RPAとは、Robotics Process Automationのことです。
RPAツールは「オフィスのロボット」として業務の自動化を実現し、現在企業では導入ブームになっています。
代表的な製品にはUiPathや、WinActorがあります。
帳票のチェックや画像認識による突合業務、決められた事項の入力業務など、大量で定型的、そして反復して行われる業務で人手によると間違えやすい業務を、ミスや無駄なく自動で行うことができます。
そのためRPAツールは人手不足を補う効果が生じるほか、24時間休まず正確に業務を行うので業務の大幅な効率化も図ることができます。
この記事では、そんなRPAのメリットについて詳しく解説します。
RPA導入を検討されている方や、自社の業務でのRPAのより効果的な活用法を考えている方の参考になれば幸いです。
RPAの仕組みと特徴
RPAの仕組みは、簡単に言うとロボットです。ロボティクス技術(=ロボット技術)をオフィスで利用したツールです。
人の手でフローに従って業務を行うところを、「シナリオ」という簡単なプログラムにしてロボットに学習させ、自動で業務を行わせます。
RPAは人間と同様、データ・システム・サーバにアクセスし、業務に必要なデータを取得、フローの通りに動いて、新たに作成されたデータ等の成果物をアウトプットとして産出します。
AIとの違い
RPAはAI(人工知能)と違い、自分で判断をすることはありません。
人間が作業を修正することによって、RPAがそれを学習し、正確な作業に近づけていくことができます。
つまり、AIが自ら判断をして作業を行うのに対し、RPAはあらかじめ設定されたルールや基準に従って作業を行うという違いを覚えておきましょう。
RPAツールを導入することで得られる7つのメリット
RPAは、自動で正確に業務を反復してこなすことができます。そのため、少なくとも以下3つの削減効果を期待できます。
- 時間
- 人件費
- 人為ミス
RPAを導入することにより、これらの3つの削減効果を核として、会社の業務を改善する多くのメリットが生じます。
以下で詳細を説明していきます。
メリット① コスト削減
RPAツールの大きなメリットの一つとしてコスト削減が実現できることが挙げられます。
ある保険会社の導入事例では、従来人手で行っていた申込書のチェック業務にRPAを導入しました。
この業務をRPAツールによって自動化したところ、時間にして約7割ものカット効果があったとされています。
理論値ではありますが、時給で給与が出るとすると、人件費が同じく7割削減される効果がある、と考えられる話です。
実際にはRPAツールの導入費や、メンテナンスや専門のIT人員の人件費を考慮しなければ正確なコスト削減の効果は出てきません。
しかし多くの成功事例を分析すると、おおむね10~30%の人件費削減効果が出るとされます。
さらに、RPAツールで人件費が減らせることにのみ目がいきがちになりますが、同時に反復して正確に作業することができるRPAツールには人為ミスを減らせるというメリットもあります。
そのため、人為ミスから生じる事故の処理にかかるコストや、損害賠償費用を考えると、人件費に加えて潜在的にはより多くの金額について削減効果があるはずです。
メリット② 業務改善による効率性・生産性アップ
RPAによって業務を自動化すると、業務にかかる時間も短縮することができます。
また業務が自動化されるため、品質にばらつき・ムラがなく、短い時間でより多くの均質なアウトプットを生じさせることができます。
これもRPAツールを導入するメリットの一つです。
同じ仕事が処理される上に、時間を削減することができるため、時間当たりのアウトプットを意味する生産性が向上します。
さらにこのメリットを生かして、売上のアップや、利益率の向上にも繋げることができるでしょう。
ところで日本は、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中でも生産性が最低レベルであることが問題視されています。
生産性が国全体の弱点になっているのが実情です。
国を上げて取り組まれている「働き方改革」も、労働時間を減らすことによって生産性を上げることが目標です。
RPAは業務改善から業務効率化、また生産性が低いとされる日本社会全体の課題の解決に役に立つメリットがあると考えて良いでしょう。
メリット③ 従業員による作業ミスの防止
人手による作業において、見落とし・見間違え・確認漏れなど、人為的ミスが生じるのは避けられません。
RPAを導入すると、反復して行われる大量の業務が、一定のフローに従って作業を繰り返し正確に行われます。
従業員によるミスの防止に役立つ点もRPAの大きなメリットです。
ミスを防ぐ一つの方法として、大量・反復の業務であって、人手だと間違えやすい業務を選定し、それら業務に対してRPA導入を検討すると良いでしょう。
メリット④ 労働環境の改善
RPA導入により、残業時間を減らすることができます。
