DX推進を目指す企業が増加している環境の中で、「なにかDXに関連した資格を取得したい」と考える人は少なくありません。
当記事ではそんな方にオススメしたい資格9選を紹介しています。
それぞれの資格の特徴を詳しく解説しているので、ぜひ取得する資格を選ぶ際の参考にしてみてください。
DX推進を目指す企業が増加中。求められる人材の特徴とは?
まずはDXとはいったい何なのかや、DX推進をするうえで求められるスキルについて解説していきます。
DXとは?
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、テクノロジーを活用することで経営戦略などを考え実行することを指します。
今までの業務で行っていた会議をオンライン化したり、紙で管理していたデータをデジタルに置き換えることをDXと思っている人も多いですが、実際はそうではありません。
デジタルの力を使って、企業のビジネスモデルそのものを変革することをDXと呼ぶのです。
そして、DX推進を実行できるDX人材とは、DX人材とはITに詳しいだけではなく、企業や社会の課題をデジタル技術の活用によって解決したり、人々の生活を変革できる人材を指します。
似た言葉にデジタル人材という言葉がありますが、デジタル人材はITについて高度な知識や技術を持つ専門家のことです。
デジタル人材は、テクノロジーを活用し企業に業務効率化などの価値提供を行う点ではDX人材と似ていますが、正確にはDX人材とは意味が異なります。
DX人材は、デジタル技術によってビジネスモデルそのものを変革できる能力を持った人を意味しています。
求められるスキル
DX推進を行う場合には、様々なスキルが求められます。ここではどういったスキルが必要になるのかを紹介していきます。
対応力
DX推進は言うまでもなく会社にとって未経験の内容が多く、トラブルが発生することも考えられます。
そういったときに、課題に対して柔軟に対応して解決し計画を推し進める力が求められます。
創造力
DXによってビジネスモデルをどのような形に作り替えるのか、そしてそれによって社会にどういった価値を提供するのか、これらを考えるには創造力が求められます。
説明力
周囲の人たちの協力を得るには、計画を実行する意味を説明し理解してもらう必要があります。
DX推進の成功には多くの人の協力が必要なので、周りの理解を得る能力は極めて重要です。
リーダーシップ
DX推進のためには、強力なリーダーシップが求められます。様々な意見を持つ組織全体が同じ目標に向かって動くよう、仕向ける必要があるからです。
DX人材が協力がリーダーシップを発揮して初めて、DX推進は可能となります。
失敗を恐れず挑戦する能力
DX推進する際には、どうしてもうまくいかず壁に直面することもあるでしょう。しかし、そういった失敗を恐れていては何もできなくなってしまいます。
失敗を恐れずに前に進み続ける力は必要不可欠です。
突破力
壁に当たった時に、突破していく力も非常に重要です。問題解決のために試行錯誤し、壁を乗り越える力はなくてはならない能力の一つです。
DX関係のスキルを直接問う資格3選
DXを前面に押し出している、DXの知識やスキルを証明できる資格は3つ存在します。
ここでは3種類それぞれの資格の概要や特徴を紹介します。
DX検定
「DX検定」認定試験は、日本イノベーション融合学会が提供する認定試験です。
デジタル化が進むにつれて日々増加していく、先端IT技術 トレンドとビジネストレンドの用語について正確な知識を持っているかが問われます。
専門的な技術やスキルについての出題はほとんどなく、あくまで用語を理解しているか確認するのが試験内容です。
出題形式や試験会場、試験日程は以下の通りです。
出題形式 | 60分で120問の知識問題(多肢選択式) |
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試験会場 | Web受検(自宅、会社のPCまたはタブレットでの受検が可能) |
試験日程 | 毎年1月・7月に実施 |
また「DX検定」認定試験は、試験結果はスコア配点方式となっており、600点以上の場合は以下のレベル認定証が発行されます。
- スコア800以上⇒「DXプロフェッショナル レベル」
- スコア700以上⇒「DXエキスパート レベル」
- スコア600以上⇒「DXスタンダード レベル」
このように、獲得点数によってDXに対する理解度が確認され、レベルにあった認定され称号を受け取れます。
ぜひキャリアアップを狙うなら、プロフェッショナルレベルを目指すのもいいでしょう。
参考:DX検定(日本イノベーション融合学会*ITBT(R)検定)
デジタルトランスフォーメーション検定
デジタルトランスフォーメーション検定は、一般財団法人・全日本情報学習振興協会が認定する資格試験です。
企業にとって必要不可欠な人材である、DX推進の実務者、責任者、アドバイザーを認定する資格試験となっています。
試験には、DXの基礎となるAI、IoT、クラウドの知識などについての問題が出題されます。
また、デジタルトランスフォーメーション検定試験には「DX推進アドバイザー認定試験」「DXオフィサー認定試験」の2種類があります。
