RPAは、業務自動化ソリューションの一つとして、近年多くの企業で導入が進められています。
それでは実際、RPAではどのような業務を自動化させることができるのでしょうか?
この記事では、まずはRPAの概要を詳しく解説。
また、実際に業務自動化ソリューションの一つとして企業に導入し、成果をあげた事例についても紹介します。
RPAの導入をお考えの企業さまはぜひ参考にしてみてください。
業務自動化ソリューション「RPA」とは
Robotic Process Automation、通称RPAはパソコンで行っている事務作業を自動化できるソフトウェアロボット技術のことです。
RPAでは、人が行う処理手順を登録しておけば、人が操作するのと同じ様にユーザー・インターフェースを通じて、複数のシステムやアプリケーションを操作し、実行することができます。
近年では、多くのRPAソリューションが画面操作記録やプロセス・ダイアグラム上でのドラッグ・アンド・ドロップ等の機能を備えているため、プログラミングの素地が無い人でも直感的に設定することが可能。
自動化にかかる負担はさほど大きくありません。
このように、従来型のプロセス自動化で必要とされてきた長期間に渡る既存システムの変更や、業務フローの見直し等を経ることなく、既存の業務を自動化できる点がRPAの最大の特徴と言えます。
大手企業・中規模企業では約半数の企業が導入している?!
株式会社MM総研が調査した「RPA国内利用動向調査2022(2022年9月調査)」によると、年商50億円以上の大手企業・中規模企業では、RPA導入率が45%となっており、約半数の企業が導入していることが分かりました。
一方で年商50億円未満では、導入率12%と低調ですが、今後数年で普及期を迎えると想定されるため、今後もRPA市場の成長は続くでしょう。
2020年以降、RPAツールの価格が、以前と比べると比較的低価に収まってきてることに加え、非エンジニアでも問題なく利用できるようにUIが見直されたツールも多く発表されています。
このような背景から、今後は中小企業での需要も高まっていくことが予想されます。
業務効率化ソリューション「RPA」でできることとは?活用例を紹介
ここでは、RPAが得意な業務と、導入例について紹介します。
RPAを導入するにあたって、自動化する業務の選定はとても重要な作業です。
この記事を参考にして、自社のどの業務にRPAを導入するか、どの範囲で自動化させるかをしっかりと見極めましょう。
RPAが得意な作業は「定型的な業務」
RPAは、業務フローや作業手順が決まっている定型業務を得意とします。
また、複数のアプリケーションを横断するような業務、大量のデータを扱う業務も得意です。
業務量が大量であり、かつ反復の作業が必要な業務では、RPAの長所がより強く発揮されるでしょう。
人間が行う場合のようなヒューマンエラーが無いため、より効率的に業務を進めることができます。
RPAの活用例を紹介
ここからはRPAの導入例についていくつか紹介します。
定型業務の自動化
RPAが得意な完全定型業務には以下のようなものがあります。
- 請求書の発行などのメール業務
- 業務レポートの作成
- データの簡易管理
例えば、RPAを活用することで、あらかじめ設定しておいた時刻に在庫数や出荷予定数といった情報を集計し、営業担当者に自動でメール送信することが可能。
人間の業務負担を減らすのはもちろん、集計ミスや連絡漏れといったヒューマンエラーを防ぐことができます。
一部非定型業務の自動化
RPAによって自動化できる業務は「定型作業のみ」と思われがちですが、例外も存在します。
シナリオによってルールさえ作ってしまえば、ある程度の業務を自動化することができます。
たとえば「顧客によって対応を変える」など細かいルールをRPAに記憶させることで、そのルールに従ってRPAが業務を遂行してくれるのです。
RPAで自動化が可能な一部非定形業務は以下の通り。
- 問い合わせ対応
- ネット上の情報収集
問い合わせ対応では、自動的に返答をしつつ、問い合わせ内容を社内の業務管理システムに転記したり、内容に合わせて各部門の担当者に通知したりするなど、人間が行う以上のクオリティで業務を遂行することができます。
ネット上の情報収集では、言わずもがな、人間よりも多くの情報を収集することが可能。暫定的なデータ分析まで任せることができます。
自律型ではより高度な作業まで自動化が可能
自律型RPAと呼ばれる、「RPA」と「AI」を組み合わせたタイプのRPAでは、AIの搭載により、RPAが機械学習を行うことが可能になるため、イレギュラーが発生した際にもRPA自身が意思決定までできるようになります。
例えばサービスの定期メンテナンスやトラブル時の調査といったシステム管理も自動化することが可能です。
具体的な導入事例を紹介
ここからは、実際に業務にRPAを導入して成果をあげた事例を紹介します。
三井住友銀行
三井住友銀行では、2017年に「3年で500億円、中期的には1,000億円のコスト削減を実現する」という財務目標を掲げ、そのために必要な業務改革の一環としてRPA「UiPath」を導入しました。
