現在、デジタル化が進む世の中に対応し売り上げを上げ続けるために、企業が取り組むべきとされているのがDX推進です。
しかし、DX推進を進めなければならないことは分かっていても、何から始めるべきかわからない方も少なくないでしょう。
そんなときに、企業がDX推進を行う際に支援してくれるのが、DX推進コンサルティングサービスです。
この記事ではDX推進コンサルティングの役割や、DX推進コンサルティングを使うメリット、DX推進コンサルティングの選び方などについて解説します。
DXコンサルティングとは?概要や役割を紹介
DXコンサルティングはDX推進を支援してくれるサービスのことですが、利用には費用がかかるため、一体どのようなサポートを受けられるのか気にある方も多いのではないでしょうか?
ここからは、DXコンサル依頼の前に把握すべきDXの概要や、DX推進コンサルティングサービスの役割についてお伝えします。
DXコンサルティング依頼の前に理解したいDXの概要
そもそも、DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル導入によって製品やサービス、ビジネスモデルに変革を起こすことを指します。
企業のビジネスモデルそのものに変革を起こすことで市場における競争力を上げ、売上や利益を増やしてこそDX推進に成功したと言えるのです。
そのため、アナログデータをデジタルに置き換えたり、単純作業をRPAで代替するといったデジタル化を行うだけでは、DX化に成功したとは言えません。
DX推進を行うには経営層がデジタル化によって成し遂げたいゴールを設定し、そのための計画を立てなければなりません。
DX推進完了後の企業の姿や、目標を達成する期間、使用できる予算額などを明確にし、どのような技術を導入するのかを決める必要があるということです。
これらの工程をすべてクリアし、ビジネスモデルの変革を成し遂げて初めてDX推進が成功となります。
DX推進する際のコンサルティングサービスの役割
DXを推進する上でのコンサルティングサービスの役割は、DX推進によって何をどのように達成するのかについての決定を支援することです。
一般的なDXコンサルサービスの内容は、以下の4つに分けることができます。
- テーマ策定
- 戦略・実行計画
- プロトタイプ開発
- サービスの本格実装
このように、DX推進によって成し遂げる内容についてのテーマ策定から実装までの青写真を描くサポートを受けられます。
DX推進を行う際に一番の課題は「そもそもデジタル化によって何をすればいいかわからない」という点です。
ここをはっきりせずにデジタルの技術を導入しても、大きな成果を出せずに終わってしまう可能性が極めて高くなります。
コンサルティングサービスは、DX推進によって達成したいことを明確化し、デジタル化の効果を最大限高めるのに役立つと言えます。
DX推進にコンサルティング企業を活用するメリットとは?
DX推進コンサルティング企業の支援を活用するメリットは、以下の3つです。
- プロの知見を活用できる
- 客観的な意見を取り入れられる
- ノウハウやスキルを吸収できる
これら3点について詳しく解説していきます。
プロの知見を活用できる
DXコンサルティング企業の専門のコンサルタントは、豊富な知識を経験を持っています。
そのため、企業の課題を解決し売り上げをアップするのに有効な対策についてアドバイスを受けられます。
右も左もわからない状態から知識やスキルを身に着けるのは、膨大な時間と労力がかかるためどうしても効率が悪くなってしまいます。
その点、専門のコンサルタントからのアドバイスを活用すれば、高度な知識を活用できDX推進の可能性を高められるのです。
DX推進を行う際には、ITやAIといったデジタル技術を導入することになり専門知識が必要になるため、コンサルサービスを利用する価値は大きいでしょう。
客観的な意見を取り入れられる
DXコンサルタントに依頼することで、企業に対して客観的な意見を取り居られるメリットもあります。
DXコンサルタントは過去に様々な企業へのアドバイスを行っているので、多数のDX推進の成功例を知っています。
そのため、コンサルタントに依頼することで、業務の効率が悪い点や改善案が簡単に分かるようになります。
