド型RPAルールです。
機能には定評があること、UiPathアカデミーや、ベンダー資格などを社内教育でも利用したい、そして導入はクラウドで行いたい、という場合には適切な選択肢です。
フリーソフト・OSSはおすすめしません
フリーソフト、OSS(オープンソースソフトウェア)で特に無償のものは、結論から言いますと、おすすめしません。
いくつか理由がありますが、
- 用途か機能が制限されていて普通の会社ではあまり使えない
- 利用規約に、用途の制限などが細かく規定されている。
- 特にOSSなどは条件が細かく設定されていて要注意。うっかり会社の業務につかうと訴訟のリスクがあることも
トライアルで使う・OSSを積極的に利用するのが会社の方針、といった場合は、会社の契約担当に安全を確かめてもらう、などとしたほうがよいでしょう。
有料ソフトウェアのトライアルを期限の限定付きではありますが使っておいたほうが安心です。
中小企業のはじめてのRPAならMICHIRU RPAが最適
RPAの中小企業での導入も増えています。MICHIRU RPAは、中小企業に導入が多いデスクトップ型RPAツールです。
初期費用10万円月々の費用は5万円におさえられていて、別サーバで料金を管理士ながら使っただけ課金する形のフローティングライセンスも特色があります。
UIもユーザーフレンドリーなMICHIRU RPAもおすすめです。
ぜひご検討ください。
まとめ
RPAには選び方がありますが、現在やりたいこと、導入業務の絞り込みに加え、デスクトップか、クラウドか、自社の実情にあわせて決定していくとよいでしょう。
また、エンジニア人員が不足している会社が多い中、クラウドでサポート人員をカバーすることや、非エンジニアがシナリオ作成・ワークフロー作成操作ができるようなわかりやすいUIのものを選んでおくと、サポートがすべてエンジニアのところでパンクするような失敗は避けることができます。
ぜひこの記事を参考に、はじめての1本を十分ご検討ください。