RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入は、PC業務の効率化や残業代などの人件費削減に効果的な手段として注目を集めています。
ただし、導入を検討しているが失敗を恐れて中々一歩を踏み出せていないという企業様も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、事前準備から導入完了後までのRPA導入手順を徹底解説します。
また失敗しないための注意点も併せて解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
RPAツールの導入手順8ステップ
実施にRPAツールを導入する際の手順は、主に以下8つのステップとなります。
- 今ある業務を洗い出す
- RPA化する業務・目的を設定
- RPAツールの選定
- 無料トライアルで相性を確認
- スモールタスクからRPA化
- 効果測定と改善
- 本格導入を開始
- RPAの継続的な運用・保守
それぞれのステップでは具体的にどんなことをするのかやその目的、注意点について詳しく見ていきましょう。
手順① 今ある業務を洗い出す
まずは、RPAを導入するのに適している業務を把握するため、今ある全ての業務を洗い出しましょう。
全部門を対象に、現在行われている業務のフローチャートを作成し、各プロセスのステップと関与者を明確にします。
この作業で見落としがあると、業務効率化の機会を逃す可能性があるので、業務の全容を把握している方が担当することをおすすめします。
また、RPA化できない業務でも、不要なプロセスに気付け導入前に業務効率化を行うことができるので、手順①は特に重要なステップです。
手順② RPA化する業務・目的を設定
次に、RPAする業務の優先順位やRPA導入の目的を設定しましょう。
手順①で洗い出した業務の中から、RPA化によって最も効果が見込める機械的で規模の大きい業務を選定します。
また、自動化する業務の選定と共にRPA導入の目的も設定することが大切です。
目的を明確にすることはモチベーションが上がるだけでなく、チーム全体が同じ目標に向かってロボット開発を進めることで効果が得やすくなるというメリットがあります。
ただし、過度な期待は逆効果になるというデメリットもあるので、ベンダーにも相談しながら実現可能な目的・目標を設定するように注意してください。
手順③ RPAツールの選定
RPA化する業務とその目的・目標が設定できたら、1番大切なRPAツールの選定を行います。
RPAツールはベンダーによって異なる特徴やサービスがあるので、予算や導入規模、会社に合ったツールを選択するようにしましょう。
初めて導入するという企業は、月額や年額でかかるライセンス費用をなるべく抑えられるベンダーから初めてみるのも1つの手です。
また、ITやプログラミングに強い従業員がいない場合は直感的に操作できRPAツールやサポートが手厚いRPAベンダーがおすすめです。
手順④ 無料トライアルで相性を確認
手順③で条件の合うRPAに絞ったら、実際にRPAの無料トライアルを通じて機能性や適合性を確認してみましょう。
無料トライアル期間中に全ての機能が使えるRPAも多くあり、約1週間〜1ヶ月ほど試すことができます。
積極的に使ってみて、操作方法やサポート体制の充実度などを体感して判断することが大切です。
手順⑤ スモールタスクからRPA化
手順④で導入するRPAツールが決まったら、複雑度が低く小規模な業務から自動化を開始します。
これは導入のリスクを最小限に抑えた上で、効果を測定するためです。
また、初期段階で複雑な業務プロセスを自動化しようとすると失敗のリスクが高まります。
導入が難しいことからそのまま使わなくなってしまったという失敗事例の二の舞にならないためにも、まずはスモールタスクから自動化することをお勧めします。
手順⑥ 効果測定と改善
手順⑤の導入が完了したら、実際に効果が出ているか測定し、改善点を洗い出し解消しましょう。
RPA導入前と導入後でどのくらい効率化できたのかや、効率化を行なったことによる副次的な効果がなかったかなどを、定性面・定量面の双方向から評価を行いましょう。
また、導入を行うと改善点が多く出てくるのが一般的です。
