RPAには、使用に関した特別な国家資格はありません。
しかし、WinActorの販売元であるNTTデータや、UiPath 、BizRobo!、Automation Anywhere、Blue Prismからベンダー検定が提供されており、受験して合格すると、スキルの客観的な証明に使えます。
それでは、検定を受験すると、どんなことに役立てることができるのでしょうか。
この記事では、RPA技術者検定のあらましと、代表的なRPA資格試験である「WinActor技術者検定」と「UiPath検定」の試験概要、勉強方法を解説します。
検定を転職のために利用したい、スキルアップを目指していると思っている方が、合格への道筋をつけるのに役に立つ内容ですので、ぜひご活用ください。
株式会社MICHIRU 取締役 CTO
この記事の監修担当者:
斎藤 暁
医療施設法人やホンダ子会社のIT領域責任者などを経て独立。AI技術やシミュレータなど、複雑なアルゴリズムを駆使したシステムを提供している。自然言語処理によるシステムの技術は日米で特許を取得、その発明者でもある。2018年11月株式会社MICHIRUを創業。
RPA資格試験の種類とレベルを確認
先述の通り、RPAに関する国家資格の検定はありませんが、代表的なベンダーが提供するベンダー検定があります。
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特に、WinActor技術者検定とUiPath検定が日本での受験者が多い資格試験です。
それぞれ、初級者向け、中級~上級者向けの検定が用意されています。
初級者に相当する試験では、非エンジニアでも受けられるものがあります(RPA技術者検定・UiPath検定)。その他は主に現役のエンジニア向けの試験です。
検定を受けるという目標を作っておき、各レベルにあわせて講座や試験を活用すると、シナリオ・ワークフローの作成やトラブルシューティングに関するスキルや知識を無理なく身に着けることができます。
検定のメリットはこのように実務上必要な種類のスキル・知識を身に着けることができることでしょう。
技術者検定などの資格取得はどういう業務に役立つ?そのメリットは?
RPAに関する資格取得をすると次の4つの大きなメリットがあります。
- スキルの証明に役立つ
- RPAについて、体系的・網羅的に学びやすい
- プロジェクト参加の際に、アピール材料になる
- 転職の際にも、選べる職場の幅を広げることができる
それぞれについてみていきましょう。
メリット① スキルの証明に役立つ
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RPA資格取得のメリットとしては、転職時・プロジェクト参加時などに、客観的な能力の証明に役に立ちます。
シンプルなメリットですが、資格を持っている人、そうでない人は選別するためには非常にわかりやすい基準になるため、ある方が有利、と考えておきましょう。
メリット② RPAについて、体系的・網羅的に学びやすい
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非エンジニアであれば、初級、エンジニアであると中級までの検定を受験・資格取得しておくと、RPAについて必須とされる知識が体系的・網羅的にマスターできているものと客観的に評価されます。
ご自身でも、抜けもれなく知識とスキルを学べるので、独学より確実な学びが期待できます。オンライン講座などを活用した場合はなおさらです。
社会人にはなかなか業務と勉強の両立が難しいことがありますが、試験をペースメーカーのようにして利用すると強制されてなんとか時間を捻出できるという方も少なくありません。
メリット③ プロジェクト参加の際に、アピール材料になる
資格取得により、ある一定のスキルが認められるので、アピール材料になります。
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実際に参加すると、新しい製品開発に従事することや、業務改善プロジェクトで活躍することが可能です。
資格取得で身に着けることができるスキルを挙げると、次の通り。
シナリオ作成・ワークフロー作成スキル
ロボットが動作する道筋・流れを設定することができます。
トラブルシューティングスキル
中級以上のユーザーが、RPAツールの運用~保守について、実務的に要求されるRPAの操作や、知識を身に着けることができます。
これらのスキルにより業務の幅がより広がります。
メリット④ 転職の際にも、選べる職場の幅を広げ、給与アップも狙うことができる
資格試験で身に付いたスキル・資格は、転職時に職務経歴書に記載しておくことができます。
選べる転職先を広げることができるうえ、給与アップの材料にすることも可能です。
中級以上の資格であれば、エンジニア・コンサルタントとしての給与アップ・キャリアアップの材料に使うことが可能であることはもちろんです。
また、派遣会社もRPAツールに関するスキル、特にシナリオ作成・ワークフロー作成のスキルを派遣職員に身につけさせることに対して積極的です。
講座も派遣会社主催のものが多く見られます。派遣先の幅も広がることでしょう。
