近年問題視されている労働現場での人手不足。
医療業界は業務量の多さや人手不足も重なり、あらゆる業界の中でも特に対策が求められている業界といえますが、大半の医療機関はこのような問題に対する対策が十分に行えていません。
このような人手不足問題を解決するのが業務自動化ツール「RPA」。
本記事では、まずはRPAについて概要を解説。そして、医療業界における課題から医療業界とRPAの相性についてしっかりと解説します。
RPAの導入をお考えの方はぜひ参考にしてみてください。
RPAとは?
RPAとは、ロボティック・プロセス・オートメーションの略で、ロボットを使用し、パソコン上の大半の業務を自動化することで業務効率化をすることができるDXツールです。
背景
経済産業省が示した「2025年の崖」と「2040年問題」に対応するために各企業、自治体のDX推進は急務とされています。
労働力人口の不足に対応するためのツールとしてRPAは非常に注目されています。
ブルーカラーなど工場業務を機械で自動化して生産性をあげているように、ホワイトカラー業務もRPAロボットを使用し生産性をあげることで、労働力不足を補うことが期待されてるのです。
RPAでできることとは?
ここでは、一般的にRPAが得意とする業務と不得意とする業務について解説します。
RPAの導入範囲を決定する際に参考にしてみてください。
定型業務の自動化
RPAで自動化できる業務は「ルールが制定されている」定型作業です。
例えば、以下のような作業を自動化させることができます。
- 請求書の発行などのメール業務
- 業務レポートの作成
- データの簡易管理
今までは人間が手作業で行っていた業務をRPAが代行することで、人件費の削減や人的ミスの防止にもつながります。
一部非定型業務の自動化
RPAによって自動化できる業務は「定型作業のみ」と思われがちですが、例外も存在します。
ルールが存在しない場合はルールさえ作ってしまえば、ある程度の業務を自動化することができます。
たとえば「顧客によって対応を変える」など細かいルールをRPAに記憶させることで、そのルールに従ってRPAが業務を遂行してくれるのです。
RPAで自動化が可能な一部非定形業務は以下の通り。
- コールセンターの補助
- ネット上の情報収集
これらの業務にRPAを導入することで、オペレーターをはじめとする現場社員の負担を減らすことができます。
自律型ではより高度な作業まで自動化が可能
自律型RPAと呼ばれる、「RPA」と「AI」を組み合わせたタイプのRPAでは、AIの搭載により、RPAが機械学習を行うことが可能になるため、イレギュラーが発生した際にもRPA自身が意思決定までできるようになります。
例えばサービスの定期メンテナンスやトラブル時の調査といったシステム管理も自動化することが可能です。
不得意分野は「複雑な非定型的判断が必要な業務」
RPAができないこと、不得意なことは、できることの逆と考えられます。
RPAが不得意なことは、非定型的な業務、複雑な判断が入る業務、臨機応変さが求められる業務です。
RPAのできること・できないことを簡単にまとめるとこうなります。
単純な定型的判断でまかなえる業務 〇
複雑な非定型的判断が必要な業務 ×
RPAの導入をどの作業に対して行うか、どの業務範囲に対して行うかを導入前の準備で検討しておくことにより、導入の失敗が避けられます。
できること・自動化に向いている業務は多くあるので、そうした業務にRPAツールを使って、最大限に効果を上げるのがよいでしょう。
医療機関における業務課題と医療DXの現状を解説
ここでは、医療業界において特に問題となっている業務課題と、医療DXの現状について解説します。
医療業界における業務課題
医療業界における業務課題としては以下の2点があげられます。
- 医師・看護師などの労働力不足
- 長時間労働
- アナログへのこだわり
それぞれについて詳しくみていきましょう。
医師・看護師などの労働力不足
医療機関における業務課題の1つ目として、医師や看護師などの労働力不足が挙げられます。
これは、年々増え続ける患者に対して、対応できる医療従事者のバランスが取れていないなど、需要と供給のバランスがくずれていること、またそういった過重労働から引き起こされる離職や休職が主な原因となっています。
これまでにも医学部の定員増加などの施策は行われていますが、労働環境が過酷とされている外科や救急科などの志願者は限られており、今後も厳しい状況は続くと予想されております。
長時間労働
全診療科の労働時間の平均が、週56時間といわれており、全体的に一般労働者の法定労働時間を大きく超える労働が常態化していることがわかります。
この原因として、先にも述べた、患者と医療従事者の需要と供給のバランスが崩れていることをはじめに、以下のようなことが挙げられます。
- 診断書などの書類作成にかかる時間が増えたこと
- 患者・家族に対して同意にかける時間が長くなったこと
これらが原因で長時間労働が続くと、疲労感からくる集中力低下による医療ミスなどを引き起こす可能性もありますので、緊急の対策が求められています。
医療業界における医療DXの現状
それでは、医療業界における医療DXの現状はどうなっているのでしょうか?
