近年、多くの企業において業務効率化の取り組みが進んでいます。
単純作業やAIに代替できる部分はそれに任せてしまう、いわゆるDX化の考えが各企業に2010年代より急激に浸透してきました。
中でもロボットによる業務の自動化が期待できるRPA(Robotic Process Automation)の普及は大企業のみならず、中小企業にも急速に広がっています。
本記事では、RPAを詳しく知りたい方に向けて、種類ごとの特徴や、導入によって得られるメリットを解説します。
さらに、RPAツール選びのポイントについても言及していますので、企業でRPAの導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
RPAとは?
RPAとは、一言で説明すると、「ルーティンワークの自動化」です。
自動化したい業務手順のシナリオを作成・登録することでロボットが代わりに事務作業などの単純作業を遂行してくれるシステムのことを指します。
RPAは、定型化された業務の遂行や、データ収集・分析など膨大なデータを扱うことが得意であるといった特徴を持っています。
つまり、人間よりも短い時間でミスなく作業を遂行することが可能です。
RPAツールで自動化できる作業の事例としては、数字を扱う業務レポートの作成や請求書発行などのメール業務などが挙げられます。
一方で、作業手順が決まっておらず、その都度判断が必要を必要とする業務や、シナリオやマニュアル作成が難しい業務は得意ではないと言えます。
RPAツールの種類別の特徴
RPAツールは大別すると以下の3種類となります。
- サーバー型RPA
- デスクトップRPA
- クラウド型RPA
本章ではそれぞれの特徴を種類ごとに解説します。
①サーバー型RPA
- 大規模プロジェクト向け
- 機能性に優れ自由度が高い
- 多くのコストが必要
サーバー型RPAは自社サーバー上にインストールし、ロボットを動作させます。
社内環境に合わせて開発が可能であり、機能性及び柔軟性に優れている点が特徴です。
さらに、自社サーバー内で完結するため情報漏洩や不正アクセスをはじめとするセキュリティリスクも低いです。
一方で、高額な運用コストがかかることがデメリットです。
複数のPCをや部門を横断して業務効率化を図ることができるので、多くの予算を取れる可能性の高い大企業や大規模プロジェクトにおいては、最もおすすめの種類であると言えます。
②デスクトップ型RPA
- 中小企業向け
- 運用コストが低い
- パソコンのリソースを大きく占有する
デスクトップ型RPAは、サーバー型とは違い、パソコン上にRPAツールをインストールすることで、そのパソコン上だけにおいてRPAロボットを稼働させることができます。
サーバー型と比較すると、導入時の初期費用や運用コストが安価であることが特徴です。
したがって、RPAツールに予算を大きく割けない中小企業でも導入に対するハードルが低いので、低リスクで業務の自動化を行うことが可能です。
デメリットとしては、RPAツールが稼働している間は、パソコンのリソースを大きく占有する可能性があることが挙げられます。
特に、プロセス手順の多い複雑な業務をの自動化を行う場合は、処理するためのリソースが多くかかります。
したがって、RPAロボットを稼働させている時間に他の作業を並行して行うことは難しいため、新たにRPA用のパソコンを導入する必要があることも留意しましょう。
③クラウド型RPA
- 中小企業向け
- 他の業務を並行して行える
- セキュリティ面でのリスクがある
クラウド型RPAとは、インターネットを経由してクラウドサービスにログインすることで、Webブラウザ上の作業が自動化できるツールです。
デスクトップ型RPAと違い、稼働させていても別の作業を同時並行で行うことができる点が特徴的です。
また、自社でメンテナンスや運用保守が不要である点や、導入コストが安価で済む点もクラウド型RPAの魅力でしょう。
一方で、インターネット回線を経由するため、他のRPAツールの種類と比較してセキュリティ面でのリスクが高いです。
したがって、業務で利用する際はIDやパスワードの暗号化や特徴的なパスワードを使用しないなど、自身でセキュリティ対策を行うことは必須でしょう。
RPAツールの導入で得られるメリット
ここまではRPAツールの種類とその特徴について解説しました。
本章ではRPAを導入することで実際に得られるメリットとして挙げられる以下の3点について詳しく解説します。
自動化による業務の効率化
RPAツールを導入する最大のメリットは業務を自動化することで作業時間を圧縮できる点です。
作業時間の圧縮により、既存作業の影響でこれまで取り掛かれなかった新規事業の創出や、人間がAIより優れていると言えるクリエイティブ業務の作業時間に充てることが可能となります。
したがって、人間とRPAそれぞれの特徴に合った業務分担をすることで業務効率化を最大化することができるでしょう。
従業員のモチベーション向上
RPAツールの導入は、上述したように業務の自動化を行うことで効率化が進み、クリエイティブな業務への時間を多く充てることができるようになります。
結果的に単純作業による慢性的な残業等から解放されるため、従業員のモチベーションの向上にも役立ちます。
モチベーションが向上することで従業員の生産性も高くなることが期待できます。
したがって、RPAツールの導入が新規事業の創出や既存事業の売上拡大に間接的につながる可能性を秘めています。
人的ミスの削減による業務品質の向上
RPAツールの導入は業務品質の向上にも役立ちます。
RPAは指示されたプロセスや手順に従って業務の自動化を行うため、入力ミスといった人的ミスを起こさないといった特徴を持っています。
人間の集中力は3時間が限界と言われていますが、ロボットには作業時間の限界はありません。
膨大な作業時間を必要とする業務をRPAツールを活用して自動化することで、業務品質の向上につながると言えるでしょう。
ツール選びのポイント
業務の自動化を図る上で欠かせないツール選びですが、選定のポイントとして以下の2点が挙げられます。
無料トライアルを活用する
RPAを導入する検討段階に入ったら、まずは無料トライアルを利用することをおすすめします。
多くのRPAツールでは大体1ヶ月程度のトライアル期間を設けています。
試験的に活用してみることで運用・管理のしやすさや、そのツールの特徴を把握することが容易になります。
また、本契約時には初期費用がかかる場合が多いです。
したがって、コスト的側面からも本格的な導入の前には無料トライアルを利用する方が良いと言えます。
ツールの比較検討を行い機能の違いを把握する
RPAツールは市場のニーズの高まりに伴い、多くの会社からRPA製品が販売されています。
製品ごとに価格や機能、持っている特徴は異なります。
そのため、自社に最適なRPAツールを導入するにあたり、比較検討をすることは必要不可欠だと言えます。
また、RPAツールを導入する前に、まずは社内で自動化したい業務の洗い出しを行いましょう。
そうすることで、どのような機能や特徴を持った製品を求めているかを把握することができるため、自社の業務に対応しうる理想的なRPAツールを探す手掛かりとなります。
記事のまとめ:ツールの特徴を理解し自社に合う製品を見つけよう
本記事では、RPAツールの種類ごとの特徴や、ツール選びのポイントについて解説しました。
一口にRPAと言っても種類や機能に違いがあり、製品ごとに異なる特徴を有しています。
したがって各製品の特徴や機能を把握し、自社のニーズに合ったRPAツールの導入を検討することが重要です。
また、デスクトップ型やクラウド型のRPAツールは比較的低コストで導入できるといった特徴があるため、初めてRPAツールを導入するのにおすすめです。
以下の記事ではおすすめするRPAツール11製品を紹介しています。
各製品の特徴や費用感なども掲載していますので、興味のある方はぜひご覧ください。