DX推進は中小企業こそ急務。企業におけるDXの必要性や進め方を解説

中小企業でのDX推進事例や知っておきたい補助金・助成金も紹介

DX推進は中小企業こそ急務。企業におけるDXの必要性や進め方を解説

DX推進とはデジタル技術を活用し、業務を効率化したりビジネスモデルを変革したりすることを指します。

現在、社会全体を通して様々なビジネスプロセスがデジタル化しつつあり、大企業だけではなく中小企業もDX化に取り組むのは必須課題となりつつあります。

この記事では、中小企業がDX推進すべき理由や、中小企業がDX推進する上での課題、DXの進め方、活用できる補助金などについて紹介しています。

目次

中小企業におけるDX推進の必要性

中小企業におけるDX推進の必要性

ここ数年で業務のDX化が進んでおり、企業規模に関係なくデジタル化の流れに対応することが求められるため、中小企業もDX推進の必要性が大きくなってきています。

デジタル化の流れに対応できないと、必要な情報や補助金の申請ができず経営に支障が出る恐れがあるからです。

一例として、中小企業が申請できる様々な補助金は以前は書類の郵送によって申請可能でしたが、現在はオンラインで申請する電子取引に移行しています。

こういった変化に対応できなければ補助金申請ができず、経営に悪影響を及ぼすかもしれません。

また、改正電帳法で義務化された電子取引のデータ保存に対応するには、ビジネスプロセスをデジタル化しデータを電子保存できるようにする必要があります。

電子取引の電子データ保存は2024年に完全義務化されるので、それまでにはビジネスプロセスの電子化が必須となります。

このように世の中全体でデジタル化が進むにつれ、企業規模に関係なくあらゆる企業がDXを推進せざるを得なくなるのです。

DX推進を妨げる現状課題

中小企業がDX推進するうえで、以下のような課題が存在します。

  • 課題1:DX人材が不足している
  • 課題2:多くの企業がDX推進の必要を理解していない
  • 課題3:ハードルを上げている企業も存在する

これらについて詳しく解説します。

課題1:DX人材が不足している

DX推進ができる人材が不足しているのが課題です。

デジタルを活用して業務に変革を起こすには、デジタル技術に精通しており、ビジネスの現場の中でその知識を活かして変革につなげられる人材が必要不可欠です。

しかし、現在数多くの企業がDX人材を求めているのに対し、スキルの高い人材は数が不足しているため採用が難しいのが現実です。

また、すでにいる社員を教育しDX人材に育てるのもひとつの方法ですが、DX推進に素質がある人材を選出するのも簡単ではありません。

このように難易度は高いものの、人材確保を避けて通ることはできないため、多くの経営者が頭を悩ませる理由となっています。

課題2:多くの企業がDX推進の必要を理解していない

次の理由として、多くの企業がDX推進の必要性を理解していない、という理由が挙げられます。

「別に今のままでも困らない」とか「DXは大企業が行うものであり自社には関係ない」という考えを持つ経営者は少なくありません。

こういった考えを持っていれば、DX推進に向けた改革が始まらないのは言うまでもありません。

この状況を解決するには、中小企業の経営者に対してD業務効率化や売上拡大といったDX推進のメリットを伝えていく必要があるでしょう。

課題3:DXの予算が無い

DX推進に興味を持ちながらも、予算の関係でスタートできない企業も存在します。

ビジネスをデジタル化するためには、高いスキルや経験を持った人材や新しいシステム導入が必要不可欠です。

しかし、人材の採用にも新規システムの導入にも当然費用がかかるので、予算が無ければ動くのが難しくなってしまいます。

そのため、予算不足がDX推進を妨げる理由になってしまうことも決して珍しくないのです。

経済産業省では、DX推進を目指す企業向けの「IT導入補助金」「ものづくり補助金」といった補助金を提示していますが、活用できていない企業も少なくありません。

【中小企業向け】DXの進め方

【中小企業向け】DXの進め方

DXの進め方としては、構成労働省がまとめた「中堅・中小企業向け デジタルガバナンス・コード実戦の手引き」に従って、以下の4ステップで行うといいでしょう。

  1. 意思決定
  2. 全体構想・意識改革
  3. 本格推進
  4. DX拡大・実現

この4ステップのDXの進め方について、詳しく解説していきます。

1.意思決定を行う

最初に行うべきは意思決定です。

現状どのような課題があるのかや、デジタル技術の活用によってどのような企業を目指すのかを決定します。

そのうえで経営者がプロジェクトを主導し、企業全体が一丸となってDX推進を実現することを決断する必要があります。

2.全体構想・意識改革

続いて全体構想を構築して、具体的にどのようにDXを進め、どのようなゴールを達成するのかを決めていきます。

