近年、ビジネスの現場において業務を自動化する「RPA」が注目されています。
RPAは導入することで、業務を効率化でき生産性の向上が図れるツールなのですが、言葉としては良く聞くものの「具体的にRPAとは何なのか」や「RPAを使うと何ができるのか」といった疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、RPAの意味や、なぜ注目されているのかという背景、RPAを導入することのメリット・デメリットについて解説していきます。
記事の最後には、RPAの種類や費用についても解説していますので、最後までご覧いただけますと幸いです。
RPA(ロボティック プロセス オートメーション)の意味・定義
RPAとは、Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)の意味で、人間がパソコン上で実施している作業を、ロボットと呼ばれるデジタルな労働者(仮想知的労働者)が代わりに自動実行してくれる「テクノロジー」のことを言います。
ロボットというと、大きな工場で稼働しているようなアーム型の機械的なロボットを思い浮かべますが、RPAはExcelやWordなどと同じソフトウェアツールになります。
そのため、基本的には普段使用しているパソコンにソフトウェアをインストールすることで、RPAが使えるようになります。
RPAが注目されている背景
RPAが注目された背景として「少子高齢化による人手不足の深刻化」や「働き方改革の促進」といった日本の社会環境が要因となっています。
日本は、1975年から現在まで少子化現象の一途を辿っており、それによって労働人口が減少し続け、今後の人口分布として「労働力不足」になることは明白です。
また、そういった労働力不足を解消するために、24時間365日稼働できるRPAロボットが人間に代わる労働力として期待されています。
そういった背景からRPAは注目され、今では大企業だけではなく中小企業でも導入が進められている状況です。
導入する意味とは?メリット・デメリット
RPAを導入することの意味とは何なんでしょうか。
今回は、導入することで得られるメリットや、注意すべきデメリットについて解説しますので、導入の参考になれば幸いです。
メリット① 人件費の削減
RPAは、データ転記など手間のかかっていた作業を人間の代わりに実施してくれるツールなため、その作業にかかっていた人件費を削減することができます。
他にも、該当業務を引き継ぐときに掛かっていた教育に関する時間削減や、残業で対応していた場合は、その残業時間を削減することが可能です。
メリット② サービス品質の向上
RPAは業務手順を記憶することで、何度実行しても正確に処理を進めることが可能です。
そのため、人間が作業を実施するときに発生する「疲れ」や「慣れ」が、RPAロボットであれば発生しないため人的ミスの低減や、作業を処理するスピードも早くなります。
そうすると、業務全体の作業完了時間が短縮され、顧客までの提供スピードが速くなるため、サービス品質の向上に繋げることができます。
メリット③ 従業員満足度の向上
日々、繰り返される定型作業や単純作業を実施することは、貴重な人材である従業員にとって心理的な負担となる場合があります。
そんな作業をRPAロボットに置き換えると、従業員は自分のスキルを生かせる業務や、クリエイティブな作業に従事することができるようになるため、仕事に対するモチベーションのUPなど従業員満足の向上が図れます。
デメリット① 導入コストが安くはない
RPAは「自動化を適用したい業務規模」によって、導入コストが変わってくるツールです。
そのため、大規模な範囲でRPAを導入したい場合は、製品にもよりますが、数百万円から1,000万円以上となるケースも珍しくありません。
導入する場合は、どれぐらいの規模間で導入するのか、どういった機能が必要なのかといった部分も精査して導入する必要があります。
デメリット② RPA開発者を育成する必要がある
RPAは2016年の後半ごろから日本で注目され出したテクノロジーなため、比較的新しい技術になります。
そのため、RPA開発者が豊富にいるわけではありませんので、業務の自動化方法などは自社で学習動画やマニュアル、書籍などで学習する必要があります。
デメリット③ メンテナンスなど運用体制が必要
RPAは、業務の自動化ができるソフトウェアではありますが、具体的に業務を自動化する順番として「自動化業務の選定→開発→テスト作業→保守」といった工程が存在します。
また、自動化が完了している業務でも想定外の事象が発生し、ロボットがストップしてしまう可能性もあります。
そのため、RPAを効果的に活用するためには、担当者を配置し「定期的なメンテナンス」や「エラー発生時の対応」などを実施するための、RPA運用体制を構築する必要があります。
RPAの種類や導入費用
次は、RPAの種類や導入費用について解説します。
それぞれの種類に特徴がありますので、自社の課題に見合ったツールを選定するようにしましょう。
RPAツールの種類
RPAは「デスクトップ型」「サーバ型」「クラウド型」の3つに大別することができます。
それぞれは、自動化したい対象業務や、運用方法などを条件に、自社に適したものを選択し導入するのが一般的です。
デスクトップ型
デスクトップ型のRPAは、パソコン上で稼働するという特性から、チームや部門単位、個人単位で利用しやすいのが特徴です。
RPAツールの販売元と契約し、パソコンにソフトウェアをインストールすることで、利用を開始できます。
サーバー型
サーバー型のRPAは、大規模な範囲で自動化を適用したいときに向いているRPAの種類です。
デスクトップ型とは違い、別途サーバーを準備し、そこへRPAツールのインストール、および環境の構築をすることで利用を開始できます。
デスクトップ型のRPAよりは、専門的な知識がいるものの、複雑な作業への自動化適用など柔軟性があるのが特徴です。
クラウド型
クラウド型のRPAツールは、パソコンへのインストールは不要で、販売元が管理しているRPAツールへオンラインでアクセスし、ログインすることで利用が開始できます。
ただし、Webブラウザを使用した業務の自動化に特化したRPAになるため、Excelや自社システムなどと連携した自動化は不可です。
【種類別】RPAの導入費用相場
続いて、RPAの導入費用について解説します。
導入時の費用は導入初期にだけかかる「初期費用」と、月額や年額など定期的にかかる「ライセンス費用」があります。
初期費用は製品にもよりますが、相場としては10万円〜50万円程度になります。
ライセンス費用については、特徴や備えている機能によって費用が変わるため、以下の表で解説します。
ライセンス費用(月額) | 特徴 | |
---|---|---|
デスクトップ型 | 月額12万円程度〜 | 個人のパソコン上で稼働するといった特性から、費用は比較的安価です。操作もシンプルなものが多い傾向にあります。 |
サーバー型 | 月額50〜100万円程度 | 活用範囲が大きいプロジェクトに向いているため、その分、費用は高額になります |
クラウド型 | 月額10万円〜30万程度 | 自社で準備するものはなく、契約後はログインすることで利用開始できます。 |
次の記事ではおすすめのツールや選び方をご紹介
今回の記事では、RPAの意味や定義、導入することのメリットなどについて解説をしました。
RPAという言葉が浸透するきっかけとなったのは、日本の社会環境として少子高齢化や働き方改革に対応するために、業務効率化が注目されたためです。
RPAを導入する意味として、さまざまな業務を自動化し、その空いたリソースを生産性の高い業務に注力できたりなど、いろんなメリットがあります。
RPAの導入を検討している方は、まず本記事を見ていただき、RPAの意味を理解し第一歩を踏み出していただければと思います。
RPAツールの機能や料金など、具体的に知りたい方は以下の記事をご覧ください。