不動産業界におけるRPAとは?効果やメリット、導入成功事例について解説

不動産業界でRPA導入が増えているけど実際どうなの?

不動産業界におけるRPAとは?効果やメリット、導入成功事例について解説

さまざまな企業で導入され、DX推進の一環としても注目されているRPA。

膨大な業務量に悩まされ、慢性的な人材不足を抱える不動産業界では、このRPAの導入が急務であるといえるでしょう。

この記事では、「不動産業界でRPA導入が増えているけど実際どうなの?」という疑問をお持ちの方に向けて、不動産業界におけるRPA導入の効果について解説。

また、実際にRPAの導入による自動化に成功した事例についてもご紹介しています。

RPAの導入をご検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

”RPA”で不動産業界の業務における課題を解決

まずは、不動産業界の業務における課題と、RPAの概要について詳しく解説します。

不動産業界の業務の現状と課題点

財務省の発表によると、不動産業界の市場規模は2021年時点でおよそ44兆円であり、ほかの市場と比較しても市場規模が大きな業界だといえます。

そんな不動産業界は、業界全体として以下のような課題を抱えているのが現状です。

課題① DXの遅れ

不動産業界は、他の業界に比べてデジタルトランスフォーメーション(DX)の導入が遅れています。

これは、昔ながらの働き方が続けられていることが原因です。

膨大な紙ベースの書類や契約書の扱いが今でも残っています。
また、そもそも不動産業界はデジタル化が進んでいるとはいえません。

「オンラインを活用した仲介手数料の削減」「クラウド型の不動産管理システム」などが普及しつつありますが、まだまだアナログな要素が残っています。

課題② 慢性的な人材不足

近年の不動産業界では、人材不足が深刻な問題となっていて、新たな人材を確保できない状況です。

人材不足は、経験豊富な専門家から若手社員まで幅広く影響を及ぼしているため、業界全体の競争力低下やサービス品質の低下につながっています。
このような人材不足が加速する背景には、上記のようなIT化やDXの遅れがあるでしょう。

また、長時間労働や休日出勤が多くなってしまう業界であることから、働き手にとって魅力的とは言い難いことも背景にあります。

課題③ 膨大な業務量

不動産業界の従業員は、毎日膨大な量の業務をこなす必要があります。

例えば、不動産の仲介業者では、

  • 顧客対応(来店・メール・電話)
  • 内見対応
  • 物件情報の管理(検索・登録・更新)
  • 物件の修理依頼
  • 売上管理

など非常に多くの作業をこなす必要があります。さらに、自身の勤怠情報や経費精算に関する作業などもあり、デスクワークをこなすだけでも大変という方も多いのではないでしょうか。

課題④ 不動産需要の減少

ここ数年間で不動産の需要が減少していることも課題と考えられます。

日本では少子高齢化が進んでいるため、人口減少によって住宅需要が縮小している状況です。

また、住宅購入者は今まで以上に選り好みする傾向が強まり、不動産業界において競争が激化しています。
需要が減少してしまうと、不動産業界で生き残ることが今まで以上に難しくなるでしょう。

そのような状況においても競合他社に負けないだけの経営力が必要です。

RPAとは?

RPAとは、ロボティックプロセスオートメーション(Robotic Process Automation)の略で、PC上で行う業務をソフトウェアロボットによる業務の自動化のことです。

データの入力や転記、ファイルの複製といった単純作業の定型業務を自動化してくれるツール・端末のことを指します。

近年人件費の高騰や働き方改革などから定型業務の見直し、自動化に目が向けられるようになりました。

RPA導入によって、従業員の工数削減や満足度向上、正確性の担保があるため、業務改善や働き方改革などの恩恵が受けられることから、RPA導入の流れは世界的に広まりつつあります。

近年、不動産業界でもRPA活用が広がる

アナログな作業が多く残る不動産業界では、現場からデジタル化のニーズが高まっています。

そのため、RPAを有効活用する企業が徐々に広がっている状況です。

不動産業界全体としても、長時間労働によって従業員が疲弊し、生産性が上がらない状況は早急に解決すべき課題として認識されています。

したがって、不動産業界ではRPA導入によるDX推進に大きな期待が集まっているのです。

メリットは?導入によって得られる効果について解説

それでは、RPAを導入することによって、どのような効果を得ることができるのでしょうか?