また、DX推進によってどのようにビジネスモデルを変革すればいいのかについても、客観的な意見をもらうことができるでしょう。
このように、会社の外部の人でなければ気が付かない視点を活用できるのも、コンサルティングサービスを活用するメリットと言えます。
ノウハウやスキルを吸収できる
最新のデジタル技術についてのノウハウやスキルを吸収できるのも、DXコンサルを活用するメリットです。
専門のコンサルタントは多数の会社の事例を知っているので、DX推進の成功例や最新の情報を保有しています。
そういった内容を吸収すれば、デジタルに関するスキルやノウハウを取り入れて今後のDX化に役立てることができます。
ゆくゆくは、コンサルティング会社に依頼しなくとも、自社のみでDX化推進することもできるようになるでしょう。
【DX推進を徹底サポート】コンサルティング会社選びのポイントを解説
一口にDXコンサルティング企業と言っても、受けられるサービス内容には様々な種類が存在します。
もしも活用するコンサルティング会社を間違えてしまうと、全く成果が得られずにコンサル費用を損するだけで終わってしまうこともあるでしょう。
そこでここからは、DX推進コンサルティング会社の選び方を紹介します。
得意領域を確認する
コンサルティング会社の得意領域を確認して、自社業界に対応しているかどうかを確認しましょう。
システム開発・サービス・戦略立案といった分野の中から、どの部分に強みがあるのかは非常に大事なので、事前にホームページなどをよく見ておくのがおすすめです。
確認を怠ってコンサルティング会社を選んでしまうと、自社の課題とコンサルタントの得意領域のミスマッチが発生する恐れがあります。
事前にどういった領域に強みがあるのかを確認し、依頼後に後悔することの無いよう注意しましょう。
実績を確認する
DXコンサルティング会社実績を確認しておくのも重要です。
その会社がDXコンサルのサービスを提供したとしても、一体どのぐらいの実力があるのかがよくわからないケースがあるからです。
もしもその企業がDXコンサルの実績が少なく経験不足であれば、費用をかけてその会社に依頼しても、思ったような成果が上がらない恐れがあります。
そのため、自社の希望に近い実績があるかどうかについて、ホームページを確認したり直接問い合わせたりして確認するようにしてください。
自社に似た事例を支援した経験のあるコンサル会社に依頼すれば、DX推進の成功確率は大幅に上昇するでしょう。
コンサルティング手法を把握する
どのようにコンサルティングをするのかは企業によって異なるので、コンサル手法を把握することも重要です。
コンサル手法には以下のような種類があります。
- 1つのプロジェクトを短期間で解決を目指すプロジェクト型
- 社内に深く関わり長期的にコンサルティングを行う併走型
このようにコンサルティングのやり方が会社によって異なり、それによって価格や期間が変わってきます。
したがって、できるだけ迅速にプロジェクトを完遂したいのか、長期的にDX推進について相談したいのかなど、どのようなスタイルが希望なのか確認しコンサル会社を選択しましょう。
DXコンサルティング会社を選ぶ際の注意点
DX推進の際には、コンサルティング会社に任せることでスムーズに進む部分も多いです。
ただし、依頼すれば何もしなくても勝手に解決してくれる、という話でもありません。
そのため、事前にコンサル会社に依頼する際の注意点を知り、把握したうえで活用するのが得策です。
ここからはDXコンサル会社に依頼する際の注意点についてお伝えします。
コンサル会社にすべてを任せないようにする
コンサル会社に依存してしまい、すべてを任せてしまうことの無いよう気を付けましょう。
コンサルタントはあくまでアドバイスするのが仕事なので、あらゆる判断や業務を任せてしまうのは考えものです。
依頼する前に自社内で課題の整理やDX推進によるゴールを全く考えていないと、コンサルタントの言うことに黙って従うことになりがちです。
これでDX推進に成功するならいいのかもしれませんが、多くの場合そうはいきません。
最終的な結果に責任を持つのは企業の経営層なので、コンサルタントに依存してしまうと高確率でビジネスモデルの変革には成功しないでしょう。
あくまでコンサルタントは新たな視点やノウハウを取り入れるための存在なので、頼りすぎることの無いように気を付けるべきです。