DX推進アドバイザー認定試験とDXオフィサー認定試験の違いは、DX推進アドバイザー認定試験が基本的な知識を問うもので、DXオフィサーはさらに応用的な内容が出題されます。
DXの分野で活躍するための知識を身に着けたい場合はDX推進アドバイザー認定試験、DX推進の責任者・管理監督職を目指したい場合はDXオフィサーの試験を受験するといいでしょう。
DX推進アドバイザーの試験概要は以下の通りです。
出題形式 | 2択問題(配点:140点)および4択問題(配点:520点) |
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試験会場 | Web受検(自宅、会社のPCまたはタブレットでの受検が可能) |
合計得点 | 660点(70%以上の特典率で合格) |
受験料 | 11,000円(税込) |
開催会場 | 全国の各会場・オンライン |
一方で、DXオフィサーの試験概要は以下の通りです。
出題形式 | 選択式問題:800点 記述式問題:100点 |
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試験会場 | 全国の各会場もしくはオンライン受験 |
合計得点 | 900点(70%以上の特典率で合格) |
受験料 | 19,800円(税込) |
試験会場 | 全国の試験会場・オンライン受験 |
参考:DX検定、デジタルトランスフォーメーション検定、DX、DX資格
+DX認定資格
+DX認定資格は、IoT検定制度委員会が主催する認定試験です。
ビジネスパーソンがもともと持つ能力や技術力に対し、+αとなるDX関連の知識の理解度を測るのが目的の試験となっています。
そのため、ITエンジニアなどの専門スキルを有した人よりも、IT以外の分野で働く人が対象なのが特徴的な認定資格と言えます。
合格によってDX推進に関する基礎力が証明できるので、社内の人材に受験させDX人材を育成する目的で活用できます。
+DX認定資格を取得した人材がいれば、ほかの社員への研修ができるようになったり、デジタル技術を活用した事業刷新につながる可能性があるでしょう。
+DX認定資格の試験概要は以下の通りです。
試験方法 | CBT 四肢択一 |
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試験時間 | 30分 |
出題総数 | 30問(80%以上の合格率で合格) |
受験料 | 8,800円(10%消費税込) |
参考:最新システム導入はまだ早い!?貴社がDX化・DX推進ができないたったひとつの理由「我が社が事例の通りにうまくいかない」その理由を教えます。
DX推進のスキルに関する資格3選
直接DXを前面に押し出しているわけではありませんが、DX推進に確実に役立つスキルも存在します。
デジタル化が進む環境に対応できる人材になるには、こういった資格を取得するのも有効です。
ここではそういったDX推進に関する資格を3つ紹介していきます。
ITパスポート試験
ITパスポートは情報処理推進機構(IPA)が運営する国家資格です。
経営やIT技術全般に関する知識について問われる試験で、試験対策をすることでDXを推進するための基礎的な知識が身に付きます。
ITパスポートを取得することで、自社内での業務効率化や商品開発にデジタル技術を活用する力が身につくことでしょう。
ITパスポートの試験概要は以下の通りです。
試験方法 | 小問100問(経営全般35問・IT管理20問・IT技術45問) |
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試験時間 | 120分 |
出題総数 | 総合スコアかつ分野別スコアが以下の特典率を満たすこと(総合スコアが6割以上かつ、経営全般・IT管理・IT技術でそれぞれ3割以上) |
受験料 | 7,500円(消費税込み) |
ITストラテジスト試験
ITストラテジスト試験は、独立行政法人情報処理推進機構が主催する認定試験です。
ITを活用してプロジェクトを策定・実行しビジネスを成功に導く能力を問われます。
独立行政法人情報処理推進機構は、複数のIT関係の資格試験を開催していますが、中でもITストラテジスト試験は難易度が高いことで知られています。
合格率が例年15%程度と低く、しっかりとした対策をしなければ合格することはできません。
そのため、もし合格できればIT関連の高度なスキルや知識を持っていることを証明できるでしょう。
ITストラテジスト試験の試験概要は以下の通りです。
試験方法 | 四肢択一式・記述式 |
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試験時間 | 午前1試験:50分、午前2試験:40分、午後1試験:90分、午後2試験:120分 |
出題総数 | 午前・午後試験 各100点満点/各60点 午後 II 配点なし/採点による評価で基準を満たすこと |
受験料 | 5,700円(消費税込み) |
参考:ITストラテジスト試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
ITコーディネータ
ITコーディネータはITコーディネータ協会が行う資格試験です。
