「DX銘柄2022」&「DX注目企業2022」に選定された企業やDX推進事例を紹介

選定基準や選ばれた企業の一覧、評価されたポイント、選定企業の事例4選など

「DX銘柄2022」&「DX注目企業2022」に選定された企業やDX推進事例を紹介

経済産業省は東京証券取引所に上場している企業の中から、デジタル技術を活用したビジネスモデルの変革にチャレンジし続けている企業を「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」として紹介しています。

その中からDXの仕組みを社内に構築し、デジタル技術を活用した実績を持つ企業が「DX銘柄2022」や「DX注目企業2022」として2022年6月7日付で選定されました。

この記事では「DX銘柄2022」と「DX注目企業2022」それぞれの選定基準や、選ばれた企業の一覧、評価されたポイント、選定企業の事例4選などについて解説しています。

目次

DX銘柄2022とは

DX銘柄2022とは

「DX銘柄2022」とは経済産業省によって選出された、業務にデジタル技術を導入することで、ビジネスモデルの変革にチャレンジし続けている企業のことです。

「DX銘柄2022」は2022年6月7日に33社が選定されており、経済産業省のホームページで公表されています。

選定プロセス

DX銘柄2022の選考プロセスは以下の3ステップで行われました。

  1. デジタルトランスフォーメーションに関する調査
  2. 一時評価
  3. 二次評価及び最終選考

それぞれについて詳しく解説します。

1. 「デジタルトランスフォーメーション調査2022」の実施

上場企業約3,800社を対象に、経済産業省によって、DX調査(デジタルトランスフォーメーション調査2022)が実施されました。

この調査に協力した企業401社のうちDX認定を取得しているが選ばれ、一次評価の対象となります。

2.  一次評価:「選択式項目」及び財務指標によるスコアリング

ステップ①で選ばれた401社について、DX調査(デジタルトランスフォーメーション調査2022)結果からおよび3年平均のROEに基づき、スコアリングを実施し一定水準以上の企業が候補企業となります。

DX調査のスコアリングの際には、以下の6つの項目が評価基準となりました。

  1. ビジョン・ビジネスモデル
  2. 戦略
  3. 戦略実現のための組織・制度等
  4. 戦略実現のためのデジタル技術の活用・情報システム
  5. 成果と重要な成果指標の共有
  6. ガバナンス

3. 二次審査及び最終選考

二次審査では以下の2つの観点から評価が行われました。

  1. 企業価値貢献
  2. DX実現能力

1つめの企業価値貢献については、「A:既存ビジネスモデルの深化」と「B:業態変革・新規ビジネスモデルの創出」の2点が着眼点となり評価が行われました。

Aの「既存ビジネスモデルの深化」に関しては、ITやデジタルが他社と比較して持続的な強みを発揮しているかや、既存ビジネスモデルの強みや弱みがデジタルによって強化・改善されているかが評価対象となりました。

続いてBの「業態変革・新規ビジネスモデルの創出」については、新しいビジネスモデルの創出をデジタル戦略によって成し遂げているかが評価されました。

続いて、2つ目のDX実現能力に関しては、経営戦略や人材育成、環境整備などの面において、IT/デジタルを活用しDXを実現する能力があるかどうかが評価されています。

DXの実現のためには、ビジネスモデルの変革を行うための戦略を立て、環境を整備したうえで、DX推進を行える人材を育成する必要があります。

そのうえで、戦略の変更や調整が必要な場合には軌道修正を行う柔軟性を兼ね備えているかも評価対象となっています。

このように「企業価値貢献」「DX実現能力」の2つの基準を通して、戦略を掲げたうえでデジタル化を実践し、軌道修正しながらDXを実現する能力が総合評価されました。

DX注目企業2022とは

DX注目企業2022とは

DX銘柄2022の選定プロセスの中で、「DX銘柄2022」に惜しくも選定されなかった企業の中から選ばれるのが「DX注目企業2022」です。

具体的にはデジタル技術を活用し、注目されるべき取組を実施している企業が、DX銘柄評価委員会の審査により「DX注目企業2022」として15社が選定されました。

「DX銘柄2022」&「DX注目企業2022」に選定された企業

「DX銘柄2022」&「DX注目企業2022」に選定された企業

デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するための仕組みを社内に構築し、「DX銘柄2022」もしくは「DX注目企業2022」に選定された企業一覧は以下の通りです。

DX銘柄2022(33社、業種・証券コード順)

  • 清水建設株式会社(建設業)【証券コード:1803】
  • サントリー食品インターナショナル株式会社(食料品)【証券コード:2587】
  • 味の素株式会社(食料品)【証券コード:2802】
  • 旭化成株式会社(化学)【証券コード:3407】
  • 富士フイルムホールディングス株式会社(化学)【証券コード:4901】
  • ENEOSホールディングス株式会社(石油・石炭製品)【証券コード:5020】
  • 株式会社ブリヂストン(ゴム製品)【証券コード:5108】
  • AGC株式会社(ガラス・土石製品)【証券コード:5201】
  • 株式会社LIXIL(金属製品)【証券コード:5938】
  • 株式会社小松製作所(機械)【証券コード:6301】
  • 株式会社IHI(機械)【証券コード:7013】
  • 株式会社日立製作所(電気機器)【証券コード:6501】
  • 株式会社リコー(電気機器)【証券コード:7752】
  • 株式会社トプコン(精密機器)【証券コード:7732】
  • 凸版印刷株式会社(その他製品)【証券コード:7911】
  • 株式会社アシックス(その他製品)【証券コード:7936】
  • 株式会社日立物流(陸運業)【証券コード:9086】
  • SGホールディングス株式会社(陸運業)【証券コード:9143】
  • 株式会社商船三井(海運業)【証券コード:9104】
  • ANAホールディングス株式会社(空運業)【証券コード:9202】
  • KDDI株式会社(情報・通信業)【証券コード:9433】
  • ソフトバンク株式会社(情報・通信業)【証券コード:9434】
  • トラスコ中山株式会社(卸売業)【証券コード:9830】
  • 株式会社ふくおかフィナンシャルグループ(銀行業)【証券コード:8354】
  • 東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社(証券、商品先物取引業)【証券コード:8616】
  • SBIインシュアランスグループ株式会社(保険業)【証券コード:7326】
  • 東京海上ホールディングス株式会社(保険業)【証券コード:8766】
  • 東京センチュリー株式会社(その他金融業)【証券コード:8439】
  • 株式会社GA technologies(不動産業)【証券コード:3491】
  • 三井不動産株式会社(不動産業)【証券コード:8801】
  • 応用地質株式会社(サービス業)【証券コード:9755】

