DX推進の進め方は?手順やポイント、よくある失敗の防止策などを解説

DX推進の進め方について6つのステップそれぞれについてポイントを紹介

DX推進の進め方は?手順やポイント、よくある失敗の防止策などを解説

DX推進を成功させるには、効果的な進め方を知ることも重要です。どのようなステップで進めるかを知ることで、DX推進のイメージがより一層明確になるでしょう。

この記事では、DX推進の進め方について解説します。6つのステップそれぞれについてポイントをお伝えするのでぜひ参考にしてください。

目次

DX推進の基礎知識【進め方の前に】

DX推進の基礎知識【進め方の前に】

DXの進め方を見る前に、まずはDX推進とはどういうものか、基本的な内容をおさらいしておきましょう。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の定義

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、データやデジタル技術を活用し、ビジネスモデルや企業文化を変革することです。

単なるIT化やデジタル化ではなく、ツールやシステムを導入することで、企業経営を大きく改革することが求められます。大きな改革とは例えば、新しい商品・サービスの開発、大幅な収益性の向上、働き方改革などです。

そうしたことを達成し、企業の競争力を高めることがDX推進の目的になります。

企業にDX推進が必要な理由

企業には、競争優位性を高め、この先10年20年の生存確率を上げるためにDX推進が必要です。

IT技術の発展とともに、今後はデジタルツールやデータを上手に活用する企業が生き残る時代がやってくると考えられます。

時流の乗り遅れないためには、できるだけ早くデジタル化による経営改革を実現することが求められます。

また経済産業省が「2025年の崖※」として警鐘を鳴らすように、レガシーシステムを使い続けることのリスクは甚大です。新しいシステムより性能が劣ることのほか、技術的負債の蓄積により維持管理費も高騰していきます。

以上のように、競争力の強化のためにもリスク管理およびコスト削減のためにも、これからの企業にはDX推進が必要です。

※主要サービスのサポート終了などに伴い、同年以降、レガシーシステムの維持管理費等が高騰して大きな損失が出る問題。日本全体で最大年間12億円の経済損失が出るとされている。

DX推進の実現を阻む課題

DX推進のために解決されなければならない課題はたくさんありますが、代表的なものは「ノウハウ不足」と「人材不足」です。

DX推進の必要性や進め方などに関する専門性がなく、どのように取り組んで良いかわからない企業がたくさんあります。

とくに中小企業では、経営者が号令こそかけるものの、知識やスキルがないため、IT部門任せになってしまうケースも多いです。

専門性を補うには外注が有効ですが、日本ではデジタル人材が大きく不足しており、優秀な人が集まらない可能性も考えられます。

またデジタル化した業務プロセスに順応してもらうために、社員の協力や理解をいかに得るかも大きな課題です。

そのほか、IT予算の問題もあります。多くの企業がレガシーシステムの維持管理に多額の費用を使っており、それをいかにDX予算に転換できるかが鍵となるでしょう。

DX推進に必要な5つの要素

DX推進に必要な5つの要素

DX推進を成功させるには、以下5つの要素が重要になります。

データやデジタル技術の活用

データやデジタル技術の活用による業務のデジタル化は、DX推進の必須要素です。新しいツールやシステムの導入なくしてDX推進はないと言って良いでしょう。

業務のデジタル化の例としては、RPAによる定型業務の自動化、紙資料の電子化(ペーパーレス化)、電子契約の導入などが挙げられます。

全社的な推進体制の構築

DX推進を成功させるには、経営者および全社員が協力してデジタル施策を遂行していく一丸体制が必要です。

社員からの協力を得るには、研修等でDX推進の必要性を理解してもらうことがまず重要になります。また社員がメリットを感じやすいような戦略、進め方を考えることも大切でしょう。

さらに各事業部門・部署が連携して取り組めるよう、ルールやシステムなどは全社的に統一すべきです。

業務プロセスの見直し

新たにデジタル技術を導入したり、システムを刷新したりすれば、業務プロセスの改善が必要になるケースもあります。

DX推進後の体制に最適化するよう、業務フローや各作業を見直し、より効率の良いプロセスを構築しましょう。

なお、業務プロセスの改善には、大掛かりな変更を伴い、なおかつ慣れるまで時間がかかるケースもあります。しかし、そうした労力をかけてでも、積極的にやり方を変えるべきです。

デジタルツールを導入するだけでなく、そのような企業文化の改革も含めてDX推進だといえます。

デジタル人材の育成

DX推進を担うデジタル人材の育成・確保も重要な要素です。デジタル化を進めるには、進捗を管理する責任者、システムの運用保守を担当する技術者など、さまざまな人材が求められます。

またDX推進は全社的に取り組むものであって、その影響は全ての社員に及びます。

そのため、DX推進の効果をより高めるには、研修や日々の教育により、全社員のITリテラシーを高めることも重要です。

経営者等のリーダーシップ

DX推進を成功させるには、デジタル戦略・デジタル施策を主導する存在が求められます。経営者がDX推進に高い関心と意欲を持ち、一貫してリーダーシップを発揮するのが理想的です。