RPAを導入するメリットは以下の5つです。

  • 作業工数・残業の削減
  • ヒューマンエラーの抑制
  • 対応スピード短縮による顧客満足度の向上
  • 営業活動の属人化を防ぐ
  • 離職率の低下につながる

それぞれについて解説します。

メリット① 作業工数・残業の削減

RPAを導入すると、これまで人が行ってきた業務を機械に任せる事ができます。

その結果、同じだけの業務を終える為に必要となる「人が働く時間」を減らす事が可能です。

社員が残業して終わらせていた業務をRPAに任せた場合、「RPAに任せて社員が帰ると、翌朝には業務が完了している」といった事が実現できるのです。

そして、RPAに残業代を支払う必要はありません。

ですから、残業して業務を終わらせていた会社では、残業代を大幅に削減する事にもつながります。

もちろん、RPAには、過労死の問題もありませんし、労働基準法の適用もありません。

RPAの導入には、「従業員の労働時間削減」や「残業代の圧縮」といったメリットがあるのです。

メリット② ヒューマンエラーの抑制

ヒューマンエラーを抑制できる点も、RPAの最も重要なメリットのひとつです。

RPAツールはプログラムに従ってタスクを自動的に実行するため、人間による手作業に比べて高い精度で作業を処理することができます。

データの入力ミス、計算間違い、適切な手順の不履行など、ヒューマンエラーは多くの業務プロセスにおいて0にはできない課題です。

しかしRPAを導入することで、これらのヒューマンエラーを最小限に抑えることができます。

またこれによって品質向上も期待でき、企業の信頼性と競争力の向上を見込むことができるでしょう。

ヒューマンエラーを原因とするコストや時間の浪費を削減できるため、RPAは多くの業界で注目されています。

メリット③ 対応スピード短縮による顧客満足度の向上

データベースから必要な情報を複数探し出して分析をした後に、フォーマットに入力をして資料を作るといった複雑な作業も、RPAなら短時間でミスなく完了できます。

複雑な定形作業を効率化するのに加えて、対応スピードを短縮することで、顧客満足度の向上にもつながります。

また、定形作業にかかっていた時間をコア業務に充てることで、サービス品質の向上も期待できるでしょう。

メリット④ 営業活動の属人化を防ぐ

営業担当者が本来やるべき作業は、顧客対応や提案を通じて成約率を高め、企業の業績を向上させる業務。

しかし、実際は事務作業に多くの時間が割かれており、本来やるべき業務に集中できていない営業担当者がたくさんいるのが現状です。

RPAを導入して営業の事務作業を自動化すれば、営業担当者が本来やるべき業務に集中できるようになります。

また、営業活動に役立つ情報収集などもRPAで自動化できるので、顧客対応や提案の質の向上も期待できます。

営業支援ツールなどと連携すれば、顧客管理も容易に行うことが可能です。

つまり、属人的であった営業活動から、インサイドセールスへの転換を後押ししてくれるのです。

メリット⑤ 離職率の低下につながる

不動産業界では、営業関連の業務の過酷さから、離職率が高いケースが少なくありません。労働環境が過酷な原因のひとつとして、雑多な事務処理なども挙げられます。

RPAを導入することで、単純なルーティンワークを自動化できます。結果的に、従業員の業務負荷を軽減でき、離職率の低下につながるでしょう。
これにより、残業代や採用・教育にかかる費用などの人的コストを削減できます。