DX推進において取り組むべき課題は非常に多いため、ここをしっかり決めておかないと、途中で方向性がブレる恐れがあります。

DX推進スタートからゴール達成までの構想ができたら、続いて社内全体の意識改革を行います。

企業のビジョン達成や、売上アップ、顧客満足度の向上のためにはDXの実現が必要不可欠であるということを、経営幹部はもちろん社員全員で意識共有しましょう。

3.本格推進

DX推進の方針が固まり社内全体の意識改革ができたら、DXを本格的に推進していきます。

具体的には以下の取り組みを行っていきましょう。

  • デジタルデータやIT技術活用をサポートする部署を設置
  • IT人材の育成および採用
  • デジタルツールやシステムの導入

また、デジタルツールやシステムについては、研修を行い使いこなせるように教育する必要があります。

IT技術への順応速度には個人差があるので、相談人材や窓口を設け体制を整えることも重要となります。

4.DX拡大・実現

企業のデジタル化が進んできたら、それを拡大しDX実現に向けてさらに進めていきましょう。

一般的にDX化は以下の3ステップを通して実現されます。

  1. デジタル化:アナログ情報をデジタルに変換していく
  2. IT化:契約書を電子契約にするなど、業務上のプロセスをデジタルに変更する
  3. DX化:ビジネスモデルそのものをデジタル技術によって変革する

この3ステップを通してビジネスモデルそのものの変革が完了したら、業務プロセスが大きく変わっているはずです。

その後は、DXを活用することで顧客体験にも改革を起こし、サービス改善によって売上アップにもデジタル技術を活用するようにしましょう。

中小企業がDXで使える補助金・助成金5選

中小企業がDXで使える補助金・助成金5選

中小企業がDX推進を実践する際、資金不足が問題になることがあります。

その場合、補助金や助成金といった制度を有効活用することで、DX推進の費用を準備するのに役立ちます。

DX推進に活用することのできる補助金・助成金は以下の5種類です。

  1. ものづくり・商業・サービス補助金
  2. IT導入補助金
  3. 事業再構築補助金
  4. 小規模事業者持続化補助金
  5. キャリアアップ助成金

それぞれについて詳しく解説していきます。

ものづくり・商業・サービス補助金

ものづくり・商業・サービス補助金とは、中小企業が生産性向上に貢献する革新的サービス開発・試作品開発等を行う設備投資を支援する補助金です。

革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な

設備・システム投資等に費用が必要な場合に活用可能です。

この補助金は様々な状況で申請できますが、DX推進に資産を活用する場合には「デジタル枠」を活用するのが一般的です。

デジタル枠の補助金額や補助率は以下の通りです。

補助上限 補助率
750万円~1,250万円 2/3

参考:「ものづくり・商業・サービス補助金」で新製品・サービスの開発や生産プロセス改善等を支援!

具体的な活用例として以下のような内容が挙げられます。

  • 人間の手作業での作業を省力化するため、顧客・受注・作業員を一体的に管理するシステムを導入
  • AIを導入した高精度な自律移動式無人搬送ロボットの試作開発

IT導入補助金

IT導入補助金とは、パッケージソフトの本体費用やクラウドサービスの導入費用といった、中小企業がITツール導入する際に使用できる補助金のことです。

まさにDX化を推進する際のシステム導入にぴったりの補助金と言えるでしょう。

以下がIT導入補助金の詳細です。

補助率 補助金額
1/2~3/4 ~450万円

参照:「IT導入補助金」でIT導入・DX(デジタルトランスフォーメーション)による生産性向上を支援!

デジタル技術を活用した業務自動化や、勤怠管理効率化のためのツール導入などが、IT導入補助金の使用用途の一例です。

補助金の申請や問い合わせは経済産業省の「IT導入補助金2023」のページから行うことができます。

事業再構築補助金

新市場進出、事業・業種転換といった、思い切った事業の再構築に意欲がある中小企業が活用できる補助金です。

DXによってビジネスモデルを大きく変革するような場合には、活用しやすく上限額も高いのでぜひ活用したい補助金と言えます。

補助金額は、申請理由や企業の規模によって異なりますが、成長枠(一例として成長分野に向けて大胆な事業再構築に取り組む事業者を支援する)の補助金額は以下のようになります。

従業員数 補助上限額
20人以下 2,000万円
21人~50人 4,000万円
51人~100人 5,000万円
101人以上 7,000万人

※成長枠の場合
参照:事業再構築補助金【サプライチェーン強靱化枠を除く】公募要領(第10回)