DXの取り組み状況の調査結果によると、医療業界は特に遅れています。DXが進んでいる情報通信業(通信業)の51%に対し、医療・福祉業界はわずか9.3%です。
デジタル技術を活用して業務効率化を図る医療機関もありますが、医療業界全体ではまだ進んでいない現状です。
システム導入
そういった医療現場における労働問題に対して、電子カルテや自動予約システムなどの導入が積極的に行われています。
こういったシステムを導入することで、
- 患者の情報共有が今までよりも行いやすくなった
- 紙カルテを保管していたスペースの確保につながった
などのメリットがある一方、ITリテラシーが低い方が多く働く業界がゆえ、入力作業に時間がかかる、あるいは打ち間違いなどのミスが発生しているのも現状です。
期待できる効果とは?
ここでは、医療業界にRPAを導入した場合に期待できる効果について解説します。
スタッフの負担を軽減
こういった業務を自動化することで得られる効果として、業務時間削減から得られるスタッフの精神的負担の解消をすることができます。
スタッフの負担を軽減することで休職・退職リスクを抑えることができるだけでなく、精神的負担から解放されたことによる、仕事へのモチベーションアップなどにもつなげることができます。
仮にベテラン社員が働き続けてくれる場合とそうでない場合を比較してみましょう。
働き続けた場合は生産性のある業務でやりがいを得ながら会社の業績に貢献してくれる一方、突然退職した場合は、
- 空いた穴を補う他の社員の負担
- 新たな社員を採用する場合の採用サイト費用
- 経営者などが面接に割く時間
- 採用後の人材育成にかける時間
等、時間やコストがかかり、スタッフの負担を軽減することが中長期的に見て大きな投資対効果があることがあることがお分かりいただけるかと思います。
年々人口不足が加速している関係で新たな人材確保が難しくなっている以上、スタッフの業務負荷をできるだけ抑えることは、今後の企業存続においても非常に重要なポイントとなってきそうです。
人的ミスの防止
RPAを導入することのメリット2つ目として、人的ミスを未然に防ぎ、業務品質の向上につなげることができます。
RPAは、決められたルールの通り確実に動くため、レセプト業務のような確認・修正作業が多い業務であっても確実にルール通り行うことが出来ます。
電子カルテ入力などは、患者に関わる重要情報を記録する作業であり、入力間違いがある場合は患者の命にも関わってきます。
量が多ければ多いほど人的ミスが発生する確率やそれに伴うリスクも大きくなるので、RPAを活用して是非防止していきたいところです。
人件費等の費用の削減
RPAの導入は、多くの業務プロセスを自動化できるため、人件費等の費用の削減にもつながります。
予約や診療情報の入力作業を自動化できれば、受付スタッフの人数を減らせたり、患者の診療情報や医療記録の整理などの自動化が進めば、医療事務員の配置人数も削減できます。
単純業務の人員を割いた分、コア業務へと注力することが可能です。
以上のように、RPAを導入によって各業務の自動化が進むことで全体的な人員配置の見直しをおこなえるため、人件費の削減にも一役買ってくれるでしょう。
予約患者の来院率改善
RPAの診療予約システムを用いることで予約患者の来院率改善につながる効果が期待できます。
たとえば、予約確認の通知メールを自動送信することで、予約日時を忘れるなどのリスクを防止が可能です。
また、病院側が患者の予約情報や来院履歴を自動収集し、カルテに反映すると、来院状況を把握できたり、患者の来院状況から改善策を考えたりすることもできます。以上のことから、RPAの活用により、予約患者の来院率改善につながるでしょう。
