昨今、業務効率化をサポートするツールとして「ChatGPT」や「RPA」が注目されています。
しかし、まだ前例の少ないITツールのため、多くのビジネスシーンで活用されているものの「具体的な特徴」や「ChatGPTとRPAを組み合わせた事例」などに精通している人はそう多くありません。
そこで本記事では、それぞれのツールが持っている特徴の違いや、どういったビジネスシーンで活用できるのかについて解説をします。
また、ChatGPT×RPAの具体的な導入事例についても紹介していますので、最後までご覧いただけますと幸いです。
RPAとChatGPT(AI)の違い
さっそくですが、RPAとChatGPT(AI)の違いについて紹介します。
それぞれのツールが持っている特徴も解説しますので、導入前の参考にしていただければ幸いです。
RPAとは?
RPAとは「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の略語で「パソコン上で実施している作業」を自動化できるツールになります。
専門的なプログラミングの知識は不要で、さまざまな業務アプリケーションを操作し、自動化することで業務効率化を図ることができます。
しかし「人の判断を含む業務」の自動化には向いていないため、その業務を自動化したい場合は、誰が作業しても同じ結果になるようルール化(手順化)しておく必要があります。
RPAを使った自動化は、以下のような業務に向いています。
- 手順化されている定型的な業務
- システムへのデータ入力
- 定期的なレポート作成
- 請求書の作成
- 顧客情報の更新
- 在庫管理
- 人事関連業務(勤怠、給与計算)
- サポート業務(FAQへの対応)
ChatGPT(AI)とは?
ChatGPT(AI)とは「Chat Generative Pre-trained Transformer」の略語で、AIの技術を活用したチャットサービスです。
アメリカでAIの開発を行う企業であるOpenAI社により、2022年11月からサービスが公開され、リリース後わずか2か月で利用者が1億人を突破した話題のITツールです。
ChatGPTは、大量のテキストデータを使って学習したり、Webページや書籍、雑誌、記事、論文などから得たデータを使って学んだりしているため、対話形式での質問応答や、自然言語による文章生成を得意としています。
そのため、ChatGPTは言語処理が得意なAIと言えます。
主に以下のような業務で活用することが可能です。
- カスタマーサポート(FAQ対応)
- 簡単なトラブルシューティング
- 社内ナレッジベースの検索と提供
- コミュニケーションの効率化(メール、チャット)
- アンケートやフィードバックの収集
- 簡単なプログラミング
- 学習支援や教育コンテンツの提供
- マーケティングコンテンツの作成
- データ分析や報告書の生成
しかし、ChatGPTが回答した情報が必ずしも正確とは限らないケースがあります。
そのため、使いどころには留意し、必要に応じて他の情報源と照らし合わせるようにしましょう。
RPAとChatGPTの具体的な違い
ここまで解説した通り、ChatGPTとRPAはいずれも業務効率化に役立つ自動化ツールですが、いくつか違いがあります。
より効果的な業務効率化が実現するためには、それぞれの違いを知っておく必要がありますので解説します。
自動化の適用範囲
RPAとChatGPTは、それぞれ適用できる自動化範囲に違いがあるITツールです。
RPAは「ルール化された定型業務」の自動化を得意としていますが、ChatGPTは、対話形式での質問応答といった「柔軟なテキストベースの出力」を得意としています。
そのため、RPAはレポート作成やシステムからのダウンロードといった定型業務やルーチンワークを自動化し、ChatGPTは文章の生成、アイディアの提供、プログラミングコードの生成といったテキスト作成に関する作業を効率化することが可能です。
このように、RPAとChatGPTは得意としている業務範囲が違うため、特性に適した仕事を任せる必要があります。
難易度
RPAとChatGPTでは、使用する際の難易度にも違いがあります。
