「業界によってDX推進の目的や方針は異なるの?」
「DX推進を効率よく進める方法は?」
「外部のパートナー人材に協力してもらってもいいの?」
DXとはデジタル技術やITツール、システムを活用してビジネスや生活を変革する取り組みのことを指します。日本企業や個人事業主は、現在DX推進が求められており、業種ごとに多くの成功事例が存在します。
しかし、DX推進を成功させるためには単にデジタル化や業務効率化を行うだけでは十分ではありません。
データやITの活用や外部との協力は、DX推進を効率的かつ適切に進める上で重要な基本要素です。日本企業が持つ蓄積されたデータや外部のパートナー人材を活かすことで、DX推進を成功させることができます。
この記事では業界別のDX推進の計画内容や方針の事例について解説します。
DX推進を成功させるための要素や方針についても理解し、日本企業のビジョンや方針、目的に合ったDX推進を行いましょう。
【業界別】DX推進計画及び方針の事例を紹介
DX推進とは、進化したデジタルやIT技術、システムを活用して、ビジネスや人々の生活をより豊かに変革するという意味です。
DX推進は日本の全ての日本企業や個人事業主が取り組むべき施策です。
現代企業でDX推進に取り組んだ企業の計画内容や方針について、以下の8つの業界別に紹介します。
- メーカー
- 商社
- 小売
- 金融
- サービス
- マスコミ
- 情報通信
- 政府・官公庁・校舎・団体
メーカー
メーカーのDX推進計画および方針の事例として「クボタ」を紹介します。
クボタはDX推進として、建機の故障時のダウンタイムを低減するために、IT・3Dモデル・ARを活用した診断サービスを提供しています。
米国市場における建機の故障診断ニーズに的を絞り、販売代理店のサービスエンジニア向けに「Kubota Diagnostics」という故障診断アプリを開発しました。
これにより、課題であった建機の故障時におけるダウンタイムを削減することができ、顧客満足度の向上に成功しています。
さらに、クボタはDX推進の方針としてローカライズにも注力しました。
米国ユーザー向けには、ネイティブのデザイナーによるUI設計を行い、現地のユーザーに受け入れられるようなサービス提供を実現しました。
商社
メーカーのDX推進計画および方針の事例として「オプティマインド」を紹介します。
オプティマインドはDX推進として、ITを活用したルート最適化サービスの開発を行いました。
この取り組みにより、配送業者の事業の持続性を確保することを目指しています。
開発は、わずか3ヶ月という短期間で行われ、オプティマインドのナビアプリとドライバーアプリを統合し、課題であったユーザーの利便性を向上させることに注力しました。
DX推進の方針として、MAP状の表示やジョブカードの視認性の向上を図り、スマートフォンに不慣れなドライバーでも操作しやすいUXを実現しました。
また、配送ルートを柔軟に再計算できる機能など、現場の声を反映した需要の高い機能も追加しています。
小売
メーカーのDX推進計画および方針の事例として「ユニメイト」を紹介します。
ユニメイトはDX推進計画の一環として、AIの画像認識を活用した自動採寸デジタルアプリ『AI×R Tailor(エアテイラー)』を開発しました。
ユニメイトは、レンタルユニフォーム事業を展開しており、ユニフォームの企画・生産・販売やクリーニングを手がけています。『ユニフォーム・テクノロジー・オペレーション』という3つの要素を組み合わせ、新たな価値の創出に取り組んでいます。
自動採寸アプリ『AI×R Tailor』では、サイズ測定対象者の背面・側面の写真と基本データを入力することで、AI画像認識により適したサイズをフィードバックする仕組みが構築されています。
DX推進の方針としては、手動で行っていた採寸をITを活用して自動化することで、課題であったヒューマンエラーを減らし、コスト削減と環境保全に貢献した点が挙げられます。
この自動採寸アプリにより、効率化されたサイズ管理と顧客満足度の向上を実現しました。
金融
金融のDX推進計画および方針の事例として「Danske Bank」を紹介します。