医療業界におけるRPAの活用ポイント
RPAの機能をお分かりいただけたところで、ここからは実際に医療現場での活用シーンとその効果について記載させていただきます。
医療業務
医療現場でのリスト作成業務の効率化などにRPAは威力を発揮します。
例えば、超音波検査を受ける患者さん全員の前回所見を過去の検査結果から見つけ、リストにまとめるという業務では、2〜3時間かかっていた業務が10分程度に短縮できるなど、大幅な業務効率化を達成した病院があります。
看護業務
看護部の業務についてもRPAで様々な業務自動化が可能です。
例えば、看護師⻑による出⽋状況や超過勤務時間など勤怠情報の⾃動チェックや、退院サマリや看護サマリ⼊⼒状況の⾃動チェックなどが自動化できます。
看護業務をRPAで自動化することで、看護師の方々の業務負荷削減できるため、働き方を改善できます。
経理業務
経理業務へのRPA導入は、他業種においても定着しています。
ルーティーン業務が多い経理業務は、RPAで自動化しやすいためです。
各部署から集めたデータを社内のシステムに登録したり、システムからデータを吸い上げてExcelにデータを出力して資料化したりなど、さまざまな業務を自動化できます。
総務・人事業務
備品購入の情報収集や管理業務においても、RPAを導入して業務自動化可能です。
注文した備品は備品管理台帳へ自動入力し、自動更新作業もRPAで実現できます。
勤怠管理業務においてもRPAを活用できます。
例えば、膨大な出退勤データの中から、RPAを使って長時間労働しそうな対象者を自動で探し出すなどの自動化が可能です。
医療現場におけるRPA導入事例を紹介
ここでは、医療現場におけるRPA導入事例を紹介します。
①倉敷中央病院
倉敷中央病院ではNECの提供するRPA「NEC Software Robot Solution」を活用して医療現場の働き方改革に取り組みました。
倉敷中央病院が抱えていた具体的な課題は以下の通りです。
- 医療現場の長時間労働を是正するために働き方改革を推進したい
- 医療システム間の連携が難しく、煩雑な転記作業が必要となっていた
- 属人化する業務も多く、非効率なプロセスやムダな業務も少なくなかった
病院内で使用されている医療システムは動作環境の要件が厳しく、他システムとの連携が認められていません。
RPA導入前には、職員が診察終了後に1日約30件分ものデータを転記しなければならず、4時間以上もの時間外勤務が必要になっていました。
倉敷中央病院ではその転記作業をRPAで自動化し、年間960時間の業務時間の削減に成功しました。
②東京歯科大学市川総合病院
東京歯科大学市川総合病院では医師・看護師を含む医療従事者の働き方の現状を改善するために2018年よりRPAの導入を開始しました。
事務部門にRPAを導入し、効率化・自動化を行うことで、医師・看護師が担っている書類作成を事務部門に移管し、医療現場の労働環境改善を実現。
医師・看護師が医療行為に従事できる体制構築に取り組んでいます。
具体的には、医療情報システムから放射線科までの広い範囲において看護日誌の統計や、入退院患者の管理、院外の処方箋受付作業をRPAで代替し、年間業務削減時間は約2,453時間に及びました。
今後は部署間でのRPA連携、診療場面での運用、病院間の連携も検討されており、経済効果の拡大、医療の質の向上が期待されています。
③信州大学医学部附属病院
医療業務の自動化における問題点の1つが電子カルテの取り扱いですが、厚生労働省との取り決め上操作ができないことを踏まえつつ、カルテから出るデータを用いた医事会計システムの修正などにRPAを活用し、多くの時間を創出してきました。
