SAP Intelligent RPAとは、ヨーロッパを代表するソフトウェア開発会社であるSAP社のRPAツールです。
財務処理や人事管理、在庫管理など、幅広い業務を自動化できます。
ただし、SAP Intelligent RPAは2022年に別のツールと統合されています。そのため、これから導入するなら後継ツールであるSAP Build Process Automationを利用しましょう。
この記事では、SAP Intelligent RPAとその後継ツールについて、価格や特徴を詳しく解説していきます。
SAP Intelligent RPAは後継ツールに統合済み!その価格は?
SAP Intelligent RPAはSAP社のRPA専用ツールとして提供されていましたが、2022年の製品リブランドによりSAP Build Process Automationに統合されました。
統合後も旧ツールの機能は保持されており、これまでSAP Intelligent RPAを利用していた人もスムーズに移行可能です。
統合前からの契約者は契約終了まで旧ツールを利用できますが、SAP社の公式アナウンスでは「利用は非推奨」とされており、サポートも段階的に廃止されています。
以上のことから、新規でSAP社のRPAを導入する企業だけでなく、旧ツールを利用している企業も後継ツールへの移行がおすすめです。
ここでは、後継ツールであるSAP Build Process Automationの価格を解説します。
価格はライセンスの組み合わせ次第!RPA機能を使うなら年額100万円程度~
SAP Build Process Automationの価格は、ライセンスをどのように組み合わせるかで変わります。
具体的には、以下の各ライセンスを必要な数だけ契約し、その組み合わせによって価格が決まります。
- Advanced User(上級ユーザー)
- Standard User(標準ユーザー)
- Attended Automation(無人自動化)
- Unattended Automation(有人自動化)
各ライセンスの詳しい価格は後述しますが、RPA機能を使うなら最低でも「上級ユーザー」と「無人自動化・有人自動化」のライセンスが必要であり、価格はおおむね年額100万円~となります。
実際に導入するときは、どの機能をどれだけの規模で使用するか、どのようなサポートが必要かなど、複数の要素を考えて契約しなければいけません。
最適なライセンスの組み合わせは企業のニーズによるため、詳しくはSAP社に見積もりを依頼しましょう。
各ライセンスの価格と概要
各ライセンスの価格と概要をまとめると、次のようになります。
ライセンス | 価格(年額) | 概要 |
---|---|---|
Advanced User(上級ユーザー) | 27,300円/人 | ・ワークフローの作成、自動化の管理、意思決定の管理などが可能 ・ローコードのユーザー体験を通じてプロセスを設定できる |
Standard User(標準ユーザー) | 3,672円/人 | ・上級ユーザーが作成したワークフローを利用できる ・1人以上の上級ユーザー契約が必要 |
Attended Automation(無人自動化) | 975,180円/年間10接続 | ・有人RPAボット(人の監視下で業務を行うRPA)の開発、スケジュール設定、監視が可能 ・1人以上の上級ユーザー契約が必要 |
Unattended Automation(有人自動化) | 975,180円/年間1接続 | ・無人RPAボット(人の介入が不要な業務を行うRPA)の開発、スケジュール設定、監視が可能 ・1人以上の上級ユーザー契約が必要 |
参考元:https://www.sap.com/japan/products/technology-platform/process-automation/pricing.html
ユーザーライセンスとRPAの開発・実行ライセンスが分かれており、ほかのライセンス契約には最低1人以上の上級ユーザー契約が必要です。
上級ユーザーライセンスが1名につき27,300円、開発・実行ライセンスが975,180円からなので、これらを足すと最低でも1,002,480円となります。
無償版でテスト利用ができる
SAP Build Process Automationは無償版も提供されており、期間の制限なくテスト利用できます。
無償版の作業内容はそのまま有料版へ引き継ぎ可能で、気楽に試せるのは大きなメリットです。
30日間のガイド付き体験もあるため、本格導入前にSAP Build Process Automationの機能を一通り理解できます。
SAP Intelligent RPAおよび後継ツールの特徴
RPAツールの選定にあたっては、各ツール特有の利点も気になるところです。
ここからは、SAP Intelligent RPA(および後継ツールであるSAP Build Process Automation)の特徴を紹介します。
ローコード/ノーコードで開発作業を短縮できる
SAP Intelligent RPAのときからの特徴として、ローコード/ノーコードのプラットフォームが挙げられます。
ローコードはソースコードの記述量が少ない開発手法、ノーコードはソースコードを書かない開発手法です。
ローコード/ノーコードのプラットフォームがあることで、自動化プログラムの開発負担が少なく、作業期間の短縮が期待できます。
また、よくある業務に対して事前構築された無料テンプレートが用意されているため、これらを活用すれば迅速な自動化が可能です。
ワークフローシステムとの一本化で総合的な業務自動化が可能
ツール統合後の最大の特徴は、RPAとワークフローシステムが一本化されたことです。
ワークフローシステムとは、企業の業務手続きを電子化・自動化するシステムを指します。申請・承認や決済をシステム上で行うことで、業務効率化や内部統制の強化などが期待できます。
「業務の自動化」という点は共通していますが、RPAはアプリやブラウザを横断するさまざまな定型業務を自動化するのに対し、ワークフローシステムは稟議業務の自動化に特化したソリューションです。
SAP Build Process Automationはこれらの機能を統合し、1つのツールで総合的に業務を自動化できるよう設計されています。
具体的な導入事例
SAP Build Process Automationはさまざまな企業で導入されており。活用ジャンルも多岐にわたります。
以下は、業務自動化の導入事例を一部ピックアップしたものです。
- 受注登録や請求書チェック
- 売上データの集計と報告
- 物流プロセス内のデータ収集と入力
- クラウドストレージへのバックアップ
- 人材採用における応募者のスクリーニング
上記以外にも多くの導入事例があり、企業のニーズに合わせた自動化が可能です。
ツールの選定は価格と機能の比較がおすすめ
SAP社のRPAツールは高度な業務自動化が可能ですが、最低でも年間100万円程度の費用が必要です。一方、他社のRPAツールの中には、機能を絞って価格を抑えたものもあります。
しかし、RPAツールは価格だけで選ぶのではなく、「自社の課題を解決できるか」「使いやすいか」といった点も重要です。
機能面で自社のニーズを満たせるか確認したうえで、費用対効果の良いツールを選びましょう。
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