少子高齢化による「働き手不足」が社会問題となっている中、業務効率化のツールとしてRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)が注目されています。
しかし、RPAを導入することで「自動化できることは?」や「具体例が知りたい」と感じ、導入に踏み切れていない企業も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、RPAを導入することのメリット・デメリットから、自動化できる業務の具体例について詳しく解説します。
RPAを導入することで、自社にどんな効果があるのかイメージしていただき、業務効率化へのきっかけになれば幸いです。
【具体例5つ】RPAツールで自動化できることとは?
RPAツールで自動化できることとして「手順とルールが決まっているパソコン業務」という条件があり、当てはまっている業務であれば基本的に自動化することが可能です。
では、普段実施しているような業務の中から、条件に当てはまる具体例を5つ挙げて解説します。
具体例①:勤怠管理業務
人事部門や各部署の上長が実施している勤怠管理業務にRPAを導入すれば、勤怠システムから従業員の勤怠情報を集計し、残業時間や打刻漏れなど条件に合致したデータのリストアップ、そして担当者へ確認依頼するようメール送信するといった一連の流れを自動化することが可能です。
具体例②:請求書作成業務
経理部門が実施している請求書作成業務は、金銭に関わる部分でもあるため、ミスが許されず担当者の精神的な負担が大きい作業です。
また、繁忙期になれば請求書作成業務を含め、業務全般の処理量が増え人的ミスのリスクも増加します。
そんな業務にRPAを導入すると、請求書作成システムにデータ登録し、プリントアウトして請求書を作成するまでの業務を自動化でき、ミスなく正確に対応することができます。
その結果、担当者の負担軽減や生産性の向上に繋げることができます。
具体例③:日報や月報などのレポート作成
日報や月報などのレポート作成業務についても、RPAで自動化が可能な作業の一つです。
RPAは複数のアプリケーションを横断した自動化が可能なため、基幹システムやExcelファイルなどデータを取得する場所が複数でも問題なく自動化できます。
また、他にもできることとして、決められた時間にデータを取得するようにスケジュールしておけば、担当者は作成されたレポートの確認から始められられます。
そうすると、分析やコメントといった後続の作業をスムーズに進めることが可能になり、生産性の向上に繋げることができます。
具体例④:基幹システムからの情報収集作業
基幹システムから顧客情報である契約満期日などを収集し、条件に合致すれば連絡するような作業があった場合、契約している顧客数に比例して処理量が増えるため、作業時間が膨大になる可能性があります。
しかし、RPAを導入すれば、人が作業するよりもスピーディーに対応することが可能で、業務量が増えても処理速度は落ちないため、大幅な業務工数の削減へと繋げることができます。
具体例⑤:競合の価格調査
RPAを活用すると、データ収集だけでなく、集めてきたデータを使って分析や検証をすることも可能になります。
そのため、EC事業者が実施しているような競合価格調査も、関連する複数の競合サイトから集めた情報を使い、自社との比較分析などを実施できます。
また、その結果を経営陣や担当者へメール通知することも可能です。
RPAツールを導入するメリット・デメリット
RPAツールは導入することで、さまざまな業務を自動化することができます。
しかし、そんなRPAにもメリットとデメリットが存在しますので、効果的に活用するためにも理解しておきましょう。
RPAのメリット
RPAを導入すると、以下のようなメリットがあります。
業務効率化や生産性の向上
RPAとは「定型業務」や「単純作業」を自動化することによって、業務効率化を図ることができます。
また、自動化された作業は人が実施していた時よりも、正確かつ短時間で対応することが可能なため、生産性の向上に繋げることが可能です。
他にも自動化する過程で業務プロセスの見える化を実施するため、不要な作業工程が見つかったり、より効率的な手順へ改修したりなど、自動化しなかったとしても効率化を図れるというメリットがあります。
人件費やコストの削減
上記のように業務効率化を進めた結果、人件費や業務に付随するコストが削減されるというメリットがあります。
また、繁忙期を乗り切るために抱えていた一時的な要因についても採用する必要がなくなるため、コスト削減に繋がります。
ヒューマンエラーの回避
人が作業を実施している場合は、どれだけ気を付けていても完全にミスを無くすことはできません。
しかし、RPAに置き換えると組み込まれた作業を正確に処理するため、ヒューマンエラーが発生する可能性がなくなります。
RPAのデメリット
RPAを導入することによるデメリットとして、以下があります。
内容について理解し、しっかりと備えておきましょう。
導入コストがかかる
RPAツールを使って自動化するためには、ツールを提供している販売元からライセンスを購入する必要があるため、導入コストがかかります。
しかし、RPAツールは製品によって「できること」に違いがあるため、しっかりと検討しないと自社に必要な機能を備えていないRPAを導入してしまう可能性もあります。
そのため、導入コストや相場などを以下の記事でも確認しながら、適切なRPAツールを選定するようにしましょう。
仕様変更などによる誤作動のリスク
RPAは導入すれば終わりではなく、ロボットのメンテナンスなど保守管理を実施する必要があります。
たとえば、システムの仕様変更や、情報収集しているWebサイトの画面変更などがあればRPAが正しく稼働しなくなる可能性があります。
そういった場合、メンテナンス作業として、どこに変更点があったのか確認しロボットの改修をする必要があります。
業務のブラックボックス化
他にも、RPAを使って業務を自動化すると、その作業は人の手を離れ自動的に稼働を続けるため、ブラックボックス化する可能性があります。
そういったデメリットに対しできることとして、RPAを運用する体制を構築しておき、仕様変更時の保守フローの設定や、自動化している業務の仕様書を準備するなど備えておくことが大事です。
次の記事:ツールの導入手順を事前準備から解説
今回の記事では、RPAツールでできることや具体例、導入することのメリットとデメリットについて解説しました。
RPAを導入することで「手間がかかるな」と思っている作業を自動化でき、空いたリソースを売上に繋がる業務へ注力することができます。
しかし、そんなRPAにもデメリットはあり、その内容をしっかりと理解した上で導入を進めないと「思ったよりも効果が出てない」と感じ、RPAの活用に失敗してしまう可能性があります。
そのため、今回の事例を参考にしていただき、導入のきっかけになれば幸いです。
また、RPAの導入に失敗しないためのポイントとして、ツールを導入する時の手順も大事です。
以下の記事で詳しくまとめていますので、ぜひご覧ください。