人手不足・コスト削減に悩む現代社会では、業務効率化を目的として、生産性の高いAIツールに注目しています。
そこで、特に注目されているのが、パソコン上の定型業務を自動化できる「RPA」です。
この記事では、RPAの基礎知識や、活用(導入)すべき企業について、詳しく解説しています。
記事の後半には、RPAの具体的な導入手順や、導入方法をご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
RPAを導入する前に知っておきたい基礎知識
まずは、RPAの導入手順を紹介する前に、RPAに関する「基礎知識」について解説していきます。
RPAとは
RPAとは、Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)の略語で、普段実施している「定型業務」などを自動化する技術です。
RPA自体は、2017年ごろから注目され始め、金融業界を中心に導入が進められていましたが、労働環境の変化や新型コロナウイルス蔓延などによって、急速に普及しました。
RPAが急速に普及できた理由は、プログラミングスキルが不要な製品も多く、導入後すぐに業務効率化を開始できる点が特徴的だからです。
RPAの種類
RPAには、3つの種類があり「デスクトップ型」「サーバー型」「クラウド型」に分けることができます。
デスクトップ型 | サーバー型 | クラウド型 | |
---|---|---|---|
特徴 | 特定のパソコン(個人のパソコンでも可)にRPAツールをインストールするだけなので手軽に導入が可能 | 専用のサーバーを準備する必要がある/サーバーにRPAツールをインストールして導入環境を構築/パソコンよりも性能が高く大量のデータ処理などに向いている | インターネットを介して提供されているRPAツール/バージョンアップなどはベンダーが実施するため保守がラク |
導入規模 | 個人業務/部内の業務など小規模 | 全社的に自動化を進めるなど大規模 | クラウド上で実施している業務など小〜大規模 |
コスト (費用) |
安価 | 高額 | 安価 |
導入ハードル | 低め | 高め | 低め |
3つの種類には、それぞれ特徴があり、メリット/デメリット・導入規模・コスト(費用)・導入ハードルなどが異なるため、自社に合うRPAを検討する必要があります。
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RPAを活用すべき企業
RPAは、定型業務に導入することで「生産性」が向上するなど、多くのメリットが存在します。
ここからは、RPAを活用すべき企業について、詳しく解説していきます。
人手不足に悩んでいる企業
少子高齢化などを理由に、人手不足が深刻な企業では、限られたリソースで業務を回す必要があります。
そこで、RPAを導入した場合は、単純作業やルーティンワークといった「人が実施しなくても良い業務」を自動化できます。
業務の自動化は、人手不足の解消だけではなく、従業員が価値の高い業務に集中できるメリットもあります。
業務が特定の個人に依存している企業
業務が特定の個人に依存している場合は、担当者が不在・退職してしまうと、業務が滞るリスクがあります。
また、何かトラブルが発生した際は、復旧までに時間がかかってしまう可能性もあります。
そこで、RPAを導入する場合は、自動化に伴って「該当業務を標準化」する必要があるため、属人化の解消および、業務の継続性が確保され、特定の個人に依存しない体制を構築できます。
人的ミスが多い企業
人的ミスは、人が作業を実施していると、どうしても発生してしまいます。
そして、発生したミスは、業務品質の低下を招き、顧客満足度の悪化や、損害賠償にまで発展してしまうことがあります。
しかし、RPAは、設定した通りに手順を実行するので、人のように「疲れ」や「慣れ」からミスを起こす心配がなく、品質の向上に繋がります。
業務効率化を目指している企業
業務効率化は、働き方改革など、労働環境の変化に対応するべく、多くの企業にとって重要な課題です。
そこで、企業がRPAを導入すると、業務が自動化されるだけではなく、人が作業するよりもスピーディーに対応できるため、企業全体で生産性の向上に繋げられます。
コストを見直したい企業
RPAを導入した場合は、業務の自動化を通じて、人件費を含めた業務にかかるコストを削減することができます。
他にも、残業で対応していた業務や、繁忙期などで一時的に業務量が増えるタイミングも、RPAでカバーできるため、業務全体の効率化が図れます。
また、近年では、OCR(光学文字認識)と呼ばれる技術と、RPAを組み合わせて活用する会社も増えています。
OCRは、紙媒体をデータ化できるため、データ化した内容をRPAで処理するといった「相乗効果」が期待できて、紙運用にかかるコストも削減できます。
OCRとは
OCR(光学文字認識)とは、印刷された文字や手書きの文字をデジタルデータに変換する技術です。
これまで、企業では、紙書類などアナログな情報があることにより、保管スペースや管理コストの増大・膨大な入力作業と品質の低下など、さまざまな課題を抱えていました。
OCRは、そんな課題を解決するテクノロジーで、RPAツールと連携することで、業務効率化を促進するメリットがあります。
