「なぜ企業でDX推進が必要なの?」
「DX推進が失敗する要因が知りたい」
「DX推進を成功させるには何を意識したらいい?」
このような悩みはありませんか?DXとは、システムやデバイスなどのITを用いて、ビジネスや人々の生活の利便性の向上を目指して変化を起こすという意味です。企業が生き残るためにはDX推進の取り組みが重要ですが、上手くいっていなかったり、失敗している企業が多いのが現状です。
DX推進を成功させるには、明確な目的に対して組織全体が当事者意識を持つことが大切です。
この記事では、DX推進が失敗してしまう理由や要因について解説します。会社全体が当事者意識を持って、自社にあったDX推進を行えるように取り組んでいきましょう。
「DX化」が現代企業に必要不可欠
現在では企業を経営していたり、所属したりすると「DX化」という言葉をよく耳にします。DX化は、企業だけではなく消費者にも影響があるため、現代企業には必要不可欠な取り組みです。ここでは、DX化について以下の2つを解説します。
- 「DX化」の定義とは?
- DX推進の取り組みが必要な理由
「DX化」の定義とは?
DX(デジタルトランスフォーメーション)化とは、システムやデバイスなどのITを用いて、ビジネスや人々の生活の利便性の向上を目指して変化を起こすという意味です。
DX推進はデジタルやデータを手段としてビジネスモデルを変革させることが目的です。そのため、システムの導入を目的としているIT化とは目的が異なります。
DX推進をするうえでは何でもデジタル化するのではなく、ビジョンや背景を明確にすることが重要です。
DX推進の取り組みが必要な理由
DX推進が求められるようになった背景としては、経済産業省が2018年に発表した「2025年の崖」があります。
「2025年の崖」では企業がDX推進をしないと、2025年から年間で現在の約3倍である約12兆円の経済損失が発生するという予測がされています。
影響を受けるのは企業や個人事業主だけではなく、最終的に商品やサービスを利用する消費者も含まれます。「2025年の壁」を乗り越えるためにもDX推進に取り組む必要がありますが、実際は上手くいっていなかったり、失敗している企業が多いです。
企業のDX推進5つの失敗事例
DX推進の失敗事例について以下の5つを紹介します。
- 失敗事例①全てをDX化
- 失敗事例②全て外注
- 失敗事例③DX推進の担当部署がない
- 失敗事例④現場の意見を聞かない
- 失敗事例⑤ゴールや目的が曖昧
どの企業にも当てはまるものなので、DX推進をする際は気を付けましょう。
失敗事例①全てをDX化
企業でDX推進を進めていくうえでは、現場の意見を聞きながら進めることがあります。しかし、すべてを鵜呑みにしてDX化してしまうと失敗してしまう場合があります。
DX推進は、デジタルやIT技術を活用して業務フローの改革や業務効率化を測ることが目的です。現場の意見を聞いて全てをデジタル化することは、根本的な解決には至らず、DX推進の本当の目的を目指すことができません。
せっかくデジタル化しても、業務が非効率になったり無駄な機能が多かったりすると、誰も使わなくなってしまう可能性があります。
最悪の場合は資金の無駄になり、失敗に終わってしまうので、システムのトライアルや業務フローの見直しを検討しながら進めましょう。
失敗事例②全て外注
DX推進をするためのIT人材の不足により、現場への聞き取りやシステムの作成、選定を外注することがあります。しかし、全てを外注してしまうとDX推進が失敗してしまう可能性があります。
DX推進を外部のプロに任せることで効率よく取り組みが進められ、業務効率化が成功したとします。しかし、システムの内容や目的などがブラックボックス化してしまい、管理や改修、他システムとの連携をするたびに、外注先の意見が必要不可欠になってしまいます。
結果的には、余計な費用や時間が発生する可能性もあるので、できる限り社内でDX推進に取り組める体制作りを心がけましょう。
失敗事例③DX推進の担当部署がない
DX推進でシステムやツールの導入を行い業務改善が成功しても、DXを担当する部署がなければ失敗してしまう可能性があります。