信州大学医学部附属病院では、組織内に設置されたRPA推進室主導の下UiPathを導入し、年間1,448時間の業務削減を達成しました。
事務業務においても、医療用ガウンや手袋の在庫を厚生労働省のシステムに報告する業務にRPAを導入することで経営管理課の業務を丸ごと代替し、入力の省略化と正確性を実現しました。
低価格&ユーザーフレンドリーなおすすめツール「MICHIRU RPA」
ここでは、初めてRPAを導入しようとお考えの方に向けて、おすすめのRPAツール「MICHIRU RPA」をご紹介します。
ユーザーフレンドリー&パワフルな使用感
数あるRPAツールの中でも、特におすすめのMICHIRU RPAは、簡単に、安く、業務効率を実現するRPAとして今最も注目されている国産RPAツールです。
Windows 10 or 11をご使用中の方であれば簡単にインストールができ、操作も全アプリ操作可能となっています。
これは画像認識で動作するため、操作対象のアプリケーションの構造に左右されることがないためです。
また、そのほか機能面において、お伝えしたいのが以下の2点。
- 簡単操作
- 日時指定実行
簡単操作に関しては、プログラミングなどの知識は一切不要、かつ操作記録機能などが使用できる事から非常に簡単に操作が可能です。
日時指定実行は、Windows標準搭載のタスクスケジューラと連動させることで、指定の日時に対象業務を自動実行することが可能となっています。
日時指定実行を使用すれば、自動で実行してくれる分タスク忘れを防ぐことができるだけでなく、深夜など業務時間外に実行することで、より業務効率化の幅を拡げることにもつながるので、是非活用したい機能です。
低価格&充実したサポートで安心してお使いいただけます
価格は業界最安値、月額5万円、年間60万円で使用することが出来ます。
一般的なRPAの価格が月額10万円程することが多いので、この金額は破格といえるのではないでしょうか。
また価格の安さだけでなく、サポートが非常に充実していることもMICHIRU RPAの魅力の一つです。
サポートでは、お客様自身が使えるようになる「伴走型」サポートを目指しており、主に、以下の3段階でサポートさせていただいてます。
- ヒアリング
- 自動操作セット、初回作成サポート
- フォローサポート
導入前のヒアリングでは、どのような業務から自動化すると効果的なのかアドバイスをいただくことができ、さらにヒアリング内容をもとに自動操作セットの提供、操作をハンズオンでサポートしていただくことも可能です。
また作成後の内製化のサポートとして、フォローサポートがあり、操作勉強会やユーザフォーラムを活用し、より深い知識を身につけることで、よりたくさんの業務を自動化することが出来るようになりますので、業務効率化を自分の力で大きく進めていくことができます。
初めてのRPA導入に不安のある方はぜひ活用してみてください。
記事まとめ
本記事では、医療業界における課題から医療業界とRPAの相性について解説しました。
人口減少問題は非常に難しい問題ですが、医療業界は患者数の増加などから特にその問題は顕著であり、近年新型コロナウィルスによる病床数の増加などから、特に医療機関の働き手不足は喫緊の課題となっています。
そういった喫緊の課題に対し、RPAを導入することは人材不足を補えるだけでなく、現在抱えている人材の業務満足度と業務品質を向上できるなど、一石三鳥のツールだということがお分かりいただけたと思います。
現在人口減少のあおりをそこまで受けていない企業様も、遅かれ早かれ必ずこの問題に直面すると思いますので、是非お早めにRPAを導入し対策をしていただきたいです。
本記事をきっかけに、まずはMICHIRU RPAから業務の自動化に取り組んで頂けたら幸いです。