AI-OCRとは
AI-OCR(人工知能光学文字認識)とは、従来のOCR技術にAIを組み合わせた技術で、文字の認識精度が向上しており、識字率の低さをカバーすることができます。
AI-OCRは、手書き文字や、より多様なドキュメント処理が可能になり、手書き関連の文書が多い自治体や医療業界、金融業界などでも活用されています。

定型業務が多い企業
RPAは、定型業務の自動化を得意としているため、導入することで大きな効果が期待できます。
また、定型業務の中には、精神的な負担の大きい業務(金銭)などもありますが、RPAの導入によってストレスから解放され、従業員満足度の向上にも繋がるメリットがあります。
【RPAの導入におすすめな定型業務】
定型業務 | 業務例 |
---|---|
データ入力業務 | システムへの顧客情報入力・取引データの入力・交通費精算データの入力など |
請求書処理 | 請求書の作成/発行・ダブルチェックの作業・メール送付など |
定期的なレポート作成 | 日次・週次・月次の業務報告書や分析レポートの作成など |
データの集計 | 販売管理システム・在庫システムなどからのデータ修正作業 |
データのスクレイピング作業 | ウェブサイトからの情報収集作業 |
定期的なデータバックアップ | 基幹システム・管理システムなどのバックアップ作業など |
RPAの具体的な導入手順や方法
RPAの導入効果を最大化するためには、導入手順や方法が重要です。
ここでは、RPAツールを導入する際の進め方(流れ)を「5つのステップ」に分けて、詳しく解説します。
導入手順1:RPAに関する担当者を選定する
RPAツール導入の第一歩として、RPAプロジェクトを推進する担当者を選定します。
RPAは、業務に「導入すれば終わり」というツールではなく、継続的に運用していく必要があります。
そのため、担当者を選定しないと、トラブル発生時の対応や運用検討といった管理が不十分になり、立ち上げた自動化プロジェクトが失敗する割合が高くなります。
【RPA担当者の選定ポイント】
- 業務効率化に積極的であること
- 円滑に現場とコミュニケーションが取れること
- 課題の発見や管理するスキル など
導入手順2:RPAに任せる業務を選定する
次は、RPAに任せる業務を選定します。
RPAを活用すれば、定型業務を自動化できますが、なかにはRPAが苦手としている業務も存在するため、適用する前に業務を選定する必要があります。
RPAの効果を最大化するためには、業務ルールが「明確ではない」「想定外の処理が多い」といった業務は避けて、以下のポイントを押さえておくのが良いです。
ポイント | 説明 |
---|---|
業務が定型であること (同じ作業を繰り返す) |
処理ごとに手順が変わるような業務は選定対象から外す |
デジタルデータであること | 紙媒体や手書き情報を扱いたい場合は「OCR」を活用 ※デジタルデータへの変換が必要 |
定期的に発生する業務であること | 設定したスケジュールに沿って24時間365日実行可能 柔軟な運用が可能 |
大量のデータ処理している | 大量データを扱う際にリスクのあるヒューマンエラーも低減 |
パソコン内で完了する業務であること | 自動化する業務はパソコンで完結できる業務を選定 |
判断が必要ない業務であること | 人による判断が必要な手順の自動化は不可 |
導入手順3:RPAツールを比較検討する
次は、適切なRPAツールを比較検討していきます。
市場には、目的や需要に合わせた製品が多くリリースされているため、比較検討する際に「操作しやすいか」「サポート体制は十分か」「導入は容易か」など、多方面から熟考する必要があります。
以下の記事では、RPAの導入前に知っておきたい「ツールの選び方」や「価格」「補助金制度」などをまとめていますので、ぜひご覧ください。
導入手順4:RPAツールの無料トライアルを利用する
次に、RPAツールが選定できたら「無料トライアル」を利用して、実際の操作感や機能面を確認する必要があります。
無料トライアル中は、ツールの使い勝手や、開発支援サービスといった「サポート体制」を確認することができます。
また、ベンダーの中には、無料の「操作勉強会」や「相談・レクチャー会」などを開催し、より試しやすい環境を提供している場合もあるため、積極的に利用するのがおすすめです。
導入手順5:RPAツールを本格的に導入する
最後は、選定したRPAツールを本格的に導入します。
RPAツールの導入時は、トラブルなどが発生しやすいので、運用体制などを整えながら、徐々に業務の幅を広げた方が安心です。
スモールスタートを行うことで、簡単な業務から自動化できるので、導入後の効果を早期に実感できます。
また、次のステップに進むためのリソースも確保できるため、好循環な導入が期待できます。
次の記事ではRPAの導入支援について解説
本記事では、RPAを「導入すべき企業」や、導入効果を最大化するための「導入手順」について、詳しく解説してきました。
RPAは、定型業務を自動化できますが、向き・不向きもあるため、導入目的を明確にして、適する業務を選定する必要があります。
次の記事では、RPAの導入支援について解説しているので、ぜひご覧ください。