残業が減れば、従業員が余裕を持って働けるようになり、労働環境が改善されます。企業の労働問題のリスク低減に繋がることもRPAのメリットの一つです。
また残業時間が多いことと、脳血管系あるいは循環器の病気の発生・メンタルヘルスの悪化・過労自殺など、働く人の健康の問題には相関関係があります。
RPAを導入することで残業時間を減らすことができれば、働く人の健康状態も改善するでしょう。
さらに有給休暇の取得状況も社会的な問題となっていますが、RPAで業務時間を減らすことができれば、従業員の健康状態を改善できる上に有給取得を増やすことが可能になると考えられます。
政府の一連の働き方改革でも、有給休暇の取得は増加させることが目標として掲げられています。
また働き方改革の中では、労働時間の短縮を図ることが目標とされ、法令もかつてより残業時間を厳しく制限するようになりました。
働き方改革の関連法令の遵守を導入背景として、RPAを導入した企業があることも事実です。
メリット⑤ RPAは休まずに24時間稼働できる
24時間、時間を問わず作業し続けられることも、RPAのメリットです。
長時間労働からくる人間の健康問題や、有給休暇取得不足を気にしなければならないのに対して、RPAは24時間眠らずに作動することができます。
RPAなら人の代わりに働くることができ、疾患を気にするような必要もありません。
RPAを導入する際には、大量・定型的な作業をできるだけRPAに置き換えられるよう、従来のワークフローや組織体制を見直すことが重要なポイントです。
導入前にRPAに遂行させる業務を洗い出すことで、RPAのメリットをより生かすことができます。
メリット⑥ 人材不足の問題解決
人材不足解消の一助にすることが可能な点もRPA導入の大きなメリットです。
RPAが得意とする反復する大量の事務は、人手により行うと相当の工数がかかり、したがって人数も多くかかってしまいます。
しかし現在の社会情勢は「単純作業に人手を利用することがもったいない」と思うほど労働力不足が深刻な状況にあります。
国立社会保障機構・人口問題研究所の「日本の人口将来推計」によると、2060年には日本人の4人に1人が75歳以上の高齢者になるとされているのです。
先の話とはいえ、現在でも特殊出生率が1.36と少子化が進行していますので、なかなか必要な労働力・人材の確保ができない状態が続くと予測できます。
例えばチェック事務や突合事務のように大量・反復して行われる事務にうまくRPAを導入できれば、人材不足の埋め合わせをする目的での利用が可能です。
RPAツールの導入が企業の間でブームになっている理由の一つには、長時間残業の解消に役立つことと並んで「人材不足の埋め合わせができるメリットがあるから」と考えられます。
メリット⑦ コアリソースへの集中
RPAツールを導入することにより、単純業務をRPAに自動化させることが可能なため、より本質的な業務を社員に行わせることができます。これもRPAを導入するメリットの一つです。
会社の中核業務にRPAを導入すればするほど、会社全体の業務時間の改善や業務品質を上げることに役立ちます。
ひいては売上・利益率アップに繋げられるでしょう。
またオフィスで人手不足の中、社員一人一人の能力を最大限発揮してもらうのには、より創造的・頭脳労働に集中できる環境を整える必要があります。
単純作業に埋もれている事態は解消すべきでしょう。
ところが、経営者としてはそうしたいと思いながらも、コアリソースへの経営資源の集中は人手不足で余裕のない中では、思ったようにはいかないこともありがちなのです。
単純な作業と本質的業務を整理し、前者を切り出したうえでRPAに作業させることができれば、人には余裕ができてより業務を整理しやすくなる好循環が生まれます。
まとめ
業務の自動化を図るRPAツールは、「会社のオフィスのロボット」と呼ばれるようにロボティクス技術を使っており、事務関連の業務を処理するために利用されます。
RPAを導入することで業務時間、コスト、人為ミスの削減といった効果が期待できます。
またこれらの効果から、業務の効率化・生産性の向上、業務時間の短縮による労働環境の改善、コアリソースに経営資源を集中させることができるなど、多くのメリットを得ることができます。
これらのメリットを引き出すには、従来の高コスト・操作やシナリオの作成手順が分かりにくいRPAではなく、より使いやすくなったRPAを使うことをおすすめします。
操作性が簡単で柔軟なRPAを導入することで、より初期の効果を得ることができ、メリットを実現しやすいでしょう。
以前は大企業を中心に導入され、高価だったRPAツールですが、近年ではもっと手軽に身近に、そして操作方法がわかりやすくなっている製品も多くあります。
MICHIRUでは、導入を手軽に、そして低予算で実現できるRPAツール「MICHIRU RPA」を提供しています。
初めてのRPA導入をお考えの方は選択肢の一つとしてご検討ください。