費用が高額化しないよう気を付ける
コンサルティングサービスを利用するには当然費用がかかりますが、費用が高額化しすぎないよう気を付ける必要があります。
特に解決に時間がかかる課題が社内に存在し、その解決が必要な場合には、事前の予想よりも大幅にコンサル期間が長くなることもあり得ます。
コンサルティングサービスが時間制の場合、期間が長期化すると費用がかなり高額になってもおかしくありません。
そうならないようにするためには、事前にサービス料金を確認しておき、コンサルサービスによって解決したい内容を明確にしておく必要があります。
ノウハウを吸収しながらコンサルを受ける
コンサルティングサービスを受けるうえで、必ずノウハウを吸収し今後の業務に活かす姿勢が非常に重要です。
「コンサルタントが代わりにやってくれるから任せておけばいい」という姿勢だと、社内にノウハウが蓄積されずコンサル期間終了後の困ることになってしまいます。
そのため、疑問点が生じた際にはすぐに質問し、解消しておくことでコンサルタントがいなくてもDX推進に必要な内容を進められるようにしておきましょう。
コンサルティングサービスは高額な費用が発生するわけですから、最大限利用しなければもったいないのは言うまでもありません。
サービス期間を積極的に活用し、不明点は質問してノウハウを吸収することを心がけるべきです。
DX化に成功した事例を紹介
DX推進のコンサルティング会社のサービスを活用することで、ビジネスモデルやサービスの革新に成功した例にはどういったものがあるのでしょうか?
ここでは、2つの例を紹介していきます。
3DボディスキャナーとAI技術で計測を自動化
IBMが下着メーカーのワコールを支援し、DX推進に成功した実例です。
ワコールでは以前、利用客から以下のような意見が寄せられていました。
- 販売員からインナーウェアを購入するのが恥ずかしい
- 販売員に体の計測をしてもらうのが抵抗がある
こういった顧客からの意見に対応するために、IBMは自社の技術を活用し以下の製品を開発しました。
- 試着室に入るだけで体のサイズを計測できる3Dボディスキャナー
- ワコールの接客ノウハウを学習したAI
これらによって、AIが販売員の代わりに利用客の接客を行い、試着室に入った後は3Dボディスキャナーがサイズ計測を行う仕組みが実現しました。
デジタル技術の活用によって、「販売員から下着を購入したりサイズ計測をされたりするのがイヤ」という顧客の悩みを解決することに成功したのです。
デジタル技術によってビジネスのあり方に大きな変化を起こし、顧客体験を変革した成功事例と言えます。
デジタルによって顧客一人ひとりに最適化されたスキンケアを提供
こちらは野村総合研究所(NRI)が資生堂を支援し、デジタル技術の活用によって顧客それぞれにあったスキンケアの提供を実現した一例です。
野村総合研究所(NRI)が開発を支援したのは、顧客一人一人の肌の状態を計測し、最適なスキンケアを提供するシステム「Optune(オプチューン)」です。
Optune(オプチューン)の使い方は以下の通りです。
- スマホアプリで肌画像を撮影しOptune(オプチューン)に読み込ませる
- Optune(オプチューン)が肌の状態やその日の気候や気温などから、美容液と乳液の最適な配合割合を計算する
- 計測結果を顧客の家に置かれた専用抽出マシンに伝達し、マシンから最適な割合の美容液を抽出する
こういった仕組みによって、その時の肌の状態に合わせた最適なスキンケアが可能になっています。
デジタルを活用することで、リアルタイムかつ無人で顧客にとって最適なスキンケアを提供することでDX推進に成功した例です。
記事まとめ
この記事はDX推進コンサルティングサービスの選び方やメリット、事例などについて解説しました。
DX推進コンサルティングは、企業のDX推進を強力に支援してくれるサービスですが、依頼すれば自動的にDX推進に成功するというものでもありません。
あくまで自社の経営層が手綱を握り、コンサルティングサービスはあくまでサポートに過ぎないことを理解すべきです。
コンサルサービスを有効活用できれば、DX推進がスムーズに進むようになるので、コンサルタントの意見を活用しながら主体的にDX推進を進めていくようにしましょう。