不動産業界でのRPA導入事例を紹介

ここでは、不動産業界でのRPA導入事例について紹介します。

物件情報の更新自動化

不動産仲介業者の現場で毎日行われる物件情報の更新作業も、RPAで自動化すれば大幅な工数削減効果が見込まれます。

例えば、いつも情報を入手している媒体やシステムなどから物件情報を取得して、Webサイトの管理ツールを使い最新情報に自動でアップデートすることが可能です。

そのため、空室情報などリアルタイム性が重要な情報も、RPAを使うことで素早くサイトに反映することができます。

これにより、顧客からの問い合わせ件数が増える効果が期待できるでしょう。

さらに、RPAは人よりも正確な入力が可能になるため、間違った情報が掲載されてトラブルになる頻度も減らせます。

情報収集の自動化

RPAはマーケティング活動に応用することもできます。

RPAのスクレイピング機能(Webサイト上の情報を集めて修正・加工を可能にする技術)を使うことで、情報を自動で効率的に収集することが可能です。

住所・面積・価格などの膨大な情報を自動で得られるのでこれまで手作業で集めていた時間を別の業務に当てることができます。

新しい物件の情報や家賃情報、競合の販売価格や動向などの情報を網羅的に入手できますので、日々のマーケティングだけでなく企業戦略を検討する際にも役立つでしょう。

問い合わせ対応の自動化

物件情報の問合せ対応にもRPAは活用できます。具体的には、あらかじめ回答内容をテンプレート化し、顧客の知りたい情報に合わせて自動返信するだけです。

情報は事前に整理されているため、回答に必要な情報を引き出すまでに時間はかかりません。

従来は手動で回答内容を作成して返信していましたが、RPAによって問合せ対応を自動化できます。

問合せから返信までの時間が短縮されるので、顧客満足度向上に期待できる活用方法です。

集計業務の自動化

集計作業においては、RPAを活用することでヒューマンエラーの防止・業務効率化が可能です。

契約情報(日別の契約数・キャンセル数など)を整理するときも、システムが必要な情報を自動で集計してくれます。

そして、あらかじめ作成しておいたレイアウト表に基づいてデータを加工・入力することにより、集計表も短時間で作成できます。

RPAの導入によって、担当者が不在でも集計作業ができる他、集計にかける時間も必要ありません。

入力ミスなどもなく、従来よりも精度の高い集計表の作成が可能です。

紙資料の自動デジタル化

手書き文字をデータとして認識するOCR技術とRPAを連携させれば、手書きの書類や紙ベースの資料を自動的にデジタル化することも可能です。

手作業による入力にはかなりの労力が必要ですが、これらが自動化できれば、業務の大幅な効率化につながります。

営業活動の自動化

営業活動にもRPAを活用することで業務効率化することが可能です。
行動履歴から不動産に興味のある見込客をスコアリングしアプローチすることで、効率的な営業活動を進められます。

また、出先で顧客から物件の関連情報について尋ねられた際に、物件の関連情報をRPAが検索してメールを返信する仕組みを構築することにより、必要な資料が数分で集まります。

顧客が知りたい情報を的確に提示することで成約率が上がる可能性も高くなるでしょう。

不動産業界におけるRPA導入成功事例3選

ここでは、不動産業界におけるRPA導入成功事例3選について紹介します。

自社にRPAを導入することをご検討中の場合は、導入成功事例を参考にして導入範囲や活用ツールなどを決定しましょう。

アパマンショップ

アパマンショップでは、店舗の担当者が担当エリアにある物件の空室情報を、不動産情報管理会社のサイトで探し出し、テキストや画像を自社の基幹システムに登録して、顧客に紹介する物件情報として活用してきました。

しかし、従来、この空室情報の収集と登録には多くの時間がかかっていました。

「1つの物件を登録するのに、15分から20分を要しました。担当エリアの物件情報を毎日30物件を登録するとして、店舗当たり8時間程度かかる仕事を4、5名で振り分けて行っていました。一人当たり1時間から2時間はその作業に時間を割いていたことになります」とシステム本部副本部長の湯浅裕希氏は語ります。

全国で見ると、単純計算で1万時間もの時間がこの作業に費やされていたということになります。

この状況に対応するべく、アパマンショップではUiPathを導入。

物件情報の収集と登録を自動化し、従来の時間の3分の1の時間での完了を実現しました。

https://www.uipath.com/ja/resources/automation-case-studies/apaman

東急住宅リース株式会社

東急住宅リース株式会社の場合、入居者管理に関して膨大な時間が掛かっていました。

約9万戸から20%の入居者が入れ替わる状況になっており、契約や解約の入力作業が煩雑になっていました。

提案などコア業務にスタッフが専念できる環境を作るため、RPA導入に踏み切っています。

2019年1月時点で74個のロボットプログラムを作成し、業務に活用してきました。結果的に概算で月間約5,000時間、年間では約4万時間の業務時間削減に成功しています。

また他にも費用対効果の問題でシステムかを避けてきた業務も自動化できたりと、いろいろな成果を残しています。他社と同じく、今後はRPAの適用範囲をさらに拡大させていく予定です。

https://www.uipath.com/ja/resources/automation-case-studies/tokyu-housing-lease

株式会社オープンハウス

オープンハウスではグループ全体でおよそ8千棟という膨大な数の戸建て住宅を扱っているにも関わらず、物件情報の基幹システムへの入力を手作業に頼っていました。

そこで独自にRPAの機能部品を開発し、これらを組み合わせることにより入力業務の自動化を実現。

これをきっかけに他の業務にもRPAを導入し、合計34,773時間の工数削減に成功しました。

現在は、ビッグデータ分析とRPAを組み合わせて購入候補となる土地の情報を収集し、AIによって将来の地価や収益性を予測しながら意思決定する、といったプロセス全体を自動化することも視野に入れているといいます。

https://www.uipath.com/ja/resources/automation-case-studies/open-house

記事まとめ

この記事では、不動産業界におけるRPA導入の効果について解説しました。

RPA導入によって、以下のような効果を得ることが可能です。

  • 作業工数・残業の削減
  • ヒューマンエラーの抑制
  • 対応スピード短縮による顧客満足度の向上
  • 営業活動の属人化を防ぐ
  • 離職率の低下につながる

特に、膨大な業務量に悩まされ、慢性的な人材不足を抱える不動産業界では、RPAの効果を最大限活かすことができるでしょう。

RPAの導入をご検討中の方は、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。

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