ChatGPTはシンプルなチャット形式で指示内容を入力するだけで、使い始めることができるため、IT初心者にとっても使用難易度は低く使いやすいツールです。
コツは必要ですが「◯◯して」とチャットするだけで、ChatGPTから回答が返ってきますので、特別なトレーニングや専門的なスキルは必要ありません。
一方RPAは、自動化シナリオと呼ばれる「ロボットに何をどのように処理してほしいか」を記したものを作成する必要があります。
プログラミングの専門知識は不要ですが、RPAツールを操作するための学習や、自動化したい業務の理解は必要になります。
サポート範囲
RPAとChatGPTのサポート体制には大きな違いがあります。
RPAはツールを提供している販売元から「学習コンテンツの提供」「テクニカルチャットサポート」「自動化の開発支援」といった手厚いサポートを受けられるケースが多いです。
しかし、ChatGPTはオープンソースサービスとしてリリースされているため、個別サポートは提供されていません。
そのため、疑問点やエラーなどは、インターネット上にあるコミュニティフォーラムやドキュメントなどを活用して、自己解決する必要があります。
以上のことから、RPAとChatGPTには違いがあるため、それぞれの特徴が生かされる業務で活用しましょう。
しかし、RPAとChatGPTは得意な範囲が異なるため、組み合わせて使うことで「お互いのウィークポイント」を補完し、より効果的な業務効率化を図ることができます。
ChatGPT×RPAを組み合わせた事例
ChatGPT×RPAを組み合わせて効率化できた事例について紹介します。
事例① カスタマーサポートの自動化
顧客の問い合わせに対して回答する「カスタマーサポート」の対応ですが、ChatGPTとRPAを連携することで効果的に業務を効率化できます。
顧客からの質問(製品の使い方、トラブルシューティング、サービス内容など)に対して、ChatGPTを活用することで、返信⽤の⽂章を自動で作成し、会話形式で回答してくれます。
また、顧客のアカウント情報の自動検索や、トラブルチケットの生成、適切なアクションの自動実行などはRPAを活用することで実現できます。
その結果、カスタマーサポートの対応スピードと正確性が向上し、スタッフの業務負担を軽減することが可能になります。
事例② コンテンツ⽣成や配信
自社ホームページに掲載する文章や、SNSでも情報発信時のコンテンツなどはChatGPTを活用することで、自動生成することができます。
また同時にRPAも連携することで、その生成されたコンテンツを適切なフォーマットへ変更したり、指定された掲載先へ⾃動的に配信することも可能になります。
これにより、手作業による入力ミスが削減され、生産性が大幅に向上されます。
事例② 社内ミーティングの議事録作成
ChatGPTを活用した議事録作成ツールを使うことで、多くの発言や情報が飛び交う会議の要点を押さえ、内容を要約した議事録を自動作成することができます。
また、RPAを連携すれば議事録ファイルのメール送信や、社内のファイルサーバーへ格納などが自動化でき、業務全体の効率化を図ることが可能です。
従来の人手による議事録作成は、多くの工数がかかりますし、作成している担当者は会議に集中できない可能性があります。
しかし、ChatGPT×RPAを導入することで担当者の負担が軽減されるだけではなく、記載ミスなども削減されるため、大幅な業務効率が期待できます。
記事のまとめ
ChatGPTとRPAを組み合わせて活用することで、お互いの弱点を補完し、大幅な業務効率化を図ることができます。
そのためには、ChatGPTとRPAの特徴やどんな業務の自動化に向いているのかを理解しておく必要があります。
必ずしもChatGPTとRPAを組み合わせて活用しないと効果が出ないということではありませんので、自社の業務を振り返り、適切な業務へITツールを導入しましょう。
また、RPAを導入する時は、適切な順序で導入することも重要なポイントです。
適切な順序で導入しないと「思ったよりも効果がでない」など、導入に失敗してしまうリスクがあります。
以下の記事では、導入方法や順序、注意点について詳しく記載していますので、ぜひ参考にしてみてください。