経済産業省が推進する資格で、経営とITの両面に精通したプロフェッショナルを要請するのが目的です。
ITコーディネータは経営者の立場に立ち、経営に役立つIT活用について助言を行います。
ITコーディネータの資格を取得するには、ITコーディネータの試験とケース研修の両方を取得したうえで、認定を受ける必要があります。
試験の詳細は以下の通りです。
試験方法 | 筆記試験+研修受講 |
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試験時間 | 120問 |
出題総数 | 必須問題 (60問)・選択問題 (40問) |
受験料 | 19,800円(税込) |
DX環境でエンジニアがリスキリングできる資格3選
リスキリングとは、技術革新に対応するため新たなスキルを身に着けることです。
今後DX化が進むにつれて、新しい環境に対応できるスキルを身に着けるかどうかが、エンジニアの方にとって仕事の獲得や年収に大きく影響してくるでしょう。
そこでここからは、DX環境においてエンジニアがリスキリングできる資格試験を3つ紹介します。
ネットワークスペシャリスト試験
ネットワークスペシャリスト試験は、IPA(情報処理推進機構)が実施する国家資格です。
情報処理技術者試験には様々なものが存在しますが、ネットワークスペシャリスト試験はその中でも、スキルレベル4に相当する最高難易度の試験です。
試験ではネットワークの知識のほか、ネットワークに関連したセキュリティやサービスに関する問題も出題され、対策時に学習する必要のある範囲は非常に広いと言えます。
ちなみに、ネットワークスペシャリスト試験の過去の合格者は10代~60代と幅広く、年齢を問わずリスキリングに活用できる資格となっています。
ネットワークスペシャリスト試験の試験概要は以下の通りです。
出題形式 | 午前Ⅰ 9:30~10:20(50分) 午前Ⅱ 10:50~11:30(40分) 午後Ⅰ12:30~14:00(90分) 午後Ⅱ 14:30~16:30(120分) |
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問題形式 | 午前Ⅰ・午前Ⅱ 多肢選択式(四肢択一)/午後Ⅱ 記述式 |
試験時間 | 9:30~10:20(50分) |
受験料 | 7,500円 |
参考:ネットワークスペシャリスト試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
AI実装検定
AI実装検定はビックデータ・データサイエンス・DX・人工知能といった分野に、AI技術を活用するための知識やスキルをテストする資格試験です。
AIエンジニアとして活躍できる知識や実装力が身につくので、キャリアアップに直結する可能性は高いと言えるでしょう。
AI実装検定の資格B級~S級の3段階に分かれており、入門者から実力者まで幅広い方がAI実装検定試験で、スキルアップしながら資格取得を目指せます。
AI実装検定の試験概要は以下の通りです。
出題形式 | S級:ディープラーニングの様々なモデル50題 / A級:数学20代・プログラミング20題・AI20題 / B級30題 |
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試験時間 | S級:60分 / A級:60分 / B級:40分 |
受験費用 | S級:33,000円(税込) / A級:14,850円(税込)/ B級:9,900円(税込) |
参考:AI実装検定
データベーススペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験はIPA(情報処理推進機構)が実施する試験の1つです。
その名の通り顧客データなどのデータベースに関するスペシャリストで、企画から運用まで実践的なスキルが身に付きます。
企業のデジタル化が進むにつれ、あらゆるデータがデジタル化され、データベースとして管理される機会が増えるので、DX化された環境でデータベース構築の中心として活躍できるでしょう。
データベーススペシャリスト試験の試験概要は以下のようになります。
出題形式 | 午前Ⅰ多肢選択式(四肢択一)/ 午前Ⅱ 多肢選択式(四肢択一)/午後Ⅰ 記述式/午後Ⅱ 記述式 |
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試験時間 | 午前Ⅰ 9:30~10:20(50分) 午前Ⅱ 10:50~11:30(40分) 午後Ⅰ12:30~14:00(90分) 午後Ⅱ 14:30~16:30(120分) |
受験費用 | 7,500円 |
参考:DX推進に役立つ資格とリスキリング23選|メリットや選び方を解説
記事まとめ
今回の記事ではDX推進に関係する、様々な資格について紹介してきました。
資格を取得すると知識やスキルの証明になるので、社会の中で評価されやすくなりますし、学んだ内容が実務の中でも活きてきます。
そのため、DX化の進む世の中で活躍できるスキルや知識が欲しい場合は、この記事で紹介した資格の取得にチャレンジしキャリアアップを目指してはいかがでしょうか?