DX推進はシステムやツールの導入だけではなく、その先の現場での利用や業務で使いこなせるかが重要です。仮に導入が成功して業務改善が実現されても、不具合やエラーが発生した時に解決できなければ意味がありません。
個人で解決できたとしても、他の従業員に適切に解決方法を伝えたり、マニュアル化することも重要です。
DX推進を担当する部署を設置し、予期しない事態に備える必要があります。
失敗事例④現場の意見を聞かない
IT人材やDX推進部署が現場の意見を聞かずに、DX推進を進めてしまい失敗してしまうケースもあります。
DX推進の形は企業によってさまざまです。企業や現場の意見合わせたDX推進を行わないと、混乱や業務停止といった自体も避けられません。
DX推進によりシステムやツールを実際に使ったり、業務フローが変更になったりするのは現場なので、必ず現場の意見を聞きながら取り組みましょう。
失敗事例⑤ゴールや目的が曖昧
DX推進で達成したいゴールや目的が曖昧だと、失敗してしまう可能性があります。
DX推進では、はじめに経営者自身がDX推進の目的やビジョン、背景を明確に提示することが重要であると「DX推進のためのガイドライン」で明言されています。「DX推進のためのガイドライン」とは、各企業の経営者に向けてDX推進とITシステムの構築を実現するポイントをまとめたものです。
DX推進の目的はシステムやツールの導入ではなく、その先の業務効率化や消費者の利便性の向上です。
目先のことだけではなく、広い視野を持ってDX推進に取り組むことが重要です。
事例から見て取れる、「DX推進失敗」の要因とは?
DX推進の失敗例を紹介してきました。ここでは、DX推進失敗の要因について解説します。
- 従来の方法に囚われている
- 当事者意識が無い
従来の方法に囚われている
DX推進が失敗や上手くいかない要因として、従来の方法や考え方に囚われすぎているということが考えられます。
DXを進めていく中でこれまでの方法や経験が通用せず、考え方を改めたり、大きく変革を起こさなければならないことがあります。またDXは企業によって異なり、正解がないので、自社に最も適した方法を選択するため苦労する事も多いでしょう。
成功するためには従来の方法や考え方に縛られずに、新たな視点を持って取り組むことが求められます。
DX推進の成功例を参考に、自社にとって最適な方法は何なのかを考え、適した戦略を考案できるようにしましょう。
当事者意識が無い
日本でDX推進が失敗する要因として、保守的に考えやすいことが挙げられます。本人がDX推進の必要性を感じていないのに、経営者や上司から求められたという理由で取り組みをはじめても、失敗してしまうのが現状です。
企業やビジネスを改革していくためにもDX推進の担当者や現場が当事者意識を持ち、DX推進の目的や必要性を理解した上で、取り組むことが大切です。
自社内の状況だけでなく社会情勢や競合、消費者の行動などの情報を積極的に取得し、客観的に改善点を考えていく必要があります。
組織全体で、当事者意識を持ちながらDX推進に取り組みましょう。
DX推進を成功させるポイントを解説
DX推進に取り組むなら、成功させたいですよね。ここでは、DX推進を成功させるための4つのポイントについて解説します。
- 全社目標を設定する
- 経営陣のコミットメメントを確保する
- DX人材の確保・育成
- PDCAサイクルを回し、改善・改良を図る
全社目標を設定する
DX推進を成功させるためには、DX推進の目標を定めることが重要です。全社共通の目標がないと、視点や意見、方向性が定まらず適切な取り組みができません。
改革までの時間がかかったり、失敗して費用が無駄になったりする要因にもなるので、DX推進を始める前に目標設定を行いましょう。
経営陣のコミットメメントを確保する
DX推進を成功させるためには、営陣の積極的な関与や責任が必要不可欠です。DX推進やシステムの運用や管理を効率よく行うためには、以下の組織や企業文化の改革が求められます。
- DX推進を担当する部署の設立
- 外部委託
- IT人材の教育・採用
- DX推進の目標設定