改善方法がわからない場合も放り投げずに、ベンダーに相談してみるとスムーズに進みます。
手順⑦ 本格導入を開始
スモールスタートしたRPAが社内で定着していること、RPA導入後の業務を遅滞なく進められていることが確認できたら、本格導入に入ります。
大規模な導入には組織全体のコミットメントが必要です。
RPAを実際に扱う現場の人にも目的を共有し、普段のタスクとのバランスを考慮した上でRPAツールの使い方を学べる環境を整えることで成功に繋がりやすくなります。
本格導入後も手順⑥の効果測定と改善を繰り返すことを忘れないようにしましょう。
手順⑧ RPAの継続的な運用・保守
本格導入後も継続的に運用と保守を進める必要があります。
これは一度導入したロボットが正常に機能しているかの確認や、プロセスの変更やシステムアップデートに応じて、シナリオの更新を行うことがあります。
RPAの運用は一度設定したら完了ではなく、継続的な管理が必要です。
RPA専門のチームを組み、他社のRPA導入事例を学ぶ場など、常に新しい情報を取り入れられる環境を整えておくことがおすすめです。
RPAツール導入時に気をつけたい注意点
RPAを導入する手順について詳しく解説してきましたが、続いて導入時に特に気をつけたい注意点をいくつかご紹介します。
これから導入したいけど失敗はしたくないという方の一助になりましたら幸いです。
RPAを扱う現場の人にも導入目的を共有
RPA導入時には、実際にRPAの導入作業を行う現場の人たちには手順を教えるだけでなく目的を共有するようにしましょう。
目的を共有していないと、自分たちの仕事が奪われるのではないかという不安感や何のために時間とリソースを確保してRPAを導入しなければならないのか分からないという状況に陥りやすくなります。
これでは社内でのRPA化は中々進まずに、導入する前に失敗というケースになりかねないので現場の人とのコミュニケーションはとても大切です。
自動化の実現性が高い業務を選ぶ
次に導入手順②にも合ったように、RPAの導入成功のためには自動化の実現性が高い業務を選ぶ必要があります。
RPA導入の失敗事例としてよく見受けられるのが、導入したが思うような効果を得られず使用をやめてしまった事例です。
これではせっかくの導入費用がすべて無駄になってしまいます。
この事例の大きな原因は、効率化の実現性が低い業務を自動化しようとしてしまったことです。
同じ失敗を犯さないよう、自動化の業務を選ぶ際には以下のようなRPAが得意とする業務を選択しましょう。
得意業務の特徴 | 例 |
---|---|
定型的・ 繰り返し作業 |
日次での売上データの入力、 毎週の給与計算、 毎月の請求書処理 |
ルールベース | 購買発注の承認プロセス、 クレジットカードの申請審査、 返品処理の条件分岐 |
大量のデータ処理 | 顧客情報のデータベース更新、 年度末の財務報告、 大規模なメールキャンペーンの配信リスト管理 |
システム間のデータ転送 | CRMシステムからERPシステムへの顧客情報の同期、 人事管理システムから給与計算システムへのデータ移行 |
導入支援サービスが充実したベンダーを選択
最後に導入手順③、④のRPAツールを選択する際には、導入支援サービスがついたベンダーを選ぶとよりスムーズな導入を行えます。
RPAを導入する際に必要となるシナリオ作成は、簡単な作業とは言えません。
プログラミング知識を必要としないRPAツールを選んだ場合でも、RPA初心者なら特に壁にぶつかりやすいでしょう。
より確実に業務効率化を成功させるためにも、導入支援サポートが受けられるベンダーを選ぶことをおすすめします。
まとめ: 次の記事では業種別成功事例や運用コストを解説
本記事では、RPAツール導入に必要な事前準備から完了後までの手順を以下の8ステップで解説しました。
- 今ある業務を洗い出す
- RPA化する業務・目的を設定
- RPAツールの選定
- 無料トライアルで相性を確認
- スモールタスクからRPA化
- 効果測定と改善
- 本格導入を開始
- RPAの継続的な運用・保守
導入失敗を避けるための注意点もいくつかご紹介しましたが、すでにRPA導入に成功している企業の事例を参考にするのもおすすめです。
以下の記事では、業種別の成功事例や運用コストについて解説しているので、興味のある方はぜひ参考にしてみてください。