このように、最大で7,000万円という非常に大きな金額を受け取れる可能性があるのが、この補助金のメリットです。

また、補助金の申請条件によってはさらに金額を増える可能性もあるので、有効活用することでDXを実現できる可能性も高いでしょう。

事業再構築補助金の申請は「事業再構築補助金公式ページ」で行えます。

小規模事業者持続化補助金

中小企業等が経営計画を自ら策定し、商工会議所などの支援を受けながら販路開拓の取り組みを支援する補助金です。

販路開拓のための補助金ですが、DXの推進にも活用できます。

補助率 補助額
2/3(賃上げに取り組む赤字事業者は3/4) 50~200万円(免税事業者から適格請求書発行事業者に転換する場合、最大250万円)

参照:「小規模事業者持続化補助金」が拡充されます

申し込みはjGrantsの公式サイトで行うことができます。

キャリアアップ助成金

非正規労働者の企業内でのキャリアアップを目的として、正社員化や処遇改善の取組をした事業主が受け取れます。

デジタル人材の確保はDX推進における必須事項なので、この助成金を活用し社員のデジタルスキルをアップさせることができれば、スムーズに人材不足の問題をクリアできるでしょう。

支給される金額は要件によって異なり、一例として中小企業が有期雇用労働者を正社員化した場合、57万円の助成金を受け取ることができます。

こちらの補助金は厚生労働省の「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」のページで受け取れます。

参照:キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版)

国内企業のDX推進事例3選

国内企業のDX推進事例3選

国内企業でDX推進に成功している事例には、一体どのようなものがあるのでしょうか?

ここでは以下3種類のDX推進事例を紹介します。

  • 画像認識機能搭載レジ(株式会社ブレイン)
  • 独自アプリ「GPanda」(OOKABE GLASS株式会社)
  • MICHIRU RPA(株式会社MICHIRU)

これらの事例を知ることで、自社のDX推進においてどのような取り組みを行うべきかの参考になるでしょう。

画像認識機能搭載レジ(株式会社ブレイン)

最初の事例は、株式会社ブレインが開発した画像認識機能搭載レジです。

このレジにはカメラが設置されており、カメラ前のトレーにパンを置くと、パンの種類をシステムが判別し自動で支払い金額を算出できます。

このレジを活用すれば、経験の浅いスタッフでもレジ対応でき人件費削減に繋がるため、ベーカリーショップでの導入が進んでいます。

さらに、レジ待ちの時間が減ることから、顧客満足度の向上にも貢献しているようです。

独自アプリ「GPanda」(OOKABE GLASS株式会社)

2つ目の事例は、OOKABE GLASS株式会社が開発した独自アプリ「GPanda」です。

Gpandaは人材育成専用アプリで、教育をデジタル化によって社員の育成に割く時間の削減に成功しました。

このアプリでは従業員に対して、業務内容に関する問題が毎月出題されます。

その問題に回答することで商品等の知識の差や偏りを小さくでき、商品知識向上や会社の価値観共有に役立っています。

また、OOKABE GLASS株式会社ではアプリを他社にも提供しており、アプリの販売によって売り上げを伸ばすことにも成功しています。

MICHIRU RPA(株式会社MICHIRU)

3つ目は株式会社MICHIRUの「MICHIRU RPA」です。

「MICHIRU RPA」は業務自動化を支援するツールで、以下の3種類の業務をシステムが自動で行うことができます。

社員データ自動集計 従業員の勤怠記録を自動集計できる
帳票自動作成 帳票を自動作成します。請求書作成などの業務を自動化できます。
システム自動入力 顧客情報を自動集計することができます。

このように、これまでは日々人間が毎日起こっていた業務を、システムが完全自動化できます。

また、人間とは違い単純作業を行う上でミスをすることが無く、正確かつ素早く業務を行うことができ生産性が大幅に上昇させることが可能です。

記事まとめ

記事まとめ

ビジネス上の様々な手続きがデジタル化している影響で、大企業だけではなく中小企業もDX推進を行うべき環境となっています。

「自社には関係ない」とデジタル化の流れを無視していると、いつの間にか世間の流れに遅れを取り、不利益を被る可能性も高いと言えます。

企業規模に関係なく、DXを推進する必要性は高まっていることを理解する必要があるでしょう。

一例として、記事内で紹介した「MICHIRU RPA」は集計業務を自動化できるため、業種にかかわらず導入しやすいと考えられます。

こういったシステムの導入によって、事業の効率化を図りDX推進を進めていくことが大切です。

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