企業のDX推進を成功に導くための組織作り。ポイントや成功事例を紹介

DX推進の過程で必要不可欠な社内の組織変革について

企業のDX推進を成功に導くための組織作り。ポイントや成功事例を紹介

DX推進を成功させるには、デジタル化を実現させるための企業内の組織を変革させる必要があります。

この記事では組織づくりが必要な理由や、組織構成の方法、組織を構成するDX人材に求められるスキル、DX推進成功企業の事例などについて紹介します。

目次

DX推進を成功させるためには組織の変革が必要

DX推進を成功させるためには組織の変革が必要

DX推進を成功させるには、組織変革が必要と言われています。

ここでは、一体なぜ組織変革をする必要があるのかについて、4つの理由をお伝えします。

組織変革の必要性について理解しておきましょう。

組織変革によってDX推進の速度が上がる

組織の変革によってDX推進のスピードが上がる効果があります。

既存の組織の通常業務に加えてDX推進業務を追加すると、負担が大きくなりDX推進が後回しになりがちです。

そのため、DX推進のみを目的として専門の組織を作ることでDX推進を最優先にでき、DX推進の実現スピードを飛躍的に向上させることが可能となります。

専門組織構築でDX推進へ意識を集中させる

DX推進の専門組織を構築し意識を集中させることで、DX推進の実現に意識を集中させます。

組織変革によりDX推進をより強く意識するようにし、デジタルに関する知識やスキル習得に全員の気持ちが向くようにします。

DX推進の実現のためにはかなりの時間や労力をかける必要があり、組織の組み替えによって企業全体が一丸となって目標達成を目指さなければ、取り組みが頓挫する可能性が高くなってしまいます。

そのため、専門組織を作りDX推進へ社内の全員が気持ちを集中させる必要があります。

複数部署間での協力体制を構築する

DX推進のためには専門部署を作る必要がありますが、それだけで実現できるわけではありません。

基盤システムの変更や改訂は社内全体に影響するので、複数部署間での連携が必要不可欠です。

複数部署間でDX推進の目的を共有しておくほか、DX推進によって業務内容が変更になる箇所を通知し、お互いに把握できるようにしておきましょう。

特に、DX推進によるデジタル化によって業務フローが変更になる部署の場合、DX推進専門部署との連携は必須と言えます。

デジタル化に関するノウハウを蓄積する

DX推進する際には、デジタル化のノウハウを社内で蓄積することが必要不可欠です。

DX推進の手順や導入すべきシステム、他社の成功事例などの知識やスキルを蓄積しなくては企業のDX推進は不可能と考えるべきです。

そのためには、デジタルについての知識やスキルに特化した専門部署を作りノウハウを構築しながら、会社全体で共有していく必要があります。

組織の構成と個々の役割を解説

組織の構成と個々の役割を解説

ここまでお伝えした通り、DXの実現のためには組織編成が必要ですが、編成方法には3つの種類があるとされています。

3つの編成方法にはそれぞれの特徴があり、どの方法が最適かは企業によって異なります。

ここからは3つの組織編制方法を詳しく紹介するので、どの方法が自社に向いているか選択するといいでしょう。

IT部門拡張タイプ

ITやプログラミングのスキルを持つメンバーが集まる、IT部門を拡張して組織編制するタイプです。

この組織タイプのメリットは、高度なITスキルをもともと保有しているメンバーがDX推進の中心となるので、デジタル技術やサービスの選択や導入がスムーズになることです。