DX注目企業2022(15社、業種・証券コード順)

  • 株式会社ミライト・ホールディングス(建設業)【証券コード:1417】
  • キリンホールディングス株式会社(食料品)【証券コード:2503】
  • 株式会社ワコールホールディングス(繊維製品)【証券コード:3591】
  • 日立建機株式会社(機械)【証券コード:6305】
  • 株式会社荏原製作所(機械)【証券コード:6361】
  • 日本電気株式会社(電気機器)【証券コード:6701】
  • 横河電機株式会社(電気機器)【証券コード:6841】
  • 大日本印刷株式会社(その他製品)【証券コード:7912】
  • 日本郵船株式会社(海運業)【証券コード:9101】
  • アジア航測株式会社(空運業)【証券コード:9233】
  • BIPROGY株式会社(情報・通信業)【証券コード:8056】
  • 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ(情報・通信業)【証券コード:9613】
  • アスクル株式会社(小売業)【証券コード:2678】
  • プレミアグループ株式会社(その他金融業)【証券コード:7199】
  • トランス・コスモス株式会社(サービス業)【証券コード:9715】

DX推進4事例をピックアップ

DX推進4事例をピックアップ

ここでは「DX銘柄2022」もしくは「DX注目企業2022」選定企業には様々な業種の企業が含まれます。

これらの中から4つの事例をピックアップし紹介します。

複数業種の具体例を知ることで、自社がDXを推進する際の参考になる可能性も高いでしょう。

事例1:3D smart&try(株式会社ワコールホールディングス)

「3D smart&try」は、下着メーカーの株式会社ワコールホールディングスがデジタル技術を用いて開発した、3Dボディスキャナーです。

全身を約5秒で無料計測でき、それと同時に自分の体型に合う下着をAIが検索してくれます。

妊娠中など体系の変化が頻繁に生じる場合も、一瞬で体のサイズが分かるのですぐに最適なサイズの下着を選べるメリットがあります。

事例2:SGホールディングス株式会社

SGホールディング株式会社は、佐川急便株式会社を中核とするデリバリー事業などを提供する企業です。

AIやデジタル技術を活用し、宅配便事業の効率化や自動化に取り組んでいます。

具体的にはAIによる配達ルート最適化や伝票デジタル化などを通して、不在再配達削減などを目指しています。

事例3:株式会社LIXIL「オンラインショールーム」

株式会社LIXILはコロナ禍での顧客需要に対応するため、デジタル技術を利用しオンラインショールームを開発しました。

その一例が、オンラインでの接客やオンラインでショールーム展示商品が閲覧できる360度展示写真です。

さらに、AIによる商品レコメンドや3Dの完成予想イメージの提示、見積もりの即時提供などを通し販売プロセスの効率化に成功しています。

顧客満足度が向上したのはもちろん、社員の在宅勤務が可能になったことで、従業員満足度も向上しているようです。

事例4:株式会社トプコン(シェアードケア・モデル)

衣食住を事業分野とする株式会社トプコンは、50代以降の眼疾患の早期発見を可能にする仕組み「シェアードケア・モデル」を実現しようとしています。

世界的な高齢化の進行に伴い50歳以降の眼疾患が急増しており、三大眼疾患数(糖尿病性網膜症・加齢黄斑変性・緑内障)は世界で3.5億人に到達しております。

疾病が進行し視覚障害に陥ってしまうと、本人のQOLが低下するのはもちろん莫大な医療費が発生するため、眼疾患の早期発見・早期治療が社会的課題となっています。

そこで活躍するのが「シェアードケア・モデル」です。

このモデルではかかりつけ医・眼鏡店・ドラッグストアで眼の検診を行えるようにし、AIが眼疾患を発見します。

早期発見された眼疾患のデータはクラウド上に蓄積され、眼科医と連携可能なプラットフォーム上で共有され早期治療が行われます。

「シェアードケア・モデル」が実現すれば、眼疾病を早期発見できるようになり、医療費の削減にもつながるでしょう。

記事まとめ

記事まとめ

DX銘柄2022やDX注目企業2022は、東京証券取引所に上場している企業の中から、デジタル技術を活用した優れた取り組みを行った企業を選定したものです。

2022年には、「デジタルトランスフォーメーション調査2022」を実施し、調査に回答した企業の中で審査を行い選ばれています。

2023年も経済産業省は「DX銘柄2023」を選定する予定となっており、2023年4月現在選定に向けたプロセスが進行中です。

昨年同様、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進のために、優れた取り組みを行った企業が選ばれることになりそうです。

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