2020年はコロナ禍・テレワークに関連してRPAツール関連のニュースも多い1年でした。
出社して業務を進めることはできず、テレワークで制約が生じる中、企業では電子化・業務改善を進める必要性が増した1年でした。
それと同時に、RPAツールの導入による業務効率化がさらに本格化している自治体の動きや、RPAツールの導入や保守・運用に関するサービスの最新動向ニュースなども気になる一年でした。
そこで、特にRPAに関する最新ニュースで、今年の注目ニュースベスト5を独自の視点で選びました。情報収集の一助になりましたら幸いです。
株式会社MICHIRU 取締役
この記事の監修担当者:
相馬 章人
2014年に医療・ヘルスケアITベンチャー企業に入社。人工知能やIoT技術を使用したプロダクト開発およびプロジェクトマネジメントを経験。2018年フリーランスのソフトウェアエンジニアとして企業・大学と連携し機械学習を用いた自然言語解析を行うプロジェクトに参画。2018年より株式会社MICHIRUに参画。主にカスタマーサクセスを担当。
ニュース第1位 企業のコロナ禍・リモートワークのピンチを救ったRPAツール
損害保険ジャパンは、17年度から「ゼロベースの仕事の棚卸し」を実施、18年には35万時間の業務時間をすでに削減しています。
損害保険料の改定と、コロナ禍、リモートワークが重なったピンチにRPAが救世主となったニュースをご紹介します。
「RPA導入は18年に新設した業務改革推進部が基幹的役割を果たす。営業や保険金サービスなどを経験した社員が在籍。
導入部門とシステム開発を担うグループ会社との間にビジネスアナリストとして入り、エラーが少なく効果を最大限発揮できるRPAの開発に寄与。
導入後もヒアリングを実施し、現場ニーズに即した改修や機能の拡充を行っている。
コロナ禍での出社人数の抑制を起点とする開発実績も生まれた。その一つが自動車保険料の返戻だ。
自動車の所有者に加入が義務付けられている自賠責保険は4月に保険料が引き下げられた。
同保険料の改定後、システムに反映される前に契約した顧客には差額を返戻しなければならない。その対応にRPAを活用した。
業務改革推進部の新屋正剛リーダーは「特定期間の業務で効果時間は少ないが、お客さま対応優先で特別に開発した」と振り返る。また、コロナ禍の長期化が見込まれる中、自宅から遠隔でRPAを稼働させる仕組みも検討しているという。」(出典:ニュースイッチ、2020年10月1日記事)
銀行や保険などの金融サービスは、定型的業務が反復され、もともとRPAを導入しやすい素地があることから、RPAの活用・自動化、DX全般の推進が進んでいます。
長時間労働の解消、将来の人手不足を想定しての導入だったのですが、上記のニュースではその効果が実証されているといえるでしょう。
ニュース第2位 オンラインでトレーング・セミナーが活況に
企業では2020年の前半は特に、出社して通常通り業務をすることも、また、研修に出席することも難しくなっており、それを受けて後半にはより研修・トレーニングが充実してきています。
第一生命保険が導入し、23万時間を削減したBlue Prismの本格的なオンライントレーニングもオンラインで提供開始されました(出典:東京システムハウス、2020年4月9日ニュースリリース)。
Blue Prismの操作が、オンラインで習得できる内容です。
パーソルプロセス&テクノロジーも、「テレワーク×RPA研修」と題したセミナーを7月からローンチしています。
コロナ禍をきっかけとして、RPA人材のオンラインセミナー・トレーニングでの養成は、今後の標準的なRPA人材育成方法になりそうです。
ニュース第3位 契約業務の自動化にRPA・契約の電子化もコロナ禍で加速
契約業務を電子文書で行い、ハンコ・押印業務を廃止、電子署名で締結を進めるソリューションもまた2020年の企業向けITサービスのトレンドとなりました。
さらに契約書のデジタル化をすすめて自動化をすすめる企業向けソリューションが目立ってきています。
クラウドサイン×RPAツール、あるいはAdobe SignxRPAツールの組み合わせソリューションです。
契約書の作成、電子署名から、送信まで、RPAによる自動化を組み合わせて、契約業務を効率化するものです。紙業務の自動化を支援するTISのソリューションなどが話題になりました(出典:マイナビニュース、11月17日)
今年1年でソリューションの売上が急上昇していると同時に、今後どこまで採用が進むか、あるいは法改正などの動きが出てくるのかも注目されます。
ニュース第4位 内閣府も導入製品を決定、官公庁・自治体でRPAの導入が進む
企業でだけでなく、自治体でもRPAの導入は進んでいますが、武蔵野市はコロナ臨時給付金をRPAによる業務の自動化でスピード給付に成功していることがニュースで報じられています(出典:マイナビニュース、2020年9月1日)
また、情報管理・情報セキュリティについての機能を持っている内閣府は、ニュースリリースのなかで、UiPathを採用したこと、セキュリティ面も評価したことを公表しています。
ニュース第5位 WinActor 多言語対応開始
Made in JapanのRPAツールの代表WinActorが多言語対応し、機能拡充が行われています。
NTTアドバンステクノロジ株式会社は、RPAツール「WinActor」の最新版Ver.7.1.1を10月1日から国内外に向けてリリース、日本語のWindows(R)上で作成したシナリオを英語環境においても利用可能にしています。
大手ベンダーが、積極的に多言語対応を進める例は海外では珍しくありませんが、日本では珍しいことです。
企業の海外との業務も出張よりもオンラインで進めるように変わってきており、こうした必要性を背景としているものと思われます。
これをきっかけとして、総合力の高いWinActorを筆頭にして、今後日本発RPAの世界市場戦略が始まるかもしれません。これも注目のニュースです。
2021年の最新情報はここに注目・+AI、関連サービスなど
2021年も、RPAの快進撃はつづくと思われます。
それとともに、関連サービスの拡充・リモート化には引き続き注目しておきたいところです。
RPA導入後、開発・保守を遠隔で実行してもらえるサービス、「Robo Runer」がさらにロボット経理バンクと提携し、経理業務の自動化をオンラインで支援する業務を開始しています。
こうしたオンラインでの開発・保守などの支援サービスが広がると、企業のRPAの導入・活用もより行いやすくなります。
そのほか、RPA関連のトピックとしては以下のような話題に注目しておきたいと思います。
- 文書の電子化にもロボットアーム活用か?
- AIや他のソリューションとRPAとの連携・組み合わせがどこまで進むか。
- マイクロソフトRPAの普及
- 野良ロボ対策など、RPA管理のアウトソーシングと、ツール活用
まとめ
2020年のRPA関連ニュースからは、RPA活用が進んできたところで、先進企業はコロナ禍を乗り切るためにもさらにRPAを活用した、という印象を受けました。
総括すると、より企業でのRPAの活用の必要性や、活用の方法に気が付いた1年であり、ニュースもそうした内容が目立っています。
RPAの活用の動きは、しばらく大きく変わらないものとみられます。RPAツールは活用により、長期的な労働力の減少に備えることができます。
短期的には万が一の非常事態に際して、最小限の人手で業務を回すことにより、企業のリスクを低減することができます。
RPAツールの最新の動きには、ぜひ今後も注目しておきましょう。