ただし、企業全体を俯瞰して様々な場面における業務効率化や業務プロセス構築が得意とは限らないので、組織外からのサポートが必要になります。

このタイプの組織を作る場合には、業務効率化や業務フロー構築のスキルを持つ組織やメンバーとのつながりがあって初めて、DX推進に成功できると考えておきましょう。

事業部門主導タイプ

事業部門のメンバーがDX推進組織中心となる編成の仕方もあります。

事業部門が中心になれば、現場目線でのDX推進ができるので業務効率化につながりやすいメリットがあります。

その反面、ITやデジタルについての知識は不足しているので、システム導入がスムーズに進まないのがデメリットと言えます。

事業部門がDX推進する場合は、IT部門の専門家によるサポートが必須になると考えましょう。

専門組織型

すでに存在する部門をDX担当にするのではなく、DX推進のために専門組織を構築する方法です。

複数の部門や外部ベンダーから最適な人材を集め、DX推進に注力できるメンバーをそろえます。

DX専門の組織を作る場合は、プロジェクトを率いるリーダーのスキルが最重要になります。

中心メンバーのリーダーシップによってDX推進の成功率が変わってくるので、誰をリーダーにするかは熟考して決めましょう。

DX推進を担う人材に必要なスキルとは?

DX推進を担う人材に必要なスキルとは?