Danske BankはDX推進計画の一環として、ユーザーに寄り添ったパーソナライズされたデジタル体験を提供しました。
Danske Bankは、ユーザーに対してパーソナライズされたデジタル体験を提供するための新しいプラットフォームを構築するために、ITを活用して複雑なシステムの統合や個々のユーザーに合わせたコンテンツの作成に取り組みました。
この取り組みにより、Danske Bankは銀行業界におけるパーソナライゼーションの世界基準を確立し、ビジネスインパクトやROIへの表彰を受けるなど、数々の賞を受賞しました。
DX推進の方針としては、ユーザーに寄り添ったUXの改善に注力したことが挙げられます。
この取り組みによって、Danske Bankは顧客満足度を向上させるだけでなく、ビジネスインパクトを拡大することにも成功しました。
サービス
メーカーのDX推進計画および方針の事例として「Shake Shack」を紹介します。
Shake ShackはDX推進計画の一環として、レコメンド機能とプッシュ通知機能を備えた事前注文アプリを開発しました。
このデジタルアプリにより、顧客の嗜好や注文履歴に基づいたパーソナライズされた注文体験を提供することができます。
実店舗では、サービスクオリティや売り上げを損なわずに注文を合理化できるキオスク端末を開発しました。
DX推進の方針としては、事前注文アプリと店内キオスク端末を導入し、非対面でのオーダーが可能な仕組みを構築したことが挙げられます。
これによって、課題であったレジスタッフの人件費を削減すると同時に、顧客の利便性を向上させ、売り上げの増加を実現しました。
マスコミ
メーカーのDX推進計画および方針の事例として「信濃毎日新聞社」を紹介します。
信濃毎日新聞社は富士通研究所と協力し、AIによる自動要約によるネット記事配信を実施しました。
従来の記事要約では時間がかかっていたため、重要なポイントを人の目でチェックしていました。
DX推進の方針としては、記事作成の時間短縮を行うことで、課題であった人件費の削減や迅速に情報提供を行う事が挙げられます。
自動言語処理技術とAIを導入することで要約の精度が向上し、従来よりも約50%の時間短縮が実現され、1記事あたりの要約作業が不要となりました。
この取り組みにより、すばやく読者に情報を提供できるようになり、顧客満足度も上昇しています。
情報通信
メーカーのDX推進計画および方針の事例として「日商エレクトロニクス」を紹介します。
日商エレクトロニクスはDX推進計画の一環として、8つの事業をワンブランドに統合し、サービスが持つ魅力を最大化する取り組みを行いました。
UXリサーチや設計のスペシャリストをアサインし、各事業部の担当者を交えたワークショップを通じて相互理解を促しました。
結果として、「Natic(ネイティック)」というブランド名のもと、一つのソリューションとして訴求できるようになりました。
この取り組みにより、顧客への情報の整理と伝達がスムーズになっただけでなく、各事業に従事するメンバーが1つのチームとして機能するようになりました。
DX推進の方針としては、ブランド開発を通じて組織メンバーの意志を統一し、社内のチーム組成に大きな効果をもたらした点が挙げられます。
これにより、統合されたブランドの下でのサービス提供や全社での協力体制の確立が可能となり、組織全体のDX推進に成功しました。
政府・官公庁・校舎・団体
国土交通省のDX推進計画および方針の事例として、「i-Constraction」を紹介します。
i-Constractionは、建設現場にICT技術を導入することで省人化と工事日数の削減を図り、課題である建設システム全体の生産性向上を目指しています。
i-Constractionでは、建設の各プロセスにおいて適切なITやICT技術の活用が重要です。
具体的には、公共事業のトンネルやダムなどでは、ドローンを使用して測量を行い、プロセス全体を3次元データでつなぐ手法が採用されています。
このようなi-Constractionの取り組みにより、建設現場では従来の手作業に代わる効率的な作業が可能となり、生産性の向上が期待されています。
DX化のビジョンと実現のために必要な要素とは?