RPAを導入した結果、顧客往訪前情報収集業務を80%、金融商品モニタリングに関する集計業務を35%効率化するなど多数の業務の自動化を実現しました。
これにより、2019年までに350万時間分の業務量削減に成功しており、これは社員1,750人分の業務量に匹敵します。
2020年の新中期経営計画では「次の3ヵ年でさらに業務時間300万時間(1,500人相当)を削減する」と新たに発表されました。
RPA導入で得たノウハウをもとに、グループ外の企業に生産性向上施策を支援する新事業「SMBCバリュークリエーション株式会社」も設立しています。
三菱UFJ銀行
株式会社三菱UFJ銀行では、2013年ごろから「業務効率化のソリューション」としてRPAの導入を開始ました。
金融業界には、処理件数が数千を超える業務が多く、効率化の成果が大きく表れやすいのが特徴です。
三菱UFJ銀行は、以下のような作業を抽出し、これに対してRPAを導入しました。
- あるシステムから別のシステムに情報を転記する作業
- 複数回システムのログインを必要とする作業
その結果、金融機関における高度な専門業務に従事していた従業員の業務の6〜7割を自動化し、業務効率化を図ることに成功しました。
サッポロビール
サッポロビールでは、小売店百数十社が公開するPOSデータを分析業務に活用してきたものの、1週間で約160回もの操作が求められるなど膨大な作業量を必要としました。
単純作業の連続によるミスやモチベーション低下も問題となり、RPAツール「Autoブラウザ名人」の導入に踏み切りました。
その結果、自動的にPOSデータのダウンロードが可能となり、年間5,700時間の労働時間削減、1,100万円の人件費削減に成功しています。
ファミリーマート
日本全国にコンビニエンスストアを展開する株式会社ファミリーマートはUiPathを導入し、業務の自動化に取り組みました。
導入に際して、現場店舗から自動化の要望を収集し、対象業務を確定させたのちに、自動化を進めています。
例えば、実際の売上分析を行う作業では、条件に合わせて対象店舗リストの抽出等の前準備が必要でした。
RPAの導入前はその作業を担当者がほぼ1日をかけて行っている状況でしたが、RPA化によって1時間ほどで完了するようになりました。
作業自体をロボットが代わりに行うことで、その処理時間に担当者は別の仕事を進めることができ、業務効率改善にも役立ったといいます。
神奈川県庁
2018年、行政サービスのスリム化と働き方改革の推進を両立させるために検討されたのが、RPAツール「OCEVISTAS」を利用した業務プロセス自動化の実証実験です。
実証実験は約3ヶ月行われ、「正確性」、「迅速性」、「継続性」の3つの指標で導入効果を検証しました。
通勤手当の認定業務は1件当たり20分から7分に、災害時の職員配備計画作成は30日から5日に短縮することに成功しました。
人間とは違い24時間365日稼働できるため、より多くの業務を任せれば効果を高められる点も評価されています。
神奈川県小田原市役所
神奈川県小田原市では、職員の労務管理のため、各課で行っている超過勤務時間と年休取得状況の把握にRPAを導入しました。
職員の勤怠については庶務事務システムで管理していましたが、課ごとの状況を容易に確認できる機能は備わっていなかったため、管理者の負担となっていました。
RPA導入後は、庶務事務システムからダウンロードしたデータを使い、各課の実績をまとめ、管理者宛にメール送信を行う流れに変更し、一連の作業をRPAによって自動化しました。
その結果、業務時間を95.1%削減することができ、働き方改革の推進、作業ミスの防止、他住民サービス向上に関する業務に時間をあてられるようになったようです。
熊本県宇城市役所
熊本県宇城市では、ふるさと納税や時間外申請などに関するオペレーションについて2017年度にRPAの実証実験を開始。
翌年度に本格導入し、RPAを用いて業務を自動化する範囲を拡大しています。
職員の作業負担軽減を目的に同市は、職員給与やふるさと納税、住民異動、会計、後期高齢、水道の6分野に関する作業の自動化を決定。
人手によるエクセルデータの入力など、時間が掛かっていた作業について、RPAを導入しました
RPAの活用により、年間約1,700時間もの業務時間の削減に成功しました。
さらに、会計業務に関する債権者・口座登録事務については、年間500時間もの削減効果が見込まれたといいます。
また、住民異動届出入力事務に関しては、職員をサポートするRPAの構築を実施することで、入力ミスや手戻りを防ぐ効果が見込まれたということです。
記事まとめ
この記事では、RPAの概要と実際の導入事例について解説しました。
ただ、RPAツールの導入には高いコストがかかるため、いくら成果があっても導入に踏み切れないという企業さまも多いでしょう。
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