業務効率化を目的としてさまざまな業界で導入が進んでいるRPAですが、需要が増えるにつれ、市場規模が拡大し、多くのRPAツールがリリースされています。
そのため「種類が多すぎてどうやって選んだら良いか分からない」という悩みから導入を躊躇している方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、知っておけばRPAツールを比較しやすくなる項目を9つ挙げて、徹底的に解説します。
導入検討時に、どんな基準でRPAツールを比較すれば良いか迷っている担当者の方は、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
9つの項目からRPAツールを比較
では、さっそくですが、最適なRPAツールを導入するために比較する項目を、9つ挙げて解説します。
【比較項目1】RPAツールの種類
RPAツールには種類があり「デスクトップ型」「サーバー型」「クラウド型」の3つに分けることができます。
自社に適している種類を見つけるためには、自動化したい業務や、RPAの適用範囲によって変わってきますので、導入前にはRPAの活用方針を検討しておきましょう。
RPAツールの種類については、下記の記事に詳しく解説していますので、比較する際の参考にしていただければ幸いです。
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【比較項目2】業務への対応可否
2つ目の比較項目として、そのRPAツールを使うことで「どんな業務を自動化できるのか」を確認しておきましょう。
どんなRPAツールでも、定型的な単純作業の自動化は得意としているケースが多いですが、ツールによっては「自動化できない業務」も存在します。
そのため、前もって自動化したい業務を洗い出しておき、RPAツールを比較する際に確認しましょう。
対応可能な業務 | 業務内容 |
---|---|
勤怠管理 | 勤怠打刻漏れ確認、勤務時間の集計、残業時間の確認、有給休暇の残日数確認などの確認をRPAによって自動算出できるようになります |
営業管理 | 営業レポートの作成、案件管理情報の入力作業といった作業を自動化することができ、営業のメイン業務である訪問などに注力できるようになります |
競合他社のリサーチ | 競合他社が提供している商品価格の収集といったリサーチ業務が自動化できるため、分析フェーズに注力して対応できるようになります |
SNSやSEOのデータ分析 | SNSやSEOの分析に必要なデータの収集や加工作業を自動化できるため、データ量に限らずスムーズに業務を進めることができるようになります |
定型レポートの作成 | 日次報告用のレポートや、月次で行う経営陣への報告レポートなど、RPAを使うことで自動レポート作成できるようになります |
在庫管理 | 在庫数や出荷予定数などの管理業務において、ヒューマンエラーによる在庫数の差異がなくなり、リアルタイムかつ正確に処理できるようになります |
売上管理 | 売上管理業務を自動化することで、受注データのダウンロードや、季節ごとの商品売れ筋分析といった業務を自動化することができます |
顧客情報の登録 | 顧客管理システムへの登録業務を自動化できるため、手作業による登録漏れ防止や、必要な情報の一括ダウンロードなどを自動化することができます |
請求書の発行 | 会計ソフトを含めて請求書作成時の手順を自動化できるため、一連の作業に掛かる手間や時間を大幅に削減できます |
問い合わせフォームへの対応 | 問い合わせ対応の分類や、顧客データの更新作業などの単純業務を自動化することができるため、メイン業務である問い合わせ対応に注力できるようになります |
メールの配信 | 全社への一括配信や、決まったタイミングで送信するお知らせメールなど、RPAを使って自動化すれば正確かつスピーディーに対応することができるようになります |
入金消込 | ベテラン作業者であってもミスのリスクがある消込作業ですが、自動化することでリスクが軽減され大幅に時間を短縮することができるようになります |
【比較項目3】操作のしやすさ
RPAツールの比較をする上で「ツールの操作性」については重要な項目です。