とはいえ、現実には経営者のデジタルリテラシーが低く、DX推進がなかなか進まない場合もあります。

その場合は、意欲的な中間層の社員が経営者を促し、現場をまとめてデジタル化を牽引するのでも良いでしょう。

DX推進に必要な組織体制、理想的なモデルについては、下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

DXの進め方|6ステップとポイント

DXの進め方|6ステップとポイント

以下では、DXのより良い進め方、各ステップのポイントを紹介します。

手順1. 自社の現在地を把握する

まずはDXに関連する自社の現状を把握することから始めましょう。収益性や労務管理、業務フローなどにどのような課題があり、それとDXがどのように関連するかを整理します。

またDX推進に使えるリソース(ヒト・モノ・カネ)の質および量も調査しておきましょう。とくに既存のシステムやデータについては、状況を詳しく把握しておくべきです。

なお、そうした把握の前提として、市場や社会の動向、過去のDX成功・失敗事例を勉強することも重要になります。世間と自社を比較することで、DX推進の遅れや課題がより明確になるでしょう。

手順2. DX推進のビジョン(目標)を決める

現状の調査が完了したら、それに基づいてDX推進のビジョンを決めましょう。自社のDX推進ではどのようなことを実現するのか、目標・目的をはっきりさせるステップです。

DX推進のビジョンは、中期事業計画等にも盛り込み、全社員に目標を明示、共有すると良いでしょう。

ビジョンの策定には、経済産業省の「デジタルガバナンス・コード(旧DX推進ガイドライン)」や「中堅・中小企業等向け『デジタルガバナンス・コード』実践の手引き」なども役立ちます。

DX推進の成功事例も載っているため、ビジョンのイメージが湧きやすいはずです。

手順3. 具体的なロードマップを策定する

DX推進のビジョンが決まったら、より具体的な戦略・戦術を策定しましょう。DX推進の責任者や担当部署、導入するツール、予算など、あらゆる面を検討・決定し、DXの進め方を細かく規定します。

このロードマップの出来によって、DX推進の成果や効率が大きく左右されるため、質にこだわって作るのがおすすめです。

経営者(もしくはその他のDX責任者)だけで判断できないことについては、適宜該当の部署や現場にもヒアリングを実施しましょう。

実際にデータやデジタル技術を活用するのは主に社員なので、現場の人たちが無理なく協力できるような戦略・戦術にすべきです。

手順4. DX推進に適した組織体制を構築する

続いて、ロードマップの通りにDX推進を実行するための組織体制を整えます。

DX推進に適した組織体制としては、例えば、経営者の直下にDX推進の専門部門を設置する方法があります。経営者からトップダウンでデジタル化を進められるので、最も効率的な進め方です。

そのほか、既存のIT部門が持つ権限を拡張したり、各事業部門にDX推進チームを配置したりと、いろいろな選択肢が考えられます。自社に合った仕方で組織づくりを進めていきましょう。

手順5. デジタル施策を実行する

ビジョン・戦略、ロードマップ、組織体制が整ったら準備万端なので、実際にデジタル施策を遂行していきます。

なお、いきなり大規模なDX推進に取り掛かると、予算がかさむほか、うまくいかなかった場合の損害も大きくなります。

そのため、まずは1つの部署や業務プロセス限定など、小規模の取り組みから始めるのもおすすめです。

とくに社員にとって身近な業務からデジタル化して成功すれば、社内のDX推進に関する士気を高めることにもつながるでしょう。

手順6. 検証・改善を繰り返して変革に至る

DX推進は一朝一夕で成し得るものではありません。定期的に効果の検証と改善を繰り返しながら、中長期的に企業経営を変革していくのものです。

デジタル技術を導入して終わりではなく、PDCA(計画→実行→評価→改善の)サイクルを回し、取り組みを進化させていく意識を持ちましょう。

ちなみに典型的なトラブルとしては、部門間の連携や人材の育成・獲得、システム改修などがうまくいかないことが考えられます。そうした事態に直面したときに戦略・戦術を見直し、より良い取り組みに変えていくことが必要です。

また小規模から取り組む場合は、特定の部署・チームでの成功事例をほかにも波及させていくなど、段階を踏んでDX推進を実現しましょう。以上がDX推進のより良い進め方です。

DXのよくある失敗例と対処法

DXのよくある失敗例と対処法

DX推進がうまくいかない、失敗するケースとしては、以下のようなパターンが想定されます。

こうした失敗に陥らないよう、進め方を工夫してみてください。

デジタル化に対する経営者の意識が低い

経営者がDX推進に主体的にならず、号令だけかけて社員任せにしてしまうと、取り組みは失敗しがちです。

決裁権を持っている経営者が積極的にコミットしなければ、意思決定や指示がスムーズに行かず、施策は停滞してしまいます。

また経営者の意識の低さがデジタル化に水を差してしまうケースもあります。例えば、ペーパーレス化を推進しているのに社長が紙資料を使っており、社員も紙に戻ってしまうという具合です。

