「DX推進が求められる背景はなに?」
「DX推進することで企業にどんな成果があるの?」
「DX推進をするポイントは?」
DXとは、ITシステムの導入や業務フローの改善により人々の生活の利便性の向上を目指して変化させるという意味です。企業でDX推進ができていないと業務効率や競争力の低下、緊急事態への対策不足に陥る可能性があります。
DX推進をすることで、企業の業務改善やユーザーのニーズに答えられることにも繋がるので、ビジョンを明確にして進めていきましょう。
この記事では、DX推進が求められる背景や成果について解説します。DX推進を行い業務効率化や対応力の向上を目指しましょう。
DXの概要を解説
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、システムやデバイスなどのITの浸透により変革させ、人々の生活の利便性の向上させる施策のことを指します。
DX推進は、IT化のようにシステムを導入させアナログな業務をデジタル化することが目的ではなく、その先の生活や企業ビジネスに劇的な変化をもたらす目的があります。
企業でDX推進を行うことで、単純作業をデジタル化しシステムが自動で行うようにした場合、社員は他のより高度な業務に時間を当てられます。その結果、生産性の向上や新規ビジネスの実現などを目指せるため、DX推進をすることは企業にとってメリットになります。
ただし、DX推進を進めていくうえでコストがかかったり、システムトラブルなどのリスクが発生したりする懸念もあるため、多くの企業ではDX推進が成功していないのが現状です。
DX推進の背景には何がある?
現在日本で推奨されているDXですが、そもそもなぜDX推奨が求められるようになったのでしょうか。DX推進の背景にあるものとその理由の4つを紹介します。
- 「2025年の崖」への対応
- 新型コロナウイルスによるリモートワークの普及
- デジタル化の加速による消費者行動の変化
- IT人材の不足
「2025年の崖」への対応
DX推進が求められる1つ目の背景は「2025年の崖」への対応です。
「2025年の崖」という言葉は、経済産業省が2018年に発表したDXレポートという資料で初めてでてきました。
記載された背景は、日本国内の企業として勝ち抜いていくための、DX推進の必要性を訴えるためです。DXレポートでは、企業がDX推進をしない場合、2025年から年間で現在の約3倍である約12兆円の経済損失が発生するという予測がされました。
「2025年の崖」の影響を受けるのは大企業だけではなく、中小企業や個人事業主も含まれます。そして、最終的に商品やサービスを受ける消費者にも影響が及びます。
DX推進を行い2025年の壁を乗り越えるために、企業の課題や問題解決に向けての計画を立てて取り組みを行いましょう。
新型コロナウイルスによるリモートワークの普及
DX推進が求められる2つ目の背景は、新型コロナウイルスによるリモートワークの普及です。
2020年から始まった新型コロナウイルスの感染症の影響で、リモートワークが急激に普及しました。リモートワークを行うためにはデジタル化が必要で、多くの企業が慌ただしく対応に追われました。
リモートワークによりDX推進が必要な背景は、さまざまなITシステムの導入や業務フローの改善、セキュリティの構築が必要不可欠だからです。
リモートワークのためにはまず、パソコンやネットワーク、Web会議やチャットなどのコミュニケーションツールの選定や導入などが必要になります。
社内の既存のシステムと連携できるものなどを中心に、さまざまなシステムを比較する必要があります。そして、環境やツールを整えるにあたって、業務フローの見直しも必要です。
リモートワークの需要が高まっていくと同時に、リモートワークの脆弱性を狙ったサイバー犯罪が増加しました。リモートワークを行うにあたって、より高度なセキュリティ対策を行うことも求められます。
リモートワークのDX化はデジタル化だけではなく、さまざまな問題や懸念点の可視化をして業務改善を行うことも重要になります。
デジタル化の加速による消費者行動の変化
DX推進が求められる3つ目の背景は、デジタル化の加速による消費者行動の変化への対応です。
総務省の「情報通信白書令和3年版」では、インターネットショッピングを利用する世帯の割合が2020年3月以降に急激に増加していると発表されました。その後も半数以上の世帯がインターネットショッピングの利用が継続しており、近年のデジタル化が注目されています。
インターネットショッピングの利用が増えた理由は、デジタル化の促進と新型コロナウイルスの影響です。緊急事態宣言や商業施設の閉鎖などにより、自宅で過ごすことが多くなり、合わせてデジタル化が促進されたことにより、ネット上でのショッピングをする機会が増えました。
ネット上であればさまざまな商品を比較したり、安い商品を購入できたりなどのメリットもあります。ウェブサイトで商品を閲覧し購入するという消費者の変化により、PRや宣伝の方法も変化するため、今後の産業構造も合わせて変化することになるかもしれません。
IT人材の不足
DX推進が求められる4つ目の背景は、IT人材の不足です。
経済産業省委託事業の「平成 30 年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備」によると、2023年には79万人ものIT人材が不足すると予測されています。理由としては、少子高齢化により2023年の新卒者の数が減ってしまい需要に対して、IT人材の母数が少なくなるからです。その結果、IT人材の新卒者と転職者の争奪が繰り広げられることが予想されます。
DX推進をするうえで、システムの導入やデジタル化などは必要不可欠です。そのため、DX推進を進めていくためにIT人材の確保が重要になります。DX推進に向けて、早期のIT人材の雇用や育成制度、研修の整備を整えていくことも必要になります。
DX推進で企業が得られる成果とは?