DX推進を成功させるためには、以下の要素や方針の策定が重要です。
- 経営者によるビジョンの設定
- 組織文化の変革と育成
- デジタルデータ活用と分析
- デジタル・IT技術の活用
- 外部人材との協力
経営者によるビジョンの設定
ビジョンは組織がDX推進をすすめるうえで、どのような未来を目指すのかという組織全体の方針を示すものです。
経営層はこのビジョンを確立し、DX推進の目的を明確に従業員に伝える必要があります。
ビジョンがしっかり定まっている組織では、従業員はDX推進の方針に共感し、目的を達成するための自身の役割や責任を理解することができます。
経営層による積極的なDXの取り組みが、組織全体を鼓舞し、変革に対する抵抗を減らすことができます。
これにより、DX推進の取り組みがスムーズに進み、組織全体の成果に繋がります。
組織文化の変革と育成
組織文化とは、組織のメンバーが共有する価値観や信念、行動のパターンのことを指します。
DX化を実現するためには、組織全体の文化を変革し、新しい価値観や行動パターンを育成し、浸透させる必要があります。
組織文化の変革は時間と努力が必要ですが、柔軟性、イノベーション、協調性を重視する文化を作りだすことで、DX推進に向けた組織全体の意識と能力を高め、方針を定めることができます。
デジタルデータ活用と分析
デジタルデータは組織が持つ貴重な資源であり、そのデータを適切に収集・統合し、分析することで、組織はより効果的な意思決定や予測を行うことができます。
例えば、顧客データや市場データなどの多様な情報を統合することで、より詳細なDX推進の方針を定めることができます。
そして、デジタルデータの可視化や統計分析、機械学習などの手法を活用して、デジタルデータから価値ある情報を引き出すことが求められます。
デジタルデータに基づく意思決定を促進し、迅速な行動を実現するためには、デジタルデータを活用することが当たり前の状態を作り上げる必要があります。
組織はデータの重要性を認識し、データ活用と分析能力の向上に取り組むことが重要です。
デジタル・IT技術の活用
組織は適切なデジタル技術を活用することで、DX推進の方針の実現に近づくことができます。
例えば、クラウドコンピューティングを設置することで、組織は必要なコンピュータリソースやストレージを必要に応じて柔軟に拡張できます。
これにより、大量のデータを処理し、高速かつ効率的なサービスを提供することが可能になります。
また、AIなどの機械学習や自然言語処理などのIT技術を活用して、データから自動的にパターンや傾向を抽出し、予測や意思決定が期待できます。
組織は、デジタルの技術やスキルを組織に統合することで、生産性や効率性の向上、新たなサービスやビジネスモデルの創造が可能となります。
外部人材との協力
組織は外部のパートナー人材と連携し、協力関係を築くことで、DX化推進のビジョンや方針に向けた専門知識や技術、リソースを活用することができます。
外部のパートナー人材は、特定の領域や業界で豊富な経験や専門知識を持っていることがあります。
組織はこれらのパートナーと協力して自社のDX戦略の方針を決定し、実施することで、スムーズにDX推進を進めることができます。
さらに、互いの持つリソースを活用するというメリットもあります。これにより、人材、技術、データなどの資源を共有し、効率的かつ迅速なDX化を推進することができます。
外部のパートナー人材と協力することで、組織は限られたリソースを最大限に活用し、効果的なDX化を実現することができます。
記事まとめ
日本のすべての企業や個人事業主は、ビジネスや利用者の利便性を向上させるためにDX推進を行う必要があります。
実際に、業種ごとに多くの日本企業がDX推進に成功し、組織のビジョンや方針の達成に向けて取り組んでいます。
しかし、DX推進を成功させるためには、単にデジタルやIT化、業務効率化を行うだけでは不十分です。
この記事では、以下の要素や方針の確立がDX推進の成功に重要であることを述べました。
- ビジョンの設定
- 組織文化の変革
- データ活用と分析
- デジタル技術の活用
- 外部パートナーシップとの協力
自分の組織のビジョンや方針に合わせたDX推進の進め方を行うためには、すでにDX推進を成功させている日本企業の事例を参考にすることが大切です。
事例や外部のパートナー人材から学び、自身の組織に適用することで、成功に近づくことが期待できます。