少子高齢化で、若年労働力が減少する近い将来をにらんで、大手を中心に各社がRPAツールの導入と活用を行っています。派遣職員もこれらのツールが利用できないとアピールがしにくい時代が来る、と考えられます。
WinActor・RPA技術者検定
NTTデータの提供するWinActorに関する資格検定試験です。
WinActorの入門から、RPAの運用・保守ができる人材を検定を通じて養成できる内容ですので社内の人材育成にも役立てることができます。
WinActorを会社で利用している方には特に有益ですが、これからWinActorを学んで使いたい初心者の方も、入門講座から体系的に学び、検定を利用することができます。
一般的なWinActor向け技術者検定情報は、NTTデータHPに公開されています。試験の種類をご紹介すると、以下の通りです。
アソシエイトレベル(非エンジニアでもOK)と、エキスパートレベルが現在行われている検定です。
後者は運用保守に関して、実務で使えるスキルを求められ、また知識も体系的に身につける必要があるので、ITサポート・システム開発などのエンジニアとしての実務経験がないと難しいようです。難易度はエキスパートレベルでは高め、と考えておきましょう。
さらに、人気のRPA関連試験では難易度が上がる傾向が見えています。
なお、以下の資格試験概要は、2020年12月現在の情報です。
RPA技術者アソシエイト試験
NTTデータHPで発表されているアソシエイト試験の概要は以下の通りです。
出題形式 | 多肢選択式 |
---|---|
出題数 | 50問 |
試験時間 | 60分 |
受験資格 | 特になし |
受験料 | 7,150円 |
試験会場 | 会場受験、リモート受験(※いずれもCBT方式) |
試験頻度 | 随時 |
合否基準 | 原則として、正答率7割以上を合格。 ただし、問題の難易度等により変動する場合あり。 |
RPA技術者エキスパート試験
NTTデータHPで発表されているエキスパート試験の概要は以下の通りです。
出題形式 | 多肢選択式 |
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出題数 | 50問 |
試験時間 | 120分 |
受験資格 | 制限なし(※抽選形式) |
受験料 | 21,780円 |
試験会場 | オンライン受験 |
試験頻度 | 年4回 |
合格基準 | 「選択式試験」および「実技試験」、それぞれで合格基準を設定しており、合格するためには、双方の合格基準を満たす必要あり。 |
RPA技術者プロフェッショナルレベル検定
実施予定・未実施ですので概要も未発表となっています。
RPA技術者検定の勉強方法
アソシエイト資格試験の前に0から学ぶ方が知識を付けるには、入門講座があります。
無料で、随時受講、最後にテストがありますので、アソシエイトレベルの試験合格を目指すのであれば満点をとっておきましょう。
エキスパートレベル、プロフェッショナルレベルでも、オンライン講座の受講と、過去問の理解・練習が効果的。
しかし、エキスパートレベルは、相当に時間をかけて完全に理解する必要があるとされるほか、他の情報処理系の上級資格か、RPAに関する実務経験がないとかなり習得に苦労するようです。
オンラインセミナーはぜひ活用してみよう
講座はオンラインセミナーが主流で、公式講座がNTTデータにより開催されています。
公式講座は、ベーシックとアドバンスに分かれており、おおむねアソシエイトとエキスパートのレベル分けに対応しています。また、ヒューマンリソシアと提携して行っている入門講座もあります。
検定の過去問は、ヒューマンリソシアのショップから「実施問題と解説」を購入することができます。
少数ながら、サンプル問題がNTTデータHPに掲載されていますので、考え方をつかむための参考にすることができます。
ただし、もっと時間をかけて、わかりやすい教材で勉強したいという場合、NTTデータと提携しているヒューマンリソシアで初級~上級までRPA技術者検定の各種類の講座があります。
費用は33,000~55,000円、土日にかけて長い時間受講することも就業後に少しずつ受講することも可能なオンライン講座なので、社会人でも計画を立てて勉強することができます。
特にアソシエイト対策講座は、オンライン講座の数も多いので、ご自身にフィットする勉強方法を選択しましょう。
実技もオンラインで習得可能
この講座の最大のメリットは、エキスパートレベルでの実際のRPAの操作に対応していることです。確認しながら、わかりやすく試験で問われる操作を習得できることです。
中級から上級にかけては、実技の難易度も高くなるので、過去問については十分に理解できているか、確認のためにも完全に習得するようにしておきましょう。
RPA技術者検定合格者・生の声
RPA技術者試験に合格した方はどんな方なのでしょうか。
アソシエイトレベル・エキスパートレベルそれぞれの合格者の資格試験の体験談と、勉強法について集めてみました。
アソシエイトレベル
入門講座はちゃんと受けるべき・ヒューマンリソシアの入門講座は受講者が多数合格している入門講座、といっても必ずしも0からスタートする方にはやさしいと感じられないことが多いようです。
非エンジニアは過去問が必修
エンジニアの方が、アソシエイトから順に受けてみよう、として入門講座を受け、例えば勉強時間が10数時間でも合格することがあるのに対し、事務職の方は2-3ヵ月位の過去問学習期間をとって勉強している方が多数です。