DX推進の背景や重要性をお伝えしましたが、DX推進をすることで企業にどのような成果があるのでしょうか?
ここでは、DX推進によって得られる成果を3つ紹介します。
- 業務効率化
- 対応力の向上
- 事業の継続
業務効率化
DX推進によって得られる成果の1つ目は、業務効率化です。
現在、多くの企業でも残っているアナログな作業をDX推進で、デジタル化や業務フローの改善を行うことで業務効率化の成果が得られます。
システムの導入や回収はコストがかかりますが、業務時間の短縮やデータ分析の活用、長年の利用で複雑化やブラックボックス化したレガシーシステムの管理や保守にかかる費用の削減が期待できます。
時間や費用がかかっても、長い目で見れば大きな業務効率化に繋がるため、DX推進の成果は大きいです。
対応力の向上
DX推進によって得られる成果の2つ目は、対応力の向上です。
DX推進の1つの背景で紹介した消費者行動の変化により、消費者のニーズに答えるためには、システムの構築が必要不可欠です。
特に商品やサービスの提供が店舗でのみですと、他の競合他社がインターネット上やオンラインで案内をしている場合、競争に負けてしまうことがあります。
社会の変化や消費者のニーズに合わせてデジタル技術を積極的に採用することで、他者との違いをアピールできたり、サービスの向上や新たなビジネスの開発ができたりなど、競合他社との競争力の向上や優位性の確立も目指せます。
事業の継続
DX推進によって得られる成果の3つ目は、事業の継続です。
システムエラーや自然災害など緊急事態は突然発生します。何の対策もできていない企業は最悪の場合、廃業や事業縮小を余儀なくされてしまいます。
緊急事態の場合に柔軟な対応や復旧作業ができると、業務へのダメージを抑えられ、早期復旧が期待できます。
顧客からの信用も得られるので、DX推進によって業務やシステムの全体把握や緊急時の体制づくりを目指しましょう。
経済産業省「DX推進のためのガイドライン」から考えるDX化の背景とビジョン
「DX推進のためのガイドライン」とは、各企業の経営者に向けてDX推進とITシステムの構築を実現するポイントをまとめたものです。
ガイドラインについて、以下を紹介します。
- 「DX推進のためのガイドライン」の背景はなに?
- DX推進にむけてのビジョン提示
「DX推進のためのガイドライン」の背景はなに?
ガイドラインができた背景は、「2025年の壁」を解決するために国としてDXを推進する必要があったからです。他にも、目まぐるしく変化する社会に対応するためには、データ分析やデジタル技術を活用したビジネスモデルの構築が必要になることが、ガイドラインができた背景にあります。
DX推進にむけてのビジョン提示
ガイドラインでは、DX推進を進めていくうえで重要なポイントとして「経営戦略・ビジョンの提示」をあげています。
DX推進をするうえで始めに行うのはシステムやツール、IT技術の導入の検討ではなく、経営者自身がDX推進の目的やビジョン、背景を明確に提示することが重要です。
記事まとめ
DX推進はシステムの導入や業務フローの改善により、利便性を向上させることが目的です。この記事では、DXが求められる背景を4つ紹介しました。
- 「2025年の崖」への対応
- 新型コロナウイルスによるリモートワークの普及
- デジタル化の加速による消費者行動の変化
- IT人材の不足
企業で得られる成果としては、業務効率化や社会の変化への対応が期待できます。業務やシステムの整理もできるため、緊急事態のさいの早期復旧への対策も可能です。
DX推進を進める場合は何でもデジタル化するのではなく、経営者がビジョンや背景を明確に提示してから進めていくようにしましょう。