DX推進の組織編成を行う方法には大きく分けて3つの方法がありました。

しかし、そもそもどういったスキルを持った人材をDXを推進する組織のメンバーとして選べばいいかも、悩みがちです。

そこで、ここからはDXを担う人材に求められるスキルを5つ紹介するので、組織の構成メンバーを選出する際の参考にしてみてください。

デジタルの基本的知識や理解力

DX人材になるのであれば、デジタルの基本的な知識や理解力を身に着けておきたいです。

DXを推進する過程では、デジタル技術を導入することで業務効率化し、最終的にはビジネスモデルに革新を起こす必要があります。

もしもデジタルについての基本的な知識が不足していれば、こういったことが実現不可能なのは言うまでもないでしょう。

具体的にはWebやアプリケーションについて学び、基礎的な知識を身に着ける必要があります。

データ分析力

データ分析力もDX推進を実現する上では、必要不可欠な能力です。

データを分析することで、業務効率の低い箇所を客観的に判断でき、デジタル技術による効率化が可能になります。

現代はインターネットが普及している影響で、様々なデータに誰でも簡単にアクセスできるようになっています。

しかし、そのデータを業務に活用できるかどうかはデータ分析力の有無によって異なります。

データ分析力は企業の競争力に直結するので、DX人材はデータを有効活用し業務効率化などに役立てる必要があります。

プロジェクトマネジメント能力

DX人材にはプロジェクトマネジメントの能力も求められます。DX推進は多くの人間がチームで行っていくため、自分だけが高いスキルを持っているだけでは成功しません。

そのため、組織をマネジメントしプロジェクトを前に進めていく、組織マネジメントの能力が求められます。

また、DX推進するうえで生じるあらゆる課題を漏れなく把握し、解決策を検討する必要があり、時には解決を一旦保留して先に進める必要もあるでしょう。

状況を見極め最適な判断を下し続ける必要があり、高度なプロジェクト・マネジメント・スキルが必須と言えます。

課題発見力

DX人材には課題発見力も求められます。

現在の業務フローの問題点を見つけ出すことができて初めて、デジタル技術でその問題を解決できる可能性が生まれるからです。

そのため、ほかの人が気が付くことができていない問題にいち早く気が付く必要があります。

隠れたニーズを見抜いたり未来に発生する課題に先回りし、デジタル技術を用いて対応したりすることで、他社より優れたサービスを提供し競争力を上げられるのです。

新規事業の企画力・構築力

DX人材は新規事業を立ち上げる企画力や、ビジネスモデルを作り出す構築力が必要です。

他社の事例をしただけのビジネスでは、大幅な競争力向上につながらないため、発見した課題を解説できる斬新な企画を打ち出さなければいけません。

さらに、考えた企画をどのように顧客に提供し、キャッシュポイントをどこに設定するかといった仕組みを構築する能力も必要となります。

ただ、新しい企画を思いついただけではアイデアが実現せず終わってしまうので、アイデアをどのようにビジネスプロセスに落とし込む力が求められます。

組織を構成する際のポイントを紹介

組織を構成する際のポイントを紹介

次に組織を構築する際のポイントを紹介していきます。

DX推進をする組織を構築するうえで、必ず知っておきたい内容となっています。

これらのポイントを知らないと、DX推進の成功確率が低くなるため、押さえたうえで組織づくりに活かしていきましょう。

モチベーションが高い人材を選ぶ

DX推進に向けてのモチベーションが高い人材を選ぶようにしましょう。

DX推進の実現には時間がかかりますし、様々な壁を乗り越える必要があります。

そのため、モチベーションが低い人材では目標達成まで行動し続けるのは難しいと言えます。

ゴール達成まで行動し続けられる、やる気と情熱を持つ人物を選ぶのが大切です。

必要に応じて外部組織を活用する

社内の人材のみでだけで組織構築が難しければ、外部組織を活用するのも有効な手段です。

社内の人材を教育するだけではリソースが足りない場合や教育に時間がかかりすぎる場合は、外部からスペシャリストを招きDX推進に役立てるのも有効な手段となります。

企業全体での協力体制を作る

DX推進の際には専門組織を構築する必要があるのは、すでにお伝えしたとおりです。

しかし、一つの部署を作っただけでDX推進を成功させるのは不可能で、企業全体が一丸となり同じ目標に向けて進む必要があります。

協力体制の構築は、業務プロセスの可視化や変更をスムーズに進めるうえでも、非常に重要な要素と言えます。

また、協力体制は一時的にではなく長期間にわたり継続して維持し続ける必要があるので、それを可能にする方法を考慮する必要があります。

DX化を成功させた事例を紹介

DX化を成功させた事例を紹介

ここからはDX専門の組織を作ることで、DX推進に取り組み成功させた企業の例を4つ紹介します。

4つの事例はそれぞれ別々の業種の企業なので、自社と同業もしくは共通点がある事例を確認し、今後のDX推進の際の参考にしてみてください。

花王

花王ではDX推進のために、専務執行役員が統括する先端技術戦略室を作り、デジタル先端技術戦略の立案・実行を担当しDX推進に成功してきました。

その後、各部門へのDXの浸透が進んだため、現在はデジタル最先端戦略の企画及び立案は、複数部門にて担当されています。

出典:戦略的デジタル・トランスフォーメーション(DX)

NEC

NECはDX専任組織「Digital Business Office」を100人規模で設置し、DXを推進しました。

外部内部問わず優秀な人材をそろえチームを構成することで、DX推進に適した体制を構築しています。

また、改たな職種が求められれば新規で採用するなどして、組織を柔軟に変化させながらDX加速を目指していくようです。

出典:NEC、DX実現に向けたデジタルプラットフォームを体系化へ 2020年春が目標

住友商事

住友商事はDX推進のために、全社横断組織「IoT & AIワーキンググループ」を発足させています。

また、2018年4月には専任組織「DXセンター」をデジタル事業本部に設置し、グループ会社との連携により300件を超えるDXプロジェクトを誕生させています。

出典:デジタルトランスフォーメーションにおける資本業務提携について

JAL(日本航空株式会社)

JAL(日本航空株式会社)は2018年に全社DX推進を目指し、その拠点となる「JAL Innovation Labを発足させました。

「JALイノベーションプラットフォーム」には社内外の人が集まってアイデアを出し合い、空港や機内を模したスペースで様々な実験を行っています。

すでに100社を超える外部パートナーと協力し自由な発想とテクノロジーを融合させ、新たなサービスの実現を目指しています。

出典:JAPAN AIRLINES
出典:オープンイノベーションの拠点としてJAL Innovation Labを開設|プレスリリース|JAL企業サイト

記事まとめ

記事まとめ

この記事では、DX推進をする際に必要な組織構築の方法や、組織構成の際のポイントなどについて解説してきました。

DX推進によるビジネスモデルの変革のためには、組織変革によって企業全体の気運を醸成することが必要不可欠です。

この記事を参考に、DX推進に向けた組織変革を実践しデジタル技術を活かしたビジネスモデルの変革を実現させていきましょう。

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