時間の作り方にも工夫が必要なようですが、参考書よりも過去問を重視された方が合格者には多い傾向があるようで、過去問には時間を割くようにした方が得策のようです。
苦労した点は情報不足
過去問・オンライン講座のほか、試験に関する情報があまりないのが困った、学習方法を調べてもわからないのが困った、といった体験談が見られていました。
まだ、新しい試験の一つですので、本屋さんにいったら情報が得られる、人に聞いたらわかった、ということは少ないかもしれません。公式講座、提携先などからRPA講座に関する情報を集めることに努めておきましょう。
エキスパートレベル
難関エキスパートレベルでは試験内容がアソシエイトレベルとは異なるので、合格者の声には内容の違うコメントがあります。
実技試験は時間が足りない
2時間の試験時間だと、実技試験はとても足りない、との感想が多数です。
実技試験の内容に関しては、公式講座や、ヒューマンリソシアのオンライン講座で確認をしておく必要があります。
オンライン講座の内容からは、操作は見やすくわかりやすいが、自分で再現すると時間がかかる、との感想が見られます。
過去問は繰り返しやること
この点はアソシエイトレベルもエキスパートレベルも同様の声が聞かれます。
過去問を繰り返しやるだけの時間の捻出ができるよう、自己管理をしつつこなしていく必要があります。
UiPathベンダー検定・資格試験
試験の種類は二段階に分かれており、WinActor 技術者検定と同様に、初級と中~上級資格の試験とに分かれています。
UiPath RPA アソシエイト資格試験
UiPath RPA アソシエイト資格試験の概要は以下の通りです。
認定プログラム | UiPath認定プロフェッショナル 1.ゼネラル対象プログラム 2.RPAデベロッパー対象プログラム |
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専門 | RPAデベロッパー |
資格情報 | UniPath認定RPAアソシエイト Vol.1.0(UiRPA) |
試験番号と試験のタイトル | UiPath-RPAv1 – UiPath RPA アソシエイト資格試験 Vol.1.0 |
前提条件の試験/認定資格 | 前提条件ではありませんが、UiPath RPA デベロッパー上級資格 試験 (UiARD) 認定を取得する方には UiRPA を強くお勧めします. |
試験時間 | 90分 |
合格スコア | 70% |
試験料金 | 英語版150ドル(税別)/日本語版16,000円(税別) |
「UiRPA は、業務プロセスにおける問題解決力とシンプルな自動化ソリューションを構築する能力を認定します。」とあり、このレベルの検定試験は誰でも正しく学習さえすれば、合格できると言われています。
入門者~初級者に相当するUiPath Academyの講座があり、無料で受講することができます。
無理なくUiPathのプラットフォームの操作や、利用について必要な知識を身に着けることができます。ただし、試験は英語で行われるので、英語の得意な方向けの試験です。
UiPath RPA デベロッパー上級資格試験
UiPath RPA デベロッパー上級資格試験の概要は以下の通りです。
認定プログラム | UiPath 認定プロフェッショナル – RPA デベロッパープログラム |
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資格情報 | UiPath RPA デベロッパー上級資格試験 (UiARD) 認定者 |
試験番号と試験のタイトル | UiPath RPA デベロッパー上級資格試験 (UiARD) 認定者 Vol.1.0 |
前提条件の試験/認定資格 | N/A |
試験時間 | 120分 |
合格スコア | 70% |
試験料金 | 英語版200ドル(税別)/日本語版22,000円(税別) |
「UiARD は、REFramework を含む RPA 開発の専門知識と、複雑な業務プロセスを効率的に自動化する RPA ソリューションの構築能力を認定します」とされており、6か月以上の開発経験を持つ方に向いている試験です。
こちらも英語のみの検定受験で、ITプロフェッショナル向けの試験です。
こちらも、UiPathの講座内容・テキストを利用して受験することができます。
ただし、試験と講座の一部は英語のみが用意されていますので、英語に抵抗のない方向けの講座・試験内容になっています。
このほか、BizRobo、Blue Prism、Automation Anywhereにもディベロッパー向けの検定試験が用意されています。BizRobo以外は、英語の検定試験・講座しかありません。
記事まとめ
RPAは現在、盛んに導入が行われており、自動で入力・転記などの単純なPC作業をこなし、効率的に作業を進めてくれます。
そうしたRPAの操作・開発などのスキルをチェックし、客観的に証明するのに、資格検定試験は役に立ちます。
ベンダー検定を受けるときには、無料講座や、オンラインでも受けられる講座により、操作と、PCの動きをしっかり押さえる必要があります。
社会人の方の受験ですので、仕事と勉強のタイムマネジメントを上手に行い、ぜひ合格してください。