やはりDX推進は、意欲のある経営者がトップダウンで進めるのが望ましいといえます。そのためにはまず経営者自らが、DX推進の意義や進め方について学ばなければなりません。

業務効率化やツールの活用に終始してしまう

DX推進の目的は、デジタルツールを導入して業務を効率化することと考えられがちです。

しかし、業務効率化はあくまでDX推進の手段や過程にすぎません。

業務効率化の結果として得られる生産性の向上やコスト削減、働き方改革、ひいては競争力の強化こそがDX推進の目的です。

また単にデジタルツールを導入することがDX推進ではありません。ツールを導入しただけでは、それはIT化やデジタル化です。

DXと呼ぶには、ツールの導入に伴い、組織体制や業務プロセス、ビジネスモデルなどを変革する必要があります。

DX推進の目指すべきところを正しく理解し、手段と目的を混同しないようにしましょう。

システムの運用保守を外部任せにしてしまう

ITに乏しい企業がDX推進に取り組むと、とりあえず新しいツールだけ導入して、その運用を外部任せにしてしまうケースもあります。

しかし、外部に依存しすぎるデジタル施策にはリスクがあるため、なるべく自社で運用できるように努力すべくです。

例えば、委託先が倒産した場合、導入後に改修した部分がブラックボックス化し、その後の運用が難しくなる恐れが考えられます。また外部委託では、トラブル対応の迅速さや柔軟さといった点でも課題が残ります。

以上を踏まえると、専門的なIT人材を雇用し、自社で運用保守に取り組むのが理想的です。

全て内製化するのが難しい場合は、外部の専門家に伴走してもらいながら主体的に取り組むのが良いでしょう。

DX人材を確保するための取り組みに乏しい

日本では、IT人材の不足が深刻な問題となっています。2030年にかけて最大79万人が不足するという試算もあるほどです。

そのため、人材確保のための工夫をしなければ、よほど有名な企業でない限り、優秀なDX人材を確保するのは難しいといえます。

人材確保のための取り組みとしては、例えば、魅力的な評価制度の確立や研修・教育体制の充実、副業の解禁などが挙げられます。

DX推進に最適な組織体制を作れていない

DX推進の取り組みを成功させるには、効率よくデジタル化が進むような組織体制の構築が必須です。

人員配置や部署間の連携など、組織体制に問題点があると、デジタル化がうまくいかない恐れがあります。

例えば、DX推進部門を新たに立ち上げた場合、既存部門との連携はうまくいっているでしょうか。またDX推進の責任者や担当者を決め、適切な権限を与えていることも大変重要です。

デジタル化に必要な予算が確保できない

MICHIRU RPA

DX推進には、ツールの導入費や専門家経費、人件費、レガシーシステムの処分費用など、多種類のコストがかかります。

大規模なデジタル化になれば、それだけ費用もかさむため、十分な予算が必要です。

低予算でDX推進を始めたいなら、まずは低額のツールを導入するのが良いでしょう。

月額5万円で利用できる「MICHIRU RPA」のように、リーズナブルなツールを使えば、コストを抑えてデジタル化を実現できます。

また補助金や助成金を活用することによっても資金繰りを楽にすることが可能です。補助金・助成金については下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

社内DXをうまく浸透させるコツ

社内DXをうまく浸透させるコツ

DX推進に企業が一丸となって取り組めるようになるには、社員の意識やリテラシーを高める必要があります。

ビジョンやロードマップを策定する際は、社員にとってのわかりやすさを重視しましょう。

また作成したプランを繰り返し説明、共有し、社員をやる気にさせることも重要です。

DXの意義や進め方、成功事例などを共有する社内研修を実施するのも良いでしょう。また外部のDX研修を受講させ、DXに関する専門性を高めてもらうのもおすすめです。

なお、DX研修については以下の記事で詳しく取り上げているのでぜひ参考にしてください。社員教育の前に、まずはこうした研修で経営者自身が学ぶのも有意義です。

まとめ より良い進め方でDX推進を成功させよう!

まとめ より良い進め方でDX推進を成功させよう!

DX推進の理想的な進め方は下記の通りです。

DX推進の進め方をおさらい

  1. 自社の現在地を把握する
  2. DX推進のビジョン(目標)を決める
  3. 具体的なロードマップを策定する
  4. DX推進に適した組織体制を構築する
  5. デジタル施策を実行する
  6. 検証・改善を繰り返して変革に至る

この進め方に沿って取り組めば、スムーズにDX推進を実現し、効果を挙げられるでしょう。これを機会にぜひデジタル化の取り組みを初めてみましょう。

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