- 費用や規模の決定
現場のへの聞き取りや協力だけではなく、経営陣を巻き込んだDX推進の取り組みを目指しましょう。
DX人材の確保・育成
DX推進を進めていくうえで、DX人材やIT人材は必要不可欠です。
ここでは、DX人材に関する以下の2つのポイントを紹介します。
- 日本のDX人材は不足している
- DX人材に求められる適正
日本のDX人材は不足している
しかし、国際経営開発研究所(IMD)の「世界のデジタル競争力ランキング2022」によると、日本の「人材/デジタル・技術スキル」は63カ国中62位と低い結果でした。また、総務省の「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究(2022)」によると、デジタル化に関する課題や障壁について、日本は他国に比べてDX人材不足を課題と認識している割合が高いことが示されていました。
DX人材に求められる適正
独立行政法人情報処理推進機構の「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた 企業とIT人材の実態調査」によると、DX人材は以下のような適正が求められます。
- 不確実な未来への創造力
- 臨機応変/柔軟な対応力
- 社外や異種の巻き込み力
- 失敗したときの姿勢/思考
- モチベーション/意味づけする力
- いざというときの自身の突破力
これらの適性を身につけたDX人材を確保するためにも、経営陣や人事は積極的な研修や育成を行う必要があります。
PDCAサイクルを回し、改善・改良を図る
DX推進を成功させるためには、PDCAサイクルを回しながらよりよい改革を目指すことが重要です。
PDCAとは、以下の4つの頭文字を取ったものです。
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Action(改善)
業務改善を行う上ではPDCAを繰り返すことでよりよい成果をめざせるので、DX推進においても意識するべきです。
DX推進に取り組むうえでのPDCAのそれぞれの段階で行う内容と、意識すべきポイントについて解説します。
Plan(計画)
Plan(計画)ではDX推進の目標を設定し、それを達成する為の計画を立てます。
計画を立てる場合は具体的な数値目標や「なぜ、その目標を立てるのか」を明確にしましょう。
Do(実行)
Planで立てた計画に沿って現場への聞き取りや業務フローの検討、システムの導入などを行います。ただ実行するだけではなく、さまざまな視点から最適な方法を考案することが重要です。
Check(評価)
実際に業務改善を行い、Planで設定した計画や目標を達成することができたのかについて振り返り、評価を行います。
上手くいかなかった部分は要因の分析を行い、DX推進を成功させる方法を再度検討しましょう。
Action(改善)
Checkで明確になった成功や失敗の要因を踏まえて、改善点を考えます。改善点を明確にすることで、次の新たなPlanを立てることができます。
基本的には、PDCAを繰り返し行うことでDX推進の精度を高めていきますが、場合によっては「やめる」という判断を行うこともあります。
【記事まとめ】企業のDX化失敗事例とその対策
現代の企業が生き残るためには、DX推進が重要といわれています。しかし、多くの企業では失敗したり、上手に取り組めていなかったりするのが現状です。
DX推進が失敗する要因は、以下の2つがあげられます。
- 従来の方法に囚われている
- 当事者意識が無い
DX推進を成功させるためには全社共通の目標を設定し、会社全体が当事者意識を持ちながら取り組むことが重要です。DX推進は一度行ったら終了ではなく、成功と失敗の要因を明確にし、改善点を洗い出して次に繋げる必要があります。
そのためにも、臨機応変な対応や創造力、モチベーションの維持などのスキルが備わっているDX人材が必要です。
日本では不足しているのが現状なので、経営陣や人事は積極的な確保と育成を目指しましょう。
そして、従来の方法や考え方に囚われずに、新たな視点をもってDXに取り組んでいきましょう。