たとえば、社内にプログラミングなどIT知識に詳しい従業員がいない場合、だれでも直感的に操作できるツールである必要があります。
また、IT部門が運営を担当する場合は、操作のしやすさよりも機能の豊富さに重点を置く方が良いかもしれません。
そのように、自社の状況に合わせてツールを比較する必要があります。
【比較項目4】サポート体制
RPAツールを提供しているベンダー(販売元の会社)は、独自のサービスとして「RPA初心者の方向けの動画教材」「オンライン操作説明会」「開発サポート支援」といったサポート体制を提供しているケースが多いです。
そのため、自社が必要とするサポート項目を前もって洗い出しておき、比較するための準備をしておきましょう。
【比較項目5】拡張のしやすさ
RPAツールに関するノウハウが貯まっていない導入初期は、自動化作業に不備があったり、エラーが発生することも多いため、想定通りの動きをするまで「小規模な範囲」に自動化を適用していくのがおすすめです。
しかし、導入が落ち着いたタイミングで、部署を横断して全社的に業務効率化を進めたいということであれば、RPAツールの拡張性について比較しておきましょう。
一度、導入が進むと途中でツールの入れ替えをするのは、無駄なコストがかかってしまうため、あらかじめ検討しておく必要があります。
【比較項目6】セキュリティ面
サイバー攻撃などの被害が増え続けている昨今では、セキュリティ面についても重要な比較項目です。
RPAツールによっては、IDやパスワードの暗号化保存や、稼働を継続的に監視しログ管理できるようなものもあります。
自社がどのようなセキュリティリスクに備えておくべきなのかを検討し、適したRPAツールを選定するようにしましょう。
また、自社で取り決めている「セキュリティガイドライン」との親和性も重要ですので、そういった項目も含めて比較することが大切です。
【比較項目7】価格
RPAツールは、その種類やベンダー(販売元の会社)によって価格に幅がありますので、自社の導入規模に合わせてツールを比較しましょう。
初期費用
RPAツールの初期費用は、事務手続きやツールの初期設定、操作方法の解説などにかかる費用です。
RPAの種類 | 価格帯の相場 |
---|---|
テスクトップ型 | 10~100万円 程度 |
サーバー型 | 200~500万円 程度 |
クラウド型 | 無料~30万円 程度 |
月額
RPAツールを継続的に活用するためにかかる月額費用です。
以前は買い切り型も存在しましたが、現在はサブスク型の契約形態が基本です。
RPAの種類 | 価格帯の相場 |
---|---|
テスクトップ型 | 1~15万円 程度 |
サーバー型 | 10~50万円 程度 |
クラウド型 | 5~20万円 程度 |
メンテナンス費用
RPAツールを利用する際に、エラー対応やロボットの改修といった保守をサポートとして依頼する場合、別途メンテナンス費用がかかる場合があります。
費用相場は依頼する内容次第で変わってきますが、1人のRPAエンジニアを常駐させる場合、月額60〜150万円程度かかる可能性があるため、自社に必要かどうか比較検討しましょう。
【比較項目8】導入実績
RPAの比較項目として、導入実績も検討しておきましょう。
RPAツールの機能や、コスト面も重要ですが、そのRPA製品が今までの導入した実績を確認することで「自社と同じ業界にも導入しているから安心」や「多くの実績があるのでノウハウがあり自社の課題を解決できそう」など、比較時の参考にできます。
【比較項目9】無料トライアルの有無
RPAツールは製品によって、見た目や操作方法に違いがあるため、まずは無料トライアルで使用感を確かめてから比較するようにしましょう。
無料トライアル期間は、ITに精通している担当者だけではなく、プログラムに詳しくない担当者でも使用できるかどうかなど、今後の運用に関わる部分を積極的に確認します。
まとめ
近年、RPAツールを活用した業務効率化がさまざまな業界で進んでおり、市場規模も右肩上がりとなっています。
そのため、ユーザー側の選択肢が増える一方で「どんなRPAを導入すれば良いのか」といった、ツールを選定するための知識も必要になってきています。
今回の記事では、そんなRPAツールを選定するための比較項目について解説しましたので、ぜひ導入検討時